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男を立てない婚約者

作者: あおい蜜葉
掲載日:2026/06/28

頭悪そうなのが書きたくなった。

プロットだけ切って、AIに本文下書きさせて、改稿して投稿。

年齢的にノクターンと迷った。

 今日は、王立学院の期末試験の成績発表日だった。


 中央講堂の掲示板には、全生徒の順位が書かれた大きな紙が張り出され、生徒たちは一喜一憂の声を上げる。

 成績次第では退学もあり得るが、学院を卒業しなければ一人前の成年貴族とはみなされない。

 つまり、貴族子女たちのパワーバランスや、今後の婚姻関係にも少なからぬ影響を与える大イベント日である。

 ちなみに夏季と冬季に分かれ、二季続けて合格圏から零れ落ちてしまうと即退学である。




 そんな喧騒もどこ吹く風で、伯爵令嬢アドリアーナは友人たちとハーブティーを楽しんでいた。彼女たちは、成績に一喜一憂するほどの位置にいない。


 王立学院の広大なカフェテリアのテラス席は、今が一番いい季節だ。混む前にいい席を取れたと喜び合う。

 学院に制服はないため、テラスを覆う新緑のカーテンの下、様々な色のドレスが咲き誇る。

 校則にはただ『ドレスは華美すぎないこと』とあるのみで、良識とセンスは本人に任される。


 アドリアーナが身にまとっているのは、夏らしい青。デコルテを上質なレースで隠した、淑女らしいデザインのドレスだ。

 青は青でも明度は高く、彩度は控えめ。アドリアーナ自身、ふんわりした色味が似合わない自覚があるからだ。

 露出は極めて少ないが、それがかえって彼女の知的な美しさを際立たせていた。


 学友との優雅で良質な、満ち足りた静かさが空間を満たしていた。



 そこへ、ひどく頭の悪そうな、無粋な怒声が響き渡る。


「アドリアーナ! 男を立てることを知らない貴様みたいな女は願い下げだ! 今限りで、お前との婚約を破棄させてもらう! その高慢さを悔いるがいい!」


 憩いの場が一瞬で静まり返る。

 声を張り上げたのは、アドリアーナの婚約者である伯爵令息ヴァカボンヌだった。


 政略結婚というほどではなく、ただ領地が隣で、派閥が同じで、年が同じだったから親が手早くまとめただけの婚約者。

 お互いにその程度の認識ではあるから、婚約破棄かぁ、お父様に言えばすぐ認めてくれはするだろうけど……と思いつつ、ヴァカボンヌの隣を見やる。


 彼の腕には、男爵令嬢ポヨメロンがこれでもかとぴったり寄り添っている。

 ポヨメロンのドレスは、アドリアーナとは対極なシュガーピンクパステル。

 破廉恥なほど胸元の大きく開いたデザインは、身長差のある男子学生が傍に立てば、はっきりとドレスの中が見えるだろう。

 彼女が動くたびに、その豊満な二つの果実が誇示するように揺れる。


 周囲の生徒たちの視線が、一斉に無粋な闖入者へと集まった。だが、その視線の主成分は、憐れみや同情ではなく「また始まったか」という呆れである。


 なぜなら、今日が「成績発表日」だから。


 昼前から掲示板に張り出された結果は、素早く学園中に知られる。自分の成績以外も気にする者は多いからだ。


 アドリアーナは総合順位で10位、魔法学の成績においては5位という、極めて優秀な成績を収めていた。

 試験で崩れた記憶もなし、提出物もマメに出しているのだから、よほどの番狂わせでもない限り、だいたいその辺だろうなぁと把握している。

 それが、わざわざ混み合う時間に見に行く必要がない理由である。


 

 一方のヴァカボンヌはといえば、魔法学78位、総合は学年80人中75位という、退学一歩手前の凄惨な数字を叩き出していた。

 さらに言えば、今回で入学以降5度目の試験となるが、歴史学、法学、行政学、領地納税法、どの科目でも、ヴァカボンヌがアドリアーナに勝てたことはなかった。


 生憎とやらずに出来ないのではなく、人並みにやってるのに勝てないので、単に格が違うだけである。その方がよほど残酷ではあるが。


 つまりこの婚約破棄は、才能がなく惨敗続きの男の、ただの八つ当たりに過ぎない。

 成績発表で度々プライドを木っ端微塵にされたヴァカボンヌが、せめてアドリアーナの泣きっ面でも拝んでスッキリしたいだけである。

 何を言えば泣くかと考えて、出てきたのが婚約破棄なあたり、才能もなければセンスもない。




 アドリアーナは、紅茶のカップをソーサーにそっと戻した。カチャリという小さな音が、物見高く静まり返ったカフェテリアに冷たく響く。

 涼しげな瞳をヴァカボンヌに向け、小首をかしげた。


「あら、あら。随分とご不満そうね。でも、男を立てるって、一体どういうことかしら?」

「ふん、そんなことも分からないのか!」


 ヴァカボンヌは、待ってましたとばかりにポヨメロンの肩を抱き寄せ、勝ち誇った笑みを浮かべた。


「この愛らしいポヨメロンを見ていれば分かるだろう! 出しゃばらず、笑顔で癒し、婚約者をよく褒め、一歩慎んだ成績を取る! それが『男を立てる』ということだ!」

「さようですか。それは寡聞にして存じませんでしたわ」

「まったく、お前は見た目も話しぶりも可愛げがないくせに、物分かりまで悪いのか! ただテストの成績が良いだけで優秀なつもりになった高慢女め!」

「そうですわよ、アドリアーナ様っ。婚約者として大事なことをお忘れでは、殿方の心は離れていきますのよっ」


 ポヨメロンがこれ見よがしに豊かな胸をヴァカボンヌの腕に押し付け、甘ったるい声を出す。


「お勉強ができるからって、殿方をあんなに冷たい目で見るなんて、淑女失格ですわ。ヴァカボンヌ様には、もっと優しくて、きちんと殿方を立てられる可愛い女性がお似合いなんですの」


 周囲の生徒たちは言葉を失っていた。成績不良者のあまりの恥知らずさにドン引きである。

 80人中78位より低い成績を取るのが婚約者の務めとは無茶を言う、退学になれということだろうか? と口に出すのも憚られた。


 しかし、ヴァカボンヌとポヨメロンはそれを「自分たちの正論に周囲が圧倒されている」と勘違いし、ますます調子にのる。


 アドリアーナはひとつため息をつき、2人への説得は諦めた。これだけ理解力が低いなら、人語で話しかけるだけ時間の無駄であると断じた。


(……そこまで仰るのなら、お望み通り『たてて』差し上げましょうか)


 アドリアーナは誰にも気づかれないよう、机の下でそっと爪先を動かした。

 発動したのは、彼女が3日前に取得して以来、まだ誰にも知られていない第二属性――『影魔法』。



 通常、影魔法は、影を魔銀ナイフで縫い止めて本体を拘束する『影縫い』や、影を攻撃して本体にダメージをフィードバックする『影殴り』に使われる。


 しかし圧倒的な実技成績で魔法学5位を取るアドリアーナの、精密極まる魔力制御にかかれば、それだけでは済まない。

 普通なら影は本体の動きに従うものだが、その主客を逆転させ、影を操ってその本体となる身体の主導権を掌握することすら可能だ。


 その力を、テーブルクロスに隠れた爪先から、全力で使用する。

 もちろん魔法を使ったと気づかれないよう、ため息とともに2人を無視して視線を切り、片手は茶菓子をつまみ、同席の友人に「騒がしくしてごめんなさいね」と謝ってから。



 これだけ言っても無視されたことに腹を立てた2人がアドリアーナに手を上げるため、動き出そうとした瞬間を狙って影を捉える。

 ピクン、とヴァカボンヌとポヨメロンの身体が同時に強張った。


「え……? あ、あれ?」


 ポヨメロンの口から、戸惑った声が漏れる。彼女の身体が、本人の意思を完全に無視して動き出したのだ。

 ヴァカボンヌの正面へと回り込み、その場に突如としてしなやかにひざまずいた。


「ポヨ、メロン? どうしたんだ、そんなところで急に跪いて――って、おい、何をする!?」


 ヴァカボンヌが驚愕の声を上げる。

 ひざまずいたポヨメロンの両手は、流れるような手つきでヴァカボンヌの高級な革ベルトへと伸び、それを素早く引き抜いた。

 それだけにとどまらず、ズボンのボタンを弾き飛ばす勢いで外し、チャックを素早く下ろして、彼のズボンを足首まで一気に引きずり下ろしたのだ。


「ひゃああっ!?」

「な、何を考えているんだお前たちは!?」


 カフェテリアのあちこちから、令嬢たちの悲鳴と、男子生徒たちの驚愕の声が上がる。


「やめっ、動か――な、なんだこれ、身体が――んぐぅっ!?」


 ヴァカボンヌの叫びは、途中で物理的に塞がれた。

 ズボンを下げられ、自分で上げたくとも身動きが取れず。

 その隙に下着すら引き落とされ、彼の下肢があますとこなく白日の下に引きずり出された。


 ポヨメロンは涙目で必死に拒絶の表情を浮かべながらも、まるで磁石に吸い寄せられるように口を開いた。


 白昼堂々、王立学院のカフェテリアの真ん中で繰り広げられる、濃厚な痴態。何とも言えぬ静寂と、ある種の熱気がその場を支配する。

 誰もが言葉を失い、あまりのはしたなさに気を失った一部の女生徒以外、大半が目を見開いてその光景を凝視していた。


 そこで、アドリアーナがわざとらしく「まぁ」と扇で口元を隠し、鈴を転がすような美しい声で言い放った。


「まぁ、まぁ! 言葉で説明する代わりに、わざわざ見本を見せてくださるの? なんて汚らわしい!」


 アドリアーナの声は、静まり返ったカフェテリアによく響いた。


「そうですのね、あなた方の言う『男を立てる』とは、そういうことですのね? 公共の場で、ところ構わず殿方に房事をして差し上げることだと」


 ちがう、と涙目になるポヨメロンだが、口を動かす事ができないので反論もままならない。


「大変よく分かりましたわ。ですが学び舎でそのように娼婦にも劣る真似、わたくしには出来なくて結構ですわ」

「ち、ちがう! 違うんだアドリアーナ! ポヨメロン、やめろ、離せぇー!」


 ヴァカボンヌは顔を真っ赤にして必死に叫ぶが、彼の身体もまた、影魔法によってガチガチに固定されており、一歩も動くことができない。


 ポヨメロンを突き放すことすらできず、ただ自分の弱点を吸われ続ける地獄のような状況に、恐怖で涙目になっていた。

 ポヨメロンもまた、心の中では「違う、身体が勝手に動いているの! 助けて!」と叫びたかった。しかし、口の中の障害物が邪魔をして、まともな言葉にならない。


「ふーっ! ふん、ふーっ!」


 焦った彼女は、必死に口を動かして弁明しようともがき――笑撃の結果を招く。

 口を閉じて吐き出そうと焦るポヨメロンへの束縛を一瞬だけ緩めたことで、顎が強く閉じた。


 ガブッ。


「あッッッッッづああああいぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!??」


 ヴァカボンヌが、人類のものとは思えない絶叫を上げてのけぞった。しかし、のけぞった姿勢のまま身体が固定されているため、ただの奇妙なポーズのまま震えることしかできない。

 ポヨメロンも「あ、噛んじゃった」という風に目を丸くしているが、再び影を束縛されたため、口を離すことは許されなかった。




 周囲の生徒たちは、完全にドン引きしていた。最早そんなレベルを超えて、恐怖すら感じていた。


 成績発表の腹いせに婚約破棄を突きつけた男が、なぜか浮気相手の女に衆人環視の中で、噛まれて絶叫しているのだ。

 狂気の沙汰である。

 誰もが関わり合いを恐れて、数歩ずつ後ずさりしていく。


「何事ですか、これは――ッ!?」


 その時、騒ぎを聞きつけた数名の教員たちが、大挙してカフェテリアになだれ込んできた。

 その足音と気配を察知した瞬間、アドリアーナは流れるような動作で、素早く影魔法を解除した。


「う、動ける……!?」

「あ、あん、ちがう、ちがうのよ先生! これには深いわけが!」


 魔法が解けたポヨメロンが慌てて口を離し、ヴァカボンヌが涙目で下着とズボンを引き上げる。


 だが、時すでに遅し。

 衣服を著しく乱し、口元を怪しく濡らした女と、下半身を抑えて悶絶している男。

 言い訳の余地などどこにもない、完璧な現行犯であった。


「王家のご厚意によって運営される学び舎で、なんという破廉恥な真似を……! 両名とも、直ちに学長室へ来なさい!」


 怒りのあまり顔を真っ赤にした教師たちによって、不貞者2人は引きずられるようにして連行されていった。

 2季連続の不合格を待たず、学園からの退学処分は免れないだろう。


 そればかりか、実家である伯爵家、男爵家にも致命的な泥を塗った。彼らに待ち受ける未来が、明るくないものであることは確定だった。




 嵐が去った後のように、奇妙な静かさを取り戻すカフェテリア。

 アドリアーナは何事もなかったかのように優雅にハーブティーの残りを口に運び、満足げに微笑んだ。


(どの科目でも、わたくしに一つも勝てないような方々で良かったわ。おかけで魔法のかかりが驚くほど良いこと)




 周囲の生徒たちのほとんどが、今起きた怪奇現象の状況を理解できず、呆然と自席で固まっている。

 だが、そんな静寂の中、カフェテリアの隅の席から、クスクスと押し殺したような笑い声が漏れ聞こえてきた。


「(……あの女、マジでおっかねぇな)」

「(気付かれないほど微弱な魔力で、影魔法で肉体操作? エグすぎだろ。最高)」


 肩を震わせて静かに笑い死んでいたのは、魔法学の成績でアドリアーナよりも上の順位――つまり1位から4位に君臨する実力者たちだ。


 彼らほどの魔力感知があって初めて、アドリアーナの魔力の不自然な揺らぎを察知することができたのだ。


「(さすが実技で教授をブチ倒した淑女。操作の精密さなら俺たちより上なんじゃねぇの?)」

「(あはは、絶対に敵に回したくないね。不合格圏内のヴァカにはお似合いの処刑だったよ)」

「(とりあえず、婚約破棄になるみたいだし、俺たちもダメ元で申し込んでみようぜ。退屈しないパートナーがいいもんな)」


 魔法エリートたちの、戦慄混じりの賞賛と爆笑を背に受けながら、アドリアーナは今日一番のご機嫌で、友人たちと席を立った。


 カフェテリアに人が増えたなら、そろそろ掲示板前の人が減った頃合いだから、成績でも見に行きましょうか、などとのんびり歩き出した。


 カフェテリアから中央講堂へ続く緑のカーテンの下、アドリアーナの道行きは今のところ、これまでになくスッキリ爽快である。

こんなバカなの自分で書きたくないな!って時に、AI使うのちょうどいいかもしれない(カマトトぶる)

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令嬢が冷静でガチ暗殺されなくて良かったね(社会的には死んだが)
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