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01

ホラーです。

内容は読んでください。


では

角山すみやま航樹こうきは、夏の休暇を利用し山へとハイキングをしに来ていた。独身の彼には、夏を共に過ごす女性がいなければ、語らいあう友もみな仕事にではらっている。

そんな彼は、寂しさを紛らわすため、趣味をかねて少し遠出をしこの山に来ていた。


泊まった宿は、ふもとの決して新しいとは言えない普通の宿だった。

宿の老主人に一晩ほど帰らないことを伝えると、しわがれた声で彼はこう言われた。

「若いのや、気をつけていきな。この山には夜になると‘もののけ’が出るといわれておる。人の肉を食らい、血をすする。そして、真っ直ぐきれいな骨だけを残していくそうじゃ。くれぐれも気をつける事じゃな」

どうせ、迷信か何かだろうと思い角山は老人の話を軽く受け流し宿を出た。


ふと顔をあげてみると空の色はあまり芳しくなかった。

彼は、山道を歩き出した。


―――――――――――――――――――――――――――――


事前に調べた結果、この山はふもとから頂上を1往復するのに1日かかるといわれている。

しかし、道は比較的歩きやすく、景色も良く遭難することはめったにないそうだ。

実際、大手旅行会社がこの山のツアーを年に数回実施している。

パソコンをとじ、荷造りを始めようとした時にふと彼の目線は奇妙なサイトに止まった。

《○○山 遭難事故 真実》

そう題名がついた所にカーソルを合わせ、角山は興味本位で押してみた。

おどろおどろしいサイトのデザインに一瞬たじろいたものの、彼は記事を読み進めることにした。


以下、記事の内容をまとめたものである。


196X年8月1日

かの、旅行地で有名な○○山で遭難事故が発生した。普段ならあり得ないような状況で発生した事件であった。遭難したのは、Kさんご夫妻。二人は、昼ごろに宿の主人に一晩ほど帰らないことを告げると宿を出たそうだ。その日は天気も良く、夕立などもなく、さらには満月という遭難するような要素はまったくなかった。しかし、二人が数日をしても帰らないことを宿の主人が不審に思い警察に通報した。二人の荷物や、主な金品は部屋に残されたままで登山用の荷物以外はすべてそろっていた。警察は事件性があると判断をし、○○山全体を探すことにした。しかし警察の努力もむなしく二人は発見される事はなかった。ただ一つ、夫妻の結婚指輪を除いては。警察は、二人は遭難した結果、心中をしたと判断し捜査を打ち切った。二人の遺体や、姿は発見されないまま今にいたる。

しかし私はこの心中という結論を否定しとうと思う。私はこれを殺人事件だと考える。私が警察から、遺族から聞きだした情報としてはK氏のほうは、近頃身体のむくみを気にしていたらしい。もちろんその旅行にも薬は持って言ったそうだ。しかし警察の回収した二人の荷物の中にはK氏の薬が入っていた。つまり、K氏は事件当日、薬を携帯しておらず当然むくみがひどかったはずだ。さらにK夫人に関しても不可解な点が残っている。彼女は旅行に行く少し前に左手にひどい火傷をを負っているのだ。つまり痛み止めがなくては動かすことすら難しい状況にあった。そんな状況で長年はめ、食い込んでいる指輪をはずせるだろうか。相当な痛みを伴うに違いない。

ここから考えられる結論としては、二人は何者かに殺害されたという結論です。殺害というのは言葉不足です。正確に言うと、バラバラにされたという事です。少なくとも、左手の薬指は。切断することができれば、遺体は場所をとらないし、埋めてしまえば見つかる可能性も低くなります。もちろん警察は、当時そこまで本格的な調査は行っていない。私は、今でも二人の白骨が埋まれていると思う。そして、その肉や皮は分解され、麓の町のほうに流れていったと思われる。



記事はそう締めくくられていた。

角山は一人ディスプレイのまえで固まっていた。

後ろに人の気配を感じる…

今にも、ドロドロに溶けた顔をしたK夫妻が指を失くした血まみれの手を伸ばして、自分に憑くのではないかと思うと彼は振り向けなかった。


角山は、そのままブラウザにとび桃色系統のサイトを開き恐怖を忘れ去ろうとした。

しばらくすると、彼の頭から記事の事はすっかり抜け落ちていた。

サイトを閉じ、荷造りをして彼は床に就いた。



―――――――――――――――――――――――――――――



見渡す限り緑に囲まれた山道は、角山を都会の喧騒や会社でのストレスから解放してくれた。

吹くさわやかな風に、のどかな鳥の鳴き声…

素晴らしいモノ尽くしだ。


しばらく歩くと、水が流れる音が聞こえてきた。

その方向に行ってみるときれいに澄んだ小川が見えた。上流のほうからずっと流れてきている。

水の中に手を入れてみると、冷たかった。夏の暑さにしみわたる心地よい冷たさだ。


―――どうせこれをたどれば頂上に着くだろう


そう思い、角山は小川に沿って山道のほうに入って行った。



木々が生い茂り、整備された道より日光が少なく少し薄暗い。

小川の流れは絶えることなく続いている。

普段の運動不足のせいか、少し息が上がってきた。



―――そろそろ一休みするか


彼は、近くに手ごろな大きめな石を探した。

そこに座り、周りを眺めてみる。

すると、森の中に何かキラリと光った物が視界に入った。


何だろうとその方向に行き、周りを探してみる。

すると、見つかったのはピアスだった。どうやら上の木から落ちてきたようだ。

銀色に輝くそれは山の中に不釣り合いだった。



銀色



カチリとスイッチが入るとうにその単語に反応した。

その単語に何か角山の頭に引っ掛かるものがあった。


そう、それは確か―――

確か―――









バラバラ殺人










芋づる式に前日に見た記事の内容が思い出したくもないのに鮮明に思い出されてきた。

心臓の鼓動が加速していく。


自分の足元に夫妻が埋められているかもしれないと思うと。いてもたってもいられなかった。

彼はわき目も振らずに全速力で走りだした。見えるものすべてに血痕がついているように見え、振り返ると血みどろな手が伸びてきそうだ。









木の根っこに躓いて、なんとか整備された方の山道にでた。

荒い息遣いをしながら、角山は服の汚れを払う。

鞄からスポーツドリンクとタオルを出す。


徐々に落ち着いてきた。


まだ震えている手でキャップを閉めようとしたが、手元が狂いキャップは山道を妙な方向に転がっていった。

まるで、吸い寄せられるように。



あわてて追いかける。

キャップは少し離れた土と、地面を仕切る広めの溝に落ちていた。

蓋がちょうど空いている所に落ちていた。

しゃがんでキャップを拾う。




ふと、左に視線をやる。

蓋に閉じられた溝は暗くてよく見えなかったが、なにかある事は辛うじてわかった。

それも、随分大きなものだ。



―――なんだこれ?



ちょっとした興味で蓋を一個分だけ持ち上げてみた。

そこに見えたのは












人の足











まっすぐに、にょきっと伸びた人の足








日光をずっと浴びていなく、真っ白いひざ下が見えた。

思考が停止する。


開けるな、それ以上開けるな


本能が警告してくる。

身体全体から汗が噴き出してくる。




どこかで大きな鳥がバサバサッと飛び立った。

その音にびっくりして思わずコンクリートの蓋を落とした。

ゴトッという鈍い音がしてコンクリート同士がぶつかり合う。




ブルブルと震えによって視界が揺らぐ。

しかし彼にとってそれは、足が動きだそうとしているように見えた。




うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ




悲鳴をあげて山道を転がるように走った。

後ろから足音が聞こえる



ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


来るな、来るな、コナイデクレ



ヤメテクレ、ヤメテクレ、ヤメテクレ








そのまま、視界がブラックアウトした。

次、行きます

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