3条5丁目-2
「これ、何だ?」
テーブルの上に無造作に置かれた、裏返しの小さいカード。
学生証か何かかな?
興味本意で、表面を見てみる。
そこに書かれていたのは。
本郷市立大学学生証
文学部心理学科2年
星野 胡桃
HOSHINO KURUMI
星野初音じゃなくて、星野胡桃。
この名前の意味は、理解できなかった。
「お待たせ」
ハツネちゃんが、お茶を入れて戻ってきた……って言いたいところだけど、
その前に、目の前にいるこの人に、確認しておこう。
あなたは、ハツネちゃんですか?くるみちゃんですか?
「とりあえず、今はハツネちゃんかな」
とりあえず今は……なんか気になるね。くるみちゃんはどこにいるの?
「くるみちゃんもいるよ。ハツネちゃんの体の中に」
ちょっと意味が分からない。
結局、ハツネちゃんなのかくるみちゃんなのか、どっちなの?
「くるみちゃん呼んでくるから、ちょっと待ってて」
そう言って、奥の部屋に行くわけでもなく、そのまま誰も何も動かず、10秒経過した後。
「えっと……初めまして、星野くるみです」
ハツネちゃんだったはずの女の子が、くるみちゃんとして自己紹介した。
全く付いていけないんだけど、どういうこと?
「私たち、多重人格なんだ」




