第95話
「司っ、おはよう」
「ああ、おはようローズ」
「何か外で声がしてたみたいだけど、何かあったの?」
「いや、別に・・・。ただ部屋の前に居た人が、俺の事を始めて見たから分からなかったみたいで・・・」
「あっ、そうだったわね、ごめんね。彼はお父様の部下で『バドー』って言うのよ」
「そうだったのか・・・」
俺は部屋の外での最初の発言の意味を理解した。
ローズの父、つまりケンイチ氏の部下だからバドーにとってローズは、頭=ケンイチのお嬢=ローズなわけだ。
「ん、ていう事は・・・?」
「ええ、既に王都からの援軍の先行隊が到着したわ」
「早いな・・・」
「ええ、王都に連絡に行った者が、王都から状況を確認に出た者と会えて、 其処から通信石で連絡を取り王都から援軍が出発したのよ」
「じゃあ、もうフェーブル辺境伯は降伏したのか?」
「ええ、フェーブル辺境伯は既に投降し、既に軍は解体されたわ」
「そうか・・・」
突然降って湧いたリアタフテ領への侵攻騒動も、これにて一件落着という事で良いのかな?
俺がそんな事を考えていると、部屋のドアが開きアーム、ミニョン、フレーシュが入室して来た。
「おお、若様お目覚めでしたかぁ」
「え、ええ、アームさん戻られてたのですね」
「はい、早朝には戻れましたじゃ」
「そうですか」
「司さん、もうお怪我は大丈夫なのですの?」
「ああ、ミニョン。怪我は問題無かったしな」
「そう言えば、そう仰ってましたわね。あれは何故ですの?」
そう言えば昨日、暗闇を駆る狩人の説明をしてなかったな。
それを思い出し、俺は魔法の効果をミニョンへと教えた。
「凄いですわっ‼︎流石司さんですわっ‼︎」
「あ、ああ、ありがとう」
「話には聞いておりましたが、奇妙な魔法ですなぁ」
「そうなのですね、此の世界の魔法の常識が理解出来て無い時に創造した魔法なので」
「う〜む・・・」
俺の返答に腕を組み唸り声を上げ、感心した様に頷くアーム。
実際RPGなどではポピュラーな魔法だと思うのだが・・・。
そんな正にRPGな世界の、それらしく無い常識に少し不思議な感じがした。
「真田様・・・」
「フレーシュ、どうかしたのか?」
「ええ、この度はローズ様のご懐妊、おめでとうございます」
「ああ、ありがとう、フレーシュ」
「・・・っ」
「そうでしたじゃ、若様っ、誠に目出度い事ですじゃ」
「ありがとうございます、アームさん」
早朝に戻ったという3人。
既にローズの妊娠については報告を受けていたらしい。
フレーシュとアームが祝福の言葉をくれた。
ミニョンは・・・。
「お、おめでとうございますわっ、司さん、ローズ」
「ありがとう、ミニョン」
「・・・ありがとな」
「ええ、ですわっ・・・」
俺とローズへとお祝いの言葉をくれたミニョン。
(少し無理してる様にも見えるが・・・)
「でも、此れでローズは休学となるのですわね」
「ええ、子供を産む迄はね」
「その間に貴女を抜き去ってみせますわっ」
「そうね・・・」
「っ・・・」
「ふふ、大丈夫よ。子供が生まれたら、また直ぐに抜き返してあげるわ」
「・・・」
「ただ、今はこの子に全ての時間をあげたいのよ」
「むぅ〜ですわっ」
そう言って自身のお腹をさするローズは、実に母性的な横顔をしていた。




