第76話 ムソウの過去―カンナを探す―
少しだけ、残酷描写強めです・・・。苦手な方は、一報ください。と言っても直しませんけど、今後のためにお願いします。
サヤを喪った後……正直そこからの記憶はほとんどない。俺は屋敷内に残っていた山賊や盗賊どもを皆殺しにした。
そして、カンナを探そうと屋敷を出た。だが、屋敷の周りには騒ぎに乗じて金品を盗もうとするもの、あるいは闘鬼神の者達の亡骸を弄ぶものたちが集まっていた。
エンヤも……死んでいた……。横たわりながら、今までの恨みと言われながら、身ぐるみを剥がされ、唾を吐かれ、斬られたり、蹴られたりされていた……。
……ふざけんじゃねえ……
無間を振り上げ、俺はそこに居た奴らも一人残らず皆殺しにしていく。
向かってくる奴らはその得物ごと叩き斬った。
俺に恐れをなし、逃げ出そうとする奴らは、後ろから真っ二つにした。
手を合わせ、跪き、命乞いをしてくる奴らは、そのまま首を刎ねた。
エンヤや、闘鬼神の仲間達を弄んだ奴らは、手足を叩き斬り、胸に無間を突き刺した。
そして、そこに居た奴らの血で辺りが真っ赤に染まった頃、俺はエンヤや闘鬼神の皆が奪われていたものを回収し、タカナリの屋敷を出た。
カンナを取り返すために……俺は辺りを走り回った。しかし、周囲を山や森に囲まれたタカナリの屋敷。そう簡単には見つからなかった。人攫いが隠れそうな洞窟や、俺が殺したこの辺りの山賊や、盗賊などの根城などをしらみつぶしに確認したが、カンナの姿を確認することは叶わなかった……。
……その後、俺達の国、安備の国は領主不在として、すぐさま衰退、玄李の国に攻められ、滅亡した。
安備の国の者達は、ある者は殺され、ある者は玄李の国の奴隷となっていったという。そして、玄李の国は、安備の国の東西にあった小国も制圧。およそ四年足らずで、大陸を統一していった。
国を落とされた民たちは、安備の国の者達のような扱いをされるのがほとんどだったが、中には、密かに反乱を企てる者達も居たという。……だが、そんな奴らも、一つ、また一つと玄李の軍勢に成すすべもなく、潰されていった。
……その頃、俺は未だカンナの行方を追って、国中を歩いていた。だが、無間という目立つものを持っての旅では、ところどころで山賊や盗賊たちに襲われることもあった。国が変わっても、コイツ等は変わらない。弱者を襲い、金品を盗っては、下卑た笑いを浮かべるだけ。中には、玄李本国から流れてきた奴らも居たりして、憂さ晴らしのように、俺達の国に居た奴らから金や果ては、人を攫い、本国に流していたそうだ。
俺は向かってきた奴らをただ、ひたすら斬っていた。そして、斬ってはそいつらの身ぐるみを剥いで、金に換えては旅を続けていた。そうしているうちに、俺の体には生傷が絶えなくなり、全身を包帯が覆っていくようになった。
だが、俺は気にしなかった。傷が増えようとも、街に入り、人々が俺を指差し、ひそひそ話していようとも、俺は何も思わない……。ただ、ひたすらカンナを探していた……。
そんな時、ある村を歩いているときだった。俺はとある騒動に出くわす。
「貴様! 我々の言うことが聞けないと言うのか!?」
声のする方を見ると、玄李の兵士が五、六人ほど居て、そのうちの一人が何か叫んでいた。その相手は、若い女で、その傍らには、男が一人血を流し、倒れている。
若い女は倒れている男に顔を当てて泣き叫んでいるみたいだ。
俺は周りに居た群衆たちの会話を盗み聞いた。
何でも、あの男女は夫婦で、ここには、商売によく来ているという。いつものように店を出していると、あの兵士たちがやってきて、ここで商いをするなら金子を収めろと要求してきたという。
しかし、その額はあまりにも法外で、男の方は、それを断ったという。
すると、兵士は怒り、刀を抜いて男を斬ったという。そして、金の代わりに女を慰み者にしようと、兵士たちは連れ去ろうとしているらしい。
よくある話だな……逆らわなかったら死ぬことも無かっただろうに……。
そう思い、立ち去ろうとすると、女の声が聞こえてくる。
「……あなた達に……あなた達に私達は屈しません! 私達には……ザンキ様が居る! 今にザンキ様が私達を、また、助けてくださる!」
女の言葉に、兵士たちは一瞬ポカンとして、次の瞬間、腹を抱えて笑い出した。
「ギャハハハハハ! ザンキ様だってよ!」
「負け国の負け犬に何ができるんだ!?」
「大体、あいつは死んだんだよ! すでに五年前にな! 家族もろともあの世行さ!!!」
兵士たちはそう言って女を嘲笑っている。女は泣きながら、
「嘘よ! ザンキ様が……ザンキ様が死ぬはずない! それにサヤさんだって……カンナ君だって……出鱈目言わないで! この嘘つき!!!」
と、兵士たちに怒鳴る。すると、ピタッと兵士たちは笑うのをやめる。そして、一人の兵士が女を後ろから羽交い絞めにして立たせ、残りの兵士が、女を傷めつけながら、大声で叫び始めた。
「我々を嘘つきだと……! 良いか、よく聞け! 俺がな……俺こそが、あのザンキの息子を攫ったんだよ!」
その言葉にざわつく群衆。そして、男の言葉に続くように、他の兵士たちも口を開き始めた。
「俺達はな……タカナリが行方不明になったあの日、タカナリの屋敷に居たんだよ! あの日、屋敷ではザンキのガキの誕生日か何かを祝うバカ騒ぎがあったな……。
ま、そのおかげで俺達はザンキと、その家族という玄李の国にとって最大の禍の種を刈ることが出来たんだがな!」
「ザンキのガキ、カンナっつったか? 最初は俺達に反抗的な態度だったが、三年ほど前か? もう両親には会えないってことを悟ると、絶望したようにそのまま死んでいったよ!
死ぬ寸前まで、ちちうえ~とかははうえ~とか言っていたな~! もうこの世にはいないのに……馬鹿な最期だったろう?」
「まあ、その手柄で俺達もこの村を預かる身になったんだがな!」
兵士たちはそんなことを言いながら、なおも、笑いながら女をいたぶり続けていた。群衆からは、怒りと、女に対する同情の視線が向けられていたが、兵士たちはそれに構うことなく、女に暴行を働き続けている。
強者なら弱者に何をしても良い……そんな雰囲気を醸し出す兵士たち。今や、元安備領だった各地では似たようなことが起こっている。本国から村や町を任された玄李の者達が、暴行や恐喝を民衆たちに行っている。
今までは考えられなかったほどの重税と、支配が、民衆たちを苦しめていた。
……だが、俺にはそんなことどうでも良かった。俺は群衆たちを押しのけて、兵士たちに近づいていく。俺を止めるような言葉が聞こえて来たが、俺は、ただ、その兵士たちだけを見ていた。
すると、ここで兵士たちが女をいたぶるのを辞めた。そして、一人が刀を抜く。
「……さて、ここらで見せしめだ。俺達に歯向かったらどうなるのか、改めて教えてやろう……」
「ザ……ンキ……様」
「貴様……まだあの男に助けを求めるか……あの世に行けば会えるぞ! そこでずっと負け犬に助けを求めていろ!」
刀を振り上げ兵士がそう言うと、他の兵士たちは腹を抱えて笑った。すると、一人の兵士が、群衆をかき分け自分たちの方に近づいてくる俺に気付く。
「……ん? なんだ? 貴様……貴様も我々に文句があるのか!?」
そいつは俺の前に立って、俺を睨みつけてくる。すると、俺が背負っている、無間に気付いたらしい。ジロッと無間を見て、
「なんだ? 貴様、妙な刀を持っているな? ……よし、それをここに置いて、あと、金をここに置いていったらこのことは水に流してやろう」
兵士はそう言って、俺に手を差し出してきた。俺は黙って無間に手をかける。
「ん? なんだ、話がわかるなあ~! やはり安備の負け犬共は我々に黙って従っていれば良いんだ! でなければ、あの女のようにはならないぞ! アーッハッハッハッハッハ!」
兵士は俺の目の前で、笑い始める。そして、他の兵士たちも笑い出した。
ズシュッ!
「はっはっは……は?――」
俺の前で高笑いしていた、兵士が突如縦に真っ二つになる。俺は、無間を抜き兵士をそのまま斬った。
そして左右に分かれた兵士の体はそのままドチャっと俺の足元に転んだ。
群衆たちの中から悲鳴が聞こえてくる。そして、俺の行動を見て、残った兵士たちは笑うのを辞めた。あまりの出来事に茫然とする兵士たち。しばらくして状況が理解できてくると、全員、刀を抜く。
「キ、キサマアアア! 何をする!?」
一人の兵士がそう言って俺に斬りかかってきた。
「……」
俺はその男の刀を斬り、そのまま首を斬った。胴体だけが俺の方に走ってきたが、俺の足元で倒れた。首のあったところから大量の血が噴き出て俺を真っ赤に染めていく。首の方はその場に残っていた兵士たちの方に飛んでいった。
「おわあっ!」
首を受け取り、しりもちをつく兵士たち。俺はそこに素早く近寄り、三人の兵士の首を飛ばす。
そして、女を羽交い絞めにしていた兵士の頭を一突きした。
「ギャブッ!」
兵士は女を開放し、じたばたしている。俺は無間を横に振ると、兵士の頭部は半分に斬れて、どさっと倒れた。
……残ったのは、何やらギャーギャー語ってた、五月蠅い兵士ただ一人。俺が一睨みすると、そいつはガタガタ震えて、刀を落とす。俺はそいつに歩み寄っていく。
……こいつは……あの日……あそこに居たんだ……そして……皆を……カンナを……
「ヒぃッ!」
男は情けない声を上げて、その場に座り込む。そして、失禁し地面を濡らしていく。
「き、貴様! 何者だ!?」
「……」
俺が睨むと、そいつは逃げようとする。俺はそいつの左足を斬って逃げられなくした。
「ギャアアアアア! アア! アアア~~~~!!!」
足を押さえて絶叫しながらその場で転げまわる兵士、そして、自らの小便まみれになりながら、俺に助命する目で見てくる。
「た、タス……助けて……!」
俺はその様子を眺めていた。そして、そいつの胸倉をガシッと掴み、顔を近づけて、更に睨みつける。
「ヒいいいいぃぃぃ! や、やめろ! やめてくれ!」
じたばたする兵士。
……何を辞める……? 何を辞めて欲しい……? こいつは……何を言っている……?
すると、ここで、俺の背後から声が聞こえた。
「ザ……ンキ様……?」
俺が振り向くと、ボロボロになりながらも女が俺を見て、そう呟いていた。女は俺と目が合うと、一瞬だが、目を見開き、そして、涙を流し始めた。
「……ご無事……だったの……ですね……ザ……ザンキ様……その人……達の……出鱈目に……惑わされ……ては……駄目……です……カンナ君は……サヤさん……私の友人……生きてます……きっと……きっと……」
そう言い遺し、女は笑顔で息絶えていった……。
俺は、兵士の方に向き直り、睨みつける。俺の手の中で、兵士は慌て始める
「お、お前……いや! あ、貴方が……ザンキか! す、すまなかった! 本当に! すまなかった! だ、だから、頼む! 助け――」
俺は無間を手放し、その手で、兵士の顔を掴んだ。
「ぐむ……! ~~~~~~ッ!!!」
俺はそのまま、兵士を持ち上げる。じたばたしているようだが、俺は決してそいつを放さなかった。
こんな奴に……!
「~~~~~~!!!」
俺はなおも暴れる兵士の頭部をそのまま、地面へと思いっきり叩きつけた。グチャッといって、俺の手に、兵士の頭が潰れる感触が伝わった。
そして、指の間から血が噴き出て、ビクビクと痙攣していた兵士の体はバタッと動かなくなった。
その光景を群衆たちは、ただ、黙ってみていた。ある者は顔を逸らし、ある者は口を抑え、またある者は祈っているようだ。
……俺は無間を仕舞い、手を拭って女を……サヤの友人という、その女を抱えた。
そして、兵士に殺された、こいつの旦那の元に寝かせ、頭を下げた……。
俺は立ち上がり、その場を離れていく。俺の前に立ちはだかるものなど居なかった。
群衆は俺が通る道を開け、俺が前に来ると、深く礼をして俺を見送っていた。誰も喜んでなどいなかった。だが、怒ってもいなかった。
皆……ただ、涙を流していた……。
その日、大陸中にとある一報が響き渡る。
「“死神斬鬼”、生存」
ここではザンキの怒りがどれくらいなのかを伝えるために僕が思いつく限りのすこしむごい殺し方で描写しました。
最初にも書いたのですが、この話は直す気はないですが、きついと感じた方はご一報ください。今後はこういうの減らしていこうと思います。




