第383話―自分と皆の力を確認する―
翌日、皆より先に、ギルドに向かった俺は、闘技場にて準備を進めていた。
無間の状態は良いとして、その他の装備の確認を行っている。クナイ、炸裂弾、閃光弾、煙玉の他、痺れ薬を散布させる麻痺弾というものも一応用意している。
流石に、毒をまき散らすものは用意していない。皆を危険に晒さない為、と言うのもあるが、おにごろしを使うのであれば、元々意味の無いものだからだ。
後は、ジゲンとツバキ、それにバッカスに対応する為、クナイでは心もとないので、新たに小太刀を買った。レッドワイバーンの爪から出来ているらしく、噴滅龍の大刀と同じく、魔力を込めると、炎を纏うようにはなっているが、多分、そこに意味はないだろうと思うので、いつものように気を纏わせて刀身を強化させて闘うとしよう。
さて、ある程度の準備を終えて、その場で大の字になった。
……何だろう……昨日までは面倒だなと思っていたが、少し楽しみに……というか、これだけ準備している辺り、凄く楽しみなんだろうな。
別に、強い敵を求めているというわけじゃないんだが、ここ最近、皆の稽古だったり、皆と強い魔物を倒すというより、皆がどれだけ動けるか、俺と連携できるかを確かめるための仕事だったりと、何となく気を遣うことも多かった。
今日も、気を遣う事は勿論のことだが、ジゲンが出る以上、こちらもある程度は本気を出しても良いという状況だ。俺の方も、俺の事だけ考えて、しっかりと楽しむとしよう。
それに……。
闘技場で大の字となり、目を閉じていると、受付の方からとある気配を感じ取った。その他に、慣れた気配が複数感じ取られる。
皆も来たようだ……たまと一緒に女中達、それにカドルと牙の旅団も居るな。こないだのように、家の護りはジロウ一家がやってくれているのだろうか。
俺含めて、皆にとって今日は休日になるのかどうか、俺次第になるんだなと、少し笑った。
そして、皆の気配に混じって、ショウブとナズナ、シロウのものもあるが、もう一つ、大きな気配を感じる。
これは……まあ、偶々だろうが参加しそうだな。この状況だと、何を言っても無駄だろうから、何も言わずに、皆の流れに任せるとしよう。
その方が、本当に、俺も本気で体を動かせるからな。そう思い、体を起こすと、受付へと続く大きな扉が開かれた。
「待たせたな!」
「……ああ」
皆がぞろぞろと入ってくる中、先頭に居たサネマサが手を振りながら近づいて来る。お前の事は待っていないと思いながら、ひとまずジゲン達に事情を聴いた。
まあ、予想通り、偶々、ここを訪れたサネマサが、闘鬼神一同を目にし、何事かと声を掛けて、事情を聞いて、やる気になったとのことだ。
サネマサも、天上の儀の苛つきをどこかで発散させたかったらしく、これ幸いにと、ジゲン達に加わったようである。
「というわけじゃが、良いな? ムソウ殿」
「まあ……既に俺が何を言っても無駄なんだろ? だから、構わないが……そっちは良いのか?」
そう言って、バッカスとジーゴ達を指さす。これから、俺と闘うというのに、サネマサに委縮しているようだった。コウシ達と準備運動をしているサネマサを、呆然と眺めている。
「すげえ事になってきた……勝率が上がるのは良いが……」
「足、引っ張っちまったらどうしようか……というか、本当に負けられなくなったな……」
ずーんと沈んだ様子のジーゴ、バッカスとその一行。気の毒だなと思ったが、そこへ、ダイアン達が近づいて、ジーゴ達を励ましていく。
「大丈夫っすよ、ジーゴさん、バッカスさん。俺達だってまだ慣れてねえっすから」
「勝ったら金貨1000枚って事だけを意識して」
皆の言葉に、徐々に落ち着いてくる冒険者達。
まだ、慣れてはいないんだなと思っていると、リアの言葉を聞いたジーゴが少し戸惑った顔つきになる。
「その話だけどよ、本当に報酬は俺達が貰っても良いのか?」
今回、俺に勝った報酬は、全てジーゴ達に渡るように取り決めたらしい。未だ、その事に疑問を抱いているジーゴに、ツバキがフッと笑った。
「はい。今の所、私達は金銭的に困っているわけではございません。寧ろ、ジゲンさん達の退屈凌ぎに付き合っていただくお礼と思って受け取ってください」
「退屈しのぎって……」
「作戦ではそう言うことになっておりますし、ムソウ様と手合わせをするという事は、普通に依頼をこなすことよりも危険な事になってしまいますので、その手当としてお納めください。無論、勝つことが出来ればの話ですが……」
「お、おう。分かった。改めて、気を引き締めて行こう」
ツバキの言葉に納得した様子のジーゴとバッカスは、闘鬼神の皆と最後の調整を行い始めた。
その光景を見たジゲンは、俺の横でフッと笑みを浮かべる。
「大丈夫そうじゃな……」
「そのようだ……しかし、爺さんも今回はやる気満々だな……」
闘鬼神、ジーゴ一行、バッカス一行は勿論、ジゲンもツバキも、今日はしっかりと装備を整えている。ジゲンも、ケリスと闘った時のような、各種、身体能力を高まる装飾品に加え、高い耐久性を誇る羽織を纏っている。
ツバキとリンネも、本気で闘えるようにしっかりと準備をしている辺り、容赦ないなあと感じた。
「ムソウ殿は……何ともみすぼらしいというか……」
「修理してんだから当然だろ……なあ、少しは手を抜くとか……」
「無理な話じゃ。魔物もそう言うのは待ってくれんじゃろ?」
「ぐぬ……じゃあ、その分、本気でやっても良いんだな?」
そう言いながら、闘気を放つと共に、死神の鬼迫を少しだけ放つ。
コウシやカドルと準備運動をしていたサネマサも、打ち合わせをしていたジーゴやツバキ達も、たまや女中達と遊んでいたリンネも、ぴくッと体を固まらせて、こちらに視線を移してくる。
巻き添えで、結界障壁を張る準備をしていたアヤメ、ナズナ、ショウブ、シロウも、若干引いた顔で、こちらを見てくる。
全員に、俺が本気になっていると分からせていると、俺の正面で誰よりも、その気配を感じていたジゲンがフッと笑みを浮かべ、俺のものと同等の闘気を放った。
「望むところじゃ……簡単に斬られるでないぞ、ムソウ殿……?」
「やはり、爺さんは怖いな……今日はしっかり、楽しませてやろう……」
俺達はそのまま、拳を合わせ、ジゲンは皆と合流しに、俺は自分の立ち位置に戻った。
ごくりと生唾を呑み込んだり、冷や汗を掻いている皆を安心させるように、朗らかな笑みを浮かべながら、的確な指示を出していくジゲン。
それを元に、皆も俺を取り囲むような配置に着く。正面は、ジーゴとツバキ、サネマサを先頭にし、後方に、闘鬼神主力と、モンクの冒険者達。
そして、左右にバッカスとジゲン、それにそれぞれの魔法や弓矢で闘う、所謂遠距離攻撃部隊がその後方についており、バッカスの方にはルイ、ジゲンの方にはリアがついている。
見た感じ、サネマサ、バッカス、ジゲンが前に出て、その間にそれぞれ、ツバキ、ルイ、リアが指示を出していき、全体の統率をジゲンが執る形になっているようだ。
となると、サネマサは動くだけ……寧ろ、そっちの方が、確かに怖いな……。既に取り囲まれているところから始めるわけだし、予想以上に辛くなるだろうな。
そう思っていると、アヤメの咳払いが聞こえてくる。
「コホン……あー、そろそろ良いか? ムソウ、叔父貴」
「ああ。とっとと始めてくれ」
「儂らも大丈夫じゃよ、アヤメ」
「分かった。じゃあ、ナズナ、ショウブ、シロウ、魔法を起動させろ」
アヤメの指示に三人は頷き、闘技場の四隅から四重の結界が展開された。鑑定スキルで視た所、ミサキの結界魔法である「天岩戸」の様だ。
ミサキの時は三重だったが、今回は四重。どれだけ暴れても大丈夫のようだな……って、当たり前か。サネマサと俺、ジゲンがほぼ本気でぶつかるんだからな。
それに加え、ツバキの持つ刀にはアイツが……。
あ……今思い出した。多分やばいぞ、今日。あの結界も持つのかどうか不安になって来る。大丈夫だよな、とツバキに視線を送ると、それに気づいたツバキは、ニコッと笑いながら、斬鬼に手を置く。
分かっているよな……? 何となく不安になるが、エンヤもコウカやリンネ、たまの前では無茶をしないだろうと思い、俺は自分の事に集中することにした。
「よし、これで大丈夫だな。シロウ! 戦い始まって、ビビッて逃げ出すなよ!」
「逃げるか! というか、逃げられねえよ! 俺よりも……ショウブ! 親父にビビッて、結界を解くなよ!」
「馬鹿を言うでない! 魔法の扱いじゃ、妾が一番なのじゃぞ! それより、シロウもナズナも、戦闘中にお互いに照れて、力を抜くでないぞ!」
「な、何を仰っているのですか! 今更照れません!」
「え……」
「……おい、ナズナ。シロウが固まってるぞ……あー、シロウ、傷つくのは良いが、結界が弱まっている。締まっていくぞ~」
安定しない四重の天岩戸の中で、何だかほっこりするやり取りをするアヤメ達。シロウが慌てて結界を安定させたところで、女中達がクスクスと笑い、シロウとナズナは顔を真っ赤にし、ジゲンとサネマサ、牙の旅団は、やれやれと言いながら、朗らかな顔をしていた。
「そうだ……おい、爺さん! 闘う前に、最後に一つだけ、良いか?」
「む? 何じゃ、ムソウ殿」
俺は、無間を抜きながら、不思議そうに首を傾げるジゲンに笑ってやった。
「この戦い……俺はシロウとナズナに捧げるつもりでやるが、良いか?」
そう言うと、ジゲンとサネマサは目を見開き、すぐに、笑みを浮かべて、ジゲンは刀に手を置き、サネマサは二本の刀を抜いた。
「なら、儂から二人に、クレナ最高の闘いを捧げるとしよう」
「結局のところ、俺もジロウも、一番得意なものがコレだからな。二人とも! しっかり、楽しんでくれよ~!」
大きくシロウとナズナに手を振るサネマサに、二人は顔を真っ赤にしながら頷いた。
コウシ達から、誰に向けてか、やってやれ~! と、威勢の良い声が聞こえてくる。
たま達から、俺以外の闘鬼神の皆を応援する声が聞こえてくる。
いや、何でだよ。ミサキの時と違って、今日は、俺の味方と言うのは居ないらしい。
ますます派手に出来るなあと、笑みを浮かべながら無間を握る手に力が籠った。
「ふむ……それぞれ、準備万端な様だな。ではそろそろ始めようか」
「アヤメ……この状況でそこまで落ち着けるとは、妾達から見ても凄いと思うぞ」
「ほっとけ。そろそろ始めねえと、叔父貴がしびれを切らして俺も慌てるかも知れねえから、始めるぞ~」
そう言って、アヤメは結界の魔道具に、魔力を込めながら片手を上げる。
その瞬間、闘技場の空気がピリッと張り詰める。
「では、冒険者ムソウ討伐特別依頼、これより……始め!」
「ハアッ!」
アヤメの手が降り下ろされた瞬間、ひとごろしを発動させた。
それと同時に、読み通り、ジゲンとバッカスが、目にも止まらぬ速さで俺に接近戦を挑んでくる。
「部隊を分けて正解じゃったな。斬波を放つわけにはいかんか……」
「流石、ジゲンさん、速いっすね……加えて俺も居るのに、それをさばくオッサンも大概だが……」
ある程度短くなり振りやすくなった無間でジゲンの攻撃をいなし、小太刀でバッカスの攻撃をいなし、躱していく。こちらの攻撃の隙を与えない所は流石だと感じる。
そして、この間に、後ろで控えている奴らが、武器に気を溜めたり、魔力を込めたりしている。
「ムソウのオッサンは、いずれしびれを切らしてバッカスとジゲンさんから距離をとるはずだ! その瞬間、撃ち込んでやれ!」
「護りは私にお任せください!」
意外にも、ジーゴが指示を出し、ツバキの方は、三つの部隊の前に障壁を展開させ、俺からの攻撃に備えている。
おかげで、皆が安全な場所でゆっくりと力を溜めることが出来ていた。
ジゲン達の相手をしていると、二人にも当たる可能性があるから、皆からの攻撃は無い。かと言って、こちらからは何も出来そうにないから、このままと言うわけにはいかない。
仕方ないと思い、バッカスの腕を掴み、ジゲンの前に向けた。
「うおっと!?」
「むっ!」
バッカスを前に、ジゲンの動きは止まる。
「おっし、止まった! 剛掌波ッ!」
そのままバッカスの背中に剛掌波を当てて、吹っ飛ばす。
「ガハッ!」
「ぬ……皆! ムソウ殿に暇を与えるでない!」
「了解! 今だ、皆! 撃てぇ~~~ッッッ!」
二人の体が俺から離れ、態勢を立て直したジゲンがバッカスを抱えて後方に下がった瞬間、俺に向けられて、それぞれから気や魔法、矢が飛んでくる。
「舐めんなよ、テメエらあああッッッ!!!」
無間を手元で回転させ、竜巻を作り上げて皆からの攻撃を防いだ後、正面のジーゴ達に竜巻を向けた。
「螺旋斬波ッ!」
「チィッ! 姉ちゃん、障壁――」
「いや、俺が出る! お前らは準備してろ! 覚醒ッッッ!」
一瞬慌てた様子を見せたジーゴ達だったが、サネマサが飛び出しながら、俺の技をかき消した。砂埃が晴れて露になったサネマサの姿はいつもと違っていた。
全身を、気で出来た鎧兜が覆っており、いつもの軽薄さは感じられず、厳格な武人と言ういで立ちとなっていた。
どうやら、ミサキも使っていた、十二星天独自の術を使ったようだ。その分、普段よりも大きな力を感じる。
誰もかれも、本気で容赦ないんだなと思っていると、サネマサは一気に間合いを詰めて、まるで炎のように揺らめく刀を振るってきた。
「オラアッ!!!」
「クッ……この野郎……マシロの時はやっぱり、本気じゃなかったんだな……」
「それは、お互い様だろ?」
「じゃあ、俺も……少しばかり、本気で行くぞッ!」
―かみごろし発動―
俺はひとごろしに加え、かみごろしを発動し、鬼人化した。冥界の波動を放つ無間での一撃を、サネマサに与える。
「重いッ……!」
「胴ががら空きだッ!」
「ゴフッ!」
サネマサの腹を蹴り、その身を吹っ飛ばした。これで少しは……と、思った瞬間、サネマサは空中で身を翻し、その背後から巨大な炎を纏ったジーゴの鉄球が飛んでくる。
「奥義・流星豪焔壊ッッッ!」
「鬱陶しいッッッ! 鬼拳ッッッ!」
拳に鬼火を纏わせて、鉄球を弾き返す。鉄球は、ジーゴ達の方に跳ね返るが、ツバキの障壁に阻まれた。
すると今度は、態勢を立て直したジゲン、サネマサ、ツバキの三人が、俺に接近戦を挑んできた。
「隙を与えるな! 持久戦に持ち込むぞ!」
「うむっ!」
「はいっ!」
そのまま、何合か打ち合っていく。バッカスほどではないにしろ、ツバキも動きは速い。それに加え、得物である斬鬼の切れ味は馬鹿にならない。防御用に展開させた鬼火も次々に斬られていく。
また、こちらからやり返しても、障壁に阻まれ、思ったように攻撃が出来ない。更に一瞬の隙を突いて、サネマサ、ジゲンと言う、コウシとチョウエン以上の呼吸で俺を責め立ててくる。
流石、長年の親友同士の連携は違う。必死で三人の攻撃を何とかしていた。
どうやら、相手は、こうやって俺を足止めしているうちに、遠距離から攻撃を放ち、俺を消耗させるという作戦の様だ。悪くないとは思うが、俺からすれば、皆のちまちまとした戦い方に、若干、うんざりとしていた。
少し、流れを変えるとしよう……。
「テメエら……調子に乗るなよッッッ!!!」
無間を振り回し、ツバキの障壁を切り裂いて地面を思いっきり叩きつけた。
「クッ……!」
衝撃から、サネマサ達は俺から距離をとった瞬間、まず、正面で固まっているダイアン達に突っ込んでいく。
「行かせません! リンネちゃん、お願いします!」
「クワ~ンっ!」
俺を近づけさせまいと、ツバキは障壁を展開させ、リンネは幻術で全員の姿を視えなくした。
俺は、すべてをきるものを発動させ、ツバキの障壁と、リンネの幻術の切れ目を斬り、その効力を無くす。
「クウッ!?」
「あちゃ……頭領には効かねえか……本気だな……」
「え……じゃあ、ヤバくねえか!?」
「そっすね。皆、行くぞ!」
俺には足止めなど通用しないと悟ったダイアン達は得物を手に取り、俺に向かってきた。
幻術を打ち破られ、落ち込んだ様子のリンネも、小さくなってダイアンの肩に乗っている。
何でだろうと思ったが、すぐに疑問は解けた。
「キュウッ!」
「うおっと!? 危ねえな!」
乱戦になる中、リンネは皆の先頭で闘うダイアンを結界で守ったり、ダイアンの攻撃の合間に狐火を飛ばして来たりしている。結構厄介だ。
「リンネちゃん、その調子っす! 後で、アザミに美味いもん頼んでおくぞ!」
「キュウッ!」
ダイアンは、背中から翼を生やし、手足を部分獣化させ、色々な方向から爪で攻撃してくる。ソウマの小手にも慣れてきているらしく、ただの爪の攻撃も、避けると地面が抉れるほどだ。
それに加えて、リンネが狐火を纏わせたりしていて、俺の攻撃が当たると、ダイアンから狐火が吹き上がり、俺に襲ってくる。これもなかなか、厄介な相手だった。
「クソ……面倒な……って、あ?」
しばらくダイアン達と打ち合っていると、リンネが消えている事に気付く。どこへ行ったのだろうか、また、幻術で姿を消しているのかと思っていると、不意に上空から声が聞こえてきた。
「ダイアン! 準備できたぞ! 全員離れろ!」
ハッとして上を見ると、トウウの姿に変化したリンネの上に、ハルキが槍を構えて立っていた。
ダイアン達は、サッと俺の周りから離れていく。それと同時に、無間を伝って、紐のようなものが俺に巻き付かれていった。
「やった! ハルキ! 頭領の動きは止めたよ!」
どうやら、ルイが後方から、俺に気で出来たひもを巻き付けて来たようだ。そして、更に動きを止めるために、リア達が、俺の足元を攻撃してくる。
「本当……鬱陶……しい……」
ルイの拘束を切れ目を斬って解こうとした瞬間、更にその上から、ロロ達の蔓魔法が巻き付いていく。
いつもの闘鬼神の面子に加え、シータ並びにモンクの魔法使いに、サネマサも居て魔力が高まり、なかなか拘束は解けなかった。
動けない俺を確認し、上空からハルキが槍を下に向けて跳び下りる。
「行くぞ、頭領! 奥義・龍尾一閃ッッッ! ウオラアアアッッッ!!!」
「加勢する! ジーゴ殿!」
「おう! 奥義・流星豪雷壊ッッッ!」
「テメエら! 本気で殺す気――」
ハルキの一撃に加え、ジゲンから雷を纏わせたジーゴの鉄球が飛んでくる。俺でさえ、当たったらマズイと感じ、必死で拘束を解いたが、相変わらず続く皆の遠距離攻撃と、リアから放たれる、地味に強い攻撃により、迎え撃つしか無い状況となる。
確実に殺しにかかっていることに激高する間もなく、ハルキの槍から放たれた極太の攻撃が俺に直撃し、遅れてジーゴの鉄球も直撃した。
「ぐうっ!?」
九頭龍の一撃や神怒に比べると、威力は弱い。が、痛みは走った。大した装備では無い中、これで済んだと良かったと思うべきか、本気で殺しにかかる全員に呆れるところなのか分からない。
だが、少なくとも俺の苛立ちは頂点となった。
「おっし! 初めて頭領に一撃を与えられた!」
「この隙を……え?」
「む? いかんっ! 全員、気をしっかり保つのじゃ!」
俺は、俺に大きな攻撃を当てられたと浮足立つ皆に向けて、強い殺意をぶつけた。
―死神の鬼迫―
「ウオオオオオオア゛ァァァァア゛~~~ッッッ!!!」
「「「「「ゔっ……!」」」」」
「クウッ!?」
「くッ!?」
「ぬうっ!」
それにより、闘鬼神含め、何人かの冒険者が倒れていく。リアから対処法を聞いていた者達は、何とか、耐え切るも、青い顔をして頭を抱えながらフラフラとしている。
その中にはサネマサ、ジゲンに加え、ツバキとリンネも居た。二人に関しては、私達にまで!? という感情が顔に出ていて、若干動揺するが、すぐに立ち直り、俺は、笑った。
「くくっ、ハーハッハッハッハ! よくやったな~、お前ら! よくぞ、俺に、攻撃をぶつけられたな! 礼だ! ここから、更に力を込めてやる! 身構えろおおおお!」
意図せず、段々と怒鳴りながら、まず、サネマサに突っ込んでいく。
「くっ、と、頭領を止め――」
「邪魔だ、カサネ! テメエは妓楼で楽しんでろ!」
「な、何故それを――ぐあっ!」
カサネが、妓楼に通い詰めているという事を、俺が知らないと思ったのだろうか、動揺したカサネを黙らせた後、同じく、何かしらの秘密にしていそうな者達の動揺を誘いながら、そいつらを黙らせていく。
「よお、シブキ。こないだ、八百屋の娘を口説いていたらしいが、成功したか?」
「な、何で――ぐうっ!」
「お、レイミ。お前に一つ言っておこう……トウヤは、結婚していたぞ」
「え、嘘――キャッ!」
偶に、炸裂弾や癇癪玉、閃光弾を使って動きを封じては、皆を殴ったり、蹴ったりしている。
「まさか頭領がこんな姑息な手を! グハッ!」
「ず、ずるい~~~! わっ!」
などと、俺の戦い方にケチをつけてくる奴らも居るが、気にしない。多勢に無勢の奴らがよく言うなと、持っていたものを使い切るほど、躊躇なく皆にぶつけていく。
そして、サネマサが力を溜めるまでの間、時間稼ぎをしようと立ちはだかっていた者達、全てを倒し、サネマサの前に道が出来た。
「チッ! お前ら! 後で説教だ! 俺じゃなくてジロウが!」
俺の姑息な手に落ちた皆を怒鳴りながら、サネマサが俺を迎え撃つ。
ツバキが障壁を出したり、冷静さを失った様子のリアが矢を放ちながら援護するが、元々リアの矢は、俺に通用しないし、ツバキの障壁は切れ目を狙って斬ることが出来るので気にせず、サネマサと闘っていた。
出来るだけ派手に行うことで、ジーゴやバッカス達の動きも止めている。
「サネマサ……馬鹿にされたくらいで怒ってんじゃねえよ。やはり、お前もまだまだだな。セインやエレナに何言われても動じないくらいの貫禄を見せていれば、天上の儀でも、面倒な事にならなかっただろうに……。
アヤメやロロが頭を抱え続けた一番の要因は、お前だろうな……やれやれ」
「な、何だと!?」
戦いながら挑発し、出来るだけサネマサの力を入れさせることに専念する。そのうち、俺と本気で打ち合うことで、周囲にも衝撃が伝わるようになり、俺達の周りは慌てるようになっていく。
戦いながら俺達が近づくと、魔力や気を溜めるのを中断して、その場から離れたりと、ようやく全員がばらけ始める。
「サネマサ、落ち着け! いったん退いて、儂に代わるのじゃ!」
「サネマサ様! 私は怒っておりません! 天上の儀での一件では、私もお世話になったと思っております!」
サネマサを落ち着かせようと、ジゲンとロロが声をかける。というか、ロロ。死神の鬼迫で気絶しなかったんだな。ジェシカの元で活動するうちに、腕が上がったロロの回復力は、やはり馬鹿に出来なかった。
先ほどの死神の鬼迫は、ほとんどロロを気絶させるために行ったのだが、もう少し力を入れた方が良かったのかも知れない。やはり、精神面はかなり成長しているようだな。
まあ、それは皆も同じか。闘鬼神でも倒れている者は居る者の、前衛で闘う者達は全員残っている。そればかりか、倒れている者のほとんどは、モンクの冒険者達だ。
立って居るのはシータとアイリーンと言った、ジーゴとバッカスのパーティだけで、ここで、闘鬼神が明らかに他の冒険者に比べると、そう言った意味では強いという事が明らかになると同時に、「腕利きの冒険者」と言うのは、ここまでなのかと感じることが出来て良かった。
そんなロロ達がせっかく止めようとしているのに、サネマサは、俺に攻撃を仕掛け続ける。
「やらせろ! この野郎、俺が一番気にしている事言いやがって! 俺だって、ミサキに比べりゃ、成長したんだよ!」
「アイツと比べるなよ。アイツはアレで良いんだよ。というか、ミサキを引き合いに出すあたりで――」
「うるせええええ!!! 目にもの見せてやる! 奥義・獣王――」
更に挑発を繰り返すと、サネマサは激高し、巨大な気を纏い、強力な技を仕掛けようとした。
これを打ち破り、その隙を突いて、まずはサネマサを無力化……そう思った瞬間、サネマサの背中に衝撃が走った。
「ぐあっ! な、なんだ!?」
技を中止し、サネマサは後ろを振り返る。そこには、必死そうな顔をしたリアが弓を構えていた。
「サネマサ様、落ち着いて! 今日の勝負はジゲンさんと貴方に掛かってるの! 頭領の言葉に惑わされないで!」
「惑わされてねえよ! というか、止めるな! 俺が一撃いれりゃ、好機が――」
「来ないわ! 手抜きとはいえ、頭領も一度は、サネマサ様の技を打ち破ってるのよ! 今回も、その技打ち破って、その隙を突いて来るに決まってる! ちょっと、落ち着いてよ!」
リアの言葉に、俺は動揺し、サネマサはハッとする。考えていたことを言われて、つい、口をあんぐりと開けた俺の顔を見たサネマサが、リアの言っていることは正しいと感じ、俺から距離をとった。
頭を掻きながら、リアに頭を下げるサネマサ。リアはフッと笑いながらサネマサを許し、ロロが、サネマサの消耗を癒していた。また、完全回復されてしまったな。
そして、サネマサと交代するかのように、再びジゲンが俺に立ちふさがる。
「クソ……あと少しだったのに……」
「あまり、儂の親友を傷つけないでくれ……にしても、リア殿……エンミに似て来たのお……」
「どうした? 顔色が悪いぞ」
「いや……何でもない。それより、ムソウ殿……儂ばかりに構ってもらって良いのか?」
「あ? 何が……ッ!」
ジゲンからの嵐のような攻撃を必死で防ぐ中、にやりと笑みを浮かべるジゲン。
すると、背後からバッカスが俺に斬りかかる気配があった。慌てて小太刀を抜いて、バッカスの攻撃を防ぐが、その瞬間、バッカスの得物から、緑色の炎、つまり、リンネの狐火が吹き上がる。
「ぐあっ!」
「おっしッ! ようやく俺もオッサンに……このまま……ジゲンさん!」
「うむ! 奥義・瞬華終刀ッッッ!」
狐火を払うと同時に、ジゲンから放たれた幾つもの衝撃が全身を駆け巡り、立ち眩みが発生する。鬼人化しているおかげか、相変わらず傷一つ負っていない自分の体に驚くも、流石、ジゲンだ。体の内部に影響はあった。
ふらついていると、以前のように体を潜り込ませて、下からバッカスが、俺の体を上空に蹴り上げる。
「くうっ!」
「今だ、総攻撃だ! 決めろよ、ジーゴ!」
「おう! 金貨1000枚は貰ったあッッッ!」
バッカスの合図に、ジーゴは魔法使い部隊から火の魔法を受け取り、鉄球に今日一番の大きさの炎を纏わせ、俺に狙いを定めた。
「儂らも行くぞ! ルイ殿! あれは、お主から始まる! 頼むぞ!」
「りょ~かい、ジゲンさん! 皆も準備は良いわね!? 行くよ~!」
ルイの言葉を合図に、ダイアン、リア、チャン、チョウシ、ハルキ、それに、ジゲンと、ワクワクした様子のサネマサが、それぞれ気を放出した。
「何だあ!?」
鬼人化を解き、新たに神人化した俺は、空中で態勢を立て直しながら、皆の様子に驚く。
何と、全員、偶像術を発動させていた。いつの間にか習得していたようである。
しかも、サネマサに関しては、刀精が二体居る。あれで、攻撃されたら確実にヤバいと思い、その場から離れようとした。
「行かせない! 奥義・曼蛇羅ッッッ!」
しかし、ルイの刀精である、女怪から、全身を覆う包帯が飛び出し、俺を捕らえる。先ほどのように、斬ろうとしたが、斬った側から自動で修復され、俺の体を覆っていった。
「く、ウオオオオオ~~~~ッッッ!!!」
藻掻くことすら出来ない俺に、ジゲンの号令が響く。
「今じゃ! 奥義・素戔嗚ッッッ!」
ジゲンの刀精が大刀を振り上げると、その場に、雷雲が出現した。アヤメ達の表情も曇り、更に結界の魔力を込める。ツバキ達は、その他の者に影響を出ないように、障壁を展開させていた。
それほどの技のようだ。牙の旅団の刀精の一斉攻撃……想像しただけでも、気分が悪くなる。
必死で躱すか、切れ目を斬るかしないと駄目だが、このままでは全てを食らってしまう。
どうしたものかとじたばたしているうちに、全員の刀精も、俺に対して得物を向けてきた。
慌てて、拘束を解いていくが、引きちぎれば引きちぎるほど、自由が利かなくなっていく。
「クソッ! テメエら、今度こそ、俺が死ぬかも知れねえぞ! 良いのか!?」
「これくらいでお前は死なねえだろ。俺を挑発するという事がどういうことか、セインともども今のうちに知っておいた方が良い」
「セインにだけ分からせろ!」
「頭領、大丈夫です! 何かあれば、ジェシカ様をお呼びします!」
「呼ぶ事態を起こすな!」
「ムソウ様……信じております!」
「キュウ~ッ!」
「そういうのは、今要らない! 皆を止めてくれ!」
「行くぞ、ムソウ殿……」
「ああ、ようやく頭領に一泡吹かせるっす……」
「感慨深いわね……皆、行くよ」
「こないだ、私を地面に叩きつけた罰ね。皆、後はよろしく~」
「今日の酒は美味そうだ……」
誰も、俺の事を想っていないという現実……本当に、怒りたくなってくる。
覚悟を決めて、ため息をつき、せめてもと気を全身に纏わせていく。
……それと同時に、徐々に冷めていく頭の中で、あることを思い付いた。いや、思いついてしまった。ひょっとしたらと思い、こそっとそれを実行すると……出来てしまった。
「あれ? これなら――」
「今こそ、我らに勝利を! ハアアッ!」
その瞬間、ジゲンの刀精が雷を纏わせて大刀を思いっきり振り下ろす。俺は、思いついたことを行って、何とか難を逃れる。
直後に、もうもうと立ち込める砂煙向けて、ダイアン達の攻撃と、ジーゴの鉄球が飛んでくる。ダイアン達の攻撃は切れ目が見えたので、上手く対応し、ジーゴの鉄球は新しく思いついた対処法で対応した。
全員の攻撃が終わり、刀精が消えていくのが見える。土煙で皆の様子は見えないが、伝わってくる気配から、全力は出したという事が分かった。
そして、地面にトサッと座り込む音が幾つも聞こえてくる。
「はあ、はあ、はあ……偶像術って、結構疲れるのね。多用は出来ない、か……」
「うむ。しかし、かつてのコウシ達に負けずとも劣らずと言った感じじゃ。よくやったのお」
「これで、勝ったと良いんすけど……」
「何言ってんだ、ダイアン。俺も本気だったから、これで決着と見ても良いだろう」
サネマサの言葉に、ダイアンがそうっすねと返す声が聞こえてくる。その瞬間、全員から勝鬨の雄たけびが聞こえてきた。
皆から、喜びに満ちた感情が伝わってくる。つい、俺もその場で喜びたくなるくらいだ。
まあ、そんなことも出来ないので、俺は無間を強く振って、砂埃を晴らした。
「「「「「……は?」」」」」
抉れた地面の上に立つ、無傷の俺を見ながら、その場に居た者達は、にやけ顔を辞めて、目を点にする。
「……死ぬかと思ったが、人間、極限状態だと何とかなるもんだな……」
そう言いながら、粉塵による汚れが気になったので、光葬雨を降らせて汚れを落とした。綺麗になったことを確認していると、ダイアン達から困惑と驚愕の声が上がる。
「は!? え!? な、何だ!? 何が起こった!?」
「確かに捕まえていたのに~!」
「き、決まったと思ったのに……!」
「お、おい! 何したんだ、ムソウ!?」
刀を突きつけながら、サネマサがそう言ってくるものだから、素直に頷き、何をしたのか説明した。
「ルイの拘束を封印術で封じて抜け出した後、お前らの技を全部斬った。ジーゴの鉄球は斬るわけにいかなかったから、あの魔法を封じさせてもらった」
「「「「「は?」」」」」
説明しても、皆は首を傾げるが、本当の事しか言っていない為、これ以上の説明のしようがない。
つまり、あの時、神人化の時にしか使えない封印術を施し、ルイの拘束を解いた。その後の技もそうしようかと思ったが、バレると思って辞めた。
この、封印術という技は、敵の使ってくる技を構成する力の流れを完全に封じることが出来る。ケリスの時にも思ったが、封印術というのは、意外なところで役に立つから面白いな。
そして、試しにと、封印術を光霊波に乗せて、周りにいる者達に浴びせていった。
ポカンとしたままの皆は、まともにそれを受けていき、自分に起こった変化に戸惑い始めた。
「なっ!? ま、魔力が……魔法が使えない!」
一生懸命、魔法を発動させようとしても上手く出来ないようだ。
「お前らの魔力を封印させてもらった。後で封印は解くから、そのまま、大人しくしてな」
「そ、そんなあ~!」
軽くネタ晴らしをして、無間を担ぎながら、サネマサとジゲン、そして、ツバキにも視線をやった。
「あ、ツバキにはEXスキルも封じるようにしたんだが……効いてるか?」
ツバキのスキルは、やはり俺でも厄介だ。これ以上は、と思い、封印術をぶつけてみたが、ツバキは皆と違って、余裕な態度だった。
「……いいえ。ムソウ様の術を防がせてもらいました」
そう言って、ツバキは、自分の前に、小さくした障壁を幾つも展開させた。どうやら、ツバキのスキルでは阻まれるらしい。
「流石だな……どうやったんだ?」
「自分の意識……魂を護る感覚でスキルを使いましたら、出来ました」
「どんな理屈だ?」
「私にもわかりません。これは、ツバキ様による助言です」
お……こういう事が起こっても良いように、既に対策は練っていたか。ちっこいツバキ曰く、幻術魔法や呪いなど、精神に影響をきたす術もあるので、そういったものから魂を護る為にと編み出したもののようだ。
EXスキルの名は、すべてをまもるもの……障壁を生み出すことだけが能じゃないってことか。しかも、初めての一回で使いこなすとは……やるもんだな、やはり。
「……良いぞ、ツバキ。それに、サネマサ、爺さん、ジーゴ、バッカス……ここからが本番ってことで良いんだな?」
そう言って、無間を構えると、ツバキはクスっと笑い、サネマサとジゲン、それにダイアン達は、はあ、とため息をつき、ジーゴ、バッカス達、モンクから来た者達は、少し困惑した顔となった。
「もちろんです、ムソウ様。まだまだやれますよ。私も、リンネちゃんも」
「キュウッ!」
「ツバキ殿とリンネちゃんは元気じゃのお。儂らは魔法を封じられ、先ほどの攻撃で気力も少なくなっておる。後は、力任せになりそうじゃの……」
「皆、俺みたいに馬鹿になって、がむしゃらに闘った方が良いんじゃねえか?」
おずおずと尋ねるサネマサは、覚醒する力もないのか、気で出来た鎧は既に無かった。とは言うものの、未だ、誰よりも強い気配を感じる。本当に、大した男だ。
そんなサネマサの問いに、リアは深くため息をつきながら口を開く。
「普段は反対するけど……その方が良いかもね」
「はあ……やるかあ!」
「闘鬼神……凄いもんだな。流石、オッサンの部隊……いや、“家族”か……ジーゴ、行けるな?」
「ここまで来たら、諦められねえよ。シータ、お前ら、良い思い出が出来て良かったな」
「今を良い思い出って言える貴方って、本当に凄いと思うわ。私は魔法が使えなくなったから、ここらで引いておくね……」
「俺は金貨貰うまでは諦めねえぜ、ジーゴの旦那。骨は拾ってくれ」
「馬鹿言うな。俺の骨は誰が拾うんだ? バッカスか?」
「やめろ、演技悪い。大勝負の前に、そんなこと口にするもんじゃねえよ」
バッカスの言葉に、一同頷き、ジーゴは顔を赤くする。ジゲンにまで、その通りじゃと言われ、気まずそうな顔で、ジーゴは頭を掻いた。
その光景が可笑しく、一笑いを上げた後、無間を構え、周りに光葬針を変化させた武者を数十体展開させた。
皆が驚いた顔をする中、ジゲンが、その手があったかと冷や汗を掻きながら呟く。
そんなジゲンに、俺は不敵に笑ってやった。
「ようやく、ここからが本番だ! テメエら、見事、俺の事を討伐してみろ!」
俺と共に、皆に駆けて行く光葬針の武者。それと同時に、俺は地面を蹴って、今度は自分からサネマサとジゲンに向かっていった。




