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第37話


「おお、お嬢様に若様よくぞいらっしゃいました」

「久しぶりね、アーム」

「どうも」


 俺達を出迎えてくれたアームは、その目尻に光るものがあった。


「この度は本当に良くぞご無事で、爺は、爺はぁーーー‼︎」

「っ‼︎」

「アームったら」


 俺は咆哮を上げ泣き出した、マッチョな爺さんにドン引きしてしまったが、ローズはその背を優しく撫でていた。

 しばらくし、落ち着いたのかアームは俺達の冒険者登録の準備をしてくれた。


「ですが、本当に時の流れは早いものですなぁ」

「そう?」

「ええ、あんなに小さかったお嬢様がついに冒険者デビューとは」

「アーム・・・」

「それも、旦那様と共にとは」

「・・・」


 いやまだ旦那では無いんだけどね。

 アームが用意してくれた書類に俺達は記入をし、登録料を納めた。

 因みに俺はリールから一オールも持たずでは、何かあった時に困るだろうと渡されていた一万オールで払った。


「では、これにてローズ=リアタフテ、司=真田の冒険者登録が完了しました」

「「はい‼︎」」


 書面上はやっぱり苗字と名前が逆になるんだな。


「そういえば・・・」

「?」

「お嬢様達に狼藉を働いた三人組ですが」

「あっ」


 そういえば俺が落ちた後奴等はアナスタシアにより倒され、合流した衛兵達により拘束されたとは聞いていたけど、その後の事は聞いてなかった。


「先日王都へ引き渡され取り調べが終わったのですが、まず主犯格のリーダー『シエンヌ=ヴォルール』、そしてドワーフの『アルティザン』、最後にダークエルフの『ブラート』、以上三名です」

「ダークエルフかぁ・・・」


 無事戻った後にローズから聞いた事だが、あの黒い肌の男はダークエルフだったらしい。

 その魔力の量と扱いは人族では到底敵わない相手で、俺達はかなり危険な状況だったとの事だ。


「全員が盗賊ギルドに属しており、リーダーとドワーフもかなりの者なのですが・・・」

「ん?」

「ダークエルフのブラートという者なのですが、エルフ達の国に於いて一億オールを超える賞金首の様でして・・・」

「い、一億‼︎」

「そうですじゃ」

「すいません、それってどの位凄いんですか?」

「そうですなぁ・・・」


 一億と聞き、かなりのオーバーリアクションをしてしまった庶民な俺。

 しかしどの程度のレベルなのか解らずに即質問し直した。

 アーム曰く、賞金首は一般的に一千万超えた時点で他国にも通達されるそうで、一億の首はサンクテュエールだと最上位の貴族を殺した者などに付く金額で現在その額が付く者は一人のみだという事だ。


「それじゃ、倒したアナスタシアは大金持ちになれるんですね」

「いえ、無理ですじゃ」

「え?」


 俺はもしかして、アナスタシアが獲った首は主人であるローズの物になるのかと思い、視線を向けたがどうやら違い様だった。


「今サンクテュエールはエルフの国と国交が無いのよ。だからあのダークエルフを引き渡したらこの国で犯した犯罪の刑については問えなくなるのよ」

「だから引き渡しは出来ないと?」

「そういう事。当然賞金も貰えないの」

「なるほど」


 そういう事なら納得がいった。

 だけど無いんだな、国交。

 その後俺とローズはアームに魔石を鑑定してもらった。

 一般的ワーウルフから獲れる魔石の値段は五万オールとの事で、俺とルチルの分が二十万オールでローズはなんと九十万オールとの事だった。

 俺は自分の取り分の十万オールでアームからアイテムポーチを購入した。

 俺が腰にアイテムポーチを着けるとローズはどこか嬉しそうだった。

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