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古今無双の傭兵が異世界へと行っちゃった話  作者: やまだ和興
ツバキが里帰りする
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第305話―ソード・オクトパスを斬る―

 翌朝、いつものようにマルドを出た後は、神人化し、今日はすぐに海の方向へ飛んだ。

 今回貰った資料の中には、ソード・オクトパスが生息するあたりを示した海図がある。

 しかし、海図の読み方はよく分からない。取りあえず、付近の島々の形とそこまでの距離感を、魔法の地図上で照らし合わせ、移動する自分を示した点を見ながら飛んでいた。


 流石に、地上に比べると、海上は魔物が少ないようだ。そもそも済む場所が無いからな。カモメ、なんてものも居るのかと思ったが、意外と少ない。

 人も居ないので、何の気兼ねなく、全力で飛び続けることが出来る。船で行くことになっていたら、どれだけの時間がかかっていたのだろうか……。


 今日はサクッとソード・オクトパスを倒してスーラン村に行くことに決めている。改めて神人化の恩恵に感謝しつつ、更に飛び続ける。


 ちなみに、今日もツバキとリンネは、タクマ達の手伝いだ。それも、何人かの商売仲間と共に、大通りの方で、共同で店を出す仕事だという。

 最近は小さいわりにてきぱきと働き、愛想も良いリンネと、昔からタクマ達に愛されているツバキが居るということで、家の方にも客が増えてきているらしい。

今朝も、俺の頬を舐めて起こしてくれたリンネは、朝飯を食べている間もウキウキとしていた。

 人も多いということは、噂が行き渡るのも早いということで、昔からの常連だけでなく、初見の客も偶に来るということで、今日はどれだけ稼げるかと、タクマとメリアは張り切っていた。

 リンネとツバキには、人目に触れることが増えるので、気を付けとけと言っておいたが、タクマも居るし、他の商人仲間も居るようだし、それに、近くにも知った顔が多いので、大丈夫だろう。

 俺は安心して依頼に取り組むことが出来るなと、海上を進んでいく。


 そして、ソード・オクトパスの生息域に入ったことを確認した後は、ギルドで貰った疑似餌を海に浮かべて、そのまま待っていた。

 漁を行うというのは時間との勝負と聞いているし、この間の釣りでもそれを知った。ここから長いんだろうなと思いながら、海に浮かんでいる疑似餌を眺めながら、辺りを見渡した。

 やはりぐるっと回っても、海が続くだけだが、飛んできた方向を見ると、レイヴァンなのか、陸地が見える……気がする。結構、飛んで来たなあ。

 反対側は、ずっと海が続いているという景色だが、この方向は魔法の地図で照らし合わせると、王都レインなどがある大陸がある……。流石に見えないが、いずれ、行ければ良いなと思っている。

 王城は微妙なところだが、カンナがこの世界で最初に過ごした、「精霊女王の懐」は行きたいと思っている。王族以外立ち入り禁止区域ということだが、シンキに言えば何とかなるだろうと、心のどこかで思っている。

 もしくは、初代人界王シンラの実の親ということを最大に生かして……などと、どうにも馬鹿馬鹿しいとさえ思えるようなことも、頭に浮かび始めている。

 行ってどうするということも無いが、この世界でサヤが最後に居た場所で、カンナが最初に居た場所である。

 少し興味があるどころか、少なくとも、俺がこの世界で、唯一、前の世界の家族を感じられる場所という理由だけで行きたいと思っている。

 レインに寄る際は、どんな手を使っても行ってみようと、少し邪悪な気になりながら、ふと、設置した疑似餌に目を向けた。


 ……まだ、何も起きていない……。


「邪心があるからいけないのか? やはりまだまだ時間がかかるのだろうか……」


 こちらが、早く来いと願うと、やはり魚と言うのは寄ってこないのだろうか。この場合はタコだが……。

 あまり、気にしたことが無いが、神人化も無限に使えるというわけではない。こんな海の真ん中で力を失ってはどうしようもない。

 もう、手っ取り早くソード・オクトパスを討伐しようと思い、半ば強引な手を使うことにする。


 まず、辺りに光葬針を出現させ、武者の形にする。噴滅龍をおびき寄せた時と同様に、コイツ等に海の中に入ってもらい、ソード・オクトパスをおびき寄せようと考えている。

 現在、生み出せるのは五十体ほどで、一体一体が災害級を軽く屠れるほどの力を持ったそいつらを一斉に海の中へと向かわせた。

 そして、しばらく待っていると、海底からようやくそれらしき生物の影が見える。

 いくつもの足を操り、それで光葬針を突き刺すように動かしている。無論、それだけでは倒せないが、ソイツは疑似餌の近くまで行くと、ザバッと海の中から顔を出し、幾つもの足で疑似餌を突き刺しながら、捕食している。

 見た目は牛よりも二回り大きなタコそのものだが、足先は金属のように、太陽の光を反射させている。一撃で疑似餌にいくつもの風穴を開けたあたり、強度もあるようだ。


 その魔物がソード・オクトパスと確信した俺は、光葬針を元に戻し、無間を抜いた。

 中段に構え、その場からソード・オクトパスめがけて、突進する。


「豪神突ッッッ!!!」


 疑似餌に夢中になっている隙に、腹に風穴を開けながら海へと飛び込む。痛覚があるのか、突然現れた俺に、動揺したのか動けない様子のソード・オクトパスを一閃。

 腹と足が離れ、タコは絶命した。


「海の中でも割と動けるものだな。……さて、死骸を回収して、ギルドに急ぐか。乾くと良いんだがな……」


 ひとまず死骸を異界の袋に入れた俺は、その場からすぐに立ち去る。思いっきり海に入ったからな。鎧や小手、ピクシーの首飾り、何より昨日新しくしてもらったばかりの無間を後で綺麗な水で洗わないといけないな。

 やれやれ。意外と時間はかかったし、面倒ごとも増えたな……。


 その後、レイヴァンへ続く橋の前で神人化を解き、そのまま街に入って、ギルドへ直行した。

 今日は、昨日のジーゴの依頼の為か、見知った冒険者は居ない。昨日よりも冒険者の数は少ないようだ。

 知った顔も居ないので、今日こそは本当に寂しいなあと思いつつ、シアの元へ向かった。


「あ、ザンキさん! もう、依頼の方を達成できたのですか?」


 仕事をしていたシアは顔を上げて、目を見開いている。この反応も久しぶりだな。


「まあな。船は無くとも何とかなった」

「そ、そうですか……普通、あのあたりの依頼となると、絶対に日帰りは難しいのですが、流石ですね……」

「ハハハ! 今のうちに慣れとけよ」

「はい。……では、いつものように、こちらへどうぞ」


 慣れろと言われても、難しいと言った顔のシア。まあ、大丈夫だろう。クレナのミオンも最近はよほどのことが無い限り驚かなくなってきていた。

 むしろ、若干魔物の数が減ってきて、討伐数が少ないとなると、平和ですねえとほのぼのした雰囲気になっている。

 ケリスの一件でも色々とあったし、あの野郎が呼んだ冒険者にやじられたこともあったからな、平和になった途端に、どこか退屈そうにも、日々、懸命に仕事をこなしている。

まだ、若いはずなのに、どこか貫禄ある立ち振る舞いに、俺もアヤメも、そして、闘鬼神の皆も、ほのぼのとしている。

 そのことをシアに話すと、小さくため息をつきながら、頑張らないと、と苦笑いしていた。


 そして、案内された倉庫には、すでにギルドの職員と、今日は初日に出会った、ここの副支部長のネイマーが俺を待っていた。


「お~っす! ザンキの旦那、待ってたぜ!」

「おう。今日はお前なんだな」

「ああ。支部長は今、領主様と会談でな。今度の支部長会議の日程などの相談をしているところだ。

 あ、例の奴隷商の件だが、一応、一区切りはついた。情報、ありがとな」


 そう言って、ネイマーはニカっと笑った。軽い態度にシアが注意しているが、むしろこっちの方が良いと、シアを制し、ネイマーに頷く。


「気にすんな。これも冒険者の義務ってもんだろ?」

「ハハハッ! ザンキさんは見た目と違って、堅い所もあるんだな。まあ、こっちも厄介ごとが減って助かったのは本当だ。重ねて礼を言っておこう。

 さて……今日はどんな大怪物だ?」

「ソード・オクトパス一体だ」

「お、なら、早く済みそうだな。さっそく出してくれ」


 剣牛、ゴブリンと、少し大変な作業を経験したギルドの、素材解体の職員たちから、安堵する声が聞こえてくるなか、ソード・オクトパスの死骸を、その場に出した。

 本当に一体だけだったということで、職員たちの表情は明るくなり、どこか楽しみながら解体を始めていく。

 その光景を眺めながら、俺とネイマーは談笑していた。


「そういや、支部長から伝言だ。スーラン村について、来週あたりから冒険者に正式に依頼を出し、村の防衛建設を行うそうだ。

 そして、ムソウ一派って奴らも、着実に集まってきている。何人かは、うちが用意した馬車のおかげで、もう隣接する領には入っているようだから、早い奴で来週、全員が集まるのは、二週間くらいになるが……」

「ほう……最初聞いた時は、二か月と聞いていたが、ずいぶんと早くなったな。

 じゃあ、来た時にでもまた連絡してくれ。村については、今日、この後行くつもりだから、そのように伝えておく」


 ふむ……スーラン村については、俺の知らない間にも、動きは進んでいるようだな。

 今のところの目算だと、二週間後にツルギ達もここには来られるとのことだから、少なくともそれくらいまではモンクに居ることが出来る。ツバキ達にはそう伝えておこう。

 ツルギ達がここに来るまでは他の冒険者達が村に居座ることになるが、ここの冒険者達は感じのいい奴らばかりだ。安心して村を任せることが出来るだろう。

 ゆくゆくは、ツルギ達を常駐させて……という話は、また後で良いか。更に言えば、俺が口出しすることでも無いか。

 村でのことがひと段落着いたら、今まで通り、グレンやガーレンに任せるとしよう。


「にしても、アンタも大変だな。そうやって、色んな場所の問題事を一つ一つ解決していく気か? 途方もねえだろ」

「まあ……な。ただ、知り合いくらいは安心して過ごして欲しいからな。クレナで過ごしていて、魔物の襲撃でグレンが死んだなんて聞いたら、目覚めも悪いし……」

「ああ、普通はそうだよな……そういや、アンタの連れはマルド出身だったか? あそこはあそこで小さな問題事も多いようだからな。気を付けてやらねえと……」


 普通に暮らしている分には分からないが、どこにだって、何かしらの問題事の一つや二つ、あるものだ。

 マルドの場合は、ギルドや騎士団の本部が無い分、警備などもレイヴァンなどに比べると若干だが劣っている。

 その為、昨日は海賊が出たわけだし、ここと同じく、路地裏にはならず者のような者達も多い。

 ツバキとリンネには、毎日注意をしているおかげで、そう言った問題事には未だに遭遇していないことが幸いだと、常々思っている。

 少なくとも、俺達がマルドを発つまでの間は何事も起きて欲しくないな。


 さて、そうこうしているうちに、ソード・オクトパスの素材の解体及び、査定が終わった。

 売却分のうち、メリアがソード・オクトパスの肉は美味しいと言っていたので、その分だけを貰って、査定売却票をネイマーから受け取る。


「はいよ。これで、ここでの仕事は終わりか?」

「ああ。色々と世話になったな」

「おう。世話返すために、今度一杯やろうぜ」

「考えておく」


 いつやるのか分からない酒宴の、適当な約束を交わした後、俺はシアと共に倉庫を出て、報酬を受け取った。


「はい。本日もお疲れさまでした。このまま明日の依頼を受注されますか?」

「いや、今日は少し急いでいるからな。また、明日の朝、ここに来るとしよう」

「かしこまりました。では、また明日、お待ちしておりますね、ザンキさん」


 微笑みながら一礼するシアと別れてギルドを出る。

 

 そして、そのままリエン商会の本部へと向かい、グレンへの土産を少しばかり買った後、スーラン村に向けて飛び立った。


 ◇◇◇


 スーラン村に着いたのは、昼過ぎ。前と同じ場所で神人化を解き、村の中に入った。

 今日は、前とは違って、何人かの村人と遭遇する。やはり、老人か子供が多いようだ。グレンと同世代の人間も、数えるほどしか居ない。

 魔物の軍勢に襲われたら大変だというのは、火を見るよりも明らかである。

 村の周囲を固める建設作業は出来ないが、皆がその作業をしている間の護衛くらいは出来るだろうから、その間は、俺もここに居た方が良いかなと思いつつ、グレンの店を目指した。


 村の奥に、前と変わらない様相でグレンの店は建っている。

 すると、店の入り口の側に、人影が見えた。煙管をふかしながら、ぼーっと空を眺めている。

 近づいていくと、グレンだということが分かり、手を振った。


「お~い! 来てやったぞ~」

「ん? おお! ムソウじゃねえか~!」


 グレンはニカっと笑い、その場で大きく俺に手を振ってきた。

 そして、煙管の火を捨てて、俺の方に駆け寄ってくる。


「こないだから全然来てくれないから心配したぞ。頼んでおいたものが無くなったかと思ったが……」

「すまねえ。こっちもこっちで、仕事しててな。今日は、こないだ話していた件についても報告があったから、商品を届けるついでにここに来たってわけだ」


 店の前に、グレンから頼まれていたものと、今日買ったものを並べながら頭を下げると、グレンはニカっと笑った。


「そうか~。まあ、こっちの注文には応えてくれたようだし、他のものも……コイツは虹鳥の羽だな? 後は……青珊瑚に、極彩鮫の牙と骨……主に手芸用だな。

 それにビーズ……これは、前言っていたタクマさんって店のものか?」

「ああ。こないだ来た時の話をしたら、タクマも喜んでいたぞ」

「それは何よりだ。今後とも、良い商売仲を築かないといけないな」


 商品を店の中に運び入れていくグレン。棚に置くと、紙に値段を書いたついでに、タクマの店のものには、どこの誰から仕入れたかを明確にするために、一言書いた紙を横につけていた。

 ここには客があまり来ないから意味は無いとはグレンは言うが、一応、仕入れ先の宣伝になるとのこと。グレンの方はすでにタクマを商売仲間として認めたようで何よりである。

 ちなみにだが、手芸用の材料はあまり置いていなかったこともあり、村人には喜ばれているようである。だったら尚更、タクマの所の商品は欲しいなと、笑うグレンだった。


 そんなグレンと共に、他の魔道具等、冒険者向けのものを棚に置いていると、家の中から、サーラが顔を出してきた。


「あら、楽しそうな声が聞こえると思ったら、ムソウさんでしたか。こんにちは」

「おう。こないだの手紙とやらは、ガーレンに効果抜群だったみたいだぞ」

「そうですか。良かったです」


 ちなみに手紙の内容である、ガーレンの恥ずかしい過去というのは、結局どういうものだったのかと尋ねてみたが、やはり教えてくれなかった。

 曰く、誰かに話して広まってしまうと、情報の質を落としてしまうとのこと。自分だけがガーレンの過去を知っているからこそ、何かを頼む時の材料として使えるというわけだ。

 早い話が、


「私だけが知っている貴方の秘密をばらされたくなかったら、言うこと聞くよね?」


 ということである。怖い奥さんだなと改めて感じ、この件については忘れることにした。


「んで、この村についてはどういう話になったんだ?」


 取りあえず、作業をしているグレンと、サーラに、俺はツルギ達について説明した後、来週あたりから、対魔物向けの柵や土塁などの建設が始まると告げた。

 サーラは、なるほどとうなずき、安心したように笑みを浮かべる。


「それは、良かったです。それに、冒険者さんへの報酬も、ガーレンさんが出してくださるのですから、言うことは無いですね」

「俺の店にも、客が増えそうだし、良いこと尽くめだな。感謝するぜ、ムソウ」

「おう。それで、俺も来週から、昼間は主にこちらに居ようと思っているからよろしくな」

「そうなると、俺もマルドへ行けるかも知れないな。すまねえが、また、タクマさんに、近々、店に行くと伝えておいてくれないか?」

「ああ、分かった」


 早くても二週間以内には、グレンを連れてマルドへ行こうということが決まった。村とサーラのことは冒険者に任せれば良いし、上手くすれば、サーラも一緒に連れて行くことも出来る。

 夫婦で旅は初めてとのことなので、道中の安全はしっかりと護ってやらないとな。


 さて、ひとまず村のことについて説明した後は、グレンの作業を進めていく。こないだ俺が買い占めたせいで空きが多かった棚もどんどん埋まっていく。また買うかと聞かれたが、間に合っていると答えておいた。

 俺が買わなくても、もうじき、客も増えると笑い返すと、少し残念そうな顔をしながら、そうだな、と頷くグレン。

 それを微笑まし気に見ながら、サーラは手芸をしていた。

 俺が持ってきた虹鳥の羽を糊でくっつけて、花のような形にし、それにビーズなどを着けたりしている。胸飾りのようなものらしい。

 それが終わると、今度は糸にビーズや、魔物の牙などを通して、首飾りを作り始めたりもした。

 なるほど、良い暇つぶしにはなりそうだな。

 ちなみに、グレンは店番と言って、入り口の所に座り、煙管をふかしながら、空を流れる雲を、ジッと眺めていた。

 俺の方は、商品を置き終えて、グレンの横で装備品の手入れをしていた。よく見ると、海水が乾いたのか、塩が付いている。水につけた布で、小手や首飾りなどを拭いていき、新しくなった無間も磨いていた。

 辺りは、昼間だというのに、鳥の鳴き声と、風の吹く音、グレンが煙管をふかす音と、俺の作業の音しか聞こえなかった。


「本当に平和なんだな、この村は」

「今のところはな……退屈か? 斬るものも無くて」

「お前は俺を何だと思っているんだ?」

「戦闘きょ……そういや、得物が元に戻ってんな。直ったのか?」


 何と言おうとしたんだ、コイツ……。まあ、良い。流しておこう。

 俺は、何も触れずに、無間を指さすグレンに頷いた。


「ああ。こう見えて、色々使われている」

「へえ~! 何が使われているんだ?」

「秘密だ」


 ケチ、と罵るグレンだが、実際の所、最終的に何が使われたのか、俺も分からない。天界石と冥界石、更に完全純度の永久金属は分かっているが、見た目は前の無間そのものなので、見た感じだと、高価なものという感覚は皆無だ。

 少し腕に自信がある者は、今の無間の価値には気づいているようだがな。

 まあ、それによって追剥などにも遭うことは無いし、正直このままでも良いと思っている。わざわざ何が使われているかなど、説明することも無いだろうな。

 ムスッとするグレンと共に、俺も空をゆっくりと流れる雲を眺めていた。


 今、この時だけでも、あそこにいる奴らのことは考えなくて良いのだと思うと、何となくだが、落ち着いてくる。

 いずれは斬らないといけない相手だということは分かっている。だが、まだ、その時ではない様子だ。今くらいはゆっくりとしたいものだな。


 ガーレンの話では、近く行われる支部長会議や、領主会議、十二星天が集結する「天上の儀」で、クレナの一件を元に、これからのことが決まっていく。

 俺は、特に何も言われていないが、シンキに全てを任せると決めている。アイツ等の決めたように、俺も今後は動いていくことになるだろう。


 どんな状況になっても、俺が護りたいと思った奴らは、絶対に護り切ることが出来るように、更に強くなっていこうと、新しくなった無間を眺めながら感じていた。


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