第11ゴミ拾い 不穏
「なんだこれは……」
寂静村の様子を見たガローが驚愕する。
「ねぇ。あの子」
能花が指差す先にはアドが居た。
「俺たちが騙して儲けさせてもらった冒険者だな」
何やら商売をしている様子を見る。
「あの便利な能力で商売でもしてるのかしら?」
「可能性はある」
ボソボソと参が言うとブロが疑問を口にした。
「なんだぁ? あいつが邪魔なんかぁー?」
「けど商売だけであんなに人が集まるかしら?」
能花が首を傾げながら、他のメンバーにアドの能力を説明する。
「そんないい能力を手に入れているなんて羨ましいなぁー」
「そうかぁ? 俺様は力任せな能力の方がいいけどなぁ」
タニが少年の笑みを浮かべると、ブロは大剣を掲げる。
「それで? どうするつもり?」
陽がガローに問う。
「相手が冒険者となるとむやみに手を出すことはできないな……それに能花が言う通りただの商売だけであんなにも人が集まるとは思えない」
「そうねぇ。いくら珍しいアイテムを売っているとしてもそんなにたくさんの人が集まるとは思えないは」
ガローの意見に陽も頷いた。
更に陽が続ける。
「私がお客さんのフリをして見てくるわ」
ピョン。と陽が他の客に紛れる。
流星の他のメンバーは暫く待つことにした。
●
ガーランドのギルド所属ラフワー市。
通称花の都と呼ばれるこの都市は、隣メリダのギルド所属の黒見市――通称闇の業者が集まる場所――と幾度と衝突していた。
原因はこの2つの都市の中間に位置するダンジョンの管理を巡ってである。
地電のダンジョンは現在どこのギルドも管理をしていない。
その要因が、ラフワー市と黒見市が自分達の領土だと主張しているからだ。
大きな戦闘にはなっていないが、誰かがダンジョンに挑もうとするとそれを阻止する絵図ができあがっている。
2つの都市の数多くの冒険者が所属するギルドからの命令でこのダンジョン周辺に集まり、ダンジョンに入ろうとする者を止めているのだ。
メリダのギルドとガーランドのギルドの規模はだいたい同じくらいで、所属する冒険者の数もほぼ同じである。
この小競り合いはずっと続くだろうと、誰もが思っていた――
しかし……
●
「このアイテムは何?」
「これはモンスターから姿を隠せる粉だよ」
陽が何気なく質問すると、相槌のようにアドが答える。
隣のシャラやイリも同じく他のお客さんに商品の説明をしていた。
一見すると冒険者が露店を開いているだけだ。
しかし驚くことに人が集まっている。
その理由の1つが、価格の安さだ。
通常であれば50ゴールドする商品や1万ゴールド以上する商品が全て10ゴールドで統一されていたのだ。
「何でこんな安いの?」
他の食料品や生活必需品の全てが10ゴールドだった。
「儲けようと思ってないからだよ」
にこりとアドが微笑む。
『能力があるからこそできる芸当ね……確かにこの安さ。口コミが広がれば自然と人が集まるのは頷けるわね……けど安い売りものがある程度の情報なら冒険者は集まらなそうね』
実際に陽が見ても、アドの露店に群がっているのは冒険者ではなく一般市民ばかりだ。
陽は仲間の元に戻り、特に問題はないことを告げる。
「冒険者は集まっていないのか。それは朗報だ。これで心置きなく寂静村を切り離せる。まずは増税をして反発したらギルドから追放しよう」
ガローがブツブツ言うのを、若干引き気味で能花が見ていた。
他のメンバーは楽火街へ向かい、ガローは1人ギルド長の元へ向かった。
これからギルド同士、冒険者同士の戦いが始まろうとしていた……




