召喚者が気軽に魔法を撃つと最悪な災厄が起きてしまう
転移した先は、広大な面積のの野原の真ん中だった。その平野を中心に木々が森を形成している。
「空気よし、天気よし、シャルルの笑顔よし、うん、完璧だ
俺は指差し確認をした。平野自体に関してなんの感想もない。
「これからどうするんですか?」
シャルルが指示を出るのを待っている。
「うーん、そうだなー、とりあえずこの世界の魔法のことを教えて」
「魔法ですね、分かりました。そもそも魔法とは遥か昔、古代人が魔力を使い、火種を生み出したことが始まりです。魔法には大きく分けて属性魔法と特殊魔法に区別されます。属性魔法は火、水、土、風、雷、光、闇があります。一方、特殊魔法は、例えばユウさんを召喚した『異世界召喚』や『転移魔法』、小規模のものでは汚れなどを落とせる『掃除魔法』などがあります。言ってしまえば、魔法はある程度の知識とそれに見合った魔力量が揃えば攻撃から家事まで様々なことができます」
「つまり、俺も勉強しなきゃならないってこと?」
シャルルは首を横に振る。
「いえ、多分大丈夫でしょう、ユウさんの場合、魔法の知識を持っている、持っていないに関係なく使えると思います、恐らく異世界者の特性でしょう。問題は魔力量です。魔力量は個人個人によって持てる魔力の多さを表し、この器の大きさは見習いの魔法使いを1とすると私は120です、だいたいの王宮魔法使いは100前後ですから私は少し優れた王宮魔法使いでした。一方、魔力量が1以下、ほぼ0な人間もざらにいます。」
「で、魔力量はどうやったらわかるんだ。」
「自分の魔力量は自分でなんとなく分かるはずです。出来ますか?」
うーん、なんとなくって言っても俺はどうなんだ?
【お答えします。マスター】
「ん?」
いきなり頭の中に、なんだこの?
「どうしました?ユウさん」
【失礼しました、私はあなたのサポート兼アドバイザーです。】
ああ、そうなんだ。
【意外と驚きませんね。】
まあ、異世界に来た時点で結構驚きだからな。
【それで大抵のことは驚かないと、なるほど感服します。】
いや〜それほどでも〜・・・無いわけじゃないね。
【・・・褒めた事は撤回しますね。】
ははっ、キツいね〜、でサポートとは如何に?
【はい。あなたが使う魔法の指向性や威力の調整などの補佐をします。「龍の咆哮」の威力を抑えたり、「テレポート」の座標調整をしました。】
もし、俺がサポート無しで魔法を使ったらどうなるの?
【・・・世界が壊れます。】
マジで?俺、災厄級?
【まあそれは嘘ですが、・・・一度試してみてはどうでしょうか。私のサポート無しでの魔法を。】
そうだねー、取り敢えずファイヤーボールでどうでしょうか?
【良いと思います。】
じゃあ、さっそくやってみようか。まずまず、魔法イメージいたしまして〜、魔力的なモノを少しばかり込めて〜、魔法陣をつくりましたら〜、出来上がり。
あれ、サポート無しでも結構簡単じゃね?
【その魔法を打ってみてから言って下さい。】
了解っす。シャルルに向かって?
【・・・木に向かってです。】
はは、冗談、冗談。
「ファイヤーボール!!」
「ちょっ、ユウさんいきなり何やってんですか!」
俺は魔法を森の木に向かって打った。シャルルが止めようとするがもう遅い。
ドゴォーンーーーー。
その時、森に巨大な火柱が姿を現した。