第2ゴミ拾い スキル発現
アドが成長するための方法は不明だった。
しかしこのギルドに必要なものはある程度分かる。
まずは人だ。
別に冒険者が所属しなくてもいい。
働き手がいないことには、ギルド長は飢え死にしてしまう。
今は家畜を育て、畑で作物を育ててなんとか食いつないでいるらしい。
「後は、蓄えたお金で隣ギルドまでお買い物したりもしてます」
そう言ってお金をアドに見せた瞬間、お金は吸い取られるようにアドの懐に入って行った。
こうしてアドが手に入れたお金の金額は、なんと10万ゴールド以上。
しかし、アドの能力の特性のせいでお金を使うことすらできないので、宝の持ち腐れであった。
「とりあえず俺はダンジョンに潜ってみるよ。どんなダンジョンか分からないと今後の対策も立てられないし」
とアドが提案する。
「大丈夫ですか? このダンジョンは滅亡のダンジョンと呼ばれていますよ?」
不安そうにイリが言うと、にっこりアドが微笑む。
「入口の近くしか行かないから大丈夫だよ」
グッ。と親指を立てる。
こうしてアドは、誰も踏破したことのないダンジョンへと足を踏み入れた。
●
滅亡のダンジョンは、その名の通りパーティーを滅亡させるためのダンジョンと言える。
なぜこんなダンジョンが存在するのか、どうやってできあがったのかさっぱり分からないが、足を踏み入れただけでその名前の意味をアドは知った。
まず、ダンジョン内はかなり乾燥していた。
それだけで、喉の渇きに苦しむ。
次に気温の変化だ。
ランダムに気温が50度からマイナス20度まで変化する。
当然周囲の壁の温度もそれに合わせて変化するし、ゲットしようとしたアイテムの温度も変化する。
『これは……想像以上に厳しい環境だな……』
ダンジョンの環境がかなり厳しいことを、アドは知った。
とりあえず真っすぐな一本道をアドは直進した。
驚いたことに、滅亡のダンジョンにはたくさんの拾得物があった。
探索した冒険者が少ないとはいえ、ここまで多いのも珍しい。
『ダンジョンの中には、自動でアイテムが生成されることもあると聞いたことあるけど、ここのダンジョンもそうなのか?』
一般的に考えて、ダンジョンの中に宝箱が置かれていることは不自然である。
しかし、ダンジョンはなぜかそういう物を自動で生成している。
そしてダンジョンの中には、一度アイテムを拾得しても一定の周期で再び同じアイテムを生成することがある。
滅亡のダンジョンでは、その周期が回っても誰も探索しなかったため、ダンジョンの浅瀬でたくさんのアイテムを入手できたのだろう。
加えてゴミもたくさん拾得できたのは嬉しいことではないが、今回は誰にも文句を言われないのでのんびりと冒険ができた。
しかし一向にスキルが発現しなかった。
「うーん。なにかきっかけはあると思うんですよね」
アドのスキルが発現しないことを受けて、イリが言う。
どんな能力でも必ずスキルツリーが出現するらしい。
ただし、条件が満たされないと出現しないツリーは確かに存在する。
「だいたいは、条件が満たされて出現するツリーのスキルは、チート級だと言われています」
「今の俺の特性を活かして、何か条件がクリアできるってことだよね?」
アドが聞くとイリは頷いて答えた。
「そうですね。例えば、特別な何かを入手するとか」
それはありそうだと、アドは思いたくさんのアイテムを入手することに努めてみた。
「ただし、滅亡のダンジョンに挑むのはやっぱりやめた方がいいと思います」
何度も死にかけてるアドを見て、イリが心配そうに言う。
「ダンジョンに潜らなくてもアイテムは入手できます。まずは特別なアイテムを探してみてはどうですか?」
イリの提案によって、アドはとりあえず隣のギルドまで歩いてみることにした。
道中でゴミをたくさん拾うだろうが、その中にスキル発現のキーアイテムがあるかもしれないのは否定できない。
●
「!」
隣のギルドまで歩く道中で自分にスキルが発現した自覚を得た。
急いでイリに報告に行く。
「1万拾得物を拾うことでスキルツリーが出現したんだ!」
「個数だったんですね。それにしても1万は大変でしたね。もしかしたら特殊なアイテムを入手することで、更にスキルツリーが出現したり発展するかもしれませんね」
にこりとイリが微笑む。
長い間スキルがなかったアドはようやくスキルを手に入れた。
入手したゴミを必要なアイテムに変換できるというスキルだった。
「凄いですよ! 今まで入手したガラクタが全て必要な物に変わるんですから!」
イリが目を輝かせる。
さっそく、ゴミを1つ手に持ってスキルを使ってみた。
『リサイクル発動』
心の中でスキル名を念じると、手に持った石ころが石弓に変化した。
同時に更なるスキルが発現した。
自由売買と自由譲渡だ。
このスキルによって、手に入れたアイテムを自由に売買したり譲渡できるようになった。
「凄い! 1つスキルを手に入れただけでどんどんスキルが解放される!」
アドが興奮してイリの手を取る。
「言ったでしょ? 何か条件があるスキルは強いって」
イリもにこりと微笑む。
「待って、スキルツリーの先が少し分かるみたい」
「ある程度のスキルは、解放されるための条件が分かるようになっている物があると聞いたことあるのできっとそれですね」
ふむ。と腕組しながらイリが言う。
「えーと。ゴミを10万拾うとリユースってスキルが使えるようになるらしい。どんなスキルかまでは分からないんだね。あと、〇〇を入手で〇〇自動生成ってスキルがいくつかある」
「自動生成はきっと、何にも必要とせずにアイテムを作れるスキルですね。本当に凄いスキルを手に入れましたね」
こうして追放された冒険者アドは、強力な能力を得て破綻寸前のギルドを復興させることを試みるのだった。




