第427話 海賊団を斬る ―成長する―
レオパルドから伝えられた新たな敵の情報。それを聞いたダイアン達は、リアの元へ行き、無事を喜びあうとともに、そのことを報告。一時、この場から離れ、沖にある海王蟹の死骸、正しくは、海賊団の本拠地に行っても良いかと伺いを立てる。
話を聞いたリアは多少驚きながら思案を巡らせる。そして、戦場を眺めた。リオウの方はレオパルド一人が押し止めている。海賊達の残党は、冒険者達が相手をしており、その戦力差にもまだまだ余裕があった。
その為、けがを負った者や、魔力が尽きた者達へも、先ほど合流した騎士団により、回復薬が行き届き、こちらの被害も徐々に回復している。
だから、ダイアン達が離れても問題ないという結論に至り、皆に、コクっと頷いた。
「分かった。ここは私達に任せて、皆はそっちをお願い」
「おう。これでようやくってところだからな。気合が入る」
「あまり調子に乗って、足元すくわれないようにね」
やる気を見せるダイアンに、やれやれとリアはため息をつく。
しかし、気持ちはわかると言って、私達の分まで、とダイアン達に己の思いを託した。
「あ、そうだ。ついでに、海賊団に捕まえられている人間の救助もお願いね。ただ、ここまで連れてこなくて良いから。戦いが終わるまでファース島……もしくは、モンクからの援軍が来たら、そっちに引き渡して」
「了解。私達はどうしてよっか?」
「それが終わったら、皆も休んでいて良いわ。ただ、万が一もあるから、戦えるようにはしておいてね」
「万が一って……レオさんが負けるわけないじゃない!」
嬉しそうな顔で、レオパルドを応援するルイ。その様子に、頭領以上に分かりやすいなあと一同は思った。
再び、やれやれと息を吐くリア。すると、そんなリアの手を、リンネが引っ張った。
「リアおねえちゃん……リンネも、ダイアンおにいちゃんたちについていったほうがいい?」
リンネはチラチラと、ジーンと共に、未だに斬鬼に力を送り続けるツバキを見ながら、そう尋ねた。
リアがダイアン達の方を見ると、皆フッと笑みを浮かべながら、首を振った。
それを見たリアは、コクっと頷き、リンネの頭を撫でる。
「ううん。リンネちゃんは、これまで通り、ここに居て、ツバキさんを護っていて。向こうは、ダイアン達だけで大丈夫だから」
それを聞いたリンネはぱあっと笑顔になって頷いた。
「うん! ツバキおねえちゃんは、リンネがまもる!」
そう言って、リンネはツバキの元に駆けていき、ツバキと共に斬鬼に手を当てた。
ツバキは、リンネの頭を撫でながら、リア達に頭を下げる。
最初の海王蟹から今まで、ずっと力を込めている斬鬼。その全ての力を開放するエンヤは、一体、どれほどの力を発揮するのか。最後の切り札として、温存することを自分達の最優先遂行任務とし、リアも、ツバキ達に寄り添う形でその場に残る。
準備を整えたダイアン達は、港湾から、騎士団が海賊達の処理を行っている東側の海岸へと赴き、何人かの騎士や冒険者と共に、海賊達が攻め入る時に用いた船を使って、海王蟹の元まで急ぐ。
そして、船の舳先にて、眼力スキルを使って海王蟹の死骸と海賊団の本拠地を眺めていたダイアンは、そこから自分達を迎撃するであろう敵船と、そこに乗っている者達の姿を見て、フッと笑みを浮かべた。
「来やがったな……どこにいるかと思っていたが、まさか、リオウ海賊団の庇護下にあったとはな……」
「ようやく……あの時の礼が出来るな……」
「どうする? ここから、チョウシとハルキが行く?」
「いや……二人の技は強力過ぎて、本拠地の城に影響を与えかねない。まずは、俺一人であいさつに行く。お前らは、後でしっかりと追いついてくればいい」
「残しておけよ、俺らの分も」
チャンの言葉に、ダイアンは頷き、その場から走りながら獣人化する。そして、船から落ちながら、海面すれすれを飛び続け、敵船に向かっていった。
そして、腰の刀を抜き、単身、敵の船に乗り込む。
ぎょっとした顔でその場に居る者達に、ダイアンは刀に気を込めながら、口を開く。
「久しぶりじゃねえか……テメエら、クレナに居た冒険者だよな? ケリス配下で、あの時、俺達を襲ってくれた冒険者だよなあ~?」
「と、闘鬼神ッ!」
そこに居たのは、かつて、クレナでの戦いにおいて、樹海にて、スケルトンの軍勢とデーモンロード達に襲われ、命からがら樹海を脱出したダイアン達に追撃の手を加えた冒険者達だった。
その他にも、雷雲山のレイミ達を襲ったり、トウショウの里では、ムソウとも因縁を持つ冒険者である。
この者達は、クレナの事件の際、十二星天レオパルド、サネマサ、ジェシカによって追い払われて以降、長く行方が分からなかった。
ケリスとの関連から、転界教が絡んでいると思っていたが、まさか、リオウ海賊団に居たとは、とダイアン達も、レオパルドから話を聞いた時は驚いた。
しかし、居場所がわかり、これでようやく、あの時の仕返しが出来ると喜び、ここまで来た。
あの時から抱き続けてきた思いを刀に乗せ、ダイアンは冒険者達に構える。
「好き放題しやがって……頭領の代わりに、俺達がテメエらをぶっ飛ばしてやる!」
「はっ! 何を言うかと思えば、あの時の負け犬風情が吠えんじゃねえ! 一人で来るとは愚かな奴だ……者共ッ! コイツを叩っ斬る――」
ダイアンの登場に多少は怯んだ様子の冒険者だったが、ダイアンが一人で、未だに、他の闘鬼神が乗った船が遠くにあることに気付き、勢いづいていく。
海賊団に庇護されているとは言え、元は腕利きの冒険者達。ダイアン一人など敵ではない。
そう思って一斉攻撃に打って出ようとした瞬間だった。
「オラアッ!」
「ガハッ……! な……バ……カな……!」
音も立てずに一瞬で間合いを詰めたダイアンの肘鉄が、吠えていた冒険者の腹に食い込む。
何が起こったのか分からない冒険者は、少し遅れて吹っ飛んでいき、船の中へと吹っ飛んでいった。
唖然とする冒険者の前で、ダイアンは首を鳴らしながら、次の敵へと視線を移す。
「オラ、次だ、次! 来ねえなら、負け犬自ら、噛み殺しに行くぞ!!!」
そう言って、ダイアンは翼を使い、周りを囲む敵を刀の峰で殴ったり、直接拳を当てたり、蹴ったりしながら、戦闘不能にしていく。
時には翼から大きな風を起こし、周りの船の動きを止めながら、帆を折り、敵の冒険者達の足止めを行っていく。
冒険者達も気合を入れて立ち向かっていくが、強化されたダイアンの武器の元々の威力と、日ごろの、ジゲンの地獄のような鍛錬により鍛え上げられたダイアンの攻撃により、装備ごと破壊され、次々と気絶していった。
そうやって、ダイアンが闘っているうちに、チャン達も船を近づけて次々と乗り込んでくる。
「ん? ダイアン、やり過ぎだ。俺の分、残ってねえじゃねえか……」
「文句言うな。拠点に居る人間を助けるって任務もあるんだから、急がねえと」
「ダイアンにしてはまともなこと言うのね、って、どこに行くの、あんた達!」
ルイは船から海に飛び込もうとした冒険者達を拘束し、引っ張り上げる。
「う、あ……!」
「フンッ!」
「オラアッ!」
ルイに捕まえられた者達は、チャンとチョウシにより気絶させられていき、海に落ちた者達は、ハルキの電撃を帯びた攻撃により次々と感電していく。
「これで、文句は無いな、チャン」
「オウッ! こんな雑魚共、さっさと制圧するぞ!」
ダイアンは頷き、チャンと共に縦横無尽に船の上を駆けながら、すれ違う者達を戦闘不能にしていく。
ルイ達も、他の船に飛び乗っては、混乱する冒険者達を拘束しては、一撃で気絶させていき、次々と敵を封じていった。
一緒についていった騎士達が、自分達は何をしに来たのだろうかと思っているうちに、闘鬼神はあっという間に、その場を制圧した。
倒れている冒険者を差しながら、ルイが騎士達に振り向く。
「これで、終わり、っと。騎士さんたちは、何人かでこいつらを一か所にまとめていて~。残った人たちと私達で、本拠地に居る人間を助けに行くから~」
「あ……は、はいっ!」
呆然としていた騎士達は、ルイの笑顔に顔を赤らめながら返事をする。甲冑でその素顔が見えなくても、それくらいは何となくわかるなあと、ダイアン達は苦笑いする。
「罪作りな奴……」
「なんか言った?」
「何も。しかし……ようやくスッキリしたなあ……」
倒れている冒険者達を眺めながら、ダイアンは、あの時の悔しさを晴らすことが出来て良かったと心底感じていた。
同時に、あの時の苦労は一体何だったのかと、強くなった自分達に喜びと共に驚きも感じつつ、自身の成長を感じていた。
そして、一行は海賊団の本拠地に侵入し、中にわずかに残っていた海賊達も倒し、囚われた人間を奪還することに成功した。
◇◇◇
大技を放ったにも関わらず、リオウの勢いは衰えていない。突っ込んでくるレオパルドに、真っ向から大刀を振り回すリオウ。
レオパルドはトウガを宿して得た爪、トウケンが戦いで使う気で出来た棒を手に取り、リオウと闘った。
リオウのスキルの影響か、刀とぶつかる度に大爆発が起き、レオパルドの態勢が崩れる。
しかし、刀の方は無傷であり、どうやらそう言う類の武器であるという事を読み取ったレオパルド。今度は距離をとって、暴風雨を巻き起こしたり、爪から斬波を飛ばすが、リオウから放たれた噴滅龍のブレス攻撃や、爆発を起こす弾丸に阻まれたり、勢いを殺され、例え届いたとしても、かすかな傷も与えることは出来なかった。
間違いなく天災級の力を持っていると確信するリオウ。事前に聞いていたとはいえ、自分達十二星天以外に、これほどの力を持った人間がこの世界に居たという事に驚きを隠せない。
いや……よくよく考えれば、ムソウも十二星天以上の力を有し、更に、サネマサと共に育ってきた“刀鬼”ジロウも、今は若干の衰えを見せているが、かつては、災害級の魔物を何体も倒してきた実績を持つ男だ。
意外と、そういう人間も居て、シンキやコウカが、そう言った人間は、肉体は勿論、魂の方も強靭だという言葉を思い出した。
リオウもその一人であるという事を確信し、厄介な敵だと舌を打つ。
ちなみに、神獣三体を同時に、その身に宿している今の状態は、長くはもたない。今も、三体の力に押されて、体中が悲鳴を上げている。痛みをこらえる訓練はしたが、その後の影響は、未だに克服できていない。
もって、後小一時間。その後は、必ず動けなくなる。だから、確実にここでリオウを倒そうと、必死で棒を振り、爪を振りかざした。
一方、リオウの方はまるで衰えを知らない。むしろ、レオパルドとぶつかる度に強くなっていく。
魔物達の力を引き出しつつも、依然として理性は保っている。
魔物の体を持ち、人間としての理性を併せ持つ存在。ほとんどレオパルドと同じような存在だが、それに加えて、攻撃に特化したEXスキルを宿すリオウ。
刀だけでなく、海に潜ってレオパルドの死角から爆発する銃弾を撃ち込んだり、噴滅龍の高熱線で、大量の水蒸気を起こし、身を隠したりしている。
まるで時間稼ぎのような戦い方に、レオパルドは苛立ちを覚える。
「チィッッッ! でかい図体でちょこまかしやがって! 狼爪斬ッッッ!」
「甘いッ! 爆裂拳ッッッ!!!」
レオパルドが振りかざした爪に、リオウは拳をぶつける。その瞬間、リオウの拳が爆ぜ、レオパルドは吹っ飛んでしまった。
「ぐあっ! なんつー捨て身なやり方……」
「捨て身だろうと何だろうと、十二星天を落とすにはこれくらいは必要だろうがッ! 爆散流星群ッッッ!!!」
リオウはレオパルドに大量の魔力弾を放出する。レオパルドは飛び回り、魔力弾を回避するが、それは空中で爆発し、その余波で、態勢を崩す。
周りを囲まれ動けなくなったレオパルドは、翼を広げ、硬質化させた羽根を魔力弾に向けて放出した。
「鋼羽撃ッッッ!!!」
レオパルドの羽とリオウの魔力弾がぶつかり、周りでいくつもの爆発が発生する。
爆風で何も見えない中、リオウの匂いが自分の上空に来ていることを確認し、上方向に気で出来た棒を構えた。
「フンッ!!!」
「グッ……舐めんじゃねえ!」
またしても刀を受け止めた為、その場で大爆発を引き起こしたリオウの一撃。
しかし、レオパルドは衝撃と爆風に耐え、リオウの刀を弾き返し、空いた胴にトウケンの怪力とトウガの爪を合わせた連撃を繰り出す。
「奥義・獣王連斬ッッッ!!!」
「グアアアッッッ! くっ……ウオオオオオオォォォッッッ!!!」
リオウは、その身にレオパルドの連撃を受けながらも再び拳にスキルを纏わせ、当たれば爆発する拳をレオパルドの攻撃に合わせて放つ。
「「ガアアアアアアァァァ~~~ッッッ!!!」」
二人の声と、衝撃により、その場を中心にいくつもの高波が発生する。その余波で、海賊団の残党と冒険者達の戦いに様々な影響を及ぼすことになるが、二人の頭に、そんな思いは無かった。
あるのはお互い、目の前の敵を今この場で倒すことだけに集中しており、拳が裂けようとも、体中から血を吹きだそうとも、二人は攻撃を止めない。
「いい加減にしろオオオッッッ!!!」
「それは貴様だ、十二星天ッッッ!!!」
そして、同じタイミングで、二人はそれぞれ大技を拳に乗せて放つ。
二人の攻撃はぶつかり、方向が逸れていき、リオウの背後はレオパルドが放った爪の形に海が割れる。反対にレオパルドの背後は、リオウが放った爆発の力が作用し、巨大な爆発が海中で発生し、大量の水を噴き上げた。
大技を使ったにもかかわらず、敵はまだまだ無事だという事を確認した両者は再び武器を構えて相手を見据える。
その様子に、ただならぬ気配を感じとっていたレオパルドは、ここでリオウに語り掛けた。
「テメエ……何故、ここまでやるんだ? そんなにコクロが憎いのか? そんなに世界が憎いのか? 何故、その力を、もっと別の方法で使わないんだ?」
「ハア……ハア……あ? 別の方法? 何に使うってんだ? まさか、この世界の世の為人の為とか言うわけじゃねえよな? テメエらがそうやってるからって、俺に、この世界を護れとか言うんじゃねえよなあ!」
まずい質問だったかと、レオパルドは少し後悔する。激高したリオウは、刀を振り回し、レオパルドを追い詰めていく。
「この世界の為に、この力を使う!? 馬鹿か! 俺は、この世界に閉じ込められたんだぜ? 向こうには家族も、仲間も居た。それを全て奪い、更には、この世界で出来た同志達をも奪ったのは、この世界その者だろうが! 俺から全てを奪ったこの世界を、この俺が護る? 違うな。この世界を壊すために、俺はこの力を手にしたんだよ!」
「同志? 海賊共の事か? 今まで散々命を弄んだ報いを受けただけだろ。何、テメエらで勝手に怒ってんだ!? 怒ってんのはこっちも一緒なんだよ!」
「ここで死んでいった奴らに関しては、アイツ等よりも、テメエらの“覚悟”の方が上だっただけの話だ! アイツ等じゃねえんだよ!
王都で! テメエらが! 保護と称して集めた、他の迷い人達の事だ! あの中には、ここに来て新しく生きるために夢を語り合った奴も、故郷の家族を思い励まし合った奴も、そして、人並みに愛し合った奴も居たんだよ!
なのに……それだけの力がありながら、テメエら十二星天は、アイツ等を護れなかった……勝手に呼んで閉じ込めたくせに、この世界は、アイツ等を助けなかった!
それが許せねえんだよ、十二星天! それでも、こんな世界を護ろうってんなら、容赦しねえ! アイツ等と……同じくこの世界に恨みを持つ、俺の“家族”に誓い、十二星天“獣皇”レオパルド・ジン、ジーン・シルヴァス、そして、太古の昔よりこの世界を護ってきたっていう神獣共! 全員まとめて、この場で一気に沈めてやらあっっっ!!!」
リオウは、懐から更に魔道具を取り出し、大砲に込めて空へと打ち上げる。レオパルドは一瞬の隙を突かれ、しまったと思った。
リオウが、迷い人であり、かつて、自分達が保護した人間の可能性があるという事は分かっていた。
そして、それが事実だと判明し、更にリオウがこの世界を破壊し尽くす動機も知ってしまった。その内容が、全てを理解するとまではいかないが、納得するような内容だったことに戸惑ってしまった。
今までの悪党の様に、私利私欲で破壊行動を行っているわけではない。他の船長級の者達や、海賊一人一人も同じか、それは定かではないが、少なくとも、リオウがこの世界を恨む理由は、それ相応の内容の様に感じてしまった。
自分だって、前の世界で死んで、冥界でエンマと邂逅しなければ、どうなっていたか分からない。アキラをはじめとした、かつて、この世界を護る為に戦った戦士達に会わなければ、自分も、リオウと同じ様な考え方になっていたかも知れない。
何となく、そんな思いが頭をよぎり、一瞬だけ、頭の中が真っ白になった。
しかし、瞬時に雑念を振り払い、リオウに向き直ったが遅かった。
リオウが打ち上げた魔道具は天へと昇っていき、空に巨大な魔法陣を描きながら輝きだす。
「何をした!?」
「さて……ここから先は、俺もどうなるかは知らない。だが奴らは、これこそ、世界を壊す序章と言っていたがな……」
「奴ら……?」
「お前らの方が詳しいだろう……んなことより、グダグダ語り合うのも飽きただろう? そろそろテメエも、本気で俺を止めろ。本気でこの世界を生き抜こうとした俺達に、今度こそ、本気で向き合えよ……なあ……十二星天ッッッ!!!」
気合を入れるとともに、リオウの体は更に変化していく。もはや、人としての原型をとどめることは無く、宿した魔物達をそのまま混ぜたような姿となっていく。
なおも巨大化したリオウは、そのまま、レオパルドに突っ込んできた。
レオパルドは、リオウの思いを知り、出来る事なら、人として葬ってやろうという気持ちでいたが、魔物染みた姿となっていくリオウを見て、その思いも捨てた。
「あああ~~~ッッッ!!! クソがあああッ!」
相手は世界を壊す者。自分はこの世界を護る者。覚悟を決めて、全身に力を入れていく。
「そんなに止めて欲しかったら、全力で止めてやる! この十二星天“獣皇”レオパルドが、テメエらの怒りも恨みも悲しみも、全部すべて何もかも葬ってやる!」
神獣の力を最大限にまで解放させ、レオパルドもリオウに向かっていった。
◇◇◇
リオウ海賊団で使用されている装備の大元は、転界教である。素材の多くは、リエン商会の船や、レオパルドが設立した魔獣宴のものではあるが、それらを加工し、天災級の魔者や龍族さえも操るようにしたものや、人の身に魔物の力を宿らせるものなど、全て、転界教から支給されたものである。
人界の宰相シンキがコモンに託した、魂に影響を与える魔道具や装備の創造法などがあったように、転界教側も、ケリスを含む、多くの邪神族の末裔により、その手法を現代まで伝えてきていた。
ただ、いかんせん、人の身で使うのは、危険すぎる代物ばかりで、ある程度の実験も兼ねていることを目的とし、転界教はリオウ海賊団に、それらの品を渡した。
リオウ海賊団“頭目”リオウは、転界教の企みには気づいていたが、その思想と、目的に共通するものを感じ、快く、その身を実験台にすることを決めた。
その成果が、今日までのリオウ海賊団の強さの要となっていた。
リオウが最後に打ち上げた魔道具も、転界教のものである。それは、魔物や人間の魂に影響を及ぼす代物、という認識ではあるが、少し、他のものと違って、用途は異なっていた。
今まで使ってきたものは、使用した者、あるいは、使用された者の魂に影響を及ぼすが、今回使われたのは、死んだ魔物、つまり、邪神族の眷属の魂を用い、世界に影響を及ぼすものだった。
打ち上げられた魔道具は、コクロの上空で強く輝き、巨大な魔法陣を描く。
その魔法陣の効果により、死んだ魔物が光の粒子となっていき、そこに集まっていく。
戦場に起こった変化に、その場で戦っていた者達は身構えるが、後の祭り。
魔道具は自動的に、更にその次の過程へと移る。
集められた魔物の肉体と魂は魔法陣の周りを円を描くように回り始める。
まるで、魔法陣の周りをもう一つの大きな円が囲うように見えた時、魔法陣の中心にあった魔道具が光を放つ。
その光は縦状に伸びていき、空に、一本の線が現れたように見えた。
そして、その線が、円に向かって段々と開いていき、空にぽっかりと黒い穴が開いたようになる。
この段階まで来ると、魔道具は役目を終えて砕け散った。
次の瞬間、その黒い穴の向こう側から、全身を真っ黒な甲冑で覆われ手には長剣、背に翼を生やした戦士……かつて、クレナにて出現した、邪神兵と邪神将が次々とそこから現れていき、アートルムに襲い掛かってきた。
言うなれば、先の魔道具は「天門発生装置」。鬼族、神族、人族が邪神族を封じるために、総力を挙げて創造した結界に、魔物達の魂の力を利用して、少しばかりの穴を開けるものだ。
なおも数を増やしていく邪神兵の軍勢。それは、空を駆ける巨大な蛇のごとく、真っ黒な帯を作り、目の前の、多くの人族の魂があるアートルムに向かって進軍を始めた……。
◇◇◇
「やってくれるわね……次から次へと……」
邪神兵の軍勢を目にしたリアは、もはや笑うしかなかった。
これほどの軍勢を指揮する立場になることはもう一生来ることは無いだろう。
というか、来ないで欲しいと、盛大にため息をつく。
不思議と、そこまでの恐怖心と絶望感は抱いていなかった。今日の戦いは、それほど、リアを追い詰めてきたものであり、今更、新たに邪神兵が現れようが、どうなろうが、とても些末なことに思えてきたのが、リア自身も不思議に感じていた。
―諦めの境地ってやつ……かな?―
などと、心の中で、普段は考えないようなことまで考えるようになり、ついに自分の感覚がおかしくなっていることに気付く。
無論、街を護る冒険者達は、新たな脅威に身を震わせているが、逆に海賊達は、リオウが援軍を呼んだと、ほとんど狂乱状態で奮起し、沖で戦うリオウの様に、人の姿を残すことなく、完全に魔物化する者まで現れた。
あっちも、普通の感覚を捨てたんだと、リアはそれすらも軽く受け止めていた。
そんなリオウの方も、魔物を越えて化け物となり、レオパルドと闘っている。レオパルドも、邪神兵が見えていないような戦い方で、リオウに応戦していた。
化け物を止める化け物……頭領以外にも居るんだねと、リアは更に可笑しな気持ちとなっていく。
その場で呆然としていると、ふと、リアの手を握るリンネに気が付いた。
「リアおねえちゃん……だいじょうぶ?」
不安そうな顔で自分の顔を覗き込んでくるリンネ。
その顔を見て、リアは、ここには、護る存在が居るという事を思い出し、大きく深呼吸した後、リンネに微笑んだ。
「ええ、大丈夫よ。あまりな事態に、少しぼうっとしちゃっただけ。ここからは、私も戦う。リンネちゃんは、ツバキさんについていて」
「うん!」
リアが元気になった事を確認したリンネは、再びツバキの元で斬鬼に力を込め始める。
心なしか、斬鬼から伝わってくる力が、強くなっていることに気付くリア。タイミングは任せてとツバキに頷き、ツバキもそれに従って、いつでも喚べるように、斬鬼を抜いた。
「エンヤ様……もうしばらくお待ちを……最上のお相手です」
ツバキの言葉に応えるように、斬鬼が輝く。
まだまだ、あきらめるわけにはいかない。ここまで来て、邪神兵に襲われましたでは、ムソウに示しが立たない。
いや、それはもうどうでも良いことだ。リアとしては、このまま、完全な勝利を収めたいと思っていた。その為なら、何もかも忘れて、最善の結果が得られるように、知略を練っていく。
「ジーン様。リエン商会の援軍に、早く来なさいって伝えて。遅過ぎ。馬鹿じゃないのも付け加えて」
「う……む。承知した。だが、儂は、責任は取らんからな」
「向こうが何か言ってきたら、頭領を仕掛けるだけよ。それと、王都に居るシンキ様にもこのことを連絡して。来なくていいけど、こっちの事情は知っておいた方が良いから」
「それはすぐに承知した。ちなみに、クレナのサネマサ達はどうする?」
「後の事を考えると、二人とも呼ばない方が良いかもしれないわ。その代わり、ジェシカ様とロロには、けが人が出るかもだから準備してって伝えて」
「分かった。それで、リア殿はどうするのだ? 儂もここに――」
「あなたは、ルーカスさん達と一緒に、街に戻って避難民の守護よ。ここは、エンヤ様と……それから、私とリンネちゃんが暴れるから、少々荒れるわ。良いわね?」
「む……分かった。だが、無理はするなよ。リア殿に何かあれば、儂はムソウ殿に顔向けできん」
「ハイハイ。じゃあ、やることが分かったら、パパッと動いて。私も……準備するから!」
ジーンに指示を出した後、リアは弓を抜いて力を込める。
そして、偶像術を発動した。リアの背後には、顔を布で覆い、巨大な弓を持った女怪が現れる。
リアとその女怪は、迫り来る邪神兵と、ジーンの指示によって退いていく冒険者達を追う海賊達に狙いを定めて弓を構える。
それと同時に、リンネも大きな獣に変化し、ツバキの横に立ち、狐火をいくつも出現させた。
そして、冒険者達と海賊達の距離が離れ、邪神兵が街に近づいた瞬間、リアは目を見開き、弓から大量の矢を発射させる。
「奥義・光柱豪雨ッッッ! エンさんも気合入れて! 奥義・破天豪雨ッッッ!!!」
リアが放った矢は上空から雨の様に海賊達に降り注ぎ、その身を貫いていく。砲術スキルも乗ったそれは、確実に海賊達を襲っていき、次々と倒していく。
矢が通じない相手にも、麻痺の状態異常を付与された矢によってその場に倒れていき、リンネの狐火に燃やされていった。
一方、上空から襲い掛かる邪神兵は、刀精が放った矢により貫かれたり、弱って地面に落ちていく。海賊達同様、とどめはリンネの狐火により焼かれていく。
それでもなお、天門から出て来る邪神兵達。リアとリンネは、このまま力を使い果たしても良いと思うくらい、技を放ち、邪神兵を蹴散らしていく。このまま、援軍が近づくまで、攻撃を続ける。
それは辛いことだが、リアはこれまで指示を出すだけ出して、ほとんど何もしてこなかった。皆が必死で戦っている時も、自分は安全な場所から眺めているだけだった。
指揮官という立場になった以上、そのことについてリアを咎める者はいない。
しかし、リアにとっては、何となく後ろめたいことだった。何より、コクロに来てから散々、自分達を翻弄し続けた海賊団に、文字通り一矢も十矢も百矢も報いたかった。
ようやくこの時が来たとばかりに、リアは矢を放ち続ける。
「ここが踏ん張りどころよ! リンネちゃん!」
「ク~~~ッ! クワアアアァァァ~~~んッッッ!!!」
背後から自分を援護するリンネに檄を飛ばすリア。
リンネは更に気合を入れて、狐火の威力を上げて邪神兵に撃ち込んでいく。
リンネもまた、この地に来てから嬉しいことがいっぱいあった。新しい“お友達”が増えて毎日が楽しかった。
そんな“お友達”は、海賊団という悪い人間に怯えているという事が分かった。ムソウはそれを倒しに来た。ならば、自分も、皆を護れる力を持っているのだから、皆を護る為に戦うと決心した。
ムソウはそれに応えて、リンネにも皆を護ってくれと頼ってくれた。リンネにとっては、それが一番嬉しかった。
ムソウの事を“好き”で居る限り、ムソウは強く生きていける。そうツバキが教えてくれた。その言葉通り、リンネは自分の存在がムソウの大きな力になっていることに気付き、更に、ツバキや闘鬼神の皆、コクロで出会った者達がムソウの事を信じ、リンネの事を信じ、その思いが、自分達を強くしてくれているという事に気付いた。
だからみんなを護る。ここまで強くしてくれた皆に、強く生きていけるようにしてくれたムソウに、精いっぱいの感謝を込めて、リンネは更に力を入れる。
そして、その思いが、リンネにとある変化……いや、進化を促した。
「クワアアアアァァァ~~~ンッッッ!!!」
「ッ!? リンネちゃん!?」
突如リンネの体が強く輝き始める。何が起こったのかと、ツバキは呆気にとられリンネを心配する。リアも何事かと思ったが、攻撃の手を休めるわけにはいかず、リンネの気配を感じとろうとした。
「ッ!? こ、これは……!」
しかし、リンネから伝わってきた気配は、段々と大きくなっていくことに気付く。
呆気にとられるツバキの前で、リンネの輝きに変化が起こった。
伸びていた六本の尾に加えて、二本の尾が伸びる。そして、若干体格が大きくなったところで、リンネを包み込んでいた光がぱあっと消えて、中から進化したリンネが姿を現した。
「まあっ!」
「クワアアアア~~~ンッ!」
姿を見せたリンネは、全体的に大きな変わりは無いが、尾が六本から八本になった事、額に冠のような模様が描かれている事、そして、常時、尾の先に狐火を灯した状態になったなど、細かに変わった個所は見受けられた。
それと同時に、先ほどまでと違って、リンネに宿る魔力もけた外れに大きくなっていることに気付くツバキとリア。
今まで、リンネの成長には驚いてきたが、人の言葉を話す以上に驚くことは無いだろうと思っていたが、まさか、ここまで目に見えて強くなるとは思わなかったと、ツバキは驚きつつも、その成長に喜んでいた。
「凄い……凄いですよ、リンネちゃん! 本当に……よくぞ……ここまで……!」
そう言って、ツバキはリンネの頭を優しくなでる。すると、リンネはにっこりと笑って、嬉しそうな顔をした。
「ク~……クワ~ン……(えへへ……うれしいなあ……)」
その言葉が、念話の魔道具を通じてツバキとリアに届く。体は大きくなって、魔力は増えても、中身は変わってないんだなと、どこかホッとした気持ちになる二人。
本当に大したものだと、ツバキは再び、リンネを撫でた。
「では、リンネちゃん。帰ってくるムソウ様にそのお姿を自慢する為に、ここは生き延びなければなりません。なので、今までと同じように、リアさんの援護をお願いします」
「クワンッ!」
リンネは強く頷き、狐火を展開させた。無論、進化してリンネの狐火にも変化が起こる。先ほどまでと比べて、一度に出現させる量が増え、大きさも大きくなっていた。
二人が驚いた眼を向ける前で、リンネは狐火を邪神族に当てていく。
邪神族に当たった狐火は更に大きくなり、狐火同士で連鎖的に大きくなっていき、最終的には、邪神兵の大群により形成された、巨大な黒い帯を緑色の炎で包み込むようになった。
それに巻き込まれた邪神兵は、巨大な狐火の中で消滅していく。
「これなら、行けるわ! リンネちゃん、これからもよろしく!」
「クワンッ!」
未知ではあるが、リンネが明らかに強くなっていたことを確認し、リアとリンネは、邪神兵の攻撃を再開する。
ただ、邪神兵は無尽蔵に現れる。天門を破ればいいのだが、そこまでは届かない。
エンヤを出したところで、天門を破ってもらうことはもちろんだが、その前に、リオウとの決着も付けて欲しいとリアは思っていた。
なので、リエン商会の援軍が到着した際に、邪神兵を任せて、自分とリンネが上空の天門を封じる、エンヤはそのままリオウとの決着をつけるようにと考えていた。
しかし、未だに援軍は来ない。ジーンは自分の伝言を正確に伝えたのだろうかと、頭を抱えたくなる。
現れたら現れたで、思わず矢を放ちそうだと思っていた時だった。
とうとうツバキが、待っていた言葉を口にする。
「リアさん! リエン商会の援軍です! あの旗印は、商会のもので間違いありません!」
ツバキが指さした方向に目をやると、巨大な船を中心に何隻かの船で構成された艦隊が姿を現していた。
中央の巨大船の旗は、荷車を曳く男を模したもの。リエン商会の援軍に間違いなかった。
「来たッ! 本ッ当にようやくね! そもそもあんな大きな船で――」
「リアさん、今はそれどころでは……」
思わず本音がこぼれるリア。大きい船だったからこそ、通れなかった所もあり、援軍が遅れたという事がすぐに判明して苛立ちを抑えきれなかったが、ツバキの言葉で我に返った。
「コホン……そうね、悪かったわ。じゃあ、ツバキさん。エンヤ様を……お願い!」
「はいッ! 最終決戦です。私達の思いを……願いを……お願いします……偶像術・奥義・闘鬼神ッッッ!!!」
「クワンッ!」
ツバキが偶像術を使う刹那、最後の一押しと、リンネが自身の魔力の一部を、狐火に乗せて斬鬼に込める。
それを受け取った斬鬼は、優しく、暖かくも激しい炎に包まれ、いつもより数倍に輝き始める。
そして、斬鬼から出てきた光とリンネの狐火が一体化し、それは徐々に人の形を成して、ツバキの前に降り立った。
「ふぅ……後は、お願いします。エンヤさ……え?」
「……は?」
エンヤに指示を出そうとしたリアとツバキ、それにリンネは、そこに現れたエンヤの姿を見て呆然とする。
いつもと違い、黒衣ではなく白衣に身を包み、髪は白髪となっていた。そして、額からは角ではなく、頭の上からとがった耳を生やしており、腰からはリンネと同じ様な尾が九本伸びていた。
そして、顔も若干変化している。いつもの雰囲気よりもやや女性的なものになっており、目元は紅を差したように赤くなっている。
その姿はまるで、獣人化したリンネが大人になったような、つまり、大人の妖狐のような姿だった。
「クウ……? (かかさま……?)」
リンネも思わず、死んだ自分の親かと首を傾げる。
その場に現れたエンヤは、いつもとは違う自分の姿を見まわし、体の調子を確かめた後、フッと笑みを浮かべて、リンネの頭を撫でた。
「いや……俺はアイツじゃない。いつもの、ザンキの“親”のエンヤだ」
「クウ……クワンッ! (うん……うん! なら、あんしん!)」
リンネはエンヤに撫でられたのが嬉しくて、尾を振りながら喜んだ。エンヤの声と口調はそのままで、何か別のものを喚び出したのではと思ったツバキは、ホッと胸を撫で下ろす。
「ですが、何故、そのようなお姿に……?」
得物は変わらないようで、エンヤは真っ白になった大刀を出現させて両の手に持つ。そして背中にも、いつもの大刀で出来た手裏剣を出現させて、邪神兵とその先の天門を見据えながら、ツバキ達に応じていく。
「さてな。リンネの成長に、お前の斬鬼が合わせたのか、あるいは、俺を出すために込められたリンネの魔力に反応したのか……まあ、考えられるのは後者だな」
「なるほど……その考えの方が、辻褄が合うわね」
「……って、リア。さっきから偶像術に合わせて気で出来た矢を撃ってんじゃねえか。もう、俺が出たんだから攻撃の手を止めろよ」
「あ、一応、エンヤ様が出てからって考えていたんだけど……援軍が来たから、邪神兵は私達に任せて、エンヤ様は、リオウの方に――」
そう言って、指示を出そうとしたリアの言葉をエンヤは遮る。
「いや……ここまで待たされたんだ。さっきよりも暴れてやるよ」
「……へ?」
「邪神兵共も、天門も斬って、リオウもぶっ潰すって言ってんだよ。なあに、心配するな。俺はいつもより強いぞ。分かりやすく言えば、ザンキよりも強くなってるかもな」
「いえ……あの――」
「じゃあ、行って来るぜ! 悪いが、モンクから来たアイツ等にやることは無えよ! ツバキ、リンネ、お前らもゆっくり休んどけ! じゃあなッ!」
「ちょっ……エンヤ様!?」
リアの言葉を完全無視し、その場から飛び出すエンヤ。呆気にとられるリアの肩に、力を放出したツバキが、ポンと手を置く。
「任せましょう。エンヤ様はそういう方です」
「……そう……だね……」
上空で狐火を纏わせた大刀を振り回し、邪神兵の軍勢を次々と堕としていくエンヤを見ながら、リアは何も言わずに、ツバキとリンネと共にその場に座り込んだ。
長い戦いだったが、ようやく終わりが見えた。最初から分かっていたことだが、やはりエンヤが出てくれば、何もかも全ての不安要素はゼロになるんだなと、改めて理解しながら、少し早めに、一日の疲れを癒していた。
そうしている間にも、上空でエンヤはあっという間に天門を破壊し、邪神兵を全滅させる。
間髪入れずにリオウとレオパルドに割って入るのが見えた。
思わず、ため息をつきながら苦笑いするリアに、ツバキも苦笑いで答えるしかなかった。




