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古今無双の傭兵が異世界へと行っちゃった話  作者: やまだ和興
ツバキが里帰りする
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第311話―スーラン村での仕事の準備を行う―

 それからは、依頼をこなしたり、スーラン村に資材を送ったりしていた。

 資材の準備はガーレンが整えてくれたおかげで作業は順調に進んでいく。冒険者達がいつ来ても、すぐに作業を始められるように、旅用の小屋を用意していた。


 ツバキとリンネは、基本的にマルドに居る。二人とも、タクマの店の手伝いをこなしていた。

 店の売上自体は好調のようだが、元々生活に困らないくらいは稼げていたようで、ほとんどツバキとリンネを遊ばせているとのこと。リンネには社会勉強も兼ねさせているとのことで、俺は二人に感謝しながら、安心して冒険者稼業をしていた。


 時々、ジーゴ達と一緒に依頼をこなすこともあった。あまり本気でやると、俺の正体もバレてしまいそうなので、結構力を抜いて魔物を倒している。


「オッサンの得物、見た目よりもすげえ性能みたいだな。前の大刀よりもみすぼらしいから、少し心配だったぜ」

「よそ見すんな!」


 俺の無間ばかりに気をとられているジーゴの背後に近づいてきたワイアームを切り伏せながら怒鳴ると、焦ったジーゴは慌てて前を向き、他の奴らは俺に頭を下げてくる。


「お前らも頭下げる暇あったら、さっさと終わらせるように尽力してくれ」

「了解、ザンキさん……っと、正面から魔物の群れ、数は23」


 ジーゴの仲間の魔法使いは正面を指さす。森の奥からワイアームの群れが、俺達めがけて飛んできていた。


「そろそろ打ち止めだろう。行くぞ、ジーゴ!」

「あいよ! シータ、魔法で援護だ!」

「了解! 火炎槍!」


 ジーゴの指示に頷いた魔法使いは、魔法を起動させる。炎で出来た槍をワイアームの群れに向けて飛ばした。

 真ん中の方に居たワイアームに槍が辺り、爆炎が巻き起こり群れが二分された。

 俺とジーゴは、他の冒険者達を二分し、それぞれの群れに向かって突っ込んで行く。

 俺の方は問題ないが、他の冒険者達は、空を飛ぶワイアームに若干苦戦しているようだ。攻撃を食らうのではなく、上手く当たらないことが多い。

 なので、俺が下から斬波を放ったり、クナイなどの投擲武器でワイアームを落として、それを他の冒険者達が狩るようにしている。

 俺一人で倒してしまうと、後で報酬だの何だので話がこじれそうだからな。実際、ツルギ達の時にはややこしいことになったし……。

 一応、報酬は全員で等分ということになっているが、今の所、俺とジーゴが同じくらい倒している。

 ジーゴは、口だけの男ではない。大きな斧を両手に持ちながらも、鈍重そうな見た目とは裏腹に、そこらを駆け回り魔物たちを確実に減らしていた。

 鋼の体皮を持つ鋼皮トカゲも、切り裂く力と、魔物との力比べでも余裕の顔をしている。時折、斧から繰り出される攻撃により、魔物の死骸がボロボロになることもあり、仲間達には怪訝そうな顔をされるが、俺としては頼もしい限りだった。

 他の冒険者達も、俺達よりも魔物を倒せてはいないとは言え、弱くはない。連携しあって、確実に魔物を減らしていく。


 とは言うものの、最後の、このワイアームの群れの際は、体力も尽き掛けているので、最後の方は、俺も少し本気を出して戦っていた。

 新しい無間は力の加減も上手いこと働くようだ。前の無間ではただ斬るだけで魔物が消滅していたが、今回はそうでもない。きちんと力を抜くと、魔物の死骸も残るようになっている。

 無間が自発的に纏っていた、冥界の波動を制御できるようになっていたおかげかと思い、その後も、魔物を駆逐していった。


「……良しッ! これで終わり!」


 最後の一体を倒し、無間を収めると、後ろからジーゴに肩を叩かれた。


「俺達の方がほんの少しだが、早かったな」


 辺りを見ると、ジーゴについていった冒険者達が、既にワイアームの死骸を異界の袋に収める作業を終えている。

 余裕だったという顔のジーゴに思わずため息をついた。


「競ってる場合か? だが、それを言うなら、数は俺達の方が上だぜ?」

「いやいや、最初のワイアームは俺の仲間がやったんだから、数の上では同じだろ。てことは、早かった俺達の方が上だってことだな。てことで、報酬の取り分は俺達が多めだ」


 ガッハッハッハと笑うジーゴ。報酬の取り分は、全員で等分するとあらかじめ決めておいたのに、勝手なことをいうなあと思っていると、ジーゴの仲間が寄ってきて、ジーゴに詰め寄っていく。


「馬鹿言うなって……ジーゴ、お前、今日何回、オッサンに助けられた?」

「オッサンが居て、若干余裕が出たのは良いが、あまり、俺達の見えないところで調子に乗らないでくれよ」

「私達の苦労も、いい加減考えて欲しいんだけど……?」


 ジーゴの態度に苛ついていた俺だったが、仲間達に叱られて何も言えないでいるジーゴを見ながら、段々と胸がスーッとスッキリしていった。

 ごにょごにょと何か文句を言っているジーゴの肩に俺は手を置いた。


「報酬の取り分は等分だ。良いな?」

「……おう」


 渋々ながらジーゴは頷く。ジーゴについていった冒険者達はがっかりするが、俺について来た冒険者達には感謝されたので、これで良しということにしておいた。


 そして、ギルドへ帰り、報酬を受け取った後は、皆で飲み明かしたりしていた。

 依頼でごたごたしたことがあっても、ここで呑んでいると全てを忘れられて、楽しく呑んでいた。

 と言っても、俺は帰ってからも飯を食うので、そこまで料理には手を付けていない。

 ノリが悪いとごねるジーゴ達と、カジノの願掛けということになっている腕相撲の相手をしてやって、俺は気を紛らわせていた。


 ◇◇◇


 さて、そうやってしばらく過ごしているうちに、ガーレンから何人かの冒険者がスーラン村に発ったという情報を聞いた。


「報酬は俺の私財から出した。一日、銀貨10枚だが、文句は無いよな?」


 「俺の私財」という所を強調しながら、俺をジトっと睨むガーレン。サーラとのやり取りでそれは済んだだろうがと睨み返してやると、舌打ちして顔を逸らす。


「俺の方からは何も文句は無い。それに報酬も俺の分は要らねえから、そんな顔すんなよ」

「ったく……それで、アンタはどうするんだ? これから村へ行くか?」

「いや、今日はもう遅いからな。いったんマルドへ帰って、家に居るツバキ達に報告して、明日から村に行こうと思っている」

「分かった……あ~……サーラちゃん達によろしく言っておいてくれ」


 ジーゴの頼みに頷き、俺は部屋を出ていく。下に降りると、今日もジーゴ達が酒盛りをしていた。


「お? ザンキのオッサン、今日は長いこと喋ってたなあ。何かやらかしたか?」

「何で、お前らは俺が何かやらかす人間だと思ってんだよ。何もねえよ。ちょっと、今後の事について話していただけだ」

「今後? 何のことだ? オッサン、どっか行くのか?」

「ああ。スーラン村にな」


 ジーゴ達は、ああ、という顔をして頷いた。


「あの、変な依頼が出ていたやつだな。村へ行って作業をするだけで、一日銀貨10枚っていう……」

「その代わり、しばらくあっちに住まないといけないんだよね? ザンキさんも、行くの?」

「まあ、そんなところだな。だから明日から、俺はここに来ねえからな」


 ここ最近はずっとジーゴ達と依頼に挑んでいたからな。

 ひとまず了解を取ると、あっさりとジーゴは承諾した。


「お~う、行ってこ~い! これでまた、俺に高い報酬の依頼が回ってくる可能性が高くなるからな!」

「調子が良いことで安心したぜ……ってことは、お前らは、スーランに行かねえんだな」

「ああ。向こうにはカジノが無ぇからな……」

「元々最近は行ってねえくせに……」


 カジノがあろうと無かろうと、最近はカジノに行ってすらいないジーゴ。おかげで金は増えていくし、良い装備も整えられているので冒険者としては、成功を収めていると言っても良い。

 だが、やはりジーゴにとってカジノは面白い場所らしく、近々、行って遊びたいとのことだ。


「……なるほどな。俺も居なくなってしばらく願掛けも出来ないが、大丈夫か?」

「気にすんな。明日から、依頼を達成出来たら行く、出来なかったら行かないってことにするからよ~。まあ、今の所、それだと明日は久々に繰り出せそうだ」


 ジーゴは、依頼票をひらひらさせながら、得意げに笑っていた。見ると、下級の魔物の討伐依頼だった。

 オウガの群れを倒せる実力もあるし、何よりここ数日でジーゴと、その仲間達の腕前は、俺も肌で感じている。余裕で達成できそうだと感じた。


「ったく……行くのは勝手だが、負けんなよ、ジーゴ」

「おうよ。次会う時は大金持ちになってるから覚悟しとけ?」

「はいはい。じゃあ、俺はそろそろ帰る。またな」


 ふと気が付くと、日が傾いていることに気付いた。俺は、皆と別れてギルドを出る。ジーゴの仲間達に、無理はさせるなと伝えると、苦笑いしながら頷いていた。


 もし仮に、万が一でも、凄く貧乏になっていたら、腹を抱えて笑ってやろう……。


 そして、そのままマルドへと帰った。


 ◇◇◇


 さて、ツバキの家に帰った後は、事の仔細をツバキとリンネ、それにタクマ達に伝えた。

 明日からはしばらく家を開ける日もあるかも知れないことを伝えると、リンネは俺に、がんばってと言ってくれた。

 ツバキ達も居るし、ここで新しい友達も出来たということなので、寂しそうにしていないのは救いだが、今日は反対に俺が、若干寂しい思いになった。


 なので、いつもより、リンネの頭を撫でたり、頬をつついたりしている。それも、俺が気付かないうちにだ。

 不思議そうに顔を向けてこられてハッとすると、ツバキ達からクスクスと笑い声が聞こえてくる。


「寂しがるザンキ様というのも珍しいですね」

「そんなんじゃ……」

「おししょーさま、リンネにあえなくてさみしいの?」

「う゛……そういうのは、真似しなくて良い」


 悪戯っ子のような顔で、俺の顔を覗き込んでくるリンネ。誰に習ったのだろうかと頭を抱えながら、そのまま両頬をつまんだ。


「えへへ……さみしいんだ~」


 いつもは痛いとごねるのだが、嬉しそうな顔で、俺の手を掴んでいる。

 俺は手を放して、頭を撫でてやった。


「ああ、寂しい。だから、明日からも元気でやっていてくれよ?」

「うん! おねえちゃんといっしょにまってるからね!」


 両手を上げて、元気よく返事するリンネの頭をツバキと一緒に撫でてやった。まあ、村で作業をするだけで、明日からの生活も特に変わりはない。

 朝、村に出て、夕方になるとここに帰るだけだ。ただ、帰られない日があるかも知れないというだけ。

 ……うん。やはり、少し寂しい気持ちになるな。もう少しだけリンネを撫でておこう。


「あ、それから、タクマ。村での作業の合間にグレンをここに連れてくるが、大丈夫か?」

「ああ、そういう話でしたね。僕の方は大丈夫です。いつでもどうぞと、グレンさんにお伝えください」


 タクマ達の仕事も、しばらく配達などは無いようだ。これならいつでもグレンを連れてくることも可能だ。村での様子を見ながら、グレンと打ち合わせておこう。


「ちなみにだけど、スーラン村では、具体的にどんなことするの?」


 そう言えば、村で作業をするということは伝えていたが、何をするのかは皆に言っていなかったな。

 メリアに頷き、俺はガーレンから貰った依頼についての資料を広げた。


 今回の目的は、街から離れていて、なおかつ力のある者達がそんなに居ないスーラン村に、万が一魔物などが襲ってきても大丈夫なようにするということが第一目的だ。

 その為、まずは村の周りに土塁と、柵を築き、防御を固める。これについては、レイヴァンから資材を運んだり、村の近くの森の木を伐採して、十分な量を確保することが出来たので問題は無い。

 そして、その為の人足となる冒険者達は、既に村に向かったとのことなので、恐らく今日くらいからは、作業も始まっているのではないかとの事。村とギルドの仲介人はグレンが行っている。

 もう一つの目的は、魔物が襲ってきても、村人たちが安全に避難したり、魔物を迎撃できるように、冒険者達の拠点となるようなものを作るとのこと。

 これについては、俺はそこまで関わっていないが、ガーレン曰く、大体一週間から一か月ごとに、あそこへ住む手はずになっているツルギ達、「ムソウ一派」に交代で住めるような建物を建てるとのこと。

 旅用の建物を新たに買おうという話しもあったが、それなりに大きくしないといけないということで、ガーレンが金を出すのを渋ったので辞めた。

 俺も出そうかと思ったが、トウショウの里の復興費も、まだ清算が終わっていないので見送った。そう言えば、幾らくらい掛かったのだろうか……。


 ちなみに、ツルギ達にもこの話は伝わっている。それぞれ、俺の頼みならばと、快く引き受けてくれた。

今はまだ、誰も村には入っていないようだが、何人かは、既にモンクに入っているとのことなので、明後日には合流することになりそうだ。全員が集まるのは、当初の予定通り、後一週間くらいとのことで、再会するのが楽しみになってくる。

 当然、村を護りながら住む分には報酬が支払われるが、これについてはきちんとギルドから支払われるらしい。

 その辺りの事は気にしていたので、俺が居なくなっても安心して村やグレンの事を任せることが出来る。


 結局、村で行うのは、それくらいだ。魔物や山賊に対しての防備と、冒険者達が訪れやすいように拠点を作るということだ。

 日程は、予定としてはひと月を考えている。というのも、日がかさむにつれて、ガーレンの財布が悲鳴を上げるとのこと。

 ガーレンの私財が無くなる前に終わらせないといけない。これに関しては、超過しても、俺から出すがな。そこそこ儲けていることだし。


「これくらいだな」

「ふ~ん……でもさあ、ちょっと気になったんだけど……」


 メリアは資料を手にしながら、俺の顔を不思議そうな顔で見つめてきた。


「ん? 何かあったか?」

「いや、ツバキの手紙にも書いてあったけど、ザンキさんって、大工仕事が苦手なのよね?」

「……あ」

「ザンキさんは、何をするの?」


 意地悪そうな笑みを浮かべるメリアから視線を外し、ツバキをジトっと睨む。ツバキは、素知らぬ顔で明後日の方向を見ながら、タクマと一緒にリンネをつついたりしていた。

 くそう……余計なことを教えやがって……。


 メリアの言うように、俺は村に行ってから何をしようかと、今でも考えている。何せ、大工仕事は出来ないからな。

 どう答えようかと思ったが、黙っているだけではこちらの分が悪いことは明らかなので、ため息をついて、口を開く。


「俺は……その、皆が安全に仕事を出来るように、周辺の魔物を狩ることにした」

「ふ~ん……でも、スーラン村の近くでは、そんなに魔物は居ないって聞いたよ? ザンキさんが出ると、そもそも柵とか作らなくても良いってことになりそうだけど?」

「それは違うだろ。集落が外にむき出しってのは問題だ。グレン達もそう言っているから、今回の仕事につながったんだ。

 それに、魔物が居ないのも、調査不足ってこともあるだろ? なら、今は幼体の魔物も、これから成長するかも知れないだろ? その前に、俺が倒しておいた方が良いじゃねえか?」

「ま、そうね……気をつけてね~。それから、ザンキさんは、鋸も、金槌も、釘も持っちゃ駄目だからね~」

「分かってる……」


 再び深くため息をつき、頭を抱えながら頷いた。

 すると、クスっと笑ったツバキが、コソコソとメリアと話し出す。


「もう、母さん……それ、私が言おうとしていたのに……」

「あら、ごめんね。とっても、楽しかったわ」


 やはり、この親子には敵わないなと再確認した俺だった。

 いずれ、必ずやり返してやろうと誓いながら、二人をジトっと見つめる。

 目が合った二人は、同時にニコッと満面の笑みで、何でも無いと言ってきて、流石親子と思うほかなかった。


 今日も楽しい夜だなと思いながら、皆で飯を食い、その後部屋に戻って、道具の確認をしながら、ツバキとリンネと就寝の用意を整える。

 いつも、何をしているのだろうか。リンネは布団が敷かれて、その上で獣の姿になり丸まるとすぐに寝息を立て始める。昼間に仕事して、夜はあれだけはしゃいでいても、疲れはいるようだ。

 毎日、お疲れ様と、ツバキと二人で首筋を撫でた後、灯を消して、俺達も眠りについた……。


 ◇◇◇


 翌朝、リンネに起こされて目が覚める。ぐっすり眠れたようで朝から元気なようだな。

 ……流石に、少しだけやり返そうと思い、リンネの尾に手を伸ばす。

 すると、リンネはサッと身を翻して、未だに寝ているツバキの顔の横に行き、俺の顔を見てきた。


「キュウ~」


 ツバキを前足で指しながら、ニコ~と笑っている。


「……ああ、なるほど……」


 俺はリンネの意を汲み取り、ツバキの側にしゃがんだ。


「せ~の……」


 そして、リンネと顔を合わせて、ツバキの頬に人差し指を伸ばす。リンネは前足を伸ばした。

 すると……


 トン


「……あ?」

「キュウ?」


 俺の指と、リンネの足はツバキの頬の少し手前で止まる。何かに阻まれているようだ。

 よく見ると、薄い透明な板のようなものが見える。これは、もしや……。


 などと思っていると……


「おはよう……ございます!」

「な!? 痛って!」

「キュ!? キュ~~~!」


 パチッと目を開けるツバキ。あ、と驚いていると、俺の前にあった透明な板が、俺の額に飛んでくる。思いがけない出来事で避けることが出来ず、そのまま直撃した。

 それと同時にツバキは身を起こし、リンネの首根っこを掴み逃げられないように確保した。じたばたとするリンネを押さえつけながら、ニコ~と笑う。


「フフフ……まだまだですよ、リンネちゃん。お覚悟……」

「キュ~~~ッッッ!!!」


 そのままツバキは、リンネの体中をくすぐり始めた。ツバキの手の中でリンネはもがきながら悶えている。どことなく楽しそうなので、止めていいものかどうかも微妙なところだ。


 どうやら、既にツバキは起きていたようだ。そして、薄目を開けながら、俺達の悪戯を阻止するために、EXスキルを使ったというわけか。

 スキルで出来た障壁がいつもよりも見えづらかったのは、隠蔽スキルか何かかと思いながら額をさする。地味に痛い……。

 「障壁が武器」というわけの分からないものも、案外、馬鹿にならないなと感じた。

 やれやれと、ため息をついていると、一通りリンネを弄り倒したツバキが、背伸びをしながらこちらに振り向いた。


「おはようございます。今日は私の勝ちですね」

「何の勝負だか……」


 勝ち誇るツバキの額を指で突くと、ツバキは、やられちゃいましたね、とリンネと顔を見合わせながら笑っていた。

 その後、準備を整えて、タクマ達と飯を食い、家の外に出た。今日から、村での仕事かと張り切っていると、ツバキとリンネが寄ってくる。


「今日は、こちらにお戻りになられるのですか?」

「あー……初日だからな。向こうの一日の動きを確認しておきたいから、今日は村に泊まることにするよ」

「かしこまりました。では明日、リンネちゃんとお帰りをお待ちしております」

「きをつけてね~!」

「ああ。行ってくる」


 大きく手を振るリンネと、その横で微笑むツバキ。二人に手を振って、家を出ていった。

 そして、マルドの街を出た後、神人化してスーラン村を目指し、飛び立った。


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