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彼と私の物語  作者: 雨の日
カリネキア国の話

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16/24

私が道を決めた理由

レインのサポートの元、授業を開始したところ。アリアはあっさりとコントロールを身につけた。

今では微細なコントロールで風魔法を操り、洗髪した髪の毛をあっと言う間に乾かす事もお手の物である。

これには母も大喜び。「もうアリアちゃん、自分で髪の毛乾かせるのね〜助かるわぁ。女の子って髪長いからママの魔力量じゃ時間かかってたものね〜」とのことだ。

(ちなみに魔力をコントロールは、ウーンとなった場所をフンッとしたら出来た。ギルバートと似たり寄ったりなのは誰にも内緒だ)


ちなみに魔力制御を覚えたのでギルバートはお役御免…かと思えば、自分が数ヶ月苦労した事をレインが少しサポートしただけでマスターした事実が気に入らず「俺様がもっと鍛えてやる。遠慮するな」と引き続き魔術の先生を継続すると勝手に決めていた。



13歳になると、それまで家庭教育で基礎知識を学んだ貴族の子どもたちは何処かしらの教育機関に身を置く。

一般的に多いのはカリネキア学院である。ごく普通に淑女科、騎士科、経営学科などが学べる学院だ。兄もそこの経営学科で領地経営学を学んだ。

アリアも、当初はカリネキア学院の淑女科に身を置き、父の選ぶ身の丈にあった嫁入り先に嫁ぐのだろうと考えていた。



その考えが変わったのはレインやギルバートとの授業中の事だった。その日は多くの魔物の発生地域とされる“魔物の森”の話だったのだ。

ジャックとの日々が頭によぎり胸がいっぱいになる。アリアにとって魔物の森は、幸せの象徴だった。


「一斉討伐、、、ですか?」

「あぁ、森を魔術師で囲い込み周りから中心に向かって順番に魔物刈りをしていくらしい。」

「どうしてそんな事を?森の中の魔物は刺激しなければ危険がないと言われていますよね」


魔物による人的被害は、縄張り争いに負け行き場を失った魔物が人里に降りる事で起きる。

魔物の数の増加に伴い、被害は増加の一途を辿っていた。

そのために必要なのは魔物の数を物理的に減らすこと。魔術師という存在を彼らの恐怖に植え付ける事で人里へ降りないように牽制すること。

頭では理解しているが、心が強く軋んだ。

あの日、アリアとジャックが殺された時も同じだった。

異形の化け物の討伐。そんな名目で森を取り囲んだ魔術師たちに追い詰められ、そして殺された。


「でもよー、なんであの森からそんなに次々魔物が溢れてくるわけ?確かに“魔物の森”なんて大層な名前付いてるけどさ、ほんの数百年前までその辺の山と変わらん魔物数だったんだろ?」

ギルバートの疑問に、研究機関で働くレインは答えた。

「うん。我が国の学者たちも同じ考えに至ってね。過去の文献を読み尽くしたんだよ。その結果、ひとつのターニングポイントを見つけた。」

「ターニングポイント、ですか?」

愛着のある地への話題にアリアも気持ちが前のめりになる。

「異形の化け物。数百年前、そう呼ばれる人型の魔物がいたと記された資料が見つかった」


ドクンッと、アリアの胸が動悸を強くする。

ジャックの事だ、でもどうして?


「異形の化け物…ですか」

アリアは震える声を必死で抑えて聞いた。


「ああ、そう呼ばれる人型の魔物がその時代には存在したらしい」


違う!とアリアは叫びたかった。ジャックは魔物ではない。魔力により生き延びた結合双生児なのだ。あんなに優しくて温かい人は、他にいない。


「そいつが今の状況のキッカケって訳か?」

「我々はそう考えているよ。資料によると、その異形の化け物を討伐すると同時に爆発的な魔力暴走が発生し周囲数kmを一瞬で焼け野原にしたらしい。その後から徐々に森から溢れ出る魔物が増えて来たという。不思議なことに世界中に点在する魔物の発生源からも、その時期から数を増やしたとされているしね。なんらかの因果関係と結びつけるのは不思議ではないだろう?」


アリアは二人の会話を、震える手のひらを膝の上で強く握りしめた。


ジャックが?

あの日、アリアが倒れ息絶える前、確かにジャックも兄に刺されていたはず。盲目の身で目認したわけではないが、状況からしてそうだと思っていた。

あれは。あの時倒れた音と血の匂いは、ジャックじゃなかった?

では、彼は兄を返り討ちにしたのだろうか。私を殺した後輩らしき魔術師も?

そして、私と子供の死を知って魔力暴走を…?

でも、だからって、それと魔物の増加に何の関係が…?


「大掛かりな討伐になると思われるからね。計画は数年がかりで行われるだろう。世界中からよりすぐりの魔術師を召喚する。ギルバート、その時は君も力になってくれるかい?」

「はっ!俺様をその辺の魔術師と一緒にすんなよ。一人でも充分なくらいだ」

「君なら可能かもね。だが、不測の事態も考えられる。おそらくだが人型の魔物はまだあの森に存在している。恐ろしい魔力を秘めているだろう。我々はそれを、魔王、と呼称することにした」


「数年後なら、私も魔術師として参加できますか」

黙り込むアリアをよそに話し込んでいたギルバートとレインは、その発言に会話を止めアリアに目を向けた。ギルバートは呆れたような、レインは酷く驚いた顔で。

「…とても危険な任務だ。伯爵令嬢の君には無理だろう。伯爵もきっと反対なさるよ」

レインは優しく、しかしキッパリと拒否した。

「それでも!私は、行かなければいけないのです!」

確認しなければ。ジャックが、まだあの森にいるのかもしれない。何故かは分からないが、生きて、アリアを待っているのかもしれない。


「いいんじゃね?好きにすれば」

「ギルバート!無責任な発言はやめてくれ!彼女には無理だ!」

「俺様が仕込むんだ。生半可な魔術師にはならない。お前もいる。コントロールを理解するまでには何故か時間がかかったが、理解してからは早かっただろ?コイツは勘がいい。2、3年ありゃ俺に次ぐ魔術師になれる。だろ?」

「え、なんですかギル先生。急に褒めるとか気持ち悪い」

「お前、後で電流デコピンの刑な」


こうしてアリアは魔術師になるべく、進路をカリネキア魔術専門学校へ定めた。

電流デコピン→雷属性の魔力を指先に流しながらデコピン。ビリッとするし、普通に痛い。

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