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第60話


 ミニョン達との準決勝。

 何とか勝利を収めた俺は一人、嘗てルーナを失くした場所に来ていた。

 ルーナは試合終了後直ぐに立てたのだが、一応確認とメンテの為フェルトと共に研究室へと移動した。

 対戦相手のミニョンとフレーシュは気絶したままで、担架に乗せて医務室はと運ばれた。

 ただ、デリジャン曰く一時的なもので、心配する必要は無いとの事だった。


(正直、試合を止めてくれて助かったな・・・)


 試合で見せられた彼女達の気迫にそう思った。

 ミニョンは立場上あの気迫も彼女からすれば当然なのかもしれないが・・・。


「フレーシュ・・・」

「あっ、こんな所に居たんだ?」

「⁈な、なんだルチルかぁ・・・」

「何だは無いでしょ、何だはっ」

「ああ、すまんな」

「もう・・・、勝ったよ」

「そうかぁ・・・」


 そんな気分では無かったので観戦はしなかったが、試合はローズ達の勝利だった様だ。


「どうしたの?黄昏ちゃってさぁ」

「そんな事無いぞ」

「え〜、だってさぁ」

「ん?」

「フレーシュ・・・、ってさ?」

「っ⁈」

「はは、良いよローズには秘密にしてあげるからさ」

「そ、そんなじゃないぞっ‼︎」

「ははは」

「ふぅ・・・」


 俺の呟きを聞いていたらしい、ルチルはイヤラしい顔で俺の声真似をしてきた。

 ルチルは意外とこういう所があるので、俺は無意識の失敗を悔やんだ。


「でも、凄かったねフレーシュ?」

「ああ・・・」

「あの娘いつもはあんなに熱くないのにさ」

「ああ、そうらしいな」


 俺は以前ルチルから聞いた話を思い出していた。

 元々、ミニョンを切り崩せば直ぐに諦めていたというフレーシュ。

 俺はそのフレーシュは見た事が無いのだが、試合前の冷めた雰囲気を見れば容易にその過去が想像出来たのだが・・・。


「何があいつをそこまでさせるんだろうな?」

「ん?はは、聞いてみたら?」

「そんな関係でも無いだろう?」

「まあねぇ」

「・・・」

「・・・まぁ、あの娘も色々あるんだよ」

「ん?」

「はは、何でも無いっ」

「・・・そうかぁ」


 何か知ってる風だが、誤魔化す様に笑ったルチル。

 俺もそれをルチルから聞くべきでは無いと思い、それ以上は追及しようとはしなかった。


「さてと、そろそろ行くか」

「そうだね、負けないよ司?」

「ああ、俺達もだ」


 俺達は試合場へと向かった。

 そこには既にルーナとフェルトも戻っていた。


「ルーナ、大丈夫か?」

「はい司様、ご心配をおかけしました」

「いや、無事なら良いんだ」


 フェルトに視線を向けると、目立った外傷は無く魔力量も問題無いそうだ。


「ただ銃の事だけど・・・」

「どうかしたのか?」

「ええ、やはり鉛弾で無い分威力不足ね」

「ああそういう事か」


 確かに此処まで相手を仕留めたのは俺だけで、ルーナの銃では相手をノックアウトするには至らなかった。


(まあこのトーナメントが全てでは無いし、実戦では問題無くなるとは思うが・・・)


「一応マガジンをアイテムポーチに入れてあるから、着け変え時は気を付けてね」

「了解」


 その時は俺がフォローしなければならないな・・・。


「司・・・」

「ローズ、来たのか」

「うん」

「お互い、頑張ろうな」

「ええ、そうね」


 静かだな、そう思った。

 会話をしていても何処かでその表情、立ち振る舞いからそう感じてしまった。


(このローズからあれ程の強風の魔法が生み出されるとは・・・)


 凪・・・、ローズにはそんな言葉が似合う雰囲気があった。


「ねえ司、約束覚えてる?」

「あ、ああ・・・」

「そう、なら良いわ」

「・・・」


 そして俺達はリングに上がり、試合開始の合図を待った。

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