第22ゴミ拾い 階層主の強さ
アドはスキルリユースを使って新たなスキルを獲得していた。
そのスキルは階層主ドンファと戦うのに適していた。
スキル蝕み。
対象モンスターの体や体内などを少しずつ蝕んでいく毒のような効果だ。
解毒などがなく、毒よりも効果的ではある一方で侵攻速度は遅い。
アドはこのスキルで、ドンファの皮膚を少しずつ蝕んでいく作戦を立てた。
「唾液との相乗効果が見込めますね」
シャラがにこりと微笑む。
「蝕みの侵攻速度も思ったより早くて助かるね」
アドも微笑み返す。
新しいスキルを手に入れて、少し余裕が出てきたようだ。
しかし敵は階層主。
通常のモンスターよりも知能があり、耐久力がある。
通常のモンスターであればすぐに効果がある蝕みも、ドンファには時間がかかる。
その上ドンファは、こういった状態異常系の攻撃にある程度の耐性がある。
そのため、アドの蝕みだけで倒すことや動きを封じることは不可能である。
アドたちにとっては我慢の時間がやってきた。
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アドが蝕みをドンファにかけてからおよそ10分。
その時を待つアドたちにとってはもっと長く感じていただろう。
「さすがに効きが悪いですね……」
シャラが肩で息をしながら言う。
何度もドンファの尻尾攻撃を避けているため、シャラの体力は限界に近かった。
そんなシャラにドンファが狙いを定める。
アドは、自分から注意が逸れたことを見逃さなかった。
その瞬間、長剣で攻撃を仕掛ける。
「ギォォォォー!」
しかし、ドンファの方が一歩上だった。
ハウリングでアドとシャラの動きを封じる。
「しまった!」
ドンファは相変わらず狙いをシャラに定めている。
アドよりもシャラの方がドンファから距離があったため、シャラの方がアドよりも早く硬直が解けた。
「くっ!」
間一髪ドンファの舌攻撃を避けるも、舌はムチのように連続でシャラを襲った。
「シャラ!」
次いで硬直が解けたアドがドンファに向かって、長剣を振りかぶる。
『とった!』
アドとシャラがそう思った――がしかし。
「ガキン」
強化された皮膚は、そう簡単には切れない。
そのままアドは、ドンファの尻尾を振り回す攻撃で吹き飛ばされた。
一瞬アドの息が詰まる。
酸素を求めて視界が暗くなる。
「アドくん!」
シャラが悲鳴のような声を上げるが、そのすきを突いてドンファがシャラを長い舌で捉える。
「しまった!」
舌についている唾液でシャラの皮膚が焼ける。
「こっちだ!」
空気を肺に送り込んだアドがドンファに向かって叫ぶ。
第2ラウンド開始だ。




