プロローグ
世界に無数に点在すると言われるダンジョン。
それらのダンジョンに挑む冒険者。
ダンジョンや冒険者を管理するギルド。
優秀な冒険者は優秀なギルド職員がいるギルドに所属する。
人気のギルドは賑わい、自然と商売人も集まる。
自然と活気に満ち溢れ、人も増えていく。
ギルドとは商売。
故に繁盛するギルドとそうじゃないギルドが存在する。
ギリギリ破綻せずになんとか存続しているギルドが世界にはたくさんある。
そんなギルドは他のギルドと合併するか、無理やりに吸収されるかだ。
冒険者とは商売。
ダンジョンで生き残り、どれくらいの戦利品を持ち帰れるか。そしてそれがギルドにどれだけ必要な品であるかが重要である。
つまり、どれだけ儲けられる冒険者であるかが大事であり、それは強さであったり嗅覚であったり、能力であったり、発現したスキルであったり様々である。
不必要だと思われた冒険者はパーティーから追放され、ギルド登録からも抹消されることもある。
ギルド登録に抹消されれば、ギルドが管轄しているダンジョンに挑むことができなくなる。
「悪いがお前は追放だ」
「悪いな。もうここで働く意味はない。他のギルドに行くぜ」
行くアテのなくなった追放された冒険者が、ギルド職員が誰もおらず、ショップが1店もないギルドにたどり着いたのは自然と言えるだろう。
ここに、パーティーを追放されギルド登録も抹消された冒険者と、風前の灯火のギルドが出会った。
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「冒険者様ですか!」
破綻寸前のギルド職員が声をかける。
「えっと。ついさっき追放されたばっかりなんだけどね」
てへへ。と声をかけられた少年、アドが答える。
「私もついさっき、たった一人のギルド職員になって唯一のギルド長になりました」
てへへ。と同じく少年と同い年くらいの少女、イリが笑う。
お互いにこの人物はマズいと思ったが、わがままを言える状況でもなかった。
何よりも、互いの利害が一致していた。
所属するギルドが欲しいことと、ギルドに所属する冒険者が欲しいこと。
こうなれば運命共同体。一蓮托生である。
こうして無能冒険者と無能ギルド長は力を合わせることになったのであった。




