3条3丁目-9
[side-HATSUNE]
翌日の昼休み。いつものように、怜ちゃんと一緒に食堂に来た。
怜ちゃんがハツネちゃんの顔を覗き込んで、「なんか良いことでもあったか?」って聞いてきた。
良いことっていうと……あれしかないか。
くるみちゃんが作った「約束の歌」の話はしたよね。
「それは聞いた。あいにゃんが曲を付けて、一緒に歌うんだよな」
うん。あいにゃんが作った曲が、昨日届いたんだ。
「どんな曲なんだ?」
携帯に入ってるから、一緒に聞いてくれる?
「うん」
あいにゃんが作った、ピアノ伴奏&ボーカル打ち込み音源を、怜ちゃんと一緒に聞いた。
「なんか、あいにゃんらしい曲だな」
あいにゃんらしい曲って、怜ちゃん、あいにゃんのこと知ってるの?
「知ってるっていうか、あいにゃん、私の妹なんだ」
えっと……初耳にも程がある。なんか日本語がおかしいけど。
あいにゃんが歌い手を始めたのは、去年の7月2日。
受験勉強に飽きたから新しいことを始めてみたいって、中学3年のあいにゃんが、大学1年の怜ちゃんに相談した。6月上旬の話。
元々カラオケが趣味だったあいにゃんに、情報工学科音声工学専攻の怜ちゃんが、歌ってみた動画の撮り方、編集の仕方を教えてあげた。収録するための機材も、1台だけ買ってあげた。
それから歌の練習、収録の練習、編集の練習をして、7月2日、「輝きはいつまでも」を投稿した。
つまり、あいにゃんの歌い手デビューの陰には、怜ちゃんの手助けがあったんだ。
あいにゃんっていうハンドルネームも、元々は怜ちゃんが使ってたあだ名なんだって。
怜ちゃんは、今でもあいにゃんと連絡取ってるの?
「毎日ってわけではないが、時々話をするくらいだな。機材が壊れたら直し方教えたり。もしかしたらくるみの方が仲良いかもしれない」
なるほどね。
「ハツネとくるみは仲良いのか?」
キーマカレー1つ。3辛でお願いします。
「話をそらすな」




