第26ゴミ拾い 対話
「何?」
突然待ったをかけられた少女が不機嫌な声をあげる。
「2人を傷つけることは許しません。このギルドの長は私です。用があるのは私なのでしょう?」
キッ。とイリが少女を睨みつける。
「へぇ? ボクの前に立ちはだかるんだ?」
ニタァ。と少女が気味の悪い笑みを浮かべる。
「イリ」
「黙っててください」
アドが前に出ようとするのを、イリが制止する。
「死んじゃうよ? いいの?」
ニタニタしながら少女が言うが、イリはそこをどかない。
「……ボクはこの村を壊滅させるためにきたんだよね。ギルド長を倒したり捕まえたところで壊滅させられるとは思えないんだけど?」
少女が何故か独り言を言う。
「あ。そうか。けいちゃんいないのか……どうしよう。ボクだけじゃ決められないな」
少女がイリを見て質問する。
「キミたちはどうして逃げないの?」
「自分の命よりも大事なものがあるからです。ちなみに、いくらあなたが村の家を破壊しても村人を殺しても、私がいる限り村を壊滅させたことにはなりませんよ?」
「つまりキミを殺せばいいってこと?」
「違います」
その言葉に、アドとシャラもイリを見た。
「しっかりと話し合って、私を納得させないと壊滅させたことにはなりません」
●
イリは直感していた。
少女はけいちゃんとかいう存在がいなければ、子供と変わらないと。
それならば、上手に言いくるめられると。
「ボクには不思議だよ」
出されたお菓子を食べながら少女がポツリと言う。
「今までボクに立ちはだかった人間なんていないのに。キミたちはボクに立ちはだかった。まるで自分の命よりも大切なものがあるかのように」
「そりゃそれが仲間だからだろ?」
さも当然のようにアドが言うと、不思議そうに少女が問い返す。
「仲間?」
「まさか! 君も冒険者だろ? 一緒に冒険をする仲間がいるだろ?」
そう言いつつも、つい最近までソロプレイヤーだったことを思い出して、アドは胸が苦しくなる。
「お友達ならいるけど?」
そう言って少女は先ほどの死体を指さす。
「あれはなんだ?」
自分の心苦しさを紛らわすために、アドが話しを反らす。
「ボクの能力で手に入れたお友達だよ?」
キャハハと少女が笑うと、アドはゾッとした。
全身に鳥肌が立つのをはっきりと感じる。
「いいですか」
そんな少女に向かってイリが諭すように言う。
「お友達も仲間も無理やり手に入れるものではありません」
「けいちゃんもそんなこと言ってた……」
ポツリと言う少女の言葉をイリは聞き逃さない。
「さっきから話しに出てくるけいちゃんって?」
「……ボクのことを聞いてくれるの?」
驚いて少女が目を丸くする。
「もちろんだ。聞かせてくれ」
アドが少女に先を促す。
うまくいけば村を壊滅させられないで済むと直感したからだ。
「ボクはずっと1人だった……」
そんなアドの思惑とは裏腹に、少女の過去の話しは余りにも悲惨なものだった――




