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古今無双の傭兵が異世界へと行っちゃった話  作者: やまだ和興
最強傭兵異世界に落とされる
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第4話―この世界について知る―

 グレンとマシロという街を目指す道中、グレンからこの世界のことを聞いた。


 この世界は、神々の世界である天界、鬼の世界である冥界、そして今俺たちがいる人界がある大地の三つの世界があるらしい。

 太古の昔、この大地に眠る強大な力をめぐり、神、鬼、人が三つ巴の戦をした。100年続いた戦争は人と鬼が同盟を結び、神を倒したことで一応の終結を迎えた。

 その後、鬼と人との間で協定が結ばれ、大地は人族、精霊族、魔物族、龍族のものとなった、らしい。


 戦争の中で、人族は精霊により特殊な力を得ることが出来、これがいわゆるスキルであり、魔法であるという。魔法なんてものもあるのかと思いグレンに聞いてみると、


「俺は使えない」


 とのことだった。曰く、魔力というのは誰にでもあるが、それを行使するには長い経験と知識がいる。スキルと違って誰にでも使えるが、それに至るまでの労力が必要みたいだ。


 この世界の一般人はスキルを活用すれば大概のことが出来るということで、あまり魔法は重視していないが、魔法を込めた、魔道具というものがあり、魔力を込めることで、ちょっとした魔法を生活に生かす道具があるという。魔力を込めるということ自体は誰にでも出来るらしいので、覚えていた方が良いと言われた。


 そして、グレンは人族以外のこの世界に生きる種族について話し出した。


 神族は、この世界の大地、冥界、天界を作ったと言われる存在、あるいはその血を受け継ぐ者たちのことである。特徴として、大きな魔力を宿し、強大な術を操ることができて、人族、いわゆる人間よりも圧倒的に強いという。


 鬼族は、天界から堕ちた元・神族で、冥界にて、死人の魂の管理や大地の魂の調整を行っているらしい。グレンによると、大地の魂の数というのは一定らしく、増えすぎると大地は枯れ、飢饉などの災厄や異常気象などが発生するらしい。

 減りすぎると種を残すため、大地の生物がそれぞれ異常な進化を遂げるという。


 三つ巴の戦の時にそうなったらしい。また戦争が起きないためにも魂の管理は重要みたいだな。


 その魂の管理において神族、鬼族が生み出したのが魔物族と龍族であった。もともとは増えすぎた人間を減らすか、増やすかするために生み出されたという。


 魔物族は先ほど俺が倒したかわいくないやつ、スライムなどの異形の生物たち。人や動物たちとは異なる外見で、性格は主に凶暴。知性のあるものもいて、爪や牙、あるいは魔法で人や動物を襲う。時には同族での殺し合いもするという。鬼族により生み出され、三つ巴の戦の時も鬼族に味方した。


 龍族は神族が生み出した聖なる生き物とされ、豊穣をもたらすとされる。翼のあるトカゲのような見た目の物もいるが、翼のない胴体の長い蛇のようなものもいるという。自然現象や奇跡の魔法と呼ばれる龍言語魔法というのを操り、人々に恵みをもたらすという。

 先ほど倒したトカゲがそれか、と思い、鱗を取り出してグレンに聞いてみたが、グレンは鱗を見るなり、驚いている。


「あ、あんた、ワイバーンを一人で倒したのか!?」

「あ、ああ……で、どうなんだ?」


 未だ驚いているグレンに尋ねると、先ほどのトカゲはワイバーンというもので、それは魔龍と呼ばれ、魔物族と龍族の間に生まれたものであるという。


 へえ、交配種なんてのも居るんだな……。

 

 そして、これら二つの強大な力を持つ種族に対し、人族の祈りによって生まれてきた種族が精霊族である。


 精霊族はこの世界にある万物に宿った力が具現化したものであるという。神族の一部とも云われるが詳細なことは伝わってないらしい。精霊族は自分たちを生み出した人族へ感謝と、世界の荒廃を防ぐことを条件に人族にスキルや魔法を与えたという。


「……とまあ、代表的な種族はこんな感じだが、ワイバーンのようにこのほかにもいる。戦争の終結のきっかけにもなったという鬼人や、精霊族と人族の間に生まれた精霊人族、あとは……」

「あ、もういいよ。ありがとう。」


 ここで、グレンの話を止めた。この男、本当に舌が回るというか、話し好きなのかな。まあ、助かるから良いがな。


 聞けばグレンは商人として、鑑定スキルを利用すれば儲けられるんじゃないかと考え、交渉に長けるようにしゃべりも練習したようだ。


 スキルじゃねえぞ、と笑いながら話していたが、確かにここまで舌が回ると何を売っているか知らないが、俺もなにか買わねえといけなくなるような気がしてきたので話題を変えよう。

 

「なあ、グレン。マシロに行ったら何があるんだ?」

「マシロにはギルドがある。そこでならあんたのこと色々分かると思うぜ」


 ギルド……また聞き慣れない言葉が出てきたな。


 グレンによると、ここ数百年の間に、魔物や龍族による人間への被害が多くなってきたらしい。魂の管理によるものとされていたが違うみたいだった。魔物も龍族も増えると、そのために人間や家畜を襲うという本能的な問題は変えられないという。


 さらに鉱石や植物などの資源の独占も行っているらしい。そこで、人族は魔物や龍の討伐、資源の調達を目的とした冒険者ギルド、討伐した魔物や龍の素材、資源の流通を目的とした商人ギルド、国や町の守護を目的とした騎士団を設立した。


 各都市や町に支部を置き、本部は三つ巴の戦で大地に覇者となった者が建国したレインという都市に置かれているという。


 マシロには冒険者ギルドと商人ギルドの支部があるという。


 ギルドで冒険者、あるいは、商人に登録すれば討伐した魔物から剥ぎとった素材や肉を査定、売却することができて、その金で生計を立てている者も多くいるという。

 また、商人となったものはギルドの定めた規約内であれば、どこでも自由に商売ができるらしい。グレンはそれで生活しているという。


 それで、ギルドに登録する際に必要となってくるのが、個人の能力だ。スキルというのは鑑定を鍛えた者ががその場に居ない限り自身ではわからない。その為、大抵のギルドには個人の能力を測定する宝珠があるという。それに従い、自分に合った討伐、採集を行うという仕組みだ。


 なるほど、それなら異世界人としてここにきた俺も稼げる仕事がありそうだ。傭兵を続けるにしても俺の力がどの程度なのかはわからないからな。


 なんて思っていると


「あんたは間違いなく冒険者か騎士団がお勧めだ。ワイバーンを単騎で狩れる人間なんてそういねえからな」

 

 と、俺が見せた、ワイバーンの鱗を手に取りながら、笑っていた。

 グレンによれば、ギルドは魔物や龍を討伐する難易度に分けているという。

 駆け出しの冒険者がなんとか倒せる下級、ある程度の経験を積んだ冒険者がなんとか倒せる中級、いっぱしの冒険者がなんとか倒せる上級、冒険者数十人がなんとか倒せる超級に分かれている。ちなみに、ワイバーンは超級に入るらしい。


 スライムは下級らしい。確かにスライムに比べるとワイバーンのほうが強いと感じたが、そこまでなのかな。まあいいか。確かに戦うことは好きだからな。まあ、それで前は“死神”とかって呼ばれていたんだがな。金になるなら冒険者の方が良いか。


 ちなみに騎士団の一個師団、ギルド支部に登録されている冒険者総出でようやく戦力拮抗という災害級、さらには天災級というのも過去、居たらしい。それもピンキリで、災害級下位、中位、上位と細かく区分されている。過去の被害が大きかった分、より詳細に調査するための措置であるという。


「今は居ないが、昔は居たからな。まあ、そういう存在もいるし、それ以上もいるってことは頭に入れておけよ」


 とグレンは言う。


 ホントにこいつはよく喋るなあ……なんて思っていたらグレンはまた語り始めた。


 それは迷い人のこと。


 俺みたいな迷い人は前にも言ってたように神族による召喚、鬼族による転生でごくまれにこの世界に現れる、こことは違う世界の人間のことらしい。魂の管理上、必要に応じて異世界から呼ぶらしい。


 ……なるほど、ここや、俺が居た世界以外にも、違う世界があるんだな。何となく新鮮な気分になるな。


 迷い人は、それぞれ現れる際に神族の長、神界王ケアルと鬼族の長、冥界王エンマにこの世界での役割を命じられ、それを全うするためにこの世界では異能と呼ばれる力を授かるという。

 そうしてこの世界で過ごす迷い人は今では12人いるみたいだ。


 それぞれその異能の力でなにかしら行っているらしい。ちなみに冒険者ギルドと商人ギルドの長、騎士団長は迷い人らしい。


 ……あれ、俺は特に何もなかったな、とグレンに言うと、恐らくだが、とまた語り始めた。


 グレンによると召喚や、転生以外で迷い人が現れることは滅多にないらしい。


 ただ、例外もあり、何らかの時空間魔法による歪によりこの世界に迷い込む人間はいるかもしれないということだった。おそらく俺がそうなんだろうという結論。


 時空間魔法は人が使える究極の魔法の一つであり、それを使えるものは今のところは転生者の中に一人居るみたいだがここ最近、それを使ったという記録は無いらしい。そもそも時間、空間という神族でも操れないとされる、この世の法則を捻じ曲げるというのは禁忌の法だとされているという。


 詳細はわからないが、誰かが空間をゆがめてその余波で違う世界の俺が巻き込まれたのではないか、あるいは、未だ知られていない超常現象の一つではないかという。


「まあ、なにはともあれ、今ここに、お前が居る、ということで納得しとこうぜ」


 グレンはニカっと笑って、俺の肩を叩く。


 前の世界には未練があるか言われても、もう、どうしようもでないからなあ。俺がここに来た理由とか目的とかはもう忘れよう。


 ◇◇◇


 しばらくすると、塀で囲まれた町らしきものが見えた。


「あれがマシロだ。ここまでありがとな」

「いやいや、魔物も他にはいなかったし、色々教えてくれて助かった。感謝する」


 グレンに頭を下げながらも、笑いながら俺はこの世界で最初の町、マシロに入った。

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