第十二話:永遠の箱庭、二人の楽園
翌朝、世界樹の聖域は、かつてないほどの黄金の光に包まれていた。 窓の外では、主の「幸福」を祝うように精霊たちが歌い、枯れかけていた森の隅々までが爆発的な生命力で満ち溢れている。
「……ん、んぅ……」
エルナは、柔らかなシーツの中で身じろぎした。 全身を包む、とろけるような倦怠感と、それ以上に満たされた幸福感。 ふと自分の耳に触れると、少しだけ形が変わっていることに気づくが、不思議と恐怖はなかった。むしろ、隣にいる「彼」と同じ種族に近づけたような、誇らしい気持ちさえあった。
「おはよう、私のエルナ。……いや、私の『妻』。あるいは、私の『核』」
すぐ隣で、セフィロスが彼女を抱き寄せる。 昨夜の猛り狂うような情熱は、今は凪のような深い慈愛へと変わっていた。……が、その瞳の奥には、一生をかけても味わい尽くせないほどの執着が、未だに渦巻いている。
「セフィロス様……。私、本当に幸せです。前の国のこと、もう思い出せません」
「それでいい。あんな塵のような場所、記憶の片隅に置く価値もない。これからは、この森が君の世界だ。私が君の太陽になり、雨になり、君を永遠に愛で続けよう」
セフィロスは、エルナの尖った耳の先を愛おしそうに食み、満足げに微笑んだ。
(ああ、ようやく手に入れた。私の最推し。私の命。もう誰にも、光一粒分さえ、彼女を譲りはしない)
数年後、滅びた国の跡地を訪れた放浪者が語ったという。 「かつて聖女を捨てた国の隣には、神の愛し子が住む、決して辿り着けない黄金の森がある。そこでは、銀髪の精霊王と、世界で一番美しい乙女が、永遠に睦み合っているのだ」と。
それは、愚かな人間たちへの最大の「ざまぁ」であり、 一人のキョドり聖女と、一人の腹黒甘えん坊精霊が紡いだ、至高のハッピーエンドであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
精霊王セフィロスと聖女エルナもゴールインしましてさらなるラブラブライフの第二部に続きます!
ページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして第一部完結のお祝いをいただけると、さらに執筆スピードも上がります!
また、3月14日(土)12:00より、新作連載開始しました。
新作:『君の静寂が愛おしい』〜殺された記憶を持つ令嬢が沈黙を選んだら、ヤンデレ騎士の最愛になった件〜
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かつて自分を殺した騎士に嫌われようと「沈黙」を選んだ令嬢。
けれど、感情が「音」として聞こえてしまう彼にとって、その沈黙はこの世で最も心地よい癒やしの旋律だった――。
今回は「お昼の12時」という新しい時間帯でのチャレンジとなります。
「朝・昼・晩」と、皆様の日常のどこかで私の描く「執着と溺愛」を楽しんでいただけるよう、全力で更新




