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破綻寸前ギルドを追放冒険者のゴミ拾い能力が救います  作者: shiyushiyu


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第20ゴミ拾い 初めての階層主

 穏風のダンジョン1階層草原の間――


 草食系のモンスターばかりが出現し、こちらから攻撃を仕掛けなければモンスターから攻撃をされることが一切ないのが特徴である。


 冒険者だけでなく、村の住人ですら安全にダンジョンに生えている物を収集できる。


 特にこの間に生えている薬草は利用用途が広い。


 しかしそんな安全な場所にも、次の階層へ向かう場所にはボスが存在する。


 いわゆる階層主だ。


 出現頻度はランダムであり、ダンジョンのレベルが高いほど出現頻度が上がる。


 ダンジョンの危険度は、次の階層へ向かう道中の危険度や出現するモンスターによって設定され、ダンジョンのレベルは階層主の出現頻度によって設定されている。


 レベルは1~5の5段階に設定されており、危険度は優しい~悪魔級まで設定されている。


 アドとシャラはそんな場所で休息を取り、新たに目覚めたシャラのスキルを駆使して階層主へと挑もうとしていた。


 ●


「いくぞ」


 アドが後に続くシャラに声をかける。


 目の前には2階層へと上がる階段がある。


 途中に踊り場のような広い広間があり、そこに出現していれば階層主が待っている。


 穏風のダンジョンの1階層と2階層の間に出現する階層主は、ドンファと呼ばれる大型のトカゲのようなモンスターだ。


 長い舌と尻尾を使って攻撃してくる。


「出たなドンファ!」


 アドは、村の人から階層主との戦い方を聞いていた。


 土角との戦いとは違い、今回は正攻法での攻略を試みる。


 ドンファの攻撃方法は主に6種類だ。


 長い舌を使った攻撃と長い尻尾の攻撃以外には、2足歩行に移行して前足でのパンチ攻撃と、ハウリングと呼ばれるスキルを使うことがある。


 この音を聞いた冒険者は一時的に行動ができなくなることがある。


 ただ、効果は小さいのでそこまでの脅威ではない。


 注意すべき点は、酸性の唾液攻撃である。


「よけて!」


 アドが注意を促す。


 ドンファは興奮すると、唾液を垂らす。


 そして首を大きく振り回して周囲にこの唾液をまき散らすわけだが、これが皮膚に触れたら痛いでは済まない。


「周りの壁が変に溶けているのは、この唾液のせいですね」


 唾液を避けてアドと合流したシャラが言うと、アドが頷く。


「けどやっぱり一番厄介なのはこのスキルだね」


 ドンファの大きな特徴と言えば、皮膚強化と呼ばれるスキルを使う点だ。


 並大抵の剣では、この皮膚を貫くことができなくなる。


「やっぱり正攻法でいくしかないようですね」


 シャラが言う正攻法とは、ドンファの硬い皮膚を攻撃するのではなく、ドンファの唾液を利用する方法だ。


 ドンファの唾液はドンファ自身にも有効なのである。


 それを利用して、皮膚を溶かして弱ったところを狙うのが正攻法である。


 ●


「フン♪フン♪フフン♪」


 少女が陽気な鼻歌を歌うが、そこは薄暗い場所だった。


 周囲を鉄格子に囲われて、ペットのエサを入れるようなお皿に流動食が入れられている。


 布切れ1枚だけ敷かれたベッドには、無造作につぎはぎだらけのクマのぬいぐるみが置かれていた。


 まるで監禁されているかのようだ。


「薄気味悪い女だぜ」


 衛兵が小さな声で言うと、隣の衛兵も全くだ。と頷いた。


「ねぇ」


 そんな2人におもむろに少女が声をかける。


 何が恐ろしいのか、2人はビクリとすくみあがる。


「ボク。おしっこしたいんだけど」


「離れろ」


 衛兵が少女を牢屋の隅に追いやる。


「後ろを向いて手を上げていろ。力は使うなよ?」


「そんなにボクの力が怖いならこんな扱いしなければいいのに」


 そう文句を言いながらも少女は言われた通りにする。


 衛兵が手錠を投げると、再び牢屋の鍵を閉める。


「さっさとそれをつけろ」


「ボクとそーゆープレイがしたいの?」


 ニタァーと笑う少女はまだ、10歳かそこらだった。


「あ。ボクのおしっこが見たいんだ? へんたーい」


 明らかに少女が挑発をするが、衛兵は聞こえないフリをして無視をしていた。


「ふーん。優秀なんだ?」


 つまんなそうに少女が檻から出る。


 手錠には紐が付けられており、その紐を衛兵が引っ張っていた。


「黙って歩け」


 後ろから別の衛兵が槍でつつく。


「ボクに触れられないもんねー?」


 まだ少女はニヤニヤしている。


「ボクの力が怖いならもっとボクに自由を与えればいいのに」


 トイレをしながらも少女が言う。


 個室の外で待つ複数人の衛兵はその言葉を全て無視する。


 ギルド長および、国王から少女との個人的な会話を禁止されているからだ。


 それでなくても、得体の知れない能力である。


 話しただけで操られる。そんな可能性がないとも言えない。


 そんな状況を少女も知っている。


 それでも少女は話しかけることをやめない。


「ねぇ? そう思わない?」


 誰も返事をする者はいないはずだった。


 しかし――


「あぁそうだな」


 どこからともなく低い男の声がした。


 衛兵全員が身構え辺りを警戒すると、少女の部屋にあったクマのぬいぐるみが歩いてきた。


「な!」


「なんだこいつは!」


 次々に叫び出す衛兵に対して、ぬいぐるみは平静を保ったまま語り掛ける。


「全く。なぜこいつらをさっさと掃除しないんだ? ザクロよ」


「けいちゃん来てくれたんだ?」


 少女が用を足しながら嬉しそうに言う。


「俺はケイタだ」 


 まるで周りの衛兵などいないかのように2人で会話を続ける。


「ところでけいちゃん。ボクおしっこ終わったらそろそろお掃除を本格化しようと思うんだけどどうかな?」


「それはいい考えだ。そう思うだろ?」


 おもむろにぬいぐるみが、近くに居た衛兵の足にポンと手を置く。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ! 触るなぁー!」


 ぬいぐるみは衛兵の足元にも及ばない大きさなのに、衛兵は酷く怯え槍で何度もぬいぐるみを突き刺す。


「無駄なのになぁ」


 少女がポツリと呟くが、この場にいる誰にもその声は聞こえなかったようだ。

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