表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/705

第47話


 デリジャンにより告げられた突然の試合終了の号令。

 最初はやる気が無かったが、こんな状況での打ち切りには納得がいかず俺はデリジャンに問うた。


「どうしてですか、まだ時間は経ってない筈では?」

「勿論じゃよ」

「じゃあ、何故?」


 食い下がる俺にデリジャンは仕様がなさそうに言ってきた。


「今回はあくまで模擬戦じゃからの、救護班も用意しとらん」

「・・・」

「ミニョンとローズも医務担当に見せる必要があるからのぉ」

「はぁ・・・」


 俺は未だ蹲っているローズとミニョンに視線を向けた。

 確かにデリジャンの言う事も一理あるのだが、やはり少し納得がいかなかった。


「ほっほっほっ、そんなに続きをやりたければトーナメントでやり合うんじゃのぉ」

「・・・」

「今は自分の婚約者を労ってやるんじゃの」


 デリジャンは俺に今日は補習は良いと言って、集まっていた生徒達を解散させに行った。

 審判が居ないのでは続きをやる事も出来ず、俺はローズの下へ向かった。


「大丈夫か、ローズ?」

「え、ええ、・・・ごめんね司」

「気にするな、俺も完全に死角を突かれてしまったんだし・・・」

「うん、フレーシュはまた腕を上げていたわ」

「そうなのか?」

「今迄なら、ミニョンを切り崩せば即降参だったもの・・・」


 確かに弓矢で闘うスタイルは、距離を完全に詰められてしまえばアドバンテージは全く無くなってしまう。

 フレーシュは支援魔法は使えるが幾ら身体能力を上げても、それを生かす技が無ければ話にならないのだ。

 そう考えるときっとフレーシュは弓矢以外に使い熟せる武器が無いと想像できた。


「とにかく医務室に行こう」

「うん、・・・て、えっ、ちょっと」


 俺はローズを抱き抱えその場を離れ様としたのだが、腕の中でローズがその頰を真っ赤に染めジタバタした。


「おい、危ないからじっとしてろ」

「ま、待ってよ、私歩けるから」

「歩けるのと歩いて良いのは別物なんだ、そんなに腫れてるんだから無理するな」

「で、でもぉ・・・」


 ローズのそのシルクの様なきめ細やかな肌は、赤黒く腫れ上がりかなり痛々しく、無理をさせて良い状態には見えなかった。

 俺は結局そのままローズを抱き、フレーシュがミニョンに寄り添うのを横目に、ルチルと共に医務室へと向かった。


(ミニョンはまだ意識がはっきりしてない様だな)


 医務の担当者にローズを診て貰い、回復魔法による治療を受けた俺達は迎えの馬車へと向かって行った。


「本当にもう大丈夫なのか?」

「ええ、この通りよ」


 俺自身も暗闇を駆る狩人で経験してるとは言え、魔法の効果には驚いてしまう。

 ローズは既に純白の太腿を取り戻し、自らの足で歩いていた。


「それにしてもフレーシュはいつの間に俺達の死角を取っていたんだ?」


 気配を消したにしても数十メートル四方の範囲をあそこまで一瞬で移動する事は可能なのか?

 そんな俺の疑問にルチルが答えてくれた。


「フレーシュはミニョンにアタックエフェクトを掛けた後直ぐに、自分にスピードエフェクトを掛けスピードを上げてたんだよ」

「そうだったのか・・・」

「うん、その後アタックエフェクトの詠唱をしながら学院長の背後に移動して、ローズを射抜いた訳」


 ルチル曰く、その後ローズに向けた俺の視線の逆から背後を取ったとの事だ。

 俺は自身の判断力の低さに情け無い気持ちになってしまった。

 幾ら狩人達の狂想曲でフレーシュよりの攻撃を防げたとは言え、そもそも背後を取られた事が悔しかった。


「司、そんなに悔しそうな顔する事ないよ?」

「え?」

「司はローズとタッグを組むのは初めてなんだし禁止されてる魔法も有るし、ミニョンとフレーシュとはそもそも条件が違いすぎるよ」

「そうよ、今日は私の所為なんだから・・・」

「いや、そんな事無いだろ」

「ううん、私がもっと早くミニョンに魔法を喰らわせとけば展開も違ったわよ」


 ローズはそう言って少し俯いてしまった。

 けどそれを言うなら、俺がもっと早くミニョンの体勢を崩しておけば良かったのだが・・・。

 そんな感じでお互いに反省頻りな俺達だったが、収穫もあった。

 まず第一に狩人達の狂想曲だ。

 あの時俺は完全にフレーシュを見失っていたのだが、全方位に放った闇の狼達の中で正しい方向に向かった一匹は、俺に敵意の有るフレーシュに跳び掛かって行った。

 これは俺が敵を視認出来なくてもある程度の追尾は可能と言う事を意味している。

 そして第二には支援魔法だ。

 フレーシュよりアタックエフェクトを掛けられたミニョンよる一撃は、明らかにそれまでとは威力が段違いだった。

 何故それが収穫となるかと言うと、俺には魔力の循環があるからだ。

 支援魔法と魔流脈の魔力循環を完全に同じ物として考えるのは違うのかもしれないが、かなり近い感覚であるとは思う。

 なので俺がこの先、身体能力と魔力を向上させていけば近接と遠距離どちらでも闘える戦闘スタイルを確立出来るかもしれないのである。


「まあ、とにかく俺達はまだまだって事だな」

「うん、そうね・・・」

「でも、もっと強くなって見せるさ」

「司・・・、うんっ、そうよね」


 俺とローズは決意を新たにするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ