第九話:糖度10000%、終わらない魔力供給
一方、世界樹の聖域。 外界の喧騒など、厚い花の壁に遮られたこの場所には、一欠片も届かない。
朝の柔らかな光が差し込むベッドの中で、エルナはあまりの「重さ」に目を覚ました。
「……ん……。せ、セフィロス、様……?」
目の前には、朝露に濡れた花よりも美しい、セフィロスの顔。 彼はエルナの上に覆いかぶさるようにして、彼女の細い手首を自分の指で絡め取り、うっとりとその首筋に鼻を寄せていた。
「おはよう、私の愛し子。……ゆうべは、よく眠れたかな?」
「は、はい……。でも、セフィロス様、あの……ずっと、抱きしめられたままだったような……」
エルナの記憶は、昨夜の「魔力供給」の途中で、あまりの快感と熱さに溶けて途切れている。 セフィロスは、満足げに喉を鳴らすと、エルナの頬をそっと食むように愛撫した。
「当然だよ。君を離してしまったら、私の魔力がまた暴走して、君を『食べて』しまうかもしれないからね。……ああ、でも、今朝の君は昨夜よりもさらに甘い香りがする。……どうしよう、エルナ。また、供給が必要になったみたいだ」
「ええっ!? また、ですか……?」
セフィロスの黄金の瞳が、獲物を狙う獣のように、けれど極上の愛しさを込めて細められる。 彼の手が、エルナの背中を滑り、薄い寝衣の隙間から滑らかな肌へと直接触れる。 エルナの身体が、彼の指先が触れるたびに、甘い痺れと共に反応してしまう。
「……だめ、ですか? 私を助けてくれるのは、世界で君だけなのに」
セフィロスは、わざとらしく悲しげな顔をして、エルナの胸元に顔を埋めた。 (※内心:ふふ、この子は本当にチョロい。こうして『助けて』と言えば、どんな恥ずかしいことでも受け入れてくれる……!)
「だ、ダメじゃないです……っ。セフィロス様が、楽になるなら……」
エルナが恥ずかしさに震えながらも、彼を拒絶せず、その背中にそっと手を回す。 その瞬間、セフィロスの理性が、甘美な音を立てて完全に消滅した。
「……いい子だ。大好きだよ、エルナ。一生、君の唇も、身体も、心も……私以外には、一秒だって貸してあげない」
セフィロスは、昨夜よりも深く、そして情熱的に、愛しき最推しを「捕食」し始めた。
それはもはや供給ではなく、ただの「愛の調教」であったが、幸せに包まれたエルナがそれに気づくのは、ずっと、ずっと先のことになりそうだった。




