表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古今無双の傭兵が異世界へと行っちゃった話  作者: やまだ和興
邪神族を斬る
506/534

第505話―天上の儀が終わる―

 その後も会議は順調に続き、昼休憩を挟んで少しして、天上の儀の本会合は幕を閉じた。

 リンネは昼飯時になると起きたが、午後もやはりすやすやと眠っていた。

 特に反省している様子もないし、俺らからも言うことは無いので、別に構わないが、この状況で寝ることが出来るのは、アヤメかリンネちゃんくらいとジゲンは笑っていた。

 結局、言う機会が無かったので、俺の異名は“死神”のままなのが、何となく不服なところである。


 シンキとオウエンの閉会の言葉が述べられた後、十二星天と、ロロ達その弟子達は、会議場から退室。

 俺達も、ぞろぞろと部屋を後にした。


「まだ、夕方前だな……部屋でゆっくりするとしようか」

「いよいよ……ですね。冥界には、いつ行くのですか?」


 天上の儀が終わっても、シンキ達はやることが多い。今回決まったことを纏め、人界全土に渡らせるという作業が残っている。

 幸い、今は戦争前で人界各地に散らばっていた民衆達は、大きな街で固まっている。

 その作業についてはいつもより早く終わるだろうが、それまでが長い。

 俺とツバキは、後の事はジゲン達に任せ、冥界に出向くのだが、俺は会議中にシンキと交わした約束を話し、冥界に出向くのは明後日と伝えた。


「俺としては、大切な事だと思っている。許してくれ」

「ムソウ様がそうお決めになったのでしたら、私から言うことはございません。では、明日は私も、色々と前確認を行っておきます」


 ツバキは俺の考えを承諾し、明日は一日、冥界に向かう前の最後の確認の日と決めて、今日はこの時間からゆっくりしようという話になった。

 寝ているだけで一日を過ごしたはずのリンネだが、おなかすいたと言って、俺とツバキを部屋へと引っ張る。

 のんきなものだが、リンネのこの性格のおかげで、張り詰めそうだった俺達の気も和らぐ。

 ツバキと一緒に、分かったと頷き、部屋へと戻ったのだが……。


風呂に入って、飯を食う直前、俺の“今日”はまだ終わらないという事が告げられ、俺は再び、少しばかり頭を悩ませることとなった。


 ◇◇◇


 本会合が終わった後、十二星天はいつものように別室で今回の纏めとなる会議を行う為、王城の一室に集まった。

 オウエン、シンキも着座し、人界最高の権威が集まるという光景に、初めて参席したコウカンは、噂以上だと身を引き締める思いだった。

 しかし、ロロ達のように、自分よりも若い者達が、既にその場の空気に慣れていることも同時に感じ、どのように居れば良いのかと、悩み始める。

 そんなコウカンを気遣うように、リーとミサキは声を掛ける。


「そこまで緊張しなくて良いよ。貴方は、ここがどういう場所かを学びつつ、僕が変なことを言いそうになったら補佐してくれれば良いから」

「肩の力を抜いてリラックスだよ~。というか、コウカンさんは私と一緒に戦った仲なんだから、そこまで気を張り詰めることもないでしょ~?」

「そ、そうは言われましても……」

「貴方は、僕が認めた僕の弟子です。それを誇りに、堂々としていてください。そうしないと、何となく僕が恥ずかしいので……」

「むう……カイハク様もなかなか意地悪なことを……ああ、ロウガン殿やギリアン殿は何故、この場に居ないのか……」


 二人に元気づけられても落ち着かない様子のコウカンは、つい、いつもよく接する十二星天の弟子達を思い浮かべ、ここには居ないその者達に助けを乞う発言をする。

 リー、ミサキがやれやれと思っている中、そう言えば、とレオパルドが口を開いた。


「そういや……言われてみればそうだな……なんで、サネマサとコモンの弟子達は、毎回、ここに参加しないんだ?」

「ロウガンはギルド支部長という立場があるからな。今日まで、それから明日からも忙しいし、わざわざ引っ張る必要もないと判断している」

「ギリアンさんとヴァルナさんについては、僕が不在の間の天宝館を任せているので……。

 あ、ですから、コウカンさんも次回からは無理に参席しなくてもよろしいですよ」


 実際の所、弟子達が十二星天の会合に参加しなくてはいけないという決まりはない。

 最初の一回を除けば、後は個々人の自由に参加できる。

 正直な話、ミサキの弟子であるウィズ、ハクビ、レイカの三人も本来なら参加する決まりはないが、普段のミサキの言動から、きちんと会議を受けているのか、本人よりも心配になることがある為、半ば、監視のつもりで参加している。

 前回の天上の儀で嫌な目に遭ったロロも、今回は大丈夫と判断し、ここでの会議の事をムソウに伝える為にと、積極的に参加している。

 それ以上に、既に、世界に影響を及ぼすほどにまで成長した闘鬼神の一員としての自覚もあるので、後学の為に、普段はジェシカと共に行動している。

 しかしながら、内心では、昨日まで行われていた王城探索に参加したかったという後悔もあるが、それは次回で良いかと割り切っていた。

 なるほどなと頷くレオパルドの横で、コモンの言葉に希望を持つコウカンだが、即座にリーは首を振った。


「いいえ。貴方は騎士団を引っ張っていく存在として、常に僕の側で、補佐をすると仰っていたので、そのようにしてください。まあ、後二、三回もあれば慣れますよ」

「う……む。そうですな……私が言ったことですからね……はあ……」


 ため息をつくも、意を決したように、コウカンは背筋を伸ばし、十二星天の会合に臨む。

 リーは満足げに、それで良いのです、と言って、コウカンを励ました。


「ふ~ん……リーもコウカンさんの前では立派な“騎士団長”って感じがするわね」


 二人の様子を眺めていたエレナがそう言うと、リーは少し、ムスッとした顔になる。


「僕は、普段はどう見られているのですか?」

「可愛い弟」

「「大好きなお兄ちゃん!」」


 エレナからは弟呼ばわりされ、ジーナ達からはいつも通りの呼ばれ方をされ、コウカンが頑張って慣れようとした張り詰めた空気も、一気に和やかなものとなる。

 リーは、微妙そうな顔をしつつ、すぐに苦笑した。


「それは……複雑ですね……ちなみに、コモン君にはどういう――」

「リー君……?」


 自分は弟と見られていることは嬉しいことに違いないが、ならば、同じ年齢くらいのコモンの事はどう思っているのか。

 十二星天共通の疑問を、この際にと代表して尋ねようとしたリーだったが、いつになく冷たい目つきとなったコモンに遮られる。

 やってしまったと誰もが、視線を逸らしていくが、尋ねられたエレナ本人はきょとんとしていた。


「コモン君? コモン君は、強いし頭も良いし優しいから、兄って感じかな……」

「「「「「え……?」」」」」


 エレナのコモンに対する評価に、ロロ達も含め、一同は困惑する。

 コモンだけが唯一、照れた顔で、エレナに礼を言っていた。

 兄という評価は十二星天の中でも、コモンには合わないのではないか、てっきり、リーと共に弟の括りとなると思っていただけに、しばらく呆然としていたが、誰よりも先に我に返ったシンキの咳払いにより、皆も我に返る。


「えっと……そろそろ良いか?」

「あっ……ごめん、シンキさん。ちょっと、衝撃的過ぎて……」

「気持ちはわかる……俺も、少し驚いたからな……」

「え? 自分が出来ないことをやってくれるんだから、普通に尊敬するでしょ? コモン君は、何でも教えてくれるし、何でもくれるし……」

「分かった、エレナ。もう充分だ。ちなみに……リー、コモン。満足か?」

「は、はい……上手くいかないものですね……」

「僕も大丈夫です。エレナさん、ありがとうございます。では、シンキさん。会議を始めていきましょう!」


 コモンを動揺させるつもりが、自分が動揺してしまう結果となったリー。早速、コウカンがリーを励ます。

 反対に、コモンは誰よりも明るくなり、それを見たエレナも楽しそうにしていた。

 もう、二人については何も言うまいと決めた十二星天の面々。

 非常に和やかな空気のまま、十二星天は今回の天上の儀の総評を行う。


「しかし……今、この場でも感じたが、今回の天上の儀は終始和やかだったな」

「これまでは……もう謝らないと決めましたが、僕がすみませんでした。ですが、今回は、本当に久しぶりに楽しいと感じましたね」

「支部長会議の時も、領主会議の時も、クレナ領主さんが何もしなかったっていうのも大きいわ。サネマサ、後で、しっかりと労ってあげるのよ」

「おう。たくさん褒めてやる。本当に……成長したなあ……」


 遠い目をして、ここ数年でのアヤメの変化を憂うサネマサ。本人は、アヤメにそう呼ばれることを嫌うが、その場に居た者は、心の中で、老人か、と突っ込みを入れた。


「大戦前だって言うのになあ……戦中もこうありたいものだが、そうはいかないだろう。今日が、皆と和やかに話せる最後の機会だったとして、明日からはまた、緊張感を持たねえとな」

「うむ。レオの言うとおりであるな。ジーン、ジェシカ、リーよ。民達の避難状況はどうなっておる?」


 オウエンの言葉に、三人は資料を広げながら、民の動きについて説明した。


「世界全体で既に九割は終了しています。本会合で話題に上がったような、物資不足についてはちらほらと発生しているものの、リエン商会により、解決傾向にあります」

「なお、避難が終了した集落についても、防備を整えることが完了いたした。今後は、各地に冒険者や騎士達を派遣し、邪神族の襲来に供えます」

「薬についてもクレナの闘鬼神、シルバのビット殿、他世界中の冒険者さんのおかげで、数をそろえることに成功しました」


 おおむね、邪神族への備えについては順調であることを聞き、オウエンは満足そうに頷く。

 すると、ジェシカの背後に居たロロが、おずおずと手を上げた。


「へ、陛下。よろしいですか?」

「うむ。ロロ殿、何かあったか?」

「はい。治癒院の治癒士を中心とした、治癒士連合ですが、冒険者の方からの志願者が多く、こちらだけでは、対応が追い付かない事態が発生しておりまして……その……人選を、ギルドと共に行っていきたいのですが……」


 ロロは、ジェシカの補佐を務める傍らで、治癒士連合の指揮にも当たっている。

 普通の冒険者であるロロにも世界の中心に立つということへの責任感に燃え、思ったことはすぐに発言するようにしていた。

 ロロからの要請に、オウエン、シンキ、そして、リーは即座に頷く。


「うむ。志願者が増えることは僥倖だ。すぐに纏め、どのように配置するか定めよう」

「人手は多い方が良いからな。ロロも無理すんなよ。行き詰ったら、今みたいに何でも話してくれ」

「人選については、僕が引き受けます。と言っても、皆さんの力を介して、ですが……そういった、事務処理は任せてください」


 オウエンとシンキはまだしも、前回の天上の儀を発端に、先の闘いで本格的に衝突することになったリーからも、全面的に協力するという申し出があり、ロロは嬉しそうに頷いた。

 同時に、十二星天が一つに纏まった事がどれほど凄いことなのかということを、そこからも思い知ることとなる。


「戦いが近づくにつれ、治癒士以外にも、騎士や冒険者の志願者は増えそうだな……その場合はどうするんだ?」

「それについては却下としましょう。こちらも、今の戦力で戦うことを見越して、戦略を立てています。

 前に出る戦士が増えるほど、僕達にも護り切れないかもしれません」

「その者達には、避難所の自営に当てた方が良いだろうな。指揮は、担当の騎士や冒険者、あるいは、領主に任せるとしよう」

「そうだね。その方が、僕達も前に集中できる」

「炊き出しについても、人員を確保しないとね。あ、その辺の器具も創らないといけないかな……?」

「戦中の生活周りの整備は、既に完了しております。本当に、快適な場所に仕上がって、我ながら、いい仕事をしたと思ってます」

「炊き出しや、体の弱った人の世話とかも、充分な人員を確保出来てるよ。しかも、こっちについても志願者が居るから、問題ないと思う」

「ご飯作る人は、危険なわけじゃないから、誰でも出来るようにしてるんだよね~」

「皆、戦争を生き抜こうと一生懸命。人界は本当に一つになってる。私達も頑張らないとね。

 そうだ、シンキさん。この王城はどうするの? シンキさんも戦いに出るけど、言ったら駄目かも知れないけど、格好の的だと思うよ?」

「む……まあ、全力で護るが、駄目そうな時は、城の人間連れて、地下の避難所にお前達のスキルで退避だ。

 なあに……壊れても……また創れば……うん」

「……シンキが、見たこともないほど嫌そうな顔をしておるので、我からはっきり言っておこう。

 王城については、シンキの言ったとおりにせよ。城よりも、そなたらの命が大事だ。

 だが、ここには我も含め、そなたらの思い出も各所に存在する。必ず、死守せよ」

「言われなくとも……よね、皆?」

「うむ。陛下の仰るように、ここには数えきれない歴史がある。そして、この王城は人界の希望だ。必ず、この先の未来も照らしていけるように、この場所だけは守っていこう」

「いざとなったら、鬼族の二人も居るし……シンキも後ろの事は気にしないでおけよ。

 俺も、天界の事を一気に片づけて、ムソウと合流した後、ここに戻って来るからな」

「皆……ありがとう。そう言えば、天界に行くメンツは決まったのか?」

「ええ。龍族のアータルと……」

「うちのキキ、リン、それからトウガがサネマサについて行く。ムソウ達も心配していた亜空間での影響についても、神獣と龍族が居るなら何とかなると仮定している」

「あー、それな……鬼族である俺も、冥界には行ったことないからよく分からないんだよな……すまない、サネマサ。大したこと言えなくてよ……」

「気にすんな。お前は、人界とオウエンの事だけ気にしてろ……あっ、もしも、ケアル様が俺の事を気に入らなかったら、その時は、対応してくれ……」

「……今更ながら不安になってきた……頼むぞ……」


 時に笑いながら、細かいことから大きなことまで、この先の闘いについて、話し合っていく十二星天達。

 以前は、ぶつかり合い、ののしり合うだけの場だったが、こんなにも、頼もしく、どんな状況であれ、未来に夢を見ることが出来るのかと、ロロは感動していた。

 コウカンも、この場に加わった際、真っ白だった頭も、十二星天の議論が交わされる度に、自分には何が出来るのか考えることが出来るようになり、いつしか、発言することも出来るようになっていた。


「ムソウ殿は、明後日には冥界にと聞きましたが、サネマサ様は、我らが偶像術を修めるまでは人界に残るおつもりですか?」

「いや。基本的なことを言ったら、後はジロウやアヤメに任せて、発つつもりだ」

「大体、一週間以内には向かわせるつもりだよ。コウカン、久しぶりだろうけど、何かを学ぶという時は、教えてくれる人に対して、真摯に向き合ってね」

「心得ております。カイハク様も、今よりも強くなりたいとあらば、サネマサ様、若しくは、私共に仰ってください。いつでも、お相手する所存にございます」

「お……コウカンがそんなことを言ってくれるなんてね。嬉しいよ。じゃあ、偶像術の修練の際に、久しぶりに、僕が皆に稽古をつけよう。サネマサさん、武王會舘の一部をお借りしますね」

「おう。壊さないのであれば何でも良い。良いな? 何も壊すなよ!」


 満面の笑みで頷くリーを見ながら、ミサキはフラグが立ったと笑みを浮かべる。

 その心情を知らないエレナに、貴女も腕試しするの? とからかわれ、慌てて首を振る様に、ウィズ達は呆れつつも、やはり、ミサキと居るのは楽しいと笑った。


「偶像術か……ミサキ殿。それは、我々も学ぼうと思えば可能か?」

「うん! ハクビさんもウィズ君も、もちろんレイカちゃんも、その資格はあると思ってるよ~」

「ミサキちゃんが思っているだけじゃなくて、僕達も許可するよ。君達は既に、大きな力を持っても大丈夫って思ってるからね」

「感謝する、“騎士団長”殿」

「ウィズ君は、龍言語魔法に加えて、偶像術かあ……お義兄(・・)さんたち、何て言うかな~?」

「また、注意を受けそうです……兄上から、次期当主の話も出ていますし……」

「ああ、ケイロン家は、未だ誰も、婚約の儀を終えておらなかったな。まあ、この戦いを乗り切れば、そういう余裕も生まれるであろう。

 ウィズ殿も焦ることなく、アイギス殿にも、急いたことをして、ウィズ殿の負担にならぬようにと我から伝えておこう」

「あ……え、か、感謝申し上げます……で、ですが、そうなると、兄上が、その……」

「王様~……そういうのは、直接王様が言うものじゃないと思うよ~」

「む……まあ、その通りであるな。では、ミサキの方からアイギス殿に伝えてくれ」


 ミサキがは~いと頷くと、ウィズはホッとした顔となる。

 ミサキの所は、こういう場所でもミサキ達らしいなと、他の皆は笑った。

 しかし、再び、何かに思い当たったような顔をしたレオパルドが、ぼそっと口を開く。


「そういや……なあ、オウエン?」

「何だ?」

「戦争の事じゃねえんだが、少し相談と言うか、何と言うか……」

「何だ? 申してみよ」

「俺達って、普通に結婚しようと思えば、出来るのか?」


 突然の申し出に、その場の全員、特に、ロロ、コモンは恐らく仲間も関係していることなので、他よりも動揺が大きかった。

 オウエンは、きょとんとした顔のまま、レオパルドに向き直った。


「気になる者でも居るのか?」

「いや……まあ、そうじゃないが、もしもこの先、俺に関わらずそういうことになった時に、どうすればと思ってな……」

「どうするも何も……」

「つまり、貴族さんよりも位が高い私達も、普通の人と自由に結婚できるかって話よね?」


 ミサキの助け舟に、レオパルドは、そう! と頷く。

 邪神族との戦いとは全く関係ないが、人界の危機的な状況で、自分達も大きな戦いに巻き込まれるからこそ、そういった未練が残らないように戦いに臨みたいとは誰もが思っている。

 しかしながら、ミサキの言うように、人界において十二星天は、オウエンに次いで位の高い存在であり、あらゆる面で、民衆とは違う生活を送っている。


 オウエン、シンキは、十二星天にこれといった制約は課していないが、十二星天はそれぞれ、不老という特性や、強大なスキルを持っていることから、個々人で、普通の民達のような生活は出来ないと思っている。

本当のところはどうなのかと、この際に、オウエンやシンキに確認することにした。

 まずは、レオパルドが言い出した、婚姻についてだが、オウエンは、う~んと思案した後、シンキに目を向けた。


「前例が無いから、我も何も言えぬな……」

「まあ……その辺りは自由にして良い。何せ、歴代人界王が自由だったからな。ただ、権力闘争を避ける為、唯一制約をつけるとすれば、重婚は無しってことだな」

「ん? どういうことだ?」

「ジーナ、ミーナ。昨日の復習だ。皆にも、エンキ、カイキの事を説明してやれ」

「「は~い!」」


 人界王の重婚が何故禁止されたかについて、つい、昨日学んだばかりのジーナ達は、全員に得意げに説明した。

 二人の話を聞いたミサキ達はなるほどと頷く。今は分からないが、今後の情勢次第では、自分達が利用され、再び、人界が割れることもあることを考えると、王族と同じく、重婚は無しとした。


「それ以外は……普通で良いのか……?」

「我としては構わないと思っている。例え、そなたらが不老で、一生を共に遂げることが出来ずとも、愛で結ばれた者同士は、周囲の事など気にせず、結ばれるべきであると思っている」

「はっきり言えるんだな……流石、オウエン。ちなみに、根拠は?」

「父上と母上を見てきたからな。身分など関係なく、二人の仲睦まじい姿を最も近くで見ておったのだから、そういう結論になる」


 現状、オウエンの両親に会ったことがあるのは、シンキだけだ。リーとジェシカも、先代の人界王には会ったことがあるが、母親の方は肖像画でしか見たことがない。

 鬼人族と人族とでは、寿命による差がある為、ユラ、シンラを除けば、必ず人界王が王妃を看取ることとなる。

 それでもオウエンは、そんな関係の二人だったが、最期まで幸せそうだったと説き、同じような立場になるだろう十二星天でも、幸せになれると思っている。

 レオパルドや他の者達はオウエンの言葉に納得し、明るい表情を見せた。


「分かった。聞きたかったことは聞けたし、この件については、以上だ。脱線して済まなかったな、オウエン」

「いや……しかし、レオよ。仮にそういう相手が見つかったのなら、早めに相談するのだぞ。我も……まあ、わからぬことが多いと思うが、力は貸そう」

「おう! ちなみにだが、オウエン……お前には、そういう相手は居るのか?」


 最後にレオパルドは、この際に、とオウエンの本音を聞くことにした。

 今は、おそらくという段階だが、実際のところはどうなのかと、闘鬼神所属の一人の冒険者について、気を揉んでいる者達は、固唾をのんでオウエンの言葉を待った。


「我か? まあ、難しいところだな。我の妻は、そのまま人界王妃となる。となれば、そう簡単に、妻を娶るわけにはいかぬだろう。

 先ほどはあのように申したが、結局のところ、我自身の事が一番難しいものだな……」

「へえ、そういうものか……ちなみに、ムソ――」


 苦笑いするオウエンに、更に踏み込んだことを聞こうとしたレオパルドだったが、突然、誰かに肩を掴まれた。


「レオ、その辺りにしておけ。この場が混乱する未来しか見えなかった」


 レオパルドを制したのは、ジーンだった。嘘か誠か、レオパルドがオウエンに、リアについてどう思っているかと聞いた未来を視たようだ。

 当然、この場がややこしい状態になったようで、即座に止めて、その気迫に、思わずレオパルドも慌てて、口を閉じた。


「わ、わかった。今度こそ、終わりだ。さあ、会議を続けよう! 本会合で出た、新しい機関についてだが……」


 正直な話、オウエンがリアについてどう思っているか心配だったシンキやコモン、ロロなどは、それについては慎重に考えている様子のオウエンに、少しホッとしていた。

 きちんと、自分の立場を理解しているという様子は、恐らく、ムソウ達に知らせた方が良いと判断し、オウエンにバレないように目くばせするシンキに、ロロも小さくうなずいた。


 さて、少し脱線したが、話題は、本日行われた本会合で出た、物流などを統制する新しい機関を王城が主体となって設立するという件に戻る。

 これについても、皆で和気藹々となりながら話し合いを進めていき、断固として長に就きたくないと主張するミサキと、専門家に任せるべきだというシンキの間で意見が分かれたが、最終的に、王城が選んだ者に任せ、ミサキは長ではなくとも、その者の補佐をするようにという命令が下った。

 自由度が減ると嘆くも、他の皆は、何かしらの責任を背負っていて、そのことをジーナ、ミーナというミサキにとっては妹分の二人に追及され、渋々、承諾するしかなかった。

 この決定について、三人の弟子達は、以外にもやる気に満ちており、冒険者の質の向上の為なら、力を尽くしたいと、ミサキよりも使命感に燃えている。

 もう、この三人に長を任せればいいのでは、という思いになる者も居たが、経験を積ませることの方が大事か、と思い当たり、口にするのは辞めた。

 その代わり、ウィズ達が居るから、ミサキも大丈夫だろうなと、内心でほくそ笑む。


「ふむ……ひとまず、今回の天上の儀で出た議案については以上だな。確かに、いつも以上に増して、有意義なものとなったことは事実だが、これより、人界は壊蛇の災害以上の危機に陥る。

 我が友、十二星天よ。今以上に、結束を密にし、確かなものとし、この混迷に満ちた時代を乗り切り、また、我と共に、新たな未来を創造していくと、ここに誓ってくれ」


 会議が終わり、オウエンは神刀「神無」を抜き、十二星天の前に掲げた。

 十二星天とその弟子たちは立ち上がり、神無に向けて右手を掲げ、オウエンの言葉に頷く。


「拝命いたしました。人界王陛下。我ら十二星天。人界を導く徒として、全力で此度の戦を鎮めて御覧に入れましょう」


 全員を代表してリーがオウエンに返し、十二星天の会議は終了する。

 方向性と対策は確定した。後は全ての内容を人界全土に広め、“その時”が来れば実行するだけ。

 簡単なことだが、最も重要なこと。今後も、人界という大きな国を存続させる為、ここに、人界の頂点たる十二星天は、一層絆を深く、固くし、邪神族に抗う覚悟を決めた。


 さて、いつもなら、そのままオウエンとシンキが退室し、十二星天も自然と解散となる。

 だが、オウエンと共に部屋を出ようとしたシンキは、ミサキに呼び止められた。


「あ、シンキさん。ちょっと、良いかな?」

「ん? まだ、何かあるのか?」

「大したことじゃないんだけど……ちょっと、相談があって」


 ミサキの相談と言われると、何となく気乗りしないが、見ると、他の者達も、何か用事があるような顔をしている。

 シンキはどうしたものかと考えたが、その時、オウエンがシンキの肩に手を置いて、微笑みながら頷いた。


「我は構わぬよ。この後は夕餉だが、今日ばかりはシンキも、ミサキ達と共にするが良い」

「そうか……いや、そうだな。心遣い、感謝する」


 実は、十二星天が全員そろって同じ食卓を囲むということは滅多にない。

 そもそも、シンキは十二星天とは疎遠という立場であったし、それに加えて、この十年はランセイとの一件もあり、現在の十二星天が同じ場所に揃うということも、今日くらいのものだった。

 離れていた時間を埋めるように、シンキもミサキ達と揃って、食事を囲むことで、改めて親睦を深めよ、というオウエンの気遣いに、シンキは心の底から嬉しいと思っていた。

 そして、ミサキ達も、今日ばかりは十二星天だけ(・・)でご飯を食べたいとのことで、ウィズ、ハクビ、レイカ、ロロ、コウカンにも退室するようにと願い出る。

 もちろん、四人はすぐに頷いて、会議場を後にした。

 コウカンはワイツ卿の部屋へと向かい、ウィズ達はケイロン家へと帰っていく。

 ロロは会議の事を伝える為、オウエンの考えを早いうちに知らせるために、ムソウの部屋へと向かった。


 さて、部屋に残ったシンキ達は、再び円卓を囲んで席に着く。

 エレナとジーンに配られた紅茶と菓子を口に運び、シンキはフッと微笑んだ。


「……なるほど。天上の儀や、昔やってた報告会の後はこんな感じだったんだな」

「わがまま聞いてもらっちゃって、ごめんね」

「いや、良い。シンラやコウカ様とも、こうやって茶菓子を囲んでいたからな。あの時を思い出す。

 それより、聞きたいことっていうのは何だ?」


 堅苦しい会議とは違い、今は、本当に自由な時間である。本当の意味で、自分も十二星天の仲間なんだと満足げなシンキに、ミサキは、少し言いづらそうな顔で口を開いた。


「えっとね……コウカちゃんが、お願いしてきたんだけど……」

「……は?」


 だが、ミサキが開口一番に放った文言で、一瞬にして、動揺した。

 コウカがミサキに何かを頼んだ。いや、皆の苦笑いぶりを見るに、ミサキだけでなく、皆にも何か、お願いをしたようだ。

 嫌な予感がする、と、紅茶を置いて、皆の方をまっすぐに見つめた。


「……なんだ?」

「ああ、シンキ。儂から話そう。率直に言えば、コウカ様は陛下とお話したい(・・・・・)とのことだが、可能か?」

「おおぅ……なるほど……」


 ミサキの代わりにジーンが放ったコウカからの伝言。

 思ったよりも大したことではないが、難しい内容だなと、シンキは頭を抱える。

 昨日、自身の子孫である歴代の人界王の肖像画を眺めていたコウカを見て、そんなことを言い出すのではないかと、少し気にはなっていたが、それ以前に、ミサキ達には相談していたらしい。

 コウカの性格から、冥界に出向く前に、自身の末裔であるオウエンに、一言あいさつしたいようだ。


「エンヤ達とアヤメ達の時とはわけが違うからな……まして、コウカ様が、現在どういう状態にあるのか考えたら……なあ……」

「はい。ですから、確かな状態で会わせるのではなく、おぼろげな、ある種の幻として、オウエン陛下にコウカ様を見せられれば、と……」


 リーの言葉に、更に頭を抱えるシンキ。普通に会わせるとなれば、ツバキ達の協力を得られれば簡単なことだが、それは、コウカの魂が、現在は、ツバキの手元に存在するということを知り、納得しているということが大前提にある為にできることだ。

 大丈夫とは思うが、自身ばかりか、人界の祖であるコウカがそのような立場にあることを知れば、流石にオウエンでも動揺し、この先もその状態で、戦争の渦中に飛び込むことになる。

 それは避けたいので、リーの語った作戦にするというのは、理解が出来るが、どうすれば良いのか、わからないという状態だった。


「……エレナ、ジーン。お前らは、どう考えている?」

「一応、今考えているのは、ジーナちゃんとミーナちゃんの能力で、眠っている陛下を亜空間に閉じ込めて、ミサキちゃんと私の魔法で、亜空間を真っ白に見えるように、幻術を使うわ」

「いわば、魂の回廊のような状態にするというわけだ。儂、レオ、サネマサ、コモン君、そして、シンキはその間、寝所付近の見張りを行う。陛下の他に少しでも見られたら大変だからな」

「そして、皆の統制は僕が行います。ジェシカさんは、精霊を具現化させる魔道具に魔力を注ぎ込んでいただく役目ですね」


 ちなみに、という軽い気持ちで確認した十二星天の作戦だが、思わずなるほどと頷く。

 要は、全員の力を結集させ、コウカの願いを叶えてやるという内容だった。

 シンキからしても、無理はないと判断できるものだったし、全員が、もてる力で主人の願いを聞き届けるということが嬉しかった。

 困惑はしたが、無理のない作戦。シンキもオウエンも魂の回廊に入った経験はないが、真っ白な空間で目を覚ませば、誰でも魂の回廊に居ると錯覚するだろう。

 後は、その光景を誰にも見られないようにすればいいだけの話。

 十二星天が揃えば、不可能も可能になる。改めてそう感じたシンキは、皆の顔を一人一人見回した後、静かに頷いた。


「……分かった。皆、コウカ様の頼みにつき合わせて申し訳ないが、よろしく頼む」


 十二星天全員が頷き、シンキは満足げな顔で微笑む。

 ふと、自分に悪戯ばかりしてきて、ケラケラと笑っていたサヤの事を思い出した。

 コウカもサヤに毒されて、少し悪戯好きな性格となり、今のムソウのように、シンキは頭を抱えることもあったが、こうして、悪戯する側に来ると、当時のサヤ達の気持ちも理解できるような気がした。

 いずれ、サヤと再会したときは、ムソウと共に、これまでの仕返しもかねて、少しばかりの悪戯を仕向けてやろうと、そんなことを思った。


 こうして、十二星天の作戦の決まり、そのまま、夕飯も共にした。

 今日の夕餉もたまが口添えした料理が並び、十二星天は全員満足して、口に料理を運ぶ。

 特にサネマサが騒がしく、何故かたまの自慢を始め、そのまま、ジロウとの思い出を語り始めたりした。

 それをきっかけとして、その場は、十二星天それぞれの世界についての思い出を語る場となる。

 十二星天記念館というものも作られ、シンキとしては、新鮮な思いだったが、他の者達にとっては、すでに聞いたことのあるような話だったらしく、少々盛り上がりに欠けていた。

 それに気づいたシンキは、コホンと咳払いして、皆の注目を集める。


「じゃあ次は、俺の話を聞いてくれ。邪神大戦が終わってからしばらく……コウカ様がラセツをお産みになられた時の話だが……」


 シンキは、コウカや十二星天のスキルの前任者達、更には、初代人界王シンラの話をミサキ達に聞かせた。

 当然、皆は知らない話どころか、ムソウにも話していないような内容に、ミサキ達は時に驚き、大抵は笑いながら、シンキの話に耳を傾けた。

 こういうのも悪くはないと、これまで、皆と関わろうとしなかった自分を恥じ、これからの皆との思い出を創っていこうと、シンキと十二星天は、夜遅くまで語り合っていった。


 ◇◇◇


「ふむ……今が好機というものだな」


 天上の儀を終え、十二星天との会合も終わった後、ミサキがシンキを引き留めたことにより、オウエンは一人となった。

 いつもは、シンキと夕餉を摂りながら、これまでの事やこれからの事を綿密に打ち合わせていく時間があったが、今回は違う。

 この後は一人の食卓となり、通常ならば、どこか寂しい思いをするのだろう。

 しかし、オウエンには、この天上の儀の間に思い続けた、とある目的があり、ようやく、それを達成出来そうだと感じ、ほくそ笑んでいた。

 いつもは、何故かシンキに止められるが、そのシンキも居ない。

 今を逃せば、もう、こういった機会は訪れないかもしれない。訪れたとしても、ずっと先の未来になるかもしれない。

 十二星天の変化という、喜ばしい機会の中で訪れた、奇跡のような好機。

 今を逃すわけにはいかないと、オウエンは城の従者に言伝を命じ、自身は部屋に戻って楽な格好へ着替えた。


 そして、料理が二人分(・・・)並べられた、いつもシンキと夕食を摂る部屋へと向かい、その時を待った。


 あの時感じた衝撃と、とある思い……その全てを解決する為、この場を設けた。

 だがそれ以前に、自分はあの者とじっくりと腰を据えて対話したい。


 それだけの思いで、この場を設けた。


 大きく深呼吸し、昂る気を静めていると、突然、扉を叩く音が聞こえてくる。


―来たか……―


「入られよ。我は一人だ。礼節など、気にする者は居ない。普段通りにしてくれて構わない」


 ノックに応えると、ゆっくりと扉が開かれる。

 部屋に入ってきた者は、普段たまたま目にするような、悪しきものを寄せ付けない屈強な武人然とした出で立ちではなく、普段着であろう長着を着て、この状況に困惑しているような、呆気にとられているような、そして、少しのいら立ちを混ぜたような、複雑な顔色をしていた。


「本当に一人なんだな……人界王様が一人で飯ってのは、危ねえんじゃねえか……?」


 この大地に生きるもの全てが自分に向けてくるような畏敬の念など全く感じない態度。

 唯一例外があるとすれば、自分に並ぶほどの存在となった十二星天と、かつての“刀鬼”。

 しかし、十二星天も初対面の際は、ミサキですら自分を敬い奉るような作法で接してきていた。

 “刀鬼”ジロウも、今では好々爺となり、人界に普通に暮らす民として、自分と接してくる。

 初対面でこの態度とは、何も知らぬ者から見れば、確かに無礼千万なのだろう。

 オウエンは、その者の態度が新鮮で、やはり、面白い男だなと口元を緩ませた。


「そなたが居るのなら、ここは現状、世界一安全な部屋であろう。さあ、そこに座ってくれ。今日は、我と楽しむとしよう」

「ッたく……調子の良いことだな。だがまあ、悪くはないと思っている。シンキが戻るまで、楽しむとするか」


 戸惑った様子を見せた男も、酒を勧めると上機嫌となった。

 やはり、そういう(・・・・)人間なのかと、何となく楽しい気持ちで、オウエンはその者の盃に酒を注ぐ。


「人界王の酌とは……ホント、光栄なことだな。どれ、俺からも……」

「ああ……感謝する。ムソウ殿」


 気にすんなと笑うムソウ。

 しかし、やはりこの状況に少しばかりの緊張はしている様子だ。

 自分の立場は分かっているが、もう少し楽にしてほしい。


 初めて、その存在を知った時から興味は尽きなかった。

 一応、こういった場を設けることについては、本人からの同意は済ませていた。

 しかし、人界に降りかかった度重なる大事件と、ムソウ自身の都合を考慮したシンキにより、二人きりでの会食は当面の間、見送りとなっていたが、そのシンキは居らず、十二星天も居ない。

 先入観なしで、自分の目でムソウという男を知ることが出来る。

 オウエンにとって、待ちに待った瞬間が、ここに、ようやく訪れたのであった。


ご覧くださりありがとうございます!


もし、気に入られましたら、↓の評価、あるいは「いいね!」、あるいはご感想、よろしくお願いします!

もちろん、「気になった部分」も歓迎してます!


それから、恐らく誤字脱字も酷いと思いますので、もしも万が一見つけられましたら、誤字報告もお願いします!


次回の更新もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ