第56話―ミリアンの家に行く―
ミサキの家を出た後は、マリーとリンスの案内で、ミリアンの家へと向かった。出かける前に、これ持ってって! と、ミサキにあるものを貰った。
何だろうと思い、見てみると……おお、これは使えるな……よ~し、良いぞ。流石ミサキだな……。こういうことを思いつく当たり、生きていればサヤと仲良くできたかもしれない……。
俺はそれを、ツバキ、リンス、マリーに渡しておいた。そして、マシロの町中を歩いていく。
一応、二人には縄を縛ってある。いかにも捕まっていますということを、周りに知らしめるためだ。ツバキは、その隣を歩いている。今日はツバキも非番なのか、鎧を着ていない。
だが、騎士団の証である、首飾りをしているので、誰が見ても、冒険者ムソウと、騎士が、マリーとリンスを捕縛したというようにしか見えない。
街の中をそうして歩いていると、やはり、何人か近づいてきた。俺は予定通り、そいつらに死神の鬼迫を使って、気絶させていく。周囲の人間は、リンスとマリーが何らかの術を使ったと思い込むようになり、近づかなくなっていった。
「これは予想外の結果ですね……」
ボソッと、ツバキが呟く。
「まあな。まあ、残った奴らも後で例の方法で元に戻してやればいい」
と、返すと、ツバキはコクっと頷いた。
「そう言えば、ムソウ様のお力はどのくらいなのでしょうか?」
「あ? それはどういう質問だ?」
「いえ……私にとっては、昨日の鍛錬の時しかムソウ様のお力を計る事が出来ませんので。果たして、この作戦を成功させるに至るかどうかの確認です」
あ、なるほど……。それは確かに必要なことだなと思い、ツバキに笑った。
「少なくとも、俺はデーモンロードを倒すことが出来るくらいの力を持っている」
そう言うと、ツバキはキョトンとする。
「え……ミサキ様とデーモン討伐に出たのは知っておりますが、デーモンロードを討伐されたのが、ムソウ様とは知りませんでした……」
ツバキの言葉に、だろうな、と頷く。この街の住民や、昨日、鍛錬した騎士たちには、そう広まっていたみたいだからな。
一緒に歩いているリンスとマリー曰く、冒険者がどの依頼を達成したかは、すぐに広まるが、その詳細は、ギルド側しか知らないので、例えば、多人数で挑んだ場合の、誰がどの魔物を倒したのかまでは、一般人には伝わらないという。
まあ、ギルドにとっては、依頼の成功の有無だけが大事なので、その必要は無いなと俺も思っている。しかし、デーモン討伐に関しては、ミサキのお供で、俺が出たという部分が気に入らない。間違った噂は信じるなと、言うと、ツバキはクスっと笑い、頷いた。
「かしこまりました。しかし、そういうことでしたら、私も安心してよろしいですね」
「ああ。俺のことに関しては、大丈夫だ。
……だが、俺としてはお前のことも頼りにしている。最後まで、気を抜くなよ」
昨日の感覚だと、ツバキもそこそこの腕を持っていることは確認済みだ。それに、闘い以外にも、機転が利くようだ。だからこそ、リュウガンたちと分かれて、俺の補佐として、一緒に行動させている。
戦うことにしか能が無い俺にとっては、ツバキの行動にも期待している。必ず、この街を元に戻そうと言うと、ツバキは、コクっと頷く。
「あ……そう言えば、ツバキ。俺もお前に確認したいことがある」
「はい、何でしょうか?」
「お前、人を斬ったことがあるか?」
俺に同行する以上は、そうなる可能性も高い。このことは、すっかり頭になかったと少し反省する。
ツバキ達、騎士は、人々を護る存在であり、殺す立場には立っていない。この一件で、ツバキに人殺しという業を背負わせる羽目になると、今更ながら、気づいた。
こいつはまだ若い。それに女だ。人を斬るという覚悟など持たせてはいけないと思っている。
しばらく、ツバキは黙ったままだったが、大きく息を吐き、意を決したようにまっすぐと俺を見てきた。
「確かに私は人を斬ったことがありません」
「そうか……なら――」
「ですが、ムソウ様の推測通り、ミリアン卿や、くだんの冒険者の方々が、この街や、リンスさん、マリーさんの身を危険にさらしているというのならば、迷いなく斬ります」
ツバキの言葉に驚く。若いながらも、既に敵を斬るという覚悟は出来ているらしい。だが、それだとツバキに悪い気がする。ここは、俺が皆の代わりに、奴らを討つべきだと考えていると、ツバキは更に続けた。
「ムソウ様。昨日も申し上げました通り、私の刀は誰も死なせないと、心に決めております。私の信じた方々や、護りたいものを護る為ならば、私は迷うことなく、敵を斬ります」
刀を掴み、胸に手を置くツバキ。その瞳は、言葉通り、迷いなくまっすぐと俺を見つめる。
これは、何を言っても無駄だろうな。俺は、観念して、ツバキに頷いた。
「わかった。お前がそう思っているなら、それで良い。
お前が納得するようにしてみろ」
そう言うと、ツバキは微笑み、コクっと頷く。
「かしこまりました、ムソウ様。それから……ありがとうございます」
「ん? 何がだ?」
急に礼を言われて、何のことだろうかと聞いたが、ツバキは何でもないですと言って、歩き始めた。
どうしたのだろうかと頭を傾げていると、リンスとマリーが俺に寄ってくる。
「ちなみにですが、私も覚悟できていますからね、ムソウさん。私も、元は冒険者。むざむざ敵に殺されるようなことはしません……ですが……」
「私は……やはり……」
ふむ……リンスの方は、これから敵を斬るということに関しては大丈夫そうだ。ギルドの副支部長だけあって、その辺りは潔いようだな。
しかし、マリーは普段から闘いの中に身を置くような立場に居ないので、そういったことに関しては、少々、恐れがあるようだ。これに関しては無理もない話だ。俺は、マリーに頷いた。
「ああ。お前は、屋敷に行ったら身を守ることに徹しろ。敵から危害を加えられないように、俺やリンス、ツバキで必ず護ってやる。
そして、リリーとエリー、それにロウガンと仲直りさせてやるよ」
俺の言葉に、リンスとツバキは頷いた。マリーは表情を明るくさせて、はい! と、頷く。
さて、これ以上近づかれると周囲に不審がられるので、再び、二人から少し距離を取り、ツバキと一緒に、二人に結び付けている縄を引き始めた。
そして、しばらくすると、俺達の前にロウガンが現れた。ロウガンは、リンスとマリーを見るや、俺達の方に近づいてきて、刀を抜き、がなり立てる。
「ムソウ! 捕縛なんて甘いことしてんじゃねえ! とっととその二人を斬りやがれッ!」
……む? ロウガンが先ほどよりも、怒っている気がする。気のせいか……?
取りあえず、ロウガンの怒りを諫めるように、肩を叩く。
「まあ、そんなに慌てるな。ミリアン卿の目の前で二人を殺さないと納得しないかもしれないだろ?」
俺がそう言うと、ロウガンは、確かに、と頷いた。そして、
「なら、俺も行くか。二人の死に際をきっちり見届けないとな!」
そう言って、俺の前に立った。やはり、既に二人に対しては、慈悲の気持ちも無いようだ。マリーとリンスは、何も言わず、俺の目を見てきて頷く……よし。
「なあ、ロウガン?」
俺はロウガンに声をかける。
「ん? 何だ? ムソ――」
―死神の鬼迫―
俺は、朝よりも強めにロウガンに殺気をぶつける。ほとんど、本気で斬るというくらいの勢いだ。これで駄目なら、無間を抜いてでも、気絶させてやると思った瞬間、ロウガンはそのまま、バタッと倒れた。
俺はわざとらしく大きな声で、
「ん!? おいどうした!? 誰かー! 誰か来てくれ!」
と、叫んだ。すると、何事かと、辺りに居た奴らがゾロゾロと集まってきた。その中にはリリーとエリーも居る。マリーは何かを言いたげだが、すぐに黙り、再び、俺を信じるように頷いた。
……すまない。
俺はそいつらにも鬼迫を当てて、気絶させた。
マリーとリンスはほっと胸を撫でおろし、俺達はまた歩き出した。リンスはロウガンから離れるときに、
「すべてが終わったら、今回は、私があなたにお説教です」
と呟いていた。
マリーの方は、エリーとリリーの前に立ち、
「……ごめんね」
と、頭を下げていた。
「……二人とも、本当にすまない」
「いえ……直接皆を気絶させるムソウさんが一番おつらいでしょう?」
俺が謝ると、リンスがそう言って、二人は頭を下げた。二人は優しいな。でも、俺はここまで優しくない。今だって、もっと何かできるだろと、自分に訴えかけている。そして、倒れている、ロウガン、リリー、エリーを見た。
……俺の仲間たちにこんな思いをさせた奴は絶対に許せない。
俺は、心の中で、こんなことをしでかした奴らを、必ずぶった斬ると誓った。
その後、俺達はミリアンの家に着いた。戸を叩くが、誰も出てこない。仕方ないので、勝手に入った。すると……
「よくぞ、来られました。……では罪人をこちらへ」
と、女が出てくる。こいつは……確か、俺が握手をした時にもいたな。腰に剣を差していた。今日もそのようだ。
だが、街の奴らに比べると、リンスとマリーを見ても落ち着いている。俺達の推理は当たりかもしれないな。
「ああ……わかった」
そう言って、二人を女に預けようとした。すると、女はいきなり、腰に下げていた剣を抜き、二人に斬りかかってくる。
それをツバキが受け止めた。
「……どういうことですか?」
ツバキが怒りながら、女に尋ねた。
「私が、罪人を裁くのです。……文句はないでしょう?」
女は笑いながら、そう言った。一応、ツバキは騎士なのだがな。この様子を見る限り、女はツバキが呪われていないということに勘づいたのか?
「それに……貴女ももう用済みです。……冒険者ムソウ……この女ともども二人を斬りなさい」
だが、俺の方は呪われていて、自分たちの意のままと考えているみたいだな。
……さて、どうするか。ここでこの女を斬っても良いが、それだと呪われていないってバレるかもしれないな。どこで誰が見ているかわからないし……。
仕方ない……。
「ああ、わかった」
俺は女の命令に頷き、無間を抜いた。そして、余裕そうな態度の女に口を開く。
「……なあ」
俺が女に話しかけると、女は、何かしら? といった感じに、こちらに向き直る。
―死神の鬼迫―
俺は女に殺意をぶつける。女はそのままガクッと失神し、倒れていった。
その光景を見ながら、ツバキが俺に頭を下げようとしたので止めた。そして、小声で伝える。
「どこで、誰が見ているかわからない。お前は呪われていないということに、向こうは気づいているようだ。……なら、呪われている俺に付き従っているツバキというのを演じ続けろ……」
俺がそう言うと、ツバキは頷く。そして、刀を仕舞い、慌てた様子で女に駆け寄った。
「あ、どうされましたか? 誰か~! いませんか!?」
大きな声で人を呼ぶツバキ。やはり、機転が利くな。演技力も大したものだ。こっちの世界でも、“ツバキ”という女に、助けられるのかと苦笑いする。
すると、奥の部屋から、俺よりも少し年下くらいの壮年の男と、若い男が現れた。……おっさんの方は俺にあやかりたいと言っていた奴だな。もう一人は朧げだが、あの時も居たような気がする……。
「おお、騎士さま、どうかされたかね?」
おっさんはツバキに歩み寄っていく。
「はい。例の罪人を連れてきましたところ、こちらの方が出迎えてくださったのですが、急に倒れてしまいまして……」
「なんと! それはいかんな。急ぎ、奥の部屋へと運ぼう」
「では、罪人の方はどうされますか?」
「それは私がご案内いたします。……どうぞ」
若い方の男は俺達を手招きする。おっさんの方は、女を抱えて、別の部屋へと向かった。俺達は取りあえず、若い男についていく。
すると、大きな部屋へとたどり着いた。そして、部屋の奥には、ツバキの描いた絵と同じ顔の者達、ミリアン卿、カリヴ、そして、俺に握手を求めてきた女が居た。
「……よくぞ参った、冒険者ムソウ殿。さあ、罪人をこちらへ……」
ミリアン卿はそう言って、マリーとリンスの方を指差した。俺は言われるがまま、ミリアン卿の前へと二人を立たせる。
「間違いないだろうか?」
俺がカリヴに尋ねると、カリヴは大きく頷いた。
「間違いありません! その人たちが私達を危険な任務に追いやり、ボロボロの私に違約金を払えと脅し、あまつさえ家中の者に暴行を働きました! どうか父上! 彼らに正当な裁きを!」
カリヴは震える声で、ミリアン卿にそう言っている。ミリアン卿は息子の言葉に対し、
「おおっ! カリヴ! さぞ辛かっただろう!?
私の息子によくも、怖い思いさせたな……! そこの騎士よ! この二人を今すぐ、斬り捨てよ!」
と、わざとらしく叫び、ツバキを指差した。ツバキは少し焦った様子になっていく。
「で、ですが……正当な裁判も無しに……そのようなことは出来ません!」
ツバキは斬るのを躊躇している。その後もミリアン卿たちから斬れという指示は続くが、ツバキは首を縦に振らない。そんな問答が何度も続いた頃、俺は若干苛立った様子で無間を抜きながら、ツバキに詰め寄る
「ミリアン様の指示が聞けねえって言うのか!? このアマッ!」
「ム、ムソウ様!?」
俺の声に驚き、ツバキはこちらを見る。
「テメエが斬らねえってんなら、俺がこいつらを地獄に突き落とす!
……そんで、テメエも殺す!」
俺は無間を振りかぶる。更に慌てた様子のツバキはそのままへたり込んだ。
「な、何故、私が!?」
「罪人を生かす……それが罪だッ!」
俺は逃げようとするツバキを斬った。腹のあたりから、血が噴き出し、その場を真っ赤に濡らしていく。
「グゥッ! ……ム……ムソウ……様……」
ツバキはそのまま、傷を抑えながら、床に伏し、事切れていった……。
そして、俺はおびえた目をした、マリーとリンスに近づく……。
「ひ……ひぃ!」
「お助けを……!」
泣きながら、俺に助命を乞う二人を見ながら、俺は無間を振り上げる……。
「外道が……テメエらを助ける? 罪人は黙って俺に殺されろ! クソ共がッ!」
俺は、更に二人を斬った。二人も、胸の辺りから血を流し、倒れていく……。
……俺は無間の血を払い、ミリアン卿たちの元へ行き、跪いた。
周囲の人間は拍手をしている。そして、ミリアン卿が笑いながら、俺にこう言った。
「はっはっは! よくやった! よくやってくれた! ムソウ殿! さて……これで邪魔者は居なくなったな!」
俺は、沈黙を守る。すると、周囲の者達も話し出す。
「そうですね……ここまで来るのに苦労しました」
と、俺に握手を求めてきた女がそう言うと、カリヴが笑い声をあげる。
「ああ! だが、呪いをかけられなかった女騎士が、この二人を連れてくるとは思わなかったな!」
カリヴはツバキを指差しながらそう言ってる。
「だが、ムソウ殿も一緒で助かった。これで、ようやくだな……」
俺達をここに連れてきた若い男はそう言って、ミリアンを見た。ミリアンはそれに大きく頷き、手を広げた……。
「その通りだ! ようやく、ここまで来た! これで、マシロ領は我らのものだ!
この地を足掛かりに世界に打って出る! こちらには、“武神”サネマサの一番弟子、“闘将”ロウガン、“魔法帝”ミサキ、そして、謎の強さを誇る冒険者ムソウが居る! いずれ人界は、我ら「転界教」のものにしてくれよう! ハーハッハッハ!」
ミリアンが高らかに笑うと、背後の旗が落ちて、新しい旗が出てきた。それは紫色で、よく目にする世界地図を反対にし、そこに大きくバツ印をつけた紋様の金の刺繍が施されていたものだった……。
「……手始めに、ワイツの屋敷でも襲うか!? 制圧はあっという間だぞ! こっちには切り札もあるからな!」
カリヴの提案に、ミリアンは頷く。そして、辺りには、笑い声がただただ響いていた。
「……なるほど。ムソウ様の推理は大方合っていましたね……」
突然、誰か話す声が聞こえた。笑い声はピタッと止み、皆の視線は声のする方へと注ぎ込まれる。そこに居たのは、死んで倒れているツバキだった。
ツバキはゆっくりと立ち上がり、大きく息を吐く。
「……ふう。死んだふりなんて、したことがないので難しかったです」
ツバキの様子に、周囲の者達は皆、信じられないという目をしていた。
「……いえ、お上手でしたよ。ムソウさんに斬られるところなどは迫真の演技でした」
「数多い特技の一つに入れてみてはどうでしょう?」
またも、声が聞こえる。今度は倒れている、マリーとリンスの方からだ。そして、二人もゆっくりと立ち上がる。ミリアン達は、その光景に口を更に大きく開けて、見ていた。
「いや、しかし、ミサキ様から頂いたこれ……なかなか美味しいですね」
リンスは自分の手のひらについている血を舐めている。マリーとツバキは微妙な顔をした。
「……リンスさんて意外と野性っぽいというか、そういう一面もあったんですね」
と、マリーが言った。
「いえ、この赤いものは……マティですよね。……私の好物なんですよ」
「……この状況で、それを好物と言いながら舐めると、吸血鬼を思い出すので辞めてくれませんか?」
リンスの言葉に、ツバキがジトっとした目で返すと、リンスは仕方ないですと言って、渋々、舐めるのを辞めた。
「……しかし、これでは服が台無しです。切れて汚れて……」
「……私もです。クレナ行った際に気に入って買ったのですが……」
「後でムソウさんに何か買ってもらいましょ!」
マリーの言葉に、リンスとツバキは、ボロボロになった服を眺めながら、そうですねと頷いている。俺の知らないところで話を勝手に進めやがったな……。
「……おい。それを渡してきたのはミサキだ。十二星天のミサキだ。もっと良いのを買ってもらえよ」
俺なんかより、よほど金を持っているだろうアイツの方がより良いものを買ってもらえると言うと、その方が良いですね、とツバキたちは笑った。……くそう。何か、悔しい気になって来るな。
さて、ミリアン達はさらに驚き、俺に目を向ける。
「ム、ムソウ殿!?」
驚いた表情でミリアンは俺を呼ぶ。だが、無視して、俺は振り返らずにマリー達の方に歩を進める。
「……悪いな。全部俺達の演技だ。諸君は見事に騙されたな」
俺は歩きながら、リンスに武器を投げ渡した。リンスはそれを受け取り、剣を抜く。
「そして、聞きだす手間も省けた。結構、壮大な目的の下、この騒動を引き起こしていたんだな。流石に俺もそこまでは推理できなかった」
俺は無間に手をかける。ツバキも、腰の刀を抜き、構えた。
「まあ、そのあたりは俺にとってはどうでも良い。俺は……俺の仲間たちをこんな目に合わせたてめえと……」
俺は無間を抜き、俺に握手を求めてきた女冒険者を睨む。顔色を悪くして、後ずさる女と、目を丸くさせるその他、冒険者達。そして、一体何が起こっているのかという顔をしているミリアンに無間を突きつける。
「俺を嵌めようとした……てめえらをぶった斬りに来たんだよ!」
―ひとごろし発動―
スキルを発動させると、無間が輝きだした……。




