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プロローグ
「投資ファンドを立ち上げる~?」
散華が面食らって、驚嘆の声をあげた。
「面白そうだろ? 俺たちが日本の市場を盛り上げるんだ。今は出来ることが限られているかもしれないが、近い将来、世界に対抗できるような強い日本を、俺たちの手で作り上げるんだよ」
夕治が高々と宣言する。その表情に翳りなどは見られなかった。
「無理よ無理っ! いっぱしの高校生なのよ? アタシはパスするわ!」
散華が手を振りながら否定の言葉を告げると、未夏がクスクスと笑い出した。
「気のちっちゃい娘なこと。だからあなたは友達が出来ないのよ」
嘲笑して散華に目線を向ける未夏。
その言葉を聞いた瞬間、散華の顔がみるみるうちに紅潮していった。
「あんただって、友達と言えるような人が居なかったんでしょうが! 絵空事を話すのはナンセンスだって言ってるのよ! どうせ出来るわけが無いんだから!」
「頼むから、喧嘩しないで話を聞いてくれ……」
言い争う二人をたしなめる夕治。これがいつもの日常だった。
投資同好会を設立して一週間。ここから三人の物語が始まってゆくのであった。