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AtoZ短編集

飛来した隕石

作者: 原雄一

 今までよりもさらに短編。だれでも気軽に読めます。

 ポコタ星という惑星に、七つの宝玉があった。それぞれ、火、水、雷、地、空、龍、妖の力を司る宝玉だ。それを手に入れれば、計り知れない力を手に入れられると云われている。

 七つの宝玉は、それぞれ灼熱の『ワンダ火山』、海によって隔離された『ボーガ島』、怒涛の嵐『セッカ島』、山に囲まれた『ミロス盆地』、天に一番近いとされる『ヤルコフ島』、龍が眠ると言い伝えられてきた『ドンコ島』、恐ろしげな『不死の館』に物々しいまでの封印がなされてあった。

 ところがある時、ポコタ星に邪悪な宇宙の旅人がやってきた。彼は風の噂に宝玉のことを聞き、はるばる遠方からやって来たのだが、あたかも偶然不時着したかのように装った。

 その巧妙な芝居にだまされたポコタ星の人々は、旅人を快く受け入れた。

 旅人が泊まったのはボーガ島の近くの民家。これは都合好しとばかりに、旅人は初日から行動に出た。

 夜、民家の人が寝静まったのを見計らって、懐から何やら怪しげな武器を取り出し、村の人々を皆殺しにしてしまった。何とも嫌な事件だが、ポコタ星は情報伝達の技術が発達しておらず、この事件の詳細を知る者はいなかった。

 旅人は水の宝玉を手に入れ、気分は上々、調子も上々というもので、口笛を吹きたい気分だったが、ここで油断をしてはいけないと、一層気を引き締めた。

 旅人が次に向かったのは不死の館のある村だ。

 ボーガ島の近くの村から、命からがら逃げて来たという風を装って、村人たちに作り話を披露した。

「夜中の二時ぐらいだったか、馬の駆ける音が聞こえたんで表に出てみたら、手に手に武器を持ったやつらがたくさん村に迫っていたんだ。それをみんなに知らせて、俺は一目散に逃げたってわけ。そして、しばらく行って振り返ってみたら、もう賊にやられちまってたんだ……」

 旅人は、巧みな話術で村人をだました。そしてその夜、不死の館から妖の宝玉を盗み出した。

 このようにして、旅人はすべての宝玉を手に入れた。しかしその時、事件が起きた。


 ポコタ星が大爆発を起こし、消滅したのである。


 これは、言ってみれば当然のことだったのだ。火と水は反発しあい、雷と地、地と空は反発しあい、龍と妖は反発しあい……すべての力を同時に放出する。それぞれが莫大な力を持つ宝玉の力が、七つも同時に炸裂したのだから、星が消滅したところで何の疑問もない。

 爆発で吹き飛んだ宝玉は、隕石として宇宙空間を突き進んだ。宝玉は互いに引き合い、退けあい、一定の距離を保ちながら飛んだ。

 そして、別な惑星にたどり着いた。コバルト星という星である。

 この惑星のある住人は、いらついていた。会社で嫌なことがあったのである。海沿いの道を歩き、途中で、それとは知らず宝玉を蹴飛ばした。そしてその宝玉は、海へと沈んでいった。

 同じように、他の宝玉たちも何らかの経緯で海に落ちた。

 ただ一つ、地上に残った宝玉は、だれにも蹴飛ばされず、かと言って海から遠いわけでもない場所にひっそりと落ちていた。

 ただ一つ言えることは、この宝玉が海に落ちた瞬間、コバルト星は消滅する。だってそうだろう? 海はつながっているのだから。


 さて、自分の惑星を消滅させるのは、どんな人物なのやら。

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