第361話―ナズナとシロウを祝う―
高天ヶ原に着くと、番台のようなところでコスケを見かけた。そのまま中に入り、声をかけた。
「よお、コスケ。元気か?」
「これはこれは、ムソウさん。それにツバキちゃんも。ようこそ、高天ヶ原へ」
深々と頭を下げるコスケに用件を伝える。ナズナに会いに来たと言うと、わかりましたと言って、禿を呼んだ。
「ムソウさん、今日はお客として、ではないんですね」
「祝言が決まった祝いをしに来ただけだ。遊びに来るときは、また来るから安心しろ」
「それはありがたいことです。ナズナちゃんは、夜の準備をしている頃だと思いますので、まだ時間はあると思います。それではごゆるりと……」
禿についていく俺達への態度は、ほとんど接客だなと頭を掻く。このまま客間に案内されると面倒だなと感じた。
さて、しばらく高天ヶ原の中を歩いていくが、聞いていたように内装は目を見張るものだった。
「すげえな……コモンもあいつらも、頑張りすぎだろ……」
「ムソウ様には出来ない芸当ですよね」
「む……俺だってこれくらいは……」
そう言いながら、柱に施された彫刻に目を向ける。どうやって彫ったのか分からないくらいの出来だ。流石に無理だと項垂れると、ツバキはクスっと笑った。ごまかしついでに話題を変える。
「しっかし、家族連れも入ることが出来る娯楽施設に隣接して妓楼とは、今考えても凄いよな」
「一応、建物は分けられているそうです。今、私達が居る場所は、娯楽と旅籠が主ですが、渡り廊下で繋がれた、道の向こう側は妓楼が主になっているそうです。ですよね、ヒバリさん」
「その通りです、ツバキ姐さん」
ツバキの言葉に、コクっと頷く禿。ツバキがここで働いていた時の知り合いらしい。もう働いているわけではないのに、「姐さん」呼びと言うのはなかなか面白い。
一応、そのあたりの情操管理はしっかりしているんだなと思ったが、中にはこっちの客室を利用して逢引きする男女も居るには居るらしい。一応それ専用の区分も分けているとのことだが、ツバキ曰く、コスケ達はそれも妓楼の建物に移すことにしているという。
まあ、家族連れの中にはもちろん、小さな子供も居るからな。俺達もたまやリンネを遊ばせるためにここに来るときは、そういう場を見せたくないからぜひそうしてくれと思っている。
「ちなみに、儲けと言うのは出ているのか?」
「ここ数日の間でかなり伸びました。闘鬼神様やアヤメ様のご尽力の賜物です」
禿の言葉に、あいつらもしっかりやることはやってんだなと安心する。ただ、その中でもカサネが特に頑張っているという話を聞く。何でも、ジゲンによって解禁された花街の遊びに頻繁に繰り出しているのがダントツでカサネらしい。
普段大人しい奴ほど、よく分からないなとツバキと共に苦笑いし、アイツが破産しないように、目を配っておくと決めた。
「カサネさんにも、良い人が現れれば良いのですがね……」
「だな……ちなみに居そうか?」
「カサネ様は、皆さんにお優しい方ですから……」
そう言いながらヒバリは頬を赤らめる。居るじゃねえかと思ったが、年齢的に何となく駄目な気がする。もうしばらく待つんだぞ、カサネ……お前にも春は来る。
などと思っていると、ヒバリは一つの部屋の前に立ち止まった。客室と言う雰囲気ではない。聞けば、ここがナズナの仕事部屋だという。
ヒバリは戸を叩き、中に声をかけた。
「ナズナ様。冒険者のムソウさんと、ツバキ姐さんがお見えになっております。お通ししてもよろしいですか?」
「へ!? ムソウさんとツバキさんが!? だ、大丈夫ですよ~! あ、でも、ちょっと待って――」
ナズナの声がした途端、中から何かが崩れる音と共に、ナズナの小さな悲鳴が聞こえた。中で何か起こったのかと思った俺とツバキは、急いで戸を開ける。
「ナズナ! 大丈夫……あ?」
「こ、これは……」
部屋の中の光景を見た俺達は言葉を失う。部屋の中は、色々な書類が散乱しており、その中にナズナが埋もれており、目を回しながら倒れていた。どうやら、重ねていた書類が倒れて、ナズナが巻き込まれたらしい。
「痛たた……あ、ムソウさん、ツバキさん、こんにちは。モンクから帰られて――」
「言ってる場合か。起きて少しは片付けろ」
そう言って、ナズナを起こし、ひとまず俺とツバキ、それにナズナとヒバリで書類を整理し、ついでに散らかっていた部屋を綺麗にした。
ヒバリ曰く、ナズナの部屋は大抵散らかっていて、それを四天女やナズナ付きの禿(ヒバリ含む)で定期的に片付けているという。不器用なコイツならではだなと、頭を抱えた。
「ナズナさん、私が居た時も、あれほど部屋の掃除はこまめにと申し上げていたつもりですが……?」
「高天ヶ原が新しくなって、仕事も増えましたからね。それに最近は、休みの日も出かけるようになりましたし……」
ぽっと顔を赤らめながら言い訳をするナズナだったが、これに関しては、俺達は特に何も感じない。やることはきちんとやれと言うと、渋々ながらナズナは頷いた。
「それで、今日はどうされました? 私に何か用事ですか?」
「ああ。シロウとの結婚、おめでとう。改めてだが、祝いに来たぜ」
「おめでとうございます、ナズナさん。ですが、せめてこういう部分は直した上でシロウさんと祝言を上げてください」
「はあ……わかってます。お二人とも、ありがとうございます。ようやく、と言った感じですね」
本当にな、とツバキと一緒に笑ってやった。
そして、祝言については二人と、ジゲンが中心となって進めていることを確認した。誰を参列させるかなどを決めて、残るは日取りだけとなっているそうだ。
それは、俺達がモンクから帰って決めるまで待ってくれていたとのことなので、申し訳ないと思いつつ、これから、少なくとも祝言まではクレナに居るという事を伝えると、ナズナは、それなら話が進むと喜んでいた。
そして、祝言の打ち合わせの話が終わると、最近のシロウとの惚気話を聞かされた。二人とも、自分の想いを周囲には隠していたが、寧ろ、最近は表に出した方がすっきりして楽しいと思っているそうだ。
「やはり、隠し事はいけませんね。最初から堂々とすれば良かったです」
「いや、周りにはバレていたぞ。知らなかったのは、爺さんとツバキくらいだったな」
正直に言えば、俺もだが、黙っておいた。ナズナは俺の言葉に大層驚いている。
「え……ツバキさんは分かりますが、ジロウさんもですか!? てっきり、ご存じなのかと……」
「あ、言ってなかったんだな、爺さん。あの家で過ごしている間も、姉弟で仲が良いな程度に思っていただけだったそうだ」
「い、意外です……あのジロウさんが……ですが、それが良かったのか悪かったのか、今となってはどうでも良いですが……」
まあ、確かにな。ジゲンが皆の前から姿を消す前に知っていた所でどうすることも無かっただろう。
……いや、ひょっとしたら、今回のように無理やりにでも二人をくっつけようとしただろうな。今と違って、勢いもあっただろうし。
ただ、それをしていたら、ナズナもシロウも、お互いの自分に対する思いを知った上で、離れ離れになっていたかもしれない。更に、嫌な思いをしながら五年の月日を過ごしていただろう。
そう考えると、ジゲンがある意味で鈍感で良かったと、何となく安心した。
「それで、最近はどうなんだ? 爺さんもあれこれと口出ししてんじゃねえのか?」
「ジロウさんはそうでも無いですね。私達の自由にさせてくださいます。ですが、ショウブさんやアヤメさんが、シロウに圧を与えていますね……」
苦笑いのナズナ。聞けば、自分達からすれば、未だ泣き虫で、周りからの手を借りなければ決断できない、頼りなく見えるシロウに、ショウブやアヤメから、夫婦になるんだからきちんとしろと言われているらしい。
ただ、シロウはすでにそんな人間では無いという事は、自警団の者達を始め、ナズナもジゲンも分かっている。あの二人は何を言っているのかという思いで、シロウがどう出るか楽しんでいるらしい。
「相変わらず趣味が悪いな、あいつ等。それで、本人は何て言ってんだ?」
「気にしない、とのことです……少しは気にして欲しいと思いませんか?」
ナズナの言葉に、俺もツバキも即座に首を横に振った。
「いや、全然。何を言われても、毅然とするのはシロウの良いところだと思っている。それに、周りの手を借りているのはあいつらも同じで、それは良い事だと思うから、俺も気にしなくて良いと思っている」
「寧ろナズナさんが、この部屋の惨状を見る限り、少しはきちんとして欲しいところですね。これから、夫婦になるのですから」
「む……今日はツバキさんが意地悪ですね。私は、馬鹿にされても言い返すくらいの強気な心をシロウに持って欲しいです」
「いえ、ムソウ様の仰るように、何を言われても気にしないシロウさんは、既に強気なお心をお持ちです。良かったですね、ナズナさん」
何を言っても、ツバキに言いくるめられるナズナ。しばらく頬を膨らませていたが、諦めたかのようにクスっと笑った。
「……まあ、兎にも角にも、今、私達は幸せです。ムソウさん、ツバキさん。引き続き、私達の事を見守ってくださるとありがたいです」
「言われるまでもねえ。祝福するぜ、二人とも」
「改めて、おめでとうございます。式まで、私もご助力できれば何でも行いますので、よろしくお願いします」
改めて、惚気まくりながら満面の笑みを見せるナズナを祝ってやった。
後は、シロウだけだなと思い、ナズナに聞いてみると、今日は自警団の仕事で下街を回っているのでは、と、夫の事は何でも知っているという顔で答えられた。
半ば、いい加減にしろと思いながら、高天ヶ原を出て、下街を目指した。
「ナズナさん、幸せいっぱいでしたね」
「まあ、祝言前ってのは大概あんなもんだ」
「ムソウ様や、サヤ様もあのような感じだったのですか?」
答えづらい質問をしてくるツバキ。少し言いよどみ、腰の斬鬼を指さした。
「……そいつに聞いてくれ。自分では判断できない」
「またまた、そんなこと仰って……どうだったのですか?」
「いや……まあ……」
祝言を挙げるまで、つまりサヤの本当の想いと、自分の想いを知った後の事だ。
思い返しても、恥ずかしくて語りたくないと思い、口をつぐむ。
それと同時に、モンクでメリア達に聞かれて気付いた、今の俺の気持ちも思い出し、更に気まずくなってツバキから顔を逸らした。
「どうされました?」
「何でも……無い……それより、シロウはどこだろうな」
「? ……さて……行きつけのお店とかご存じですか?」
「前に一緒に飯食った蕎麦屋があったな。取りあえず行ってみるか」
「そうですね……ムソウ様?」
以前、ギルド帰りにシロウと出会った蕎麦屋に向かおうとした俺の顔をツバキが覗き込む。ジッと目を見てきて、真顔だった。
「どうした?」
「何か隠してますか?」
「……何も」
グイっと近づいて来るツバキをのけて、俺は歩いていった。ツバキは訝し気な顔をしながら首を傾げるも、すぐに俺の後についてきた。
◇◇◇
さて、歩いていくうちにいつもの調子に戻った俺は、以前の蕎麦屋に着いたがシロウの姿は無かった。時間は昼前だから、いったん帰って俺達が昼飯を食った後に、シロウを探そうとした。
しかし、丁度街を回っている自警団の者達に出会ったので、シロウの居場所を聞いてみた。今の時間は、俺の屋敷の近くを回っているという事なので、シロウも誘って、うちで飯を食わせてやろうと考えて、屋敷の近くを探した。
すると、案外すぐに一人で街を歩くシロウの姿を見つけられた。
「ああ、居た居た! お~い、シロウ!」
「ん? おお、ムソウの旦那! それにツバキの嬢ちゃんも! モンクから帰って来たって話は聞いていたが、元気そうで何よりだ」
「お疲れ様です、シロウさん。刀の腕は上達しましたか?」
「ばっちりだ。アンタにも遅れは取らねえぞ」
ツバキは、シロウと共に、ジゲンから稽古を受けている。ジゲンの技については、既に習得している以上、技量はシロウの方が上だ。しかし、戦いとなると、いろんな要素で、ツバキが上にもなり得ることもある。
俺達がモンクに行っている間にもジゲンとサネマサにしごかれたようで、今も自己鍛錬は怠っていない様子。自信ありげに胸を張るシロウに、ツバキはクスっと笑う。
「そのお力で、ナズナさんを護ってくださいね」
「あ……」
ツバキの言葉に、シロウは目を丸くし固まる。しかし、すぐに恥ずかしそうな顔をして、頭を掻いた。
「いや~、ハハハ……そうか、聞いたか。まあ、皆の言うように、ナズナと祝言を挙げることになった」
「存じております。今日はその話をするため、ムソウ様とお探ししておりました」
「というわけで、うち行くぞ。色々と話を聞きたいからな」
そう言って、シロウの腕を掴んだが、困惑した顔をされる。
「え、いやいや、俺は仕事……」
「まあまあ、自警団から文句が出ても俺から一言言っておくから大丈夫だ」
「ジゲンさんには私から説明しますので、大丈夫です」
「え……じゃあ……」
思いのほか、すぐに納得し始めるシロウ。ジゲンが引っ張りまわした一件もあり、こうなると、黙って従うしかないと判断したようだ。
好都合だとそのまま屋敷の中へと引きずり込んだ。庭では何人かの女中が掃除をしていて、縁側ではカドルと獣姿のリンネがのんびりとしていた。
「む? リンネ、ムソウ殿達が帰ってきた様だぞ」
「キュ? ……キュウッ!」
俺達に気付いたカドルに声を掛けられたリンネは、縁側から飛び出し、獣人の姿になって、俺達に飛びついてきた。
「おかえりなさ~い! おししょーさま、おねえちゃん! あ、シロウおにいちゃんもいる~!」
リンネは俺の手の中で、大層はしゃいでいた。俺達はリンネの頭を撫でながら、ただいまと言っていく。
すると、シロウが頭を撫でていると、ハッとしたように身を乗り出した。
「あ、シロウおにいちゃん、おめでと~! ナズナおねえちゃんとけっこんするんだよね!」
「お、おう、ありがとう、リンネちゃん」
リンネにまで祝われて、少し戸惑うシロウ。そして、そのまま家の中に入り、客間へと案内した。茶を出してくれと頼むと、たまが持ってきてくれた。
「たまちゃん、ありがとう。親父が居なくて寂しくないか?」
ジゲンが仕事に出ていることで、たまを気遣うシロウ。昔、ここで過ごしていた時に、ジゲンが仕事に出る度に寂しがっていたという話を聞いていたので、同じ思いはさせたくないとでも思ってんだろうなと二人を眺めていると、たまは首を横に振った。
「ううん。アザミおねえちゃん達も居るから、寂しくないよ。一昨日からリンネちゃんも居るし……私は、おじいちゃんに、おかえりなさいって毎日言うのが楽しみなの~」
たまの言葉に、シロウは目を丸くし、フッと笑ってたまの頭を撫でた。
「凄いなあ、たまちゃんは。俺は寂しくて泣いてばかりだったのに……強い子だ」
「えへへ……でも、お兄ちゃんも、これからは泣いてばかりじゃ駄目だよ~。ナズナお姉ちゃんを安心させないとね!」
「ん゛!? た、たまちゃんもアヤメ達と同じこと言うんだな……大丈夫だ、それはな。寧ろ俺はナズナの方が心配だ……」
「え? ナズナお姉ちゃん、可愛くて、強くて、完璧な人だと思うけど……?」
「……そうか……親父は黙ってんだな……じゃあ、俺も黙っとこ」
「え~、教えてよ~!」
ナズナの事を教えてくれとせがむたまだったが、俺とツバキも先ほど見たばかりだったので、ずっと黙っていた。
その後、アザミが昼飯を持ってきて、たまとリンネもその場に座り、五人で飯を食い始めた。
ひとまず、先ほどナズナに会ってきて、祝ってやった後、シロウにも日取りについての話をした。具体的な日が決まりそうだという事で、決まったらまた教えてくれるとのことだ。
そして、少しばかり真剣な話を終えた所でリンネとたまから、シロウへの尋問のような時間が続く。
「シロウおにいちゃんは、ナズナおねえちゃんのどこがすきになったの~?」
「いや、どこって……ぜ、全部だよ」
「ナズナお姉ちゃんの料理で一番好きなのは?」
「う~ん……あいつは料理をしているってところは見たことないな……」
「いっしょになったらどうするの~? こどもは? ふたりのこどもはどうするの~?」
「そ、それはまだ考えてないが……まあ、最悪料理は俺が作るしかないだろ」
「え!? 子供が生まれるの!? いつ!?」
「い、いや、それはまだ先の……旦那、ツバキの嬢ちゃん、止めてくれよ」
子供の純粋な質問と言うのは怖いなとは思いつつ、二人にたじたじのシロウは面白いなと思いつつ、二人の色んな情報を聞くことが出来ているので、俺とツバキは、
「「お構いなく」」
と言って、その後もシロウの事はリンネとたまに任せていた。
やがて、飯を食ったはずなのだが憔悴しきったシロウと、昼からの英気をしっかりと養った俺とツバキは、空いた食器をたまとリンネに下がらせて、改めてシロウを祝った。
「まあ、とにかくお前がちゃんと先の事も考えているようで安心した。安心して、お前達を祝うことが出来る。おめでとう。しっかりとナズナを支えてやれよ」
「意外とずぼらなナズナさんを幸せにしてくださいね」
「……それ、多分本来は旦那側じゃなくて嫁側に言う言葉だよな……?」
「いや、この際関係ねえだろ。それが、お前らの幸せの形ってやつだ……頑張れよ」
「オッサン……ありがとう。俺も、泣いてばかりじゃねえってところをナズナはもちろん、アヤメにもショウブにもたまちゃんにも見せつけてやるさ!」
「あら、シロウさん。目から何か出てますよ?」
ツバキが言うように、感極まったシロウの目から涙が出ている。ハッとしたシロウはごしごしとそれを拭い、ニカっと笑った。
「何の話だ? ツバキの嬢ちゃん」
「フフッ。その意気です。頑張ってくださいね、シロウさん」
ツバキの言葉に、シロウは、おう! と大きく頷き、そのまま午後の仕事へと向かっていった。その背中は、何となく大きなものだなと感じた。
俺もツバキも、あの様子なら大丈夫だろうと笑い合い、シロウを見送った。
さて、二人を祝ってやったことに関しては、その日の夜、帰ってきて、バッカス達との闘いばかり気にしていたジゲンに伝えた。
ジゲンは朗らかな笑顔をしながら、俺達に礼を言ってきた。わざわざ感謝されることはしていないと言ったが、家族が祝われることが嬉しいと、ジゲンは語った。
そう言うことなら、この感謝も受け取っておこうと納得し、礼は盛大な祝言を行うという約束でジゲンと固く握手を交わした。
俺達がシロウを祝っている間、ずっと裏の洞窟で鍛錬をしていた牙の旅団からは、何故呼ばなかったかと怒られたが、それくらい気取れ、というジゲンの言葉に、ぐぬ、と黙り込む。
まあ、明日からは一日中稽古に付き合えると指を鳴らしながら言うと、コウシ達と共に、闘鬼神の者達の顔色が悪くなった。
俺をそこそこ追い詰めたバッカスや、男気を見せたシロウのように、コイツ等も精神的に成長してくれるとありがたいなあと、ジゲンやツバキと共に、酒を飲んでいた。




