第十六話:世界を癒やす「真珠の聖女」
北の帝国の使節団が持ち帰った報告は、瞬く間に諸国を駆け巡った。
「かつて捨てられた聖女は、精霊国の王に愛され、より強大で慈愛に満ちた奇跡の象徴となっていた」
かつてのエルナを冷遇していた周辺諸国は、掌を返したように彼女へ教えを請いに来た。しかし、セフィロスはそれらをすべて門前払いしようとした。
「セフィロス様。……いいえ、セフィ様。お願いします、一度だけ彼らと会わせてください」
エルナの真摯な眼差しに、セフィロスは苦虫を噛み潰したような顔をしながらも、条件付きで謁見を許した。
エルナの前に現れたのは、病や飢饉に苦しむ国々の王たち。 エルナは彼らの差し出した「絶望」を、ただ静かに受け止めた。彼女が祈りを捧げると、精霊国の純粋な魔力が彼女の指先から糸のように紡がれ、諸国の汚れた大地を遠隔で浄化していったのだった。
「ああ……我が国の枯れた大地に、花が……!」
エルナの力は、もはや一つの国に留まるものではなかった。彼女は「利用される道具」ではなく、世界を調和へと導く「平和の楔」となったのだ。
「……ふん。私のエルナの力をタダで借りようなど、図々しい連中だ」
不機嫌そうに呟くセフィロス。しかし、世界中からエルナへ贈られる「感謝の祈り」が、彼女の精霊としての格をさらに高め、彼女をより神々しく輝かせていることに、彼は確かな誇らしさを感じているのだった。




