部分講話
ついにメリークルシミマス
前線臨時司令部・特設会議室。
簡易机を挟んで、安東中将と降伏代表団が向かい合う。
机の上には、降伏文書のひとつと、敵軍の戦力一覧が置かれていた。
安東中将「降伏文書の内容は以上だ。
……その前に一点確認したい。貴軍は本国軍の遠征部隊で間違いないな?」
降伏代表は小さく頷く。
降伏代表「はい。我々第12方面軍は、王国本土より派遣された正規遠征軍です。
この地における軍事行動は、本国軍司令部の命令に基づくものです。」
安東中将は深く頷いた。
安東中将「了解した。貴軍は正規の軍隊であり、よって――
我が軍は国際規定に基づき、兵士全員を戦争捕虜として保護する。」
会議室が静まり返る。
降伏代表は驚きの表情を見せた。
降伏代表「……全員を、捕虜として……扱う、のですか?」
安東中将「そうだ。ただし拷問等は一切しない。食料・医療・保護のすべてを、規定どおり提供する。」
降伏代表は息を吐き、胸をなでおろす。
降伏代表「……ありがとうございます。
本国からの増援も通信途絶した今、残された兵の安全が何よりの懸念でした。」
安東中将は書類をとり、明確に宣言した。
安東中将「本日この瞬間より、貴軍第12方面軍は 武装解除の上、全兵力を我が軍管理下とする。ただし、一つお願いがある。」
降伏代表が顔を上げる。
安東中将「この海岸線には今後、対艦砲を設置する。 敵の再上陸に備えるためだ。 貴軍捕虜の皆さんには、資材運搬や軽作業の形で、建設に協力してもらいたい。」
降伏代表は一瞬ためらった後、表情を引き締める。
降伏代表「……捕虜として協力するという形ですね? 我々の命が守られるなら、喜んで従います。」
安東中将は頷き、ゆっくりと言葉を続ける。
安東中将「危険な作業は我が軍工兵が行う。 捕虜には安全な範囲での作業をお願いする。 完成すれば、皆の命が守られるだろう。」 降伏代表は深く頭を下げる。
降伏代表「承知しました。兵士たちに伝えます。 我々も安全を第一に、協力いたします。」 安東中将はその姿を見て、静かにうなずいた。
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