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始まり・・・
あの日。
「・・・、おきて」
誰かの声が聞こえた。
「・・・、お願い!!」
すべてを否定するような、悲痛な声。
15歳の春。
私は死んだ。
あの日。
姉さんが死んだ。
冷たくなっていく体。
「・・・、おきて」
母さんの願い。
「・・・、お願い!!」
暗い闇が僕を襲った。
「いってきます、姉さん」
写真の中の姉さんはいつも明るい。
15歳の春。
僕は生きている。
あの日。
「いたいのいたいの、とんでけ」
小さな天使が俺の前に舞い降りた。
覚えているのは、その呪文。
公園であった天使を、俺は探している。
あの日。
俺は見てしまった。
あいつが泣いているのを。
憧れてやまないだけの強さを持っていたあいつが静かに泣くのを。
15歳の春。
俺は悪魔に出会った。