第24ゴミ拾い 次の階層へ
シャラの読みが当たっているならば、モンスターにも付加価値を付与できるということになる。
これは良くも悪くもある。
いい効果ですらモンスターに付与できてしまう可能性があるからだ。
「まずは私の能力レベルを上げて、付与できる対象を選べるようになることが先決ですね」
シャラが強く拳をにぎる。
「じゃあ俺もサポートしないとね」
「めんどくさくないのですか?」
思わずシャラが訊ねる。
「何が?」
アドの心からの疑問だろう。
「だって。私の成長に付き合わされるのですよ?」
「そんなの普通でしょ」
さも当然のように言うアドの言葉に、シャラは涙が出そうになるのをこらえる。
「まぁ俺も今まで自分のスキルが発現しないことで、散々な目にあったからなのかもしれないけど。見捨てたりめんどくさいとか思わないから」
自分と同じ目にあって欲しくない。
そういうアドの気持ちがあったのは事実だろう。半分同情と取られても仕方ない。
しかし、それでも地道に行くのが得意なのは本当だ。それをめんどくさいとは思わない。
「同じパーティ―で同じギルドで、しかもとても小さなギルドだよ? 一緒に成長していこうよ」
にこりとアドが微笑むと同時に、ドンファが雄たけびをあげる。
●
「くそ!」
ハウリング効果でアドとシャラの体が硬直する。
同時にシャラの癒しがアドにかかる。
アドは落ち着き、辺りを見渡す。
体が硬直していても思考は止まらない。
更には、スキルによっては使えるものがあることに気がつく。
例えばアドのスキル、収納。
特別な空間にしまっておいたゴミやらアイテムやらを自由に出し入れすることが可能なわけだが、今の収納のスキルレベルは1のため、アドが入手したアイテムや生成したアイテムしか出し入れすることはできない。
この入手というのが、ダンジョン内で手に入れるという意味だと今までは思っていたが、購入したアイテムや武器も含まれることが分かった。
そして、取り出す時は必ずしも手に持つ必要はなかった。
アドの肌に触れていさえいればどこに取り出すことも可能だった。
ドンファがアドに向かってくるのが、アドにはやけにゆっくりに感じた。
これもきっと癒しのおかげなのだろう。
アドは直感した。
自分が動けるようになるよりも先に、ドンファの舌攻撃が届くと。
『それならば』
ドンファの舌がアドに届く直前に、アドはスキル収納を発動した。
取り出したのは果物ナイフだ。
しかしそれで十分だった。
ドンファの舌が届くであろう箇所にナイフを取り出すことでドンファの舌に切り傷を与えた。
ドンファには先ほどのダメージ倍増の付与があるので、少しの傷ですら大きな痛みになる。
更に、こういった切り傷というのは得てして痛いものだ。
鋭い痛みにドンファは舌をひっこめる。
同時にアドの硬直が解け、アドはそのナイフを手にしてドンファの目を狙って攻撃した。
「どんなに皮膚を強化しても目は急所だろ!」
「ぐぉぉ!」
痛みにドンファがもだえ苦しむ。
唾液をまき散らし、自身の皮膚を少し溶かしている。
最後の悪あがきだった。
アドとシャラが留めと言わんばかりに攻撃をたたみかけ、なんとかドンファを倒した。
階層主を倒した経験は、冒険者にとってはかけがえのない宝となる。
そして次なる自信につながる。
肩で息をしながらアドとシャラは暫くの間、倒したドンファを見下ろしていた。




