第13ゴミ拾い ラフワー市の最後
メリダのギルドが宣戦布告をしたことで、世界中のギルド・冒険者がギスギスするようになった。
特にメリダのギルドは、力づくで地電のダンジョンを手に入れ、そのから発掘できるアイテムや素材を独占していた。
他のギルドのアイテムや素材が欲しい場合には、膨大な金額がふっかけられたり不利な条約を突き付けられることもあった。
そしてそれはアイギルドでも同様だった。
寂静村はメリダのギルドなので、いつまでもアドたちが滞在することは好ましくない。
ひとまずアドたちは自分達のギルドに戻っていた。
「何もないですね」
シャラが率直な感想を述べる。
「一応ね、滅亡のダンジョンってのがあるんだけど、それだけなんだよね」
荒れ果てた畑を見ながらアドが言う。
「寂静村が俺たちのギルド所属になったら嬉しいのになぁ……」
ボソリとアドが言うと、不思議そうにイリが訊いた。
「どうしてですか?」
「あそこもさ、このギルドと同じく何もないじゃん? 親近感かな? それにかなり近いし」
アイギルドが管理する唯一の土地は、滅亡のダンジョンがあるこの地のみ。
そして、住人が誰もおらず文字通り荒れ果てたこの土地は、村や街と呼べるようなものではなかった。
一応は、アイギルドが管理するアイ村と名付けてはいるが建物は崩れ落ち、イリが住んでいるギルド長の家しか建物はない。
そんなアイ村と寂静村は徒歩で5分の距離にある。
「それなら提案してみますか?」
イリがキョトンとした顔で言う。
「へ?」
思わぬ言葉にアドの口から、素っ頓狂な声が漏れた。
「ですから。寂静村にアイギルドに正式に所属しないかどうかの打診をしてみますか?」
「そんなことできるのですか?」
イリの提案にシャラが驚く。
「普通はしませんが、寂静村もメリダのギルドのギルド長のやり方に困惑していたので、ギルドの鞍替えをする可能性はあります。もちろん住民投票とかもする必要はありますが住人の数も少ないのですぐに決まるかと」
「もしもさ」
イリの話しを聞いていたアドが口を開く。
「寂静村がアイギルドに入ってくれるなら、この村の復興にも力を貸してくれるのかな?」
その顔はワクワクしているような顔だ。
アドは心の底から、村の復興を願っているようでイリは嬉しくなった。
「そりゃもちろんそうだと思いますよ?」
だからだろう。
自然とイリに顔はほころんだ。
早速、寂静村にアイギルドに鞍替えをする打診をしてみることにした。
●
ラフワー市――通称花の都。
通常であれば綺麗で華やかで人々が行きかう大都市である。
しかし現在は、あちらこちらで煙があがり人々が逃げまどっている。
メリダのギルドに所属している黒見市の冒険者が攻め込んでいるためだ。
「捕まえたぜ!」
1人の男が女性を捕まえて歓喜する。
「ずっりー!」
別の男がその様子を羨ましそうに見る。
攻められて負けるということは、全てを失うということだった。
かつては、花の都と言われ栄華を誇った大都市も、突然攻められたことで対応が遅れ、全てが後手後手に回ってしまい、今では見る影もなかった。
「助けるつもりもないけれど、1つだけ助かる方法があるぞ」
ラフワー市の市長に向かってある男が言う。
市長はこの様子を、無理やりに見せられていた。
「ラフワー市がメリダのギルドに加わることだ」
ラフワー市の市長を羽交い締めにしながら、男は冷徹に言い放った。
こうしてラフワー市は、無理やりにメリダのギルドに所属となったのだった。




