第8ゴミ拾い 商売
「私は賛成です」
事のいきさつをイリに相談すると、イリは安心したような表情を見せた。
「仲間が増えるのはいいことですし、話しを聞く限りその方は騙すような方でもなければ他にお相手がいるような方でもなかったんですよね?」
イリが言うように、看護師に紹介された人に会いに行ったところ、とてもじゃないが人を騙すような感じではなかった。
今までの冒険者のように、アドを騙して儲けようなんて感じではない。
むしろ、オドオドして若干挙動不審なところがある。
そういうわけで、アドの怪我が治り次第一緒にダンジョンに潜る約束をした。
とりあえず1回一緒にダンジョンに潜ってみて、互いに相性がよければそのままパーティーとしてギルドに申請する流れになる。
ギルドはもちろん、アイギルドであり申請する相手はイリなので、即申請は通る。
「それで?」
とりあえず、仲間を集めるという目的はまだ1人だが達成した。
怪我が治るまでの商売について、イリがアドに訊いた。
「今まで手に入れた素材とかを返還してアイテムにするじゃん?」
アドが人差し指を立てる。
「それをこの村で売るのさ! この村にはお店がないからきっと売れると思うんだよね」
確かにこの村にはダンジョンとギルドの代わりになる村長の家と病院と村人の家しかない。
食材ですら近隣の都市まで出向いている状況だ。
「それならまずは、食料品を売るのがいいかもしれませんね」
にこりとイリが微笑むと、アドの心臓が一瞬跳ねた。
「ま。毎日はできないかもしれないけどそれでも大丈夫かな?」
両頬を染めたままアドが訊くと、イリが無い胸を張った。
「大丈夫です。冒険者が店を開く場合には、不定期であることは周知の事実なので。しっかりとお店を構えるのではなく、露店のような形であれば問題ありません」
「そうなんだ。知らなかった」
このアドの言葉を聞いてイリはますます無い胸を張った。
余程頼られることが嬉しいのだろう。
アドのスキルが発現してからというもの、アドがイリを頼ることが少なくなり、寂しかったのである。
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アドは肋骨が折れているだけなので、動く分には問題ない。
というわけで、早速露店を開いてみた。
寂れた村だ。
村人の娯楽なんて無いに等しい。
自然と物珍しさに村人が集まってきた。
「こりゃ便利だ。わざわざ楽火街まで出向かなくてもいいとは」
1人の老人がニコニコしながら、ドドの肉を購入していった。
「これは何ですか?」
別の若い男性は、アドが変換させたアイテムに興味を示した。
「これは、姿隠しの粉といって、モンスターから暫くの間姿を隠せるアイテムだよ。姿が見えないだけで匂いとか音とかは出るし気配も察知されるから過信しすぎないようにね」
商売は想像以上に大盛況だった。
次第にアドが出品する商品目当てに、他の街からも買い物客がやって来るようになり、一時的ではあるものの寂静村には人が多く訪れるようになった。
アドが店を出さない日でも、外で声をかけられることもあった。
しかしこれをよく思わない人物も中にはいた……




