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彼と私の物語  作者: 雨の日
今の私たちの話

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9/24

続、男の意地の話

2人の関係を言葉に出して明確にしなければと悶絶している間に、気づけば1年が過ぎていた。俺達は2年に進級し、1年に続き2年もクラスが離れてしまった。



「二組の本田華、可愛くね?」

そう同じクラスの奴が話すのが聞こえた。

「あー美術部の?なんか、知的な感じするよな。お前ああ言う感じがタイプなんだ」

友人と話すソイツに面白くない感情が芽生える。


確かに華は可愛い。それは惚れた欲目ではなく事実。華の母親は、大きな目が印象的な色白の可愛い人だし、父親は眼鏡の似合う知的ダンディーだ。その2人の良いところを組み合わせて産まれた華は、クリッとした目が可愛い色白清楚系知的美少女として育っている。

中学時代にも、そんな華に近づこうとした男共は何人かいたが、俺が徹底ガードした。そいつらの前でこれでもかと華を構い倒し、俺の女だとアピールしまくり付け入る隙を見せなかったのだ。そんな俺にも華は「過保護だなぁ」とズレた感想しか漏らさなかったが。

そして高校でも抜かりなく牽制をかけていたハズだった。しかし昨年以降、俺達ちゃんと付き合ってるよな問題を意識しすぎたあまり、牽制がおろそかになっていたのかもしれない。


今日、声かけちゃおうかなーと鼻の下を伸ばすソイツこと木村を俺は心のブラックリストに載せた。



華の部活が終わるのを待つ間に本を読む習慣がついたのは、華がカッコいいと言っていたタレントだかアイドルだかの趣味が読書で、読書が趣味とか知的な感じがするよねー憧れるーと話していたからだ。きっかけは不純だったが、今では本の世界に没頭する楽しさを知って普通に自分の趣味として本を読んでいる。


自分の前を通り過ぎる女子達のキャアキャアと騒ぐ声で、ふと本の世界から現実に戻ると、木村の野朗が華に話しかけていた。思わず舌打ちをして華に駆け寄り手を握って2人を引き離した。華が木村に振り向き何か声をかけていたので、面白くなくて握った手に力が入った。


小学生の頃以来久しぶりに握った華の手は驚くほど小さくて柔らかかった。ここ一年で急激に背が伸びた俺の肩あたりに華のつむじが見える。どうしても手を離したくなくて、無理やり片手で自転車を押す。時々バランスを崩す自転車を操縦する右手の筋肉が痛かったが、華に言われても手を離す気はなかった。

木村君、何の用事だったのかな?と気にする華に、代わりに用事を書いといてやると伝える。「あっ、そう?じゃあヨロシクー」と軽く返してくる。相手の好意に微塵も気づいていない呑気な華に俺はため息を吐いた。


次の日、木村に「昨日、華と話してたよな?俺の彼女に何か用事?」と威圧しておいた。部活の迎えは徒歩で行き、校門に来た華に手のひらを突き出すと彼女は少し考えてから俺の手のひらに自分の手を重ねてきた。その日から俺たちは手を繋いで帰る様になった。


今世での2人の関係が、少し進んだ気がした。


色白清楚系知的美少女という評価は完全に惚れた欲目だと気づいていない悟君。

悟君以外からの好意に気づくセンサーぶっ壊れ華ちゃん。

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