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第114話


「ふぅ〜・・・」

「・・・」


 俺は足下にダウンする3人の男達を見ながら、安堵とも後悔ともつかない溜息を吐いた。


(説明を貰えればこんな手使わずに済んだのに)


 言い訳めいてるが仕方無いだろう。

 そもそも問答無用で向かって来たのは相手側なのである。


「・・・」

「なあ?」

「・・・え?」

「結局君は何を仕出かしたんだ?」

「・・・うっ」

「答えて貰えなければ君を解放する訳にはいかない」

「・・・」

「君が罪人で無いと言う証拠は無いからな」

「あ、アンタだってっ」

「俺が何か?」

「そうよっ、此処は禁魔法地域よ‼︎衛兵を呼んだって良いんだからねっ」

「・・・」

「ふっ」


 ほら見た事かと言いたげに腕を組み、顎を僅かに上向きにし得意げな表情を浮かべる少女。


「そうだな衛兵を呼ぶのが手っ取り早いか」

「え⁉︎」

「ん?」

「ち、ちょっと分かってるの⁈衛兵を呼んだらアンタ牢獄行きよ?本気なの⁈」

「ああ、牢獄でじっくり自分の罪と向き合う事にしよう」

「そ、そんな・・・」


 言葉に詰まってしまう少女。

 悪いが俺が牢獄行きになる事は無いというか、もし連れて行かれても其処で釈明する事が可能だった。


(国家認定魔導士の権利が、何処まで通用するかは分からないが、多分大丈夫だろう。2日連続でミニョンに迷惑掛ける事にはなるが、牢獄行きでも見付けてくれるだろうしな)


 俺はそんな事を考えながらも、余裕の姿勢を崩さず少女を眺めていた。


「あ・・・」

「あ?」

「助けてくれて、ありがとう・・・」

「いや、其れは問題無いよ」

「・・・」


 情緒不安定なのか、それとも泣き落としにでも掛かろうとしてるのか?

 少女はしおらしい態度で感謝を述べてきた。


「ねぇ?」

「何だ?」

「彼等は大丈夫なの?」

「ん?ああ、暫くすれば目を覚ますよ」

「そう、良かった・・・」

「・・・」

「ねえ、さっき詠唱してたみたいだけど、此の魔法って何属性?」

「それは・・・、極秘事項だ」

「そ、う・・・」


 倒れている男達の心配をする少女。

 どうだろう?

 演技の可能性も有るが、その様子は本当に心配している様に見えたし、勿論、自身が罪人だから申し訳ないと思ってる可能性も有るのだが・・・。


(・・・はぁ〜、相手がちょっと可愛い女の子だからってお人好し過ぎるな、俺も・・・)


「本当に・・・」

「ん?」

「本当に罪人じゃないの、信じて?」

「・・・」


 信じろと言われてもなぁ・・・。

 此処でこの娘を解放して、今ダウンしている男達が軍や王国直属で仕事をしている者の場合流石に面倒な事になるし、どうしたものか?


「じゃあ、今日っ」

「ん?」

「今日一日だけ私に付き合って‼︎」

「え?」

「そしたら、衛兵の詰所でも、何処にでも連れて行かれて良いからっ、・・・ね?」

「う〜ん・・・」


 まあ、時間は有るし問題は無いが・・・。

 何より甘いかもしれないが、この娘に魔法を使って絶叫を上げられるのは精神的にキツかった。


「分かったよ、一日で納得するんだな?」

「えっ、本当?」

「ああ、だが約束は守って貰うぞ?」

「うんっ、ありがとう」

「俺の名は司だ。君は?」

「司ね。私はアンジュよ。宜しくね、司」

「ああ、アンジュ」


 こうして俺は成り行きから、アンジュと名乗る少女に付き合う事になるのだった。

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