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彼と私の物語  作者: 雨の日
カリネキア国の話

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20/24

世界同時魔物討伐作戦

世界に激震が走ったあの日から、1ヶ月が経とうとしていた。

事前に避難・対策マニュアルが用意されていた為、各国の国民は混乱しながらもパニックにならずに済んだ。

速やかな避難と安全の確保が行われ、国を代表する魔術師達は、自身の任務先へと向かう。


コリン・ランヴァルドもその魔術師の1人だった。

数年前まで世界最強に次ぐ存在とされていた彼は、数年前流星のごとく現れた天才魔術師アリア・ダーリンガムにその地位を奪われた。


しかし、彼の心中はおだやかであった。自身は老齢に差し掛かり、魔術師として体力の衰えを痛感する日々。16歳のアリア・ダーリンガムは、若さと才能そして何よりズバ抜けた魔力量に恵まれた天才。

なによりコリンが彼女を好意的に受け止められるのは、ギルバートというクソガキの弟子とは思えないほど素直で礼儀正しい態度にある。


カリネキア国の伯爵令嬢が親の反対を押し切り討伐隊に立候補したと聞いた時は、とんだじゃじゃ馬だと思ったが…会えば実に礼儀正しい愛嬌のある娘であったのだ(これはコリンの孫娘と歳が同じという贔屓目もあったが)。

その横で「よお、ジジイ!まだ生きてたのか?」とほざくクソガキは無視して、2人で会話をする。討伐隊隊長という責務に不安そうにしている彼女に言えることは。

「全てを背負う必要はない。この作戦に参加する魔術師は覚悟を決めているんだ。我々が背負うべきものは1つだけ。魔物の討伐。その根源である魔王の討伐だ」

アリアが小さく頷いていた。


あの時、何か言いたそうだったな、と彼は目的地“地獄の洞窟”の前に立った時、なぜか思い出した。



“魔物の森”の前でギルバートは聖剣の握り心地を確かめた。1ヶ月と少し前に手にした剣は、生まれた時から共にあった様に手に馴染んでいる。

(さすが、世界最強大天才魔術師の俺様だ。聖剣がサマになるな!)

自画自賛を送るのはギルバートが緊張している時の無意識の癖である。

魔王が棲む可能性として一番高い場所だ。だからギルバートと聖剣がこの場所を任された。

世界最強、その名に恥じない実力を持っている。自分より強い魔物に会ったことはない。それでも、魔物の概念を変えたほどの人型の魔物が、魔王が、どれ程の強さかは未知数だ。

(俺様、最強すぎるぜー!)

自身の不安を誤魔化すように自画自賛を繰り返す。


「ギル先生がレイン先生よりモテないのは納得しかないですね」

教え子の憎たらしい声が聞こえた気がした。

3年前、急に討伐作戦に参加したいと言った貴族令嬢。面白い、と思って鍛えたら期待以上の実力を見せた自分の次に強い存在。

強くなりたい、以外の何かを感じさせる必死さ。

(結局、アリアは何で必死に“魔物の森”の討伐を希望したのかね?)

普段は規律を乱してまで自己主張をしないアリアの必死な顔を思い出していた。



“死の山岳”を前に、アリアは覚悟を決めた。一瞬でケリをつける。そして“魔物の森”へ。

魔王と呼ばれる人型の魔物、それがジャックだと決まったわけではない。ジャックは人間だった。しかし魔物との共通点、ターニングポイントとされる魔力暴走。何か、ジャックが意図しない何か悪い事が起こってそうなってしまったのかもしれない。

行って自分の目で確かめなければ。その為に、強くなったのだ。


決行時刻は、サンラズ公国の時刻で昼の12時。周りの魔術師のサポートでアリアは1人山岳の頂上のクレーター、魔物の生み出される場所を目指す作戦になっている。原因を潰せば、あとは殲滅のみ。被害は最小限になるはずだ。ギル先生もコリンさんも、同じ様な作戦にすると言っていた。


(待ってて)


そこにいるのが、ジャックであってほしいのか、そうじゃないのか。

アリア自身も、もう分からなくなっていた。


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