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第三章 崩れる仮面


 シャーロットが追放された後、王都は一時的に静かになる。

 だがその裏で平民たちの不満は高まっていた。


「シャーロットさんは無実だ!」

「貴族の陰謀だ!」


 街中で抗議の声が上がり、ついに暴動に発展する。

 王太子テオドールは鎮圧を命じず「対話」を選んだ。


「我々は平民の声を無視してきた。今こそ耳を傾ける時だ」


 その言葉に多くの貴族が反発する。

 特にアルガの父である宰相は、「王太子が平民に媚びを売っている」と激怒した。


「アルガ! お前も王太子の側近として改革派を牽制せよ!」


 だがアルガは初めて父の命令を拒んだ。


「……お父様。私たちの特権は平民の犠牲の上に成り立っています。シャーロットが罪を犯したのではなく、私たちが罪を犯しているのです」


 父は彼女の頬を平手打ちする。


「お前はクライン家の恥だ! 貴族の誇りを忘れたのか!」


 その夜、アルガは家を抜け出しシャーロットが幽閉されている郊外の塔へ向かった。

 塔の中で鎖につながれたシャーロットは、瘦せ細っていたが目はまだ光っている。


「……来てくれたのね、アルガ様」

「なぜ私を許そうとする? 私はお前を陥れた。すべてを奪った」

「身分が人を決めるのではなく心が人を決める──それを、あなたも感じているのでしょう?」


 アルガは初めて人前で涙を流した。


「……私は悪役になりたかった。でも本当は──ただ認められたくて、愛されたくて……」

「それならこれからを変えればいい。悪役を演じるのではなく、正義を演じればいい」


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