第317話―スーラン村の作業が続く―
翌朝、いつもの装備と共に、昨晩二人から貰った髪飾りを付けて、スーラン村へ向かう準備を行った。汚れそうだから、付けないでいようとすると、リンネが機嫌悪そうな顔をするので、せめて移動の時くらいは付けることにしている。
今回は、今日から明日か明後日くらいまで仕事をして、帰ってくる際にグレンをここに連れて来る予定だ。
タクマに、是非ともお願いしますと言われた手前、グレンを連れて帰らなかったら、俺が悪いみたいな空気になって、何とも胃が痛くなる思いをする。まあ、グレンも乗り気だったから大丈夫だろう。
さて、これから仕事に出るのだが、またすぐに会えるということで、今回も、リンネとツバキはそこまで寂しがっていない様子だ。
「皆さんに迷惑をかけることのないように、お気をつけて」
「いってらっしゃ~い!」
むしろ、元気に見送ってくれる姿は、いっそすがすがしい気持ちにもなってくる。俺は二人に頷き、リンネの頭を撫でて家を出ていった。
マルドの街を出た後、今回は神人化して村へと向かった。流石に走って疲れた後だと、仕事に支障が出るからな。
いつものように、村から少し離れた所まで飛んで行き、地上に降りて神人化を解いて、村に入った。
広場に居るジェイド達に声をかけると、目を見開かれ、少々驚いた様子で、こちらを振り向いてくる。
「ザンキか!? 昨日の夕方居なくなったと思ったら、こんな朝早くに……何時マルドを出たんだ!?」
おっと……そうか。この時間に来ると、今度はそういう疑いをかけられるか。少し慌てたが、落ち着いてジェイドに笑ってやった。
「走って来たに決まってんだろ?」
胸を張りながらそう言うと、ジェイドは一瞬ぽかんとした表情になる。周囲の冒険者達も、何言ってんだコイツ、といった顔だ。
そんなジェイドの肩を、後ろからツルギとグレンがポンと叩く。
「こういう男なんだ、コイツは」
「まあ、このオッサンの事は気にせず、今日も仕事をしようぜ」
開いた口を塞がず、ジェイドは二人の顔を見つめる。満面の笑みで頷く二人に、ジェイドは、はあ、とため息をつきながら頷いた。
「……そうだな。何も気にしないでおこう。お前の所のムソウって冒険者と言い、最近は俺世代の冒険者の腕が上がっているのか?」
「「ブフッ!」」
ジェイドの言葉に、グレンとツルギは吹き出しそうになりながら、俺に視線を移す。
どう答えろと? と、視線を返すと、二人はサッと視線を外す。仲良くなってんな、あいつ等……。
「もう良いから、今日の仕事を割り振ってくれよ」
「あ、ああ。分かった。え~とな……」
俺の正体がバレる前に、仕事をしようと促すと、ジェイドはてきぱきと冒険者達の仕事を割り振っていく。
予想通り、今日から柵の方は、支柱に丸太を組んでいく作業に移行する。
堀の作業は、昨日俺が仕事をした洞窟の上にある池から水を引く水路を作る。山から村へ、それから村の周りへと流れるように地面を掘るそうだ。
俺は、大工仕事が出来ないということをすでに伝えてあるので、やはり堀の作業をすることになった。
他は、今まで通り冒険者達の料理を作ったり、村人たちの畑仕事や酪農を手伝うというものもある。ムソウ一派の一部の人間はそちらに行くようだ。村の設備を作るというこの仕事が終われば、ムソウ一派の者達はここで過ごすことになるからな。
今からでもここの者達と交流を深めることが狙いだそうで、サーラと共に家々を回りながら、困ったことなどを確認していくということらしい。
さて、取りあえず、今日俺がやることは分かった。予想通りだったので安心していると、ジェイドが、訝しげな顔を俺に向けてくる。
「そういや、ザンキ。昨日は付けていなかったが、それ、どうした?」
ジェイドは、俺の髪飾りを指さす。
「ああ、これか? マルドに居る俺の仲間から貰ったんだ。手作りだが、その分、大事にしないとな……」
皆に髪飾りを見せびらかすようにしていると、ジェイドが、ふむ、と頷いて口を開く。
「なら、外しておいた方が良い。今日から泥仕事になるだろうからな。職人が作ったわけじゃないから、汚れ防止の加工も出来ていないだろ?」
「まあ、そうだな……って、ん? 職人に頼んだら、そういうこともしてくれるのか?」
「……え?」
俺の問いにキョトンとするジェイド。何を唖然としているのだろうかと思っていると、他の者達も同様の反応を見せていた。
何事かと思っていると、慌てた様子でグレンが俺の側まで駆け寄ってきた。
「どわっと! ちょ、ちょっとまだコイツ寝ぼけているみたいだな! 俺から説明しておくから、皆はもう仕事に向かってくれ!」
「ん? お、おう。了解した。」
グレンの言葉に、首を傾げながらも頷くジェイドと冒険者達。その後、ぞろぞろと仕事に向かった。
仕事に向かう冒険者のうち、ムソウ一派の者達はクスクスと笑っている。何だろうなと思っていると、グレンがため息をつきながら口を開いた。
「アンタは時々、自分から迷い人だって態度になるからひやひやするな……」
「それは……どういうことだ?」
「職人以外の人間……簡単に言えば一般の人間が作った装飾品に、いわゆる付与効果を与えるのは専門の職人に頼めば可能だ。これは、この世界の常識だ」
グレンによれば、この世界で俺も世話になっている、装備からの付与効果というのは、魔物の素材を使っているということで、その力を引き出すことにより可能になる。
コモンによって解明されたその技術は、職人を名乗る者なら基本中の基本として世界に広まっている。
しかし、職人ではない人間では、装備の力を引き出したり、付与効果を与えることは出来ない。
だが、モンクなどで流行っている、普通の人間が作る工芸品というものは、大切な者からの贈り物だったり、自分の力で作ったものだったりと、愛着が沸き、長く使う者も多く居る。
そんな者達の為に、職人たちがそういった工芸品に付与効果を与えるという生業もあるとのこと。
普段からコモンという、世界最高峰の職人と共に過ごしているからこそ、抜け落ちている知識だなと納得した。
「じゃあ、この髪飾りにも色々と付与することが出来るってわけか?」
「まあ、コモン様にとっては朝飯前だろうな。妖狐の体毛……リンネちゃんのか。これなら、良い効果が期待できそうだな。
ちなみにだが、防汚……つまり、汚れを防ぐ効果を付与することも出来る」
「あ、そういうのもあるのか……だが、俺の場合、手甲とか、結構汚れるぞ?」
「そりゃ、アンタが予想以上に魔物を倒しているからだよ。付与効果も追いつかないほどにな」
なるほど……確かに言われてみれば、前の世界よりは、装備も汚れていないような気がする。神人化した際に、纏っている天界の波動で浄化できるくらいだからな。
ただ、それでもダメな時もある。そういう時は……思い返してみても、結構な量の魔物を斬っている時だと思い当たった。
「そうか……ともかく、このこともこの世界の一般常識ってことなんだな。さっきは助かった。ありがとう」
危うく、俺が不審者になる所だったのを助けてくれたグレン。改めて頭を下げると、グレンはニカっと笑った。
「気にすんなって。それにしても、仲間から貰ったってことは、例のツバキちゃんとリンネちゃんか? ちゃんと、大切にしてやれよ」
「ああ。当たり前だ……というわけで……」
俺は髪飾りを外して異界の袋に収めた。汚れたとしても、神人化すれば何とか出来ると考えていたが、やはり、それなら元から汚したくないと思った。
「これで良しっと」
「それで良いだろう。じゃあ、ザンキもとっとと、仕事……っと、そうだ。タクマさんとの話はどうなった? 俺は、いつ頃行けばいい?」
「ああ。一応、次に俺がマルドに帰る時って言っておいたから、早くて明日か明後日だが、行けるか?」
俺の問いに、グレンはニカっと笑って頷いた。
「なら、明日にしよう。善は急げって言うからな。アンタに話を聞いた時から、楽しみで仕方無かったからな」
「了解だ。じゃあ、サーラさんにも伝えておいてくれ。明日の昼過ぎには、ここを出るとしよう」
「おう。流石に馬車でも、時間かかるからな。お前と違って」
「フッ……じゃあ、そろそろ行ってくる」
「おう。しっかり、働けよ」
お前もなと返し、俺は少し遅れて堀の作業現場に向かった。
◇◇◇
堀の作業現場は、最初に洞窟の上にある池の側から始まる。昨日までの作業で、池の整備は終わったとのことだったので、ここから地面を削っていき、村の中を通って、村の外回りにつながるようにするという意外と大掛かりな作業だ。
取りあえず、大人数で地面を掘り、土魔法で形を整えていくという作業を進めていく。
遅れて行ったが、皆は何も言わずに、俺に道具を渡してきた。
堀棒を少し改良したような、「円匙」と呼ばれる道具で、これも普通の鉄などの素材ではなく、何か魔物の素材で作られており、大した力を使うことなく、大きな穴を掘ったり、土を削ったりすることが出来る。
地面掘りながら、いちいち感動していると、周りの皆は、まだ、寝ぼけていると呆れていた。ムソウ一派の冒険者はクスクスと笑っていて、何とも恥ずかしい思いになる。
正体がバレないだけマシかと思いながら、皆で水路を掘っていった。
偶に、ムソウ一派の冒険者達がこそっと道具の活用の仕方を教えてくれる。刀で行うように、気を込めると更に楽に掘れるようになったり、豪神突の要領で先端に気を集めて、思いっきり突き出すことで、固い岩盤や岩などを砕くことも出来た。
正直、わざわざ道具を使わなくても、無間を使えば良いのではと思ったが、村に行ったら面倒だなと思い、辞めた。
ちなみに、掘った土は、異界の袋に収めて、土塁設営作業の現場に持って行き、向こうの作業に使われている。
ここでの作業が遅れたら、向こうの作業も遅れるんだなと思い、更に気合を入れて掘り進めた。水路自体は大人が数人入れるくらい深く広い。後で蓋をしないといけないなと思いながら、俺も中で掘り進めて行く。
髪飾りを取っておいて良かった。中で作業をしている者同士でお互いに顔を見合わせると、皆泥だらけだった。昨晩のリンネではないが、少し楽しくなってくる。
掘った所は、土魔法を使う魔法使いが、綺麗に均している。魔法使いは少人数。あっちもあっちで重労働の様だ。均す度に体を休めている。
一息つく冒険者の元へ、ニヤニヤ顔で魔力回復薬を持って行くグレンを見ながら、よくやるなあと、感心半分呆れていた。
「お前らの仲間、たかられてるぞ」
「ああ。良い性格してんな、グレンさん……」
金を払って、魔力回復薬をグレンから買っている魔法使いの仲間の冒険者は、はあ、と深くため息をついていた。まあ、最終的には儲けになるのだから気にするな、どうせ、その金はギルド支部長のガーレンの金だからと元気づけると、その冒険者は、少しだけ元気になったようで、そうだなと頷いていた。
「しかし進まねえな……おい、ちょっと皆離れてろ」
一緒に土を掘っていた別の冒険者がそう言って俺や他の冒険者は、その男から離れる。
男は、円匙を両手に持ち、槍を構えるように、正面の地面に向けていた。
「五月雨ッッッ!!!」
力を込めると、気を込めた円匙で地面を突いていく。その度に地面は削られ砕かれ、水路となる溝が出来上がっていった。
男はある程度地面を掘っていくと、ふう、と息を吐いてどんなものかと言わんばかりに、こちらに振り向く。
「やっぱり、技使った方が早く済む」
俺達は歓声を上げながら、男に近づいた。
「よくやるなあ。おかげでだいぶ進んだぞ」
「ハハハ……だが、ちと疲れたな。もう出来ねえから、ここからはまた地道に――」
「いや、そう言うなって。ほれ、活力剤と気力回復薬だ」
二つの薬を手渡すと、男はぽかんとした顔になる。
ここまでやってくれたのだから、次からも頼むと、他の冒険者達と一緒に頭を下げると、男は慌て出す。
「無理だって! そんなに言うなら、お前らもやれよ!」
「いや、俺がやるとここまで綺麗には出来ないと思う」
「俺の場合はやった意味が無いと言われそうだから、わざわざやらない」
「俺はそもそもこういう得物じゃないから出来ない。だからお前、やってくれよ」
俺達は顔を見合わせながら、示し合わしたように男の申し出を否定。男は、もう知らん! と言いながら、地道に掘り始めた。
少し残念だなと思いつつ、面白い時間が過ごせたと、そのまま男と一緒に地面を掘り進めていく。
そして、昼の合図が村中に響き、昼飯の為に作業を中断し、村の広場へと集まる。先ほどの男は、まだぶつくさ言っていたが、それを諫めながら飯を多めに渡すと、機嫌を直していた。
ジェイド達も戻ってきて、話を聞くと、自分と同じくらい大柄で力もあるフガクとはやはりウマが合うらしく、予想以上に作業が進むと喜んでいた。
村を回っているツルギ達は、サーラが間に立ったこともあり、変な摩擦も無く、すぐに村人たちと打ち解けたと笑っていた。困りごとは特に無いそうだが、村人の住居に結構ガタがきているとのことなので、修繕の仕事をしているらしい。
専門的な知識が無くても魔法やスキルで何とかなるものだと笑っている。スキルがあっても大工仕事が苦手な俺は何なんだろうなと苦笑いしていた。
ムソウ一派の中でもレミアは、皆と少し違った仕事をしていて、小さな怪我を負った村人や、作業をしている冒険者の怪我を回復魔法で治しているようだ。
怪我をしたら、グレンの家にというレミアの言葉に、皆は任せたぞ、と笑いながら頷くが、魔力回復薬の一件を知る俺達、堀の作業をしていた冒険者は、また金をとられるのではないかと、複雑な思いになり、絶対に怪我をしないぞと示し合わせていた。
「しかし、回復魔法使いか。珍しいな。レミアちゃんは、治癒院上がりか?」
ジェイドの言葉に、レミアは首を横に振った。
「いえ。得意なだけですよ?」
「ほう。それはまた、大したものだな」
こないだのロロの話から、回復魔法は他の魔法よりも難しいと聞いた。レミアもロロと同じく、見かけによらない強さというものを持っているんだなと感心していたが、ツルギが笑いながら口を開いた。
「レミアの場合、回復魔法と補助魔法だけが得意なんだよ。攻撃魔法は全然使えないんだよな」
「え、そんなことあるのか?」
目を丸くする冒険者達の言葉に、レミアは頷く。
「そうなんですよ。どうも、戦い向けの魔法が苦手で……魔法で敵を倒すって思いが弱いのですかね?」
「優しいことを言うんだな……取り合えず魔法なり、技を以て敵を倒すってことばかり考えている俺は耳が痛い」
「同じく……いい子だな、レミアちゃん。ツルギが羨ましい」
何で、こんな優しい子がツルギについているんだという表情の冒険者達に、ツルギは尊大な態度で胸を張った。
「その代わり、俺が前に出て闘うんだよ。補助魔法をかけて貰って俺が前線でな。前は中級魔物でやっとだったが、今じゃ、一人で上級くらいは倒せるぜ。ほとんどレミアの魔法のおかげだがな」
そう言いながら、レミアの頭をポンポンと撫でるツルギ。レミアは顔を赤らめながら、
「もう、ツルギったら……」
と、もじもじとしている。
急にいちゃつき始める二人に俺達は唖然とした。
「え……お前ら、もうそういう関係なのか?」
俺が聞くと、二人はニコッと笑いながら頷く。その瞬間、一様に頭を抱える、冒険者達。男も女も、微妙な表情をしながら俯いている。
「若さって……すげえな……」
「俺もう三十代だぞ……」
「私にもいい人いないかな……」
婚期を逃した者達というのは見ていて面白いなあと思いながら、俺は二人に笑っていた。
「じゃあ、ツルギもこれからはもっと稼がねえと駄目だな」
「おう! 期待していてくれよ~」
「み、皆さんも、まだまだ大丈夫ですよ!」
とどめの一言を放つレミア。冒険者達は更に項垂れる。それを見たレミアは更に慌て、ツルギや、他のムソウ一派の者達は笑っていた。
午後からの作業はどうするんだと思いながら頭を掻いていると、今度は俺について言及する一言が聞こえる。
「ザンキさんは余裕そうだな……」
「あれだけ歳いってたら、逆に吹っ切れるのかも……」
「いや、ザンキさんも、あの髪飾り貰っていただろ? だから、余裕なんだよ」
「良いなあ……」
俺の事はほっとけと思いながら、飯をかき込んだ。
すると、一部始終を一歩引いたところで、穏やかな表情で眺めていたグレンとサーラに気付く。
誰にも気付かれないように、二人仲睦まじく飯を食っている光景を見て、流石、あの二人は結婚しているだけあって、余裕なんだなと実感した。
そして、昼飯の時間が終わり、午後からの作業が始まる。心なしか、どこの作業でも男と女の割合が半々となっているような気がする。
さらに言えば冒険者同士の会話も増えた気がする。必死だなと思いつつ、俺は、特に話しかけられないので、寂しいなと思いながら、地面を掘っていた。
午後の作業が始まってすぐ、水路の方は村にまで行きついた。ここからは、ただ真っすぐ掘るのではなく、人が通る道を避けながら、畑の近くを通るようにすることも考えながら、掘り進む必要がある。
なので、図面を見ながら指示を出す人間が必要になるのだが、この役目を引き受けたのは、ムソウ一派のフジミだった。
冒険者として依頼に取り組む時も、指揮官の役目をこなすことが多いフジミ。着実に、なおかつ正確に掘り進んでいくように俺達に指示を出す姿に、男の冒険者達は、魅了されていた。
鬱陶しそうにするフジミと目が合うと、どうにかしてくれと訴えてくる。
そうは言っても仕事が止まっているわけでも無いし、むしろ進捗状況も良い方なので特に気にせず仕事を進めていると、フジミは小さくため息をついて口を開く。
「あ、ムソウ……じゃなかった、ザンキさん? ちょっと――」
「分かった! おい、お前ら! 真面目に働け!」
うっかりといった感じに、俺の本名をそのまま言ってくるフジミ。慌ててフジミの頼みに頷き、デレデレする冒険者達を注意する。
皆、チッ! と舌打ちをして、ぶつくさ言ってきたので、バレないように死神の鬼迫を放つと、一様にシュンとした様子で仕事を再開させた。
ちらっとフジミを見ると、作業の進捗自体は変わっていないが、自分への鬱陶しい視線が無くなり、すっきりした様子になっている。
「覚えとけよ……」
「何か言った? ムソ――」
「いや、何でもない。さあ、やるぞ~!」
俺の手綱を握ったと言わんばかりのフジミ。
確か……リアと仲が良かったよな。
類は友を呼ぶという言葉があるが、なるほどと納得する。これ以上、妙なことを言われないように、それからは、ただただフジミの指示に従いながら土を掘っていた。
そして、未だ村の中を通り過ぎてはいないが、日が暮れてきたところで村から鐘とグレンの声が響き渡る。
今日の作業は終わりだなと、皆で一日を労いながら、村の広場へと向かった。
すでに料理の準備が出来ていて、ツルギ達が飯を食っている。フジミもそこに向かおうとした……が、堀の作業をしていた者達が、フジミと飯を食おうと後についていく。男だけでなく、女までも、顔を赤らめながら、フジミの周りに座ろうとする。
どう足掻いても逃げられそうにないので、最終的に諦めたフジミは、自分の仲間達と、ツルギ達、更に俺に若干の助けを乞う目を向けながら、冒険者達と一緒に飯を食い始めた。
「よう、オッサン。フジミ、何かあったのか?」
「さあ。俺は知らん」
今日の仕返しだと、俺はツルギ達に特に何も語らず、飯に手を付ける。
そして、しばらくしてジェイド達も戻ってきて、全員揃ってまた食卓を囲んだ。明日以降の仕事の打ち合わせや、酒の飲み比べ等、フジミ以外の場所は、昨日と同じ様に盛り上がっている。
ツルギ達の件はそこまで気にしなかったのかと思ったが、今日も隣同士で飯を食っている二人をチラチラと見ている冒険者達の視線に気づく。何せ、俺は二人の隣でグレンとサーラと飲んでいるからな。
仲睦まじい二組に挟まれている俺は、その後も冒険者達の嫉妬に満ちた視線を感じていた……。




