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全ては竜の御心のままに  作者: 酢兎
竜争歴十六年 アルイスト連合国編
3/11

3

もう修正するつもりはありませんが、前話の隊長達紹介文 実はあれ設定的な要素で文章にするつもりは毛頭ありませんでした が、設定からコピペをした結果消し忘れ、更には投稿の際の確認漏れで公開することに・・・ 別に見られて困るものではありませんけどね

「その扉を開けた瞬間から試験開始だ。準備が出来たら入りな」


 イヴァンスは息をゆっくり吐き、扉を開けた。



「…これはまた、素晴らしい試験ですね」


 扉の先にはありふれた家や何かの店が並んでいて、擬似的な街らしきものが用意されている。人は用意されておらずとても静かで、物寂しさを感じさせる空間だった。

イヴァンスは何かを察した様子で近くの家の屋根へと跳躍する。背の低い建物から高い建物への跳躍を繰り返し一番高い場所に登ったイヴァンスを待っていた光景は、彼が予想した通りのものだった。

 入り口、イヴァンスが入ってきた場所からは反対側の空と地に見えるドラゴンの大群。街からはまだ遠いがそう悠長にしている暇はないぐらいの距離にそれらが存在していた。


「防衛戦、と言った所でしょうか。確かにこれならば事実を確認するのにもってこいですね」


「お察しのとおりだ。制限時間は十分、その間その街を守りきれば合格だ。手段は問わないが、こちらで戦闘続行不可もしくは街の損害が許容範囲を超えたと判断した場合失格となる。では健闘を祈る」


 イヴァンスの呟きに反応してどこからか声が響き答えた。イヴァンスは腰の剣を抜いて気合を入れるかのように切っ先をドラゴンへと向ける。


「一方向からの侵撃を防ぐ。あの時よりかは楽でしょうが、私の力はどこまで通用しますかね」


 イヴァンスはそう呟くと屋根から屋根へと飛び移り、ドラゴンが向かってきている方向へ向かう。

 全長としてはそこまで大きくない街で、イヴァンスの今の速度ならば端から端まで一分程度で行き来出来る程だ。十数秒ほどで反対側に辿り着いたイヴァンスは状況確認の為辺りを見渡す。周りには障害物の類は一切無く、ただ一直線に向かってくるドラゴンが見えるだけだった。


「ドラゴンの種類は火竜、水竜、風竜、土竜ですか。奥の方に居るのは見えませんが、これ以外のドラゴンは居ないと考えて問題無さそうですね」


 イヴァンスはふっと気合を入れるとドラゴンへと走り出す。そう時間もかからずに先頭のドラゴンへと接敵するとドラゴンもイヴァンスの存在に気付いたようで、攻撃を仕掛けてくる。

 先頭の火竜数体がイヴァンスに向けて火を吐いてくるが、イヴァンスは跳躍して避ける。そこを違う火竜が空中で身動きが取れないイヴァンスに向けて火球を吐く。


「なるほど。ある程度の連携はしてくるのですね」


 イヴァンスは行動を確認すると空を蹴り火竜へと急降下して火球を避け、更に先程火を吐いた数体の火竜の体に剣撃を与えた。

 火竜はその剣撃に怯みはするが倒れず、イヴァンスへと反撃を繰り出す。しかし爪や首を利用した反撃は宙を自在に舞うイヴァンスに当たらず、再びのイヴァンスによる剣撃で火竜数体は倒れて、仮想空間らしくそのドラゴンらは少し立つと霧散して消えた。


「死体を障害物として使うのは無理そうですね。…しかしそう設定されているのか、ある程度まで近づかないと私には反応しないのが幸いです。実戦ではこうは行きませんしその点は楽ですね」


 四足歩行の赤き火竜の主な攻撃は名の通り火の息や球を飛ばし対象を燃やし尽くす。そこまで俊敏ではないが、巨体を活かした攻撃もしてくる為接近戦でも注意が必要な相手である。背には翼もあり飛ぶこともあるが主な戦闘は地上戦となる。

 イヴァンスは最初の戦闘の様に、ドラゴンの攻撃を避けては攻撃を繰り返し着々と減らしていく。十数体程倒した後イヴァンスは空を見上げる。


「ある程度の足止めは出来たでしょうし、そろそろ上を倒しておきますか」


 空を飛ぶ風竜を視認してイヴァンスは呟く。

 風竜とは生物における前足がそのまま翼となっているドラゴンである。風竜は飛ぶことに特化しており火竜に比べると一回り小さいが転じてとても素早い。攻撃手段自体は火竜とそう変わらないが翼を利用した風による体勢崩しなども繰り出し、翼自体もかなり鋭利になっていて火竜より危険度は高い。

 イヴァンスは数度空を蹴り風竜へと対峙する。風竜は目標を街から眼前のイヴァンスへと変えたようで、一体が速度を活かした突進をしてくる。周りの数体はそれを援護するかのように火球を吐いたり風による体勢崩しを放つ。

 ガキィンと金属に何かが当たる音が響く。なんとイヴァンスは高速の巨大弾丸と化した風竜を真正面から剣で迎え撃ち突進の勢いを無くし、その上で周りの援護攻撃を突進してきた風竜に当てさせ身代わりにしていた。


「…流石に手が痺れますね。これはあまりしないでおきますか」


 イヴァンスは右手で握っていた剣を左手に持ち替え、右手をぶらぶらと振っている。流石に多少の麻痺はしているようだった。

 その後、イヴァンスは器用に持ち手を変えながら時折来る突進をいなしてこれまた順調に風竜の数を減らしていった。

 先程からイヴァンスが空を蹴る度にバリンバリンと何かが割れる音が鳴っているが、これはイヴァンスが発現した『魔壁』が壊れている音である。

 大気に漂う魔力を凝縮し壁として発現させるこの魔法は簡易魔法に分類され、イヴァンスの様に体内に魔力を持っていない者でも扱う事が出来る。周りから見れば異質に思えるが、これが魔力の無いイヴァンスなりの対空術なのだ。


「どうやら追加で補充されたりはしないようですね。今現在見えているドラゴンだけという事でしょうか」


 二十数体程の風竜を全て倒したイヴァンスは追加が無いのを確認すると再び地へと戻った。先頭には減った火竜の補充か、水竜と土竜がちらほらと見えていた。

 水竜は翼がヒレとなった水中特化の蛇のようなドラゴンである。水中では無類の強さを持ち、地上ではその体を活かした締め付けや水を吐き出したりする。とはいえ真価を発揮するのはあくまで水中のみであり、地上での驚異はむしろ減少する。

 土竜は翼を捨てた異類の四足歩行ドラゴンである。特徴的なのは翼を捨てたせいか足と爪が特異な発達をしており、それを使って地面を掘って行動する。地上では神出鬼没とされ、地鳴りが聞こえた周囲では土竜の存在が疑われる。攻撃手段は主に見えない地中からの猛襲と爪を使ったものが多い。


「しかし、水竜は良いとしても土竜の利点をこの場所では活かしきれないのでは、なんて」


 イヴァンスが呟いている最中に彼の足元の地中から何か音が聞こえ始めたと思った瞬間、土竜が飛び出してくる。


「思っていたんですけどね。流石にそう甘くは無いようで」


 ちなみにこの仮想空間では街以外の四方が白い壁に囲まれており、よほどの衝撃が無い限りは傷付けることすら不可能となっている。先程の土竜の攻撃は実際に掘った訳ではなく、仮想空間らしく座標の瞬間移動を利用した再現である。

 イヴァンスは音が聞こえた瞬間には既に空に退避しており、追加の火竜や水竜の援護を避けながら少しドラゴンから離れた。


「そろそろ制限時間でしょうからそこまで無理はしなくても良さそうですが…。実力の後押しも必要ですかね」


 イヴァンスは剣を一度鞘に戻して目を瞑り精神集中を始めた。一見何も変わらない様子のイヴァンスだったが、数秒後には奇妙なことにイヴァンスの体から目視できる程の熱気が出ていた。


「あまりこの状態を長く続けたくないのですぐに終わらせますよ」


 そう呟いたイヴァンスは、既にその姿はそこには無かった。先程までのイヴァンスも中々の速度だったが、今のイヴァンスに比べるとありえない、そう言いたくなるほどに速度に差が出ていた。

 瞬間移動と言える程の速度で先頭のドラゴンに近付くとただ一振り、イヴァンスは横薙ぎに剣を振るう。そうするだけで先程までは数撃必要だった火竜が倒れる。明らかにイヴァンスの何もかもが先程までと変わりすぎていた。

 そこからの十数秒は一方的だった。ドラゴンがイヴァンスを感知した瞬間には既にドラゴンは倒れている、そんな有様がただ続いただけだった。


「そこまで!おめでとうイヴァンス。言わなくても分かるだろうが、試験は合格だ」


 用意されていたドラゴンの最後の一体が倒れると共にその宣言が響く。イヴァンスは立ち止まり数秒後にはさっきまで出ていた熱気が収まった。


「ふぅ。いやぁ合格できて良かったです」


「疲れているかもしれんが、さっきの場所まで戻ってきてくれ」


「分かりました」


 イヴァンスは剣を収め、ゆっくりと最初に入ってきた場所へと向かった。彼の周りに音はなく、ただ静かに試験前と変わらない街だけがイヴァンスの功績を物語っていた。


戦闘描写は特に無いです ナイデス ないよ


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