バレンタインなので
今日はバレンタイン前日で、琴葉ちゃんとチョコを作りました。
夕方にハルが帰ってきて、一緒にご飯を食べて、いつもの晩酌……
こういうのはサプライズにした方が盛り上がるので黙ってたんだけど……
「ところで、冷蔵庫に入ってる紙袋なに?」
「うわぁ空気読め。」
今日はハイボールの気分。時刻は23時を回りお酒の美味しい時間になってきた。
今日のおつまみはブリ。
今日の晩御飯はぶりしゃぶだった。ので、その残りをお刺身とぶり大根で…
「ハイボールとお刺身て合うのかな?」
「質問に答えなさいよ。あんた人の家の冷蔵庫に何でもかんでも入れんじゃないよ。」
「ポテチがぶりを欲しがってる。」
「なんでデパートの紙袋が冷やしてあんの?ねぇ。」
「ハル、お刺身は?」
「俺、生魚食べれない。」
「……だよね。なんで自分で食べれないものお酒のアテで出したん?」
「食うかなって思ったから。いっぱいあるからはよ食っちまって。」
「今ブリ高いんじゃない?ねぇ。」
「旬だからなー。」
「ん〜…美味。」
「で、なんなんあれ。」
「もううるさいなぁ……日付変わったら教えてあげるよ。」
「……は?」
「あー、久しぶりに一日休みやった…ハル今日はどこに出かけてたの?」
「……別に。どこでも…ハイボール久しぶりに飲んだな。」
「ね、いっつもビールなのに……」
「まぁ、折角グラス貰ったし…」
ぶり大根を箸で突くハルの手には私が誕生日にあげたバ○ラのグラス……
こうしてちゃんと使ってもらえると嬉しいものだね。後は割らないように気をつけること。主に私。なんかの間違いで割りそう。
「……なぁ椿よ。お前さ仕事の時ノックって何回する?」
「は?何回?」
「2回のノックはトイレとか言うだろ?」
「……あー……」
「どうする?営業行った時とか、3回?2回?」
「……2回。そんなん気にしたこともないわ。」
「まじか……トイレノック2回は事実なのか?」
「さぁ?知らない。」
「営業だろお前…知っとけ。」
「なんでそんなことが気になるん?」
「え…仕事でノックする機会があるから。」
「ハルは何回してんの?」
「3回……」
「ウケる。ん…案外合うねお刺身とハイボール…いや、やっぱりそんなにか?」
「何がウケるん?ねぇ。」
「調べようか…えっとね……ハルさん。」
「はい。」
「世界共通でね、2回はトイレ、3回は家族、親しい人、4回はビジネスの場や目上の人が相手の場合、だって。」
「おいウ○コ女。」
「4回だってよ?多くない?私4回もノックしたことないぞ。」
「世界共通なの?」
「プロトコールマナーだとさ。」
「何それ?」
「ん?国際的に使われるマナー…?世界共通のルールって書いてるよ。」
「4回もノックされたらイラつかね?」
「イラつく?なんで?」
「うるさいってなるだろ?」
「なるかなぁ…?」
「ところであの紙袋なん?」
「私も今度から4回しよ。ノックと言えばたまにター○ネーターのあの音楽のリズムでノックしてくる人居るよね?結構な確率で。」
「俺はリアルで出会ったことはない。」
「なんでター○ネータなんだろね?何でもいいのに。」
「やりやすいからじゃね?」
「ター○ネータ観たことある?」
「ある。女の敵が出てきた時。」
「あのドロドロしたやつ?」
「液体金属だっけ?」
「ター○ネーター、ストーリーが複雑ていうかよく分かんなくて観る気しないや。」
「俺の中でター○ネーターとトランスフ○ーマーは同じ扱いなんだよなぁ…」
「なんで?マシン繋がり?全然内容違うけど……」
「昔金○ロードショーでよくやってた繋がり。」
「……やってた。」
「あと水曜と土曜も……あれ楽しみにしてたんだよなぁ。なんで今やらねーんだろ。」
「確かによくやってたね。トランスフ○ーマー…あと金曜はコ○ンもよくやってた気がする。」
「シリーズものより単発の映画のがテンション上がったな。バ○オもよくやってたじゃん。」
「やってたねぇ……」
「俺、あれでアイ・アム・レジ○ンド知ったんだよな……そういえばコ○ンって黒の組織のボスもう判明したらしいな。」
「いつの話よ。」
「コ○ンとHUNTER○HUNTERとはじめ○一歩はいつ完結するんだろうか…」
「今全部読んでない。」
「こ○亀はきちんと終わったな。○魂も。」
「え?銀○終わったっけ…?あ、終わったわ。NA○UTOもBL○ACHも終わりましたねぇ……だからいつの話?」
「個人的にジ○ンプで1番終わって悲しかったのは……」
「ト○コ。」
「な?」
※
夜の23時過ぎに酒飲みながら少年誌の話をする女子……どうなのさ。これ。
手作りチョコまで用意する女子力の高さがまるで発揮されていない。
日付が変わったら渡すか……
どんな反応するんだろ……作ったのは初めてだからなぁ……
なんだかドキドキしてきました。
「…今なんかネット漁ってたらさー。」
「ん?あ、ハル。お刺身もう無いの?」
「刺身はそれで終わり……『女の思うそれできない男ないわ』ランキングだって……一位、なんだと思う?」
「………………車の運転。」
「……三位だね。」
「え?私的には一番ないわーなんだけど……」
「……やめて。悲しくなるから。」
「ハルは免許取らんの?」
「その質問前もされた。その質問が周りから飛んでくる度に心がひび割れてカピカピになるからやめて。」
「えー…みんな免許持ってなくていいんだ……」
「いや全体的に見たら良くないんだろ。三位だから……あれだろ、東京の方とかは車なくても不便じゃないからじゃない?」
「ふーん……」
「一位当てろよ。」
「ビデオのダビング!!」
「ないっスね。」
「洗濯物畳む。」
「できないことはないだろ。それは…やらないだけで……いや、俺やってるし。それ俺がお前に思うそれないわ第一位。」
「え?私にハルのパンツを畳めと?」
「俺にお前の下着を洗濯しろと?」
「してるじゃん。別にいいよ?私は気にしない。」
「俺が気にしてんのはなんでお前がうちに洗濯物持ってくんの?って話。」
「あ!一位分かった!掃除機の修理!!」
「……んー、なんか……まぁ…絞りすぎだけどまぁそういうこと。」
「家電の修理?」
「だとさ。」
「えー?それどこのサイトよ。私的にはそんなんより免許だわー。」
「しょぼーん。」
「ハル、ハイボールおかわり。」
「ん…あ、ぶり大根全部食ってるし!早…なんか他のツマミ持ってこよ……」
「冷凍のたこ焼き買ってきといたよ?」
「勝手に食うわ。」
グラスと空の食器を持ってハルが台所に引っ込む。置きっぱなしのスマホを覗いてハルの見てたサイトを覗く。
「……二位が力仕事か。なんかあんまり納得できないランキングだなー。」
「それだけ世間とお前がズレてるって事だ。」
台所から失礼なことを。
「あ、ハル。男から見た女ができないとないわってランキングもあるよ。えっとねー…」
「一位料理、二位掃除、三位洗濯。」
「……惜しい。二位三位逆。」
「だろ?」
「すごいね。それはつまりハルも同意見だと?」
「いや……世間の男がしたくねーだろうなってこと並べてみたたげ。」
「男ってそんなんばっかりよね!結局女に求めるのは自分がやりたくないことなんだ!ずるいっ!!」
「お前が言うな。」
え?私料理も洗濯も掃除も……掃除はまぁ……
いや、家事一通りできますけど?一人暮らし長いので?高校の頃からなので?ええ。
今?今も一人暮らしでしょ?半分……
「なんでもさぁ…他人に色々求めすぎてるとこあると思うんだ。」
ハイボール持って戻ってきたハルが唐突にそんなことを言い出す。
「男ならこれができて当たり前とか女ならとか……出来ることと出来ないことは人それぞれだよなぁ?椿。」
「んー…免許は……」
「まだ言うか。」
「求めているというより最低条件と言いますか…」
「だからさ、てめーでなんでもやれって話だよ。あ、レモン入れたい。」
「レモン冷蔵庫あったっけ?」
「ポ○カレモンしかないわ…」
※
スマホを見てたら後10分くらいで日付が変わる。
冷凍のたこ焼きをつまみながらハイボールを飲む。
「…そういえばエアコン直ったの?」
「うん。」
「おー、来週寒いらしいからねー。」
「は?もう付けねーよ?」
「……ハルはさぁ、エアコン嫌いな人?たまに居るよね?私的に意味が分からん。エアコン嫌いな人って何が気に入らないの?」
「別に嫌いじゃないけど…あれじゃね?エアコン嫌いな人は空気が悪くなるから嫌いなんじゃね?」
「フィルター掃除すればいいじゃん。」
「あ…エアコンのフィルター掃除できない男ってどう?」
「台所の換気扇掃除できないよりはマシかな……」
「台所の換気扇とか年末の大掃除でしかやらん……」
「ところで話変わるけどなんでコンビニはエロ本を置かなくなったんだろうね?」
「あれだろ?…規制?」
「このインターネット社会でいくら規制したって規制しきれないと思うんだよねー。」
「どうした?エロ本読んでんのか?」
「いや読んでないけど……」
「コンビニと言えばよく置いてるなんか…漫画の分厚いやつ……」
「分厚いやつ?」
「こ○亀とかの…なんか色んなエピソード纏めました的な……普通の単行本と違う…あれ。」
「美容室とかによく置いてるやつだ!」
「それだ!あれ…ああいうのいいよな。好き。特に巻数多くて追えないやつとか。」
「私美容室とかで…あ、小さい頃美容室で髪切って貰っててさ?」
「お前の地元そんなオシャレな場所があんの?」
「美容室くらいどこでもあるでしょ…?でねー、いっつも切ってくれる人が男の人だったんだけど…」
「へー。」
「その人とお母さんが仲良くて…お店行く度に仲良さそうに笑って話してるの…今思えばね?別になんてことないことなんだけど…私その時お母さんがお父さん以外の男の人と仲良さそうなのが凄く嫌で…」
「何それ。ウケる。」
「超ー真剣に悩んだんだよ?私。」
「ママが浮気してるってか?」
「……うん。」
「お母さん想いでいいじゃねぇの。お父さん想いか?」
「その美容室の男が茶髪でガタイ良くて…なんかいかにも高い外車乗り回してそうな…当時の私の印象ね?」
「あははは、そりゃパパも心配だね。」
「私ああいうタイプ無理だ…あの頃の先入観があるのかも……」
何気なく時計を見たら0時。
日付がまわりそれを意識した瞬間ドキッとした。
いやいや、義理チョコですよ?毎年あげてるでしょ?
……うん、折角作ったんだしちゃんと渡そ。
「……ところでハル、あの紙袋だけど…」
「ん?なに?なんだっけ?」
「冷蔵庫の中の紙袋。」
「うん。」
「……今日の日付見て。スマホで。」
「……2月14日。」
今だァ!!冷蔵庫へダッシュっ!!中から自分の袋を引っさげて一種で居間に戻ってくる。
「じゃん!!バレンタインチョコでしたっ!!」
「……。」
「あのね!今年はなんと…て、手作りしてみた!!」
「……。」
「琴葉ちゃんがね、作りたいって言うからさ…一緒に作ってみたの。」
「え!?琴葉がチョコを!?どこに!?」
「……いや私の時のテンションと違う。それは明日琴葉ちゃんから貰ってください。」
「楽しみ、はよ寝よ。」
「おい!!」
こいつ絶対わざとだ!立ち上がろうとするハルの首を脚で締め上げる。
「痛い痛い!!」
「食え!ほら、チョコとハイボール合うから…多分。」
「椿…俺甘いのそんなに得意じゃないんだよね……」
「だから!?女の子から作ってもらったチョコがここにあるんですけど!?」
あんまり拒否られると傷つくけどハルはそこら辺は弁えてる。流石に長い付き合いです。
お遊びを切り上げて私の作ったチョコクッキーをじっと見つめる。
「……これクッキー…………」
「ちゃんと中にチョコ入ってるから。」
「……マシュマロとかが食べたかった。」
「もしかして喧嘩売ってる?」
「いただきます。」
--サクッ。
食べた!!
どうだろうか…?お菓子作りはほぼ初めて。上手くできたかな?
なんだか懐かしい感覚が胸に去来する。しばらく忘れていたこの感覚……
「……どう?」
何がどう?よ、柚。乙女か!
「……甘い。」
「うん。」
「硬い。」
「うん…ん?硬い?」
「……チョコの味がする。」
「食レポ下手か。」
「ちゃんと出来てるじゃん。やるな。普段の料理よりずっと美味い。」
……………………………………………………。
「……そっか。」
「ん。ありがと。」
「ふふっ、ホワイトデー期待してます。」
「お前も食べれば?」
「私は味見したから……」
「ハイボールに合うぞ?」
「ほんと?」
「……知らんけど。」




