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ゼリーよりプリンがいいもん

 

  顔がくすぐったい。ちくちくする。

  顔を触ったらごわごわした。ポテチ。わたし起き上がる。わたしに乗っかってたポテチがツルツル落ちた。


  「……ん。ん?」


  部屋がちょっと眩しい。目がしぱしぱする。私はポテチを抱きしめる。ごわごわだ。


  「ポテチおはょ。」

 

  顔を押し付けておはよって言ったらにゃーて鳴いた。猫の言葉が分かればいいのに…

  ポテチがわたしから逃げる。追いかけた。扉の前で捕まえた。にゃーにゃー。


  ポテチを抱きしめて階段を降りる。ポテチが暴れて落っこちそうになる。あぶない。おかしいな今日はご機嫌が悪い。


  下に降りたらちょっとだけ電気がついてた。眩しい。ポテチがにゃーにゃー言ってる。

  ゆっくり床に下ろしてあげる。機嫌悪いけどわたしの足下にずっといる。撫でた。かたい。


  「琴葉ちゃん起きた?」


  台所から柚姉が出てきた。起きたよ。ポテチがどっか行った。柚姉のこと、嫌いなのかな?


  「姉ちゃん。おはよ!」

  「おはよ。顔洗っておいで。朝ごはんもうできるよ。」

  「ん!」


  洗面所で顔を洗った。冷たい。顔がピリピリする。タオルが新しかった。真っ白でふわふわ。

  タオル持って居間に戻る。隣の部屋が真っ暗。兄ちゃんまだ寝てる。

  兄ちゃん怪我してしばらくお休みって言ってた。扉開けて中見たら兄ちゃん布団で寝てた。


  兄ちゃん寝てたらつまんないから起こそ。

  タオルを顔にかけてゴシゴシこすった。顔を綺麗にしてあげる。兄ちゃんは顔をあっちこっち向けて逃げる。


  「こらこら琴葉ちゃん。」


  後ろから柚姉がタオルを取り上げた。ぶー。

  そしたら兄ちゃん起きた。兄ちゃんおはよ。


  「兄ちゃん!おはよ。」

  「……ん?おはよ。早いね。」


  寝起きの兄ちゃんが頭を撫でてくれる。髪がくすぐったい。兄ちゃん布団に入ってたからあったかい。抱きつく。兄ちゃんが抱きしめてくれる。あったかい。ぬくぬくだ。


  「ハル、おはよ。朝ごはんね、今日パンだよ。」

  「えー…」

  「ご飯炊き忘れた。めんご。」

  「だからお前はだめなんだ。俺はご飯派なんだよ。」

  「はいはい、さっさと起きて。布団片付けるから、起きれる?」


  兄ちゃんがわたしを離して起き上がる。包帯?ぐるぐるの足でゆっくり起きる。転ばないでね。


  「もうできたよ。琴葉ちゃん食べよ?」

  「…コーンスープ。」

  「あるよ。先食べてて?」

  「ん!」


  居間のテーブルに朝ごはん。食パンとイチゴジャム、野菜と目玉焼きとコーンスープだ。やった。


  ちらっと後ろ見た。柚姉が兄ちゃんを洗面所まで連れてってる。仲良しだ。


  「…二人とも、好き同士なんだよ。でもね、こいびとじゃないんだ。」


  また寄ってきたポテチにわたしは教えてあげる。にゃーって鳴いた。今日はよく話しかけてくれる。


  好きなのに好きって言わないんだ。兄ちゃんも柚姉も、変なの。

  これが『おとなのれんあい』なんだね。変なの。おかしいもん。


  台所にポテチのお皿があった。中見たらご飯が入ってるからポテチにあげた。ポテチは鼻を突っ込んで食べてる。お腹すいてたんだね。ごめんね。


  柚姉と兄ちゃんが戻ってきた。三人でご飯だ。


  「琴葉ポテチにご飯あげたの?ありがと。」

  「うん。」

  「ハル、そういやこの前新聞取らないかってなんか来たよ?」

  「要らない。」

  「……取っていい?」

  「なんでだよ。俺新聞読まない。どーせ会社に置いてるし……」

  「私が欲しいの。」

  「スマホで読めるだろ?お前金払うのか?」

  「うん。」

  「家に集金来るのやだから、嫌。」

  「新聞くらい取りなよー。ビジネスレディにはニュースを追うって大事なことなんだよ。」

  「ビジネスレディって初めて聞いた。OLでいいじゃん。」


  今日も朝から喋ってる。柚姉も朝兄ちゃん居るから楽しそう。仲良し。

  そういえば柚姉は髪切った。兄ちゃん髪の毛短いのが好きだもんね。わたしは長い方がかわいいと思うんだ。クラスの子もみんな長い。


  朝ごはん終わったから歯磨きして学校行く。長袖でも暑くない。


  「行ってらっしゃい。気をつけてね。」

  「行ってくる!」


  柚姉と一緒に行く。兄ちゃんが玄関まで来てくれる。ポテチも来た。ポテチにも行ってきます。忘れない。


  柚姉と途中まで一緒。外は眩しい。今日は曇りだけど明るい。外は眩しいから柚姉がいっつも手繋いでくれる。


  「晩御飯なにがいい?」

  「うどん。」

  「じゃあうどんね。玉子入れよっか。」

  「月見うどん!」

  「月見うどんだー。」


  柚姉は駅だからここまで。行ってらっしゃいって言ってお別れ。歩く。ボランティアのおばちゃんにおはよう言って学校まで歩く。




 ※




  学校が始まった。

  わたしは頭いいから授業も簡単なんだ。後ろからトモちゃんがつんつんしてきた。


  「なに?」

  「昨日テレビ観た?」

  「観てないんだ。」

  「ないんだ。」

  「うん。」

  「昨日ねー…」

  「こら!私語しないの!」


  怒られた。トモちゃんが頭を下げた。わたしも下げる。びっくりした。


  理科の授業退屈。今日実験ないもん。早く給食食べたい。お腹空いた。

  ノートに絵描いてたらなんか来た。トモちゃんから。ノートの切れ端、「回して」って書いてる。

  お手紙。見たら「今日放課後公園でサッカー」って書いてた。下にみんな名前書いてる。

  わたしは行かないからそのまま隣のトモタケくんに渡す。わたしは目が悪いから席も1番前。先生にバレないようにこっそり。


  「琴葉行かないの?」


  トモタケくんがこしょこしょ聞いてきた。喋ってたら怒られるよ。

 

  「うん。」


  家で兄ちゃんが待ってるんだ。君たちと遊んでる暇はないのだよ。ふんっ。

  トモタケくん好きじゃないからおしゃべりしない。でもわたしは知ってる。トモタケくんはわたしが好きなんだ。わたしはモテモテなのだ。


 

  給食の時間。今日はパンの日。朝もパンだった。

  リュウノスケくんが休みだからデザートのゼリーがあまった。男の子が前に集まってじゃんけんしてる。

 

  まだまだ子供だなぁ。わたしはゼリーなんて食べない。だって家にプリンがあるから。プリンがあるんだ。柚姉が買ってくれた。


  「琴葉ちゃん、友美。昼休み図書室行こ?」

 

  隣でマキちゃんが誘う。トモちゃんは?トモちゃん行かないって。じゃあわたしもいかない。

 

  みんな給食食べるの早い。全然噛んでない。早く遊びたいんだね。だめだよ噛まないと。兄ちゃんに怒られる。

  わたしは給食食べるの1番上手なんだ。兄ちゃんが上手な食べ方教えてくれた。


  みんながどんどん食べ終わる。マキちゃんも食べ終わってアヤちゃんと図書室行く。

  トモちゃんも食べ終わってたけど、わたしが終わるの待っててくれた。


  綺麗に完食。トモちゃんが椅子持ってきた。計算ドリル持ってる。


  「琴葉、昨日の宿題教えて。」

  「トモちゃん昨日宿題してないの?悪いんだ。」


  机の引き出しからルーペ出す。だって字が小さいもん。

  三角形の面積の求め方。こんなの楽勝だもん。底辺×高さ÷2だ。


  トモちゃんは面倒くさがり。宿題なんてまずしない。ダメだよ。勉強しないとバカになるよ?

  仕方ないから教えてあげる。授業中もおしゃべりばっかりなトモちゃんはなんにも解けない。友達だから教えてあげる。


  「琴葉お兄ちゃん元気?」

  「足折れた。」

  「え?なんで?」

  「仕事で怪我した。まだ治らない。だからね、兄ちゃんずっと家にいるんだ。」

  「ほんと?今日家行っていい?」

  「やだ。」

  「なんでー?行きたい!」

  「明日宿題やってきたら、いいよ。」


  トモちゃんは兄ちゃんが好きなんだ。たまにしか家には呼ばないんだ。兄ちゃんはわたしの兄ちゃんだ。それに今日はプリンがある。わたしのプリンだ。兄ちゃんにだって渡さないもん。


  計算ドリルを終わらせて暇だから絵でも描こう。自由帳なんてもう卒業。わたしたちはノートに描く。おとな。


  「うさぎ小屋の当番さー、晴明(はるひろ)サボって今職員室呼ばれてたよー。馬鹿だよねー。怒られるって分かってるのに。」

  「男の子だもん。馬鹿だよ。ねー、わたし鬼〇読みたい。貸してよトモちゃん。」

  「いいよー、家行っていい?」

  「やだ。」


  喋ってたらミサキが来た。ミサキは金持ちだ。わたしミサキ好きじゃない。


  「ねー、携帯新しいの買ってもらった。」


  ミサキがけーたいを持ってきた。小学生がけーたいなんて、ませてる。やな奴。


  「いーな。わたしも欲しいな。ね、触っていい?」

  「だめー。」


  やな奴。


  「けーたい、安くなったんだって。安かった?」

  「知らない。」


  けーたいを持ってるくせに知らないなんて変なの。

  トモちゃんはミサキを羨ましそうに見てるけど、わたしは全然羨ましくなんてないもんね。兄ちゃんから借りればいいもん。

  ミサキは2年生の時もけーたい持ってた。もう新しいの買ってる。だめだよ。物は大事にしなきゃ。

  きっとミサキのお父さんとお母さんは『かほご』なんだ。ミサキの甘ったれ。


  「暁ー。けーたいで猫の写真撮りたいの。家行っていい?」

  「やだ。」

  「けち。いっつもじゃん。」

  「美咲、琴葉に頼んでも無理だよ。わたしも断られたもん。」


  家は特別な場所なんだ。トモちゃん入れないのにミサキなんか呼ばないもん。

  それに今日はプリンがあるもんね。




 ※




  学校終わった。途中までトモちゃんと帰ってから神社行く。

  なんとか神社、わたしだけの遊び場。兄ちゃんも知らないもん。


  なんとか神社に行ったらいっつもフジミネのおばあちゃんが居る。おばちゃんはいっつも飴持ってる。


  「おばちゃん、こんにちわ。」

  「あら琴葉ちゃん、こんにちわ。」


  けーだいに座ってるおばちゃんの横に座る。ここはわたしの場所。おばちゃんが飴玉くれた。


  「まだ日差しが強いねぇ。日焼けしてないかい?」

  「クリーム塗ってるもん。へーき。」

  「偉いねぇ。でも気をつけるんだよ?」

  「ん!」


  今日の飴玉はいちご味。美味しい。給食のゼリーなんかよりご馳走だもんね。


  おばちゃんは秋田から来たんだって。柚姉と一緒だ。スズムシのこと教えてくれた。聴けなかったな。

 

  梅雨だったらここにカタツムリいっぱい居る。でも今はいない。


  「つまんないね。カタツムリ、今寝てるもんね。」

  「秋は嫌い?琴葉ちゃん。」

  「なんにもないもん。」

  「そんなことないよ。あっちの山見てごらん。」


  山?上の方、真っ赤だ。


  「秋はね、紅葉もあるしご飯も美味しいし、涼しくておばちゃん好きだよ。」

  「琴葉、梅雨がいい。」

  「雨も楽しいもんねぇ。」


  おばちゃんの膝で寝る。おばちゃんがカーディガンかけてくれた。おばちゃんが着てたからあったかい。眠い。


  「眠いから帰る。」

  「車に気をつけるんだよ。またね。」


  おばちゃんに手を振って帰る。雲が少なくなった。夜は月が見えるかな。




 ※




  「ただいま!」


  琴葉、帰ったよ。ポテチのお出迎え。中から兄ちゃんの「おかえり」が聞こえる。ただいま。

  ポテチが足にすりすりする。持ち上げる。逃げた。


  「兄ちゃんただいま!」

  「おかえり。」


  テーブルにプリンがあった。じゅんびばんたんだ。


  「兄ちゃんプリン食べる?」

  「琴葉食べな。兄ちゃんはいいから。」


  特別に分けてあげようと思ったけど、しょうがない。プリンの前に、宿題する。


  「兄ちゃん、今日ね音読の宿題あるの。きーて。」

  「はいよ。」


  ランドセルから国語の教科書持ってくる。兄ちゃん足痛いから膝に座れない。隣でいいや。


  「ごんはひとりぼっちの小ぎつねで、しだのいっぱい…村へ出て……う?」

  「行間違えてるよ。こっち。」


  ぐらぐらするから本読むの苦手。ルーペないとちっちゃくて読めない。兄ちゃんに教えてもらって読んだ。


  「はいおつかれさん。連絡帳にサインしとくね。プリンお食べ。」

  「食べる!」


  プリン食べてたらポテチがやってきた。だめだよ。ポテチは食べれないよ。


  おやつ食べたからポテチの相手。ごろんしてるポテチのお腹撫でた。ごわごわ。ポテチふるふる言ってる。


  「琴葉、明日雨だってね。」

  「雨好き。」


  ポテチが丸くなる。わたしも隣で丸くなる。二人で鼻をくっつける。湿ってる。つめたい。

  仰向けになる。天井のしみが見える。ポテチが乗ってくる。いっつもだもん。お腹の上でうろうろして落ちかける。


  「……ポテチ、毛が……くしゅっ!」

  「あはは。ポテチも冬毛だね。琴葉毛だらけだ。」


  兄ちゃんがポテチを取り上げる。返して。ポテチ、柚姉に抱っこされたら嫌がるのに兄ちゃんは嫌がらない。

  でも1番はわたしだもんね。


  「ポテチ、ポテチ。」


  兄ちゃんが下ろしてわたしが呼んだらポテチすぐ来る。ポテチ、仲良し。


  兄ちゃん洗濯物畳んでる。ポテチが邪魔しないように見張っとかなきゃ!

  ポテチずっと鳴いてる。よく鳴く。どしたの?


  「…ポテチとおしゃべりできたらな。」


  お医者さんはポテチもまだ子供って言ってた。あと、太り過ぎって。関係ないよ。ね?ポテチ。


  背中からごろんするポテチを抱きしめる。毛が痛い。いいもん。

  兄ちゃんお仕事しながら電話してる。きっと柚姉だ。文句言ってる。下着がどうのって言ってる。


  「……変なの。ね?兄ちゃん、柚姉大好きだよ。知ってた?」


  ふるふる言ってる。ごろごろ。

 

  「柚姉もね、兄ちゃん大好きだよ。ポテチ、知らないでしょ。おとなはね、意地っ張りなんだ。」


  わたしは知ってる。だってずっと一緒だもん。柚姉がわたしのこと大好きなのも知ってる。兄ちゃんが昔、わたしのことそんなに好きじゃなかったのも知ってる。でも、今は大事にしてくれる。

  兄ちゃんは大人になったんだ。お父さんとお母さん死んじゃって疲れてただけだもん。兄ちゃんは偉い。だから、わたしも兄ちゃんが好き。


  「ポテチもひとりぼっちだったの?うちに来る前は、どこにいたの?」


  ポテチは話しかける度にふるふるとかフニャゴとか言う。分かんないよ。


  頭撫でてたらパンチされた。鼻を殴られた。ふぎゃ!


  「兄ちゃん、ポテチお風呂いれたい!」

  「この前入れたばっかだから、また今度ね。」


  毛の生え変わりの時期に入れたら大変なことになっちゃうよ?って、兄ちゃん笑った。ポテチはあくびしてた。




 ※




  「--ただいまぁ。」


  夜の9時に柚姉帰ってきた。おかえり!

  玄関でお出迎え。柚姉がぎゅってする。いい匂いした。朝と一緒。


  「柚姉、腹減った!」

  「おうどん作るねー。ハルーただいま。」

  「ん〜。」


  わたしは先にお風呂入ったもんね。だからポカポカだもんね。ちょっと眠い。でも、月見うどんが待ってる。


  「兄ちゃん、月見よ。」


  ご飯まで退屈。兄ちゃんと庭の前に来た。ガラスが曇ってて見えない。


  「琴葉、お月さん見えるね。夜は晴れてるみたい。」


  兄ちゃんが戸を開けてくれた。遠くにまん丸お月さんがいる。ポテチ来た。庭に出たいの?だめだよ。


  「兄ちゃん今日うどんだよ。玉子乗ってるんだよ?」

  「良かったね。いっぱいお食べ。ほら、今日は満月だ。お月見うどんと一緒。」

  「…うまそう。」

  「ははっ、花より団子かな?」


  花じゃないよ、お月さんだよ。それはお花見よりご飯っていういやしんぼに使う言葉だよ。わたし、いやしくない。


  お腹すいてきた。限界。柚姉が呼んでる。ご飯だ!


  みんなで晩ご飯。こんなの兄ちゃんが怪我してる時だけだ。ポテチが隣でねこまんま食べてる。うまそう。ちょっとほしい。でもプリンあげなかったからきっとくれない。いいもんね、うどんあるもん。


  「ねぇ、さっきブラがどうとか言ってたけど…電話で……」

  「だからさ、他のと一緒に出すなっての。洗うぞ一緒に?俺のパンツと一緒に洗っちゃうぞ?」

  「え?やだ。」

  「分けんのめんどくせーの。まじで…てか下着くらい自分で洗えや。」

  「いーじゃん。美女の使用済み下着だぞ?むしろご褒美。あ、変なことに使わないでね?」

  「使うか。」


  兄ちゃん柚姉、楽しそ。こういう時は、邪魔しちゃいけないんだ。うどん食べる。

  おしゃべりする兄ちゃん達をポテチが見てる。にゃーって鳴いた。どうしたの?今日は寂しいの?ご機嫌斜めなの?




 ※




  寝る時間だ。もう眠い。

  いっつも兄ちゃん寝る時着いてきてくれるけど、階段怖いから今日は柚姉と。

  ポテチが来たから連れていく。2階まで頑張って連れてく。


  「大丈夫?落っことさないようにね?私抱こうか?」

  「いいんだ。」

  「いいんですか。」


  柚姉が笑う。わたしは知ってる。ちょっとおバカっぽくしてた方が、兄ちゃんも柚姉も喜ぶんだ。かわいいんだ。


  部屋の電気消してから布団に入る。ポテチも入る。柚姉が上から布団をかけてくれた。


  「おやすみ。また明日ね。」

  「ん。おやすみ。」


  いっぱい頭撫でてくれた。バイバイ。また明日ね。


  静かに扉閉めて柚姉が出てった。

  知ってる。柚姉はこれから兄ちゃんとお酒飲むんだ。柚姉も兄ちゃんもこれが1番楽しみなんだ。だから、邪魔しちゃいけないんだ。


  おとなだから、ここからはおとなだけの時間だ。わたしはいい子だから寝る。寂しくないよ?ポテチが居るもん。


  「……ポテチ、おとなはね、夜になると元気になるんだよ?知ってる?」


  布団の中でポテチが丸くなる。耳がピクピクしてる。ポテチも眠そう。

  そういえばおとなは夜になったらプロレスごっこするんだって。クレヨン〇んちゃんで描いてた。兄ちゃんたちも、プロレスごっこするのかな?


  冷たかった布団の中、もうポカポカ。ポテチがあっためてくれる。あったかい。

  ポテチはこたつじゃなくても丸くなるんだ。ボールみたい。わたしのお腹にあご乗せて寝てる。大丈夫?苦しくない?


  布団の中でちょっとだけポテチを上に持ってく。丸まったまま引きづる。重い。噛まれた。

  しょうがない。ちっそくしないでね?わがままなんだから。


  布団の中でポテチ見てたら眠くなってきた。もうねむい……


  「……おやすみ。」


  下の兄ちゃん、柚姉、天国のお父さんとお母さん、ポテチ。みんなにおやすみ。夢の中でも、わたしを守ってね?


  目を閉じたら夢の中だ。そしたらすぐに明日になる。


  ……しょうがない。明日も兄ちゃんと柚姉と遊んであげよう。


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