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06 誅犬型機動兵器1号シバキイーヌ

【淫鳥型機動兵器3号…トリビッチーナ】



 それはスズメとハトの中間生物であり、その希少価値ゆえに世界三大珍味に数えられ、人間どもの密猟の対象にされている雉をモチーフにしたロボットで、カラーリングは青っぽかったのだが、もうエロエテッキーと同じように爆発してしまったので、詳しい説明は割愛させていただーく!!


 雉なんて、どんな鳥か作者がよく知らなくても小説は書ける! 賢明なる読者諸君が勝手にイメージしてくれればいいんだからして!


 イメージが貧困な読者は、ニワトリに緑のペンキぶっかけたのが雉だと思っていてくれれば、概ね正解なのであーる! 特に問題はない!!


「シロゥ!! なしてタヒんだぁ?! 戻って来いちゅーたーろーがぁぁぁ!!」


 ベンザーはケーブルを片手に泣き喚き、グルコサミンも貰い泣きする。


 賢明なる読者諸君はもうすでにお気づきだろうが、ベンザーが持っているケーブルはトリビッチーナの主要部品であり、当然これがなかったせいで大爆発を起こしたのであーる!!


「……まさか2体もオラのチューニングした機体がやられちまうだなんて!」


 お前が余計なことしたから爆発したんだろうと多くの整備士たちは思ったが口には出さなかった。


「おい」


「ま、やっちまったもんは仕方ねえっぺ。次いってみよー!」


「おい」

 

 ベンザーのこめかみに、犬次郎のアイアンクローが炸裂した!!


「な、なんだっぺ。ジローさ…」


 チート柴犬の激強な握力に、オランウータンの頭蓋がメキメキッと嫌な音を響かせる!!


「クズとカスが滅びたのはどうでもいい。そこは不問だ」


 仲間なのにどうでもいいのか…と、猫五郎は思う。


「前にも言ったように、俺の機体には指1本触れてないな?」


 ベンザーは頷こうとするが、強く掴まれていてかなわなかった。その代わりに親指を立てるジェスチャーをする。


「そうか。なら、さっさと出せ」


「わ、わかったべ。グルコサ…」


「普通に出せ」


「……」


 アイアンクローからは解放されたが、犬次郎に強く睨まれ、ベンザーは背中を縮こまらせたまま、スゴスゴとタッチパネルを操作し出す。


 格納庫を開くと、ベルトコンベアーに載ったマシンが姿を現す。


「普通に出せるんかい…。なら力士型ロボットいらないじゃん」


 猫五郎は遠い目をしてそう呟いた。



【誅犬型機動兵器1号…シバキイーヌ】



 それはエロエテッキーやトリビッチーナとは比べ物にならない、完成された機体だった。そりゃ駄菓子のオマケについた玩具と、最高グレードのプラモデルぐらいの違いがあーーる!!


 柴犬の凛々しい御尊顔をモチーフとし、全体が重厚な装甲に包まれており、特にパイロットが乗る部分から肩周りに掛けては城壁のようなパーツで構成されている。

 キャノン砲、ガトリングガン、ロケットランチャー、大腿骨の形をした棍棒…と、単騎で都市を制圧できるんではないかというぐらいの重武装であり、カラーリングは白を基調としていた。


「おい。どうしてもタヒにたいようだな」


「ひいッ!」


「なんで“茶”じゃなく“白”になっているんだ。弄るなと言ったハズだぞ」


 静かに怒る犬次郎が、怯えるベンザーの襟首を掴む。


「ひー! ゆるしてくんろ! 変えたのは色だけだぁさ!」

 

「なに? 余計なことを…。なぜ白にした? 柴犬は茶と相場が決っているハズだ」


「ヒーロー機ってのはホワイトが常識だっぺ! これで“超連邦の白い云々”と慄れられてこそださぁ!! それに某携帯電話会社も白い犬が…あ゛ーー!!」


 再び犬次郎のアイアンクローが決まった!!


「黙れ、ゴミめ。お前に話をさせておくと永遠に終わらん」


「あ゛ーー!!」


 ゴリュゴリュという嫌な音が響く!!


「それとこいつにも機体を提供しろ」


 犬次郎は猫五郎を指差す。


「え? ボクにも…」


「わ、わかったッペ! オラが徹底的にチューンナップした【マスカキ・ド・マスカキーラ】を…」


「ノーマルだ。一切、お前が手を付けていない機体を出せ」


「アギギギ! わ、わかったっぺ!」


 ベンザーがパネルを操作すると、別の格納庫が開いてロボットが出てくる。



【試験型機動兵器0号…ウルトラフールー】



 今度は…なんと言っていいものか、無個性っていうか面白みがないつーか、顔も“へのへのもへじ”だし、とりあえず頭と手と足が付いているデッサン人形っぽいのが出てきた。

 カラーリングも白なんだかベージュなんだか薄茶なんだか、中途半端な面白くもクソもない適当で無難な色をしていた。


「さあ、行くぞ。これで先にお星様になってしまった猿三郎と雉四郎の分もお前が盾になるんだ」


「エッ!?」

 

 びっくら仰天する猫五郎だったが、犬次郎はそんなの関係ねぇとばかりにウルトラフールーの方に突き飛ばす。


「犬次郎! シバキイーヌ出る!」


 ようやくのことで出撃と相成ったのであーった!


「グルコサミン。カタパルトした瞬間にお前の頭をカチ割るからな」


 シバキイーヌの後ろを押さえようとしたグルコサミンはビクッと肩を震わせたのであーった!

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