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02

少し短め

真っ暗な空間にいる。

自分の姿も見えず感覚はなく、視覚だけが働いている。


とつぜん、足が現れた。

そこから順に、腰、腹、胸、肩、首と出てくる。

茫然とその様子を見る。


いつまでたっても頭が出てこない。

裸の首なしを見ているとだんだん気分が悪くなってきた。


しかし目をそむけようとも、つぶろうとも身体が動かない。

必死にもがいていると、首の部分から噴水のように鮮血が吹き出した。

高くあげられた血は、雨となって降ってきた。


視界が、真っ赤に染まった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――


ドクンとした脈で角山は目が覚めた。

リノリウムの無機質な白い天井が目に飛び込んでくる。目を閉じると赤くチカチカする。

宿の天井でもなく、見覚えがなかった。

すると、ドアを開けて誰かが入ってくる気配がした。

色白の看護婦が入ってきた。


「気分はどうですか?あ、ここはM警察署の医療室です。先ほど○○山の麓で嘔吐した上台で倒れているのを麓の宿主さんが発見して救急車と警察に連絡したんです」

喋り方などからして、まだ新人っぽい。


「あの、なんで病院じゃないんですか」


「はい。最初は病院で検査を受けていたんですが。理由がショックによる気絶だというので、山の中を調べたのです」

後半になるにつれ、彼女の声のトーンが下がっていく。

彼女の言葉に角山は、自分が見たものを思い出してしまった。


それも鮮明に。


再び激しい吐き気に襲われた。

―――病的にまで白かった足

―――ふくらはぎのほうにたまったピンクの死斑

―――きちっとのばされ、今にも動き出しそうな体勢



強烈な吐き気が押し寄せてきた。

口を押さえ、悶える角山に対し新人看護婦はあわててエチケット袋を渡してきた。

胃酸だけが、袋に流れ込む。口の中に酸っぱい味が広がり、喉がジンジンする。

肩で息をしているときに、今度は男が入ってきた。



「失礼。私は捜査第一課の有二士ありふじというものだ。できれば君に写真を見てもらい、その時の状況を説明してもらいたい」

有二士と名乗ったその男は茶色い封筒を持っていた。

角山は少し迷った挙句、写真を見ることにした。何となく後ろめたさを感じたからである。


有二士が取りだしたのは3枚の写真だった。全て遺体の写真だ。

1枚目は、溝に押し込められている状態の写真。2枚目は、解剖の回される直前の写真。そして3枚目は上半身をとった写真。

ありえない方向に曲げられている肩、不気味なまでにきれいな状態で発見された遺体、そして首の断面図。

赤黒く変色している円の中心にうっすらと白い円が見える。



角山はすぐさま後悔した。またもや吐き気が押し寄せ胃酸だけを吐き出す。

そんな彼の姿を見て、有二士は少しすまなさそうな顔になりすぐに写真をしまった。


「確かにつらいのはわかる。だが、聞いてくれ。遺体は、首なしだ。現在総力を挙げて山全体を捜索している。そして遺体の身元は判明しなかった。手足の指紋が全て採取不可能になっている。そぎ落とされて、指自体が腐食したり、焼き焦げにされ真っ黒なのもあった。死因は、出血性ショックと頸動脈をきれらた事の併発だ。どうやら被害者の女性は、拷問に近いことを受けてその後に斧のようなもので頭を切られ、死亡した。という結果が出ている。…できれば遺体を見つけた経緯を話しいただけないか」



角山は、50年前の事件についてのサイトの事は言わずに偶然見つけた。とだけ伝えた。


「そうか、詳しい話はまたあとで聞きにくる。それまでしっかり休んどいてくれ」

そういいのこし有二士は忙しいのかすぐに立ち去った。


その後ろ姿は疲労、憤怒、嫌悪など様々な入り乱れた感情が渦を巻いていた。

次は登場人物が変わる

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