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第29話


 ダンジョン、その中は意外な程明るく俺は拍子抜けしそうになっていた。

 その理由を探る為周囲を見回して見ると、壁には穏やかな灯りを発する魔石が、制御装置を有し点々と設置されていた。


「これって・・・」

「うん、冒険者のつけた物だよ」


 ルチルが言うには、ギルドから所属する冒険者に対しダンジョン探索の進展の為に支給されてるそうだ。


(まあわざわざ魔物の出るダンジョンに盗みに入る人間はいないだろうしな)


「そういえばさ」

「ん?」

「ローズは何で一人でダンジョンになんて入ったんだろうね?」

「・・・」

「何か思い当たる事あるの?」

「なあ、ルチル?」

「何?」

「やっぱり、魔石って貴重なのか?」

「まあ、そうじゃない?でも、どうしたの?」

「いや・・・」


 きっとローズは俺が試験の時に廃魔石にしてしまった、魔石の補充に来たんだろう。

 俺に魔石事情は解らなかったが、学院が即補充といかないのは、しばらく短縮授業となった事からもわかる。

 それにリアタフテ家が用意出来るのならリールが直ちに手を回すと思われるので、それも無理なのだろう。


「まあ、このリアタフテ領には今の所ダンジョンはここを含めて三個しか無いからね。普通の地方領なら十分なんだろうけど、ここにはかなり規模の大きなスタージュ学院があるからね」

「なるほど」

「でも最近新たな魔床を発見して、今調査してるって話だから司は楽しみにしとくと良いよ」

「楽しみにって?」

「新たな魔床から生み出されるダンジョンが大規模な物なら、それを踏破した者には名誉も報酬も思いのままだからね」

「なるほどな」


 俺とルチルはそんな事を話しながらも、ダンジョンの奥へと進んで行くと少し開けた場所に出て、そこには五体程魔物の死体が倒れていた。


「あれは、ワーウルフだね」

「あれがそうなのかぁ」


 よく見て見ると確かにその死体は、全身深い毛で覆われていて、顔は狼そのものだった。


「全部胸が何かで突かれてるな」

「うん、流石ローズだね」

「え?」


 何故ローズがやったと特定出来るのか聞くと、これはエアショットによるもので、ここまで正確に射貫けるとなるとまずいないと言った。

 俺はワーウルフの死体に近寄ると、背中の上部にエアショットとは違う切り裂き、その傷の内側に何かを刳り抜かれた様な空洞を見つけた。


「なあ、これって?」

「どうしたの?」

「ここ、何か取り出した様な・・・」

「ああ、魔石だね」

「魔石かぁ・・・」


 魔物からも魔石って取れるんだな、まあテンプレと言われればそれまでなのだけど・・・。


「まあ、この大きさだと下級だろうね〜」

「そうかぁ・・・、って魔石の等級は魔物の種類で決まるんじゃないのか?」

「一部はねぇ」

「一部?」

「うん、元々強い魔物からは高い等級の魔石が取れるけど、弱い魔物も魔空間に長く過ごす中で魔石が成長するしね」

「魔空間で成長?」

「魔物の魔流脈は特殊で、人族や亜人とは違う構造だからね」


 ルチル曰く、魔物の魔流脈は魔石と結合していて、魔物は魔空間から魔力を取り込みそれを魔石に送り育てる事が出来る。

 俺は魔空間は汚染を生み出すんじゃないのかと聞いたが、その汚染こそが魔物を活性化させると言われた。


「だから、私達にはダメージを与える魔空間も魔物達にとっては栄養であり、奴らにとって有利な空間になるの」

「じゃあダンジョンの中では魔法使わない方が良いのか?」

「そうとも言えないよ。魔空間の濃度を高めるには継続的に魔法を使い続ける必要があるし、何より魔物が魔石を育ててくれればそれを狩って僕らの益になるからね」

「まあ、そういう考え方もあるか・・・」

「ただそれもあってダンジョンは探索が進む程、魔物が強くなるけど」

「なるほど、魔空間が濃くなる訳だな」

「うん、それもあるし魔床近くはより強力な魔物が生息してるしね」


 この世界に来てそれ程日が経っていないが魔物に出くわさなかった理由を見つけた気がした。


(連中にとってはダンジョンが最も暮らしやすい場所なんだな・・・)


 俺とルチルは会話に集中してしまい周囲への注意を怠っていた。

 既に仕留められているワーウルフを集団を見たのだから仕方ないと言い訳をさせて貰いたい。

 ただ・・・。


「グッ、ガァーーーッ」

「え?」

「っ、あがっ」


 俺達の背後は既に取られており、新たなワーウルフの一撃が俺の背に叩き落とされていた。

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