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古今無双の傭兵が異世界へと行っちゃった話  作者: やまだ和興
ツバキが里帰りする
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第292話―昔のツバキを知る―

 ツバキの家に帰る頃には日がどっぷりとくれた頃だった。マルドの通りは夜だというのに、昼間のように明るい。そこかしこから、賑やかな笑い声が聞こえ、通りは酔っぱらった人間で溢れていた。

 トウショウの里の花街も夜になるとこんな感じなのだろうか。これを見たら、下街の賑わいもそうでもないということを思い知らされるが、俺は静かな場所に住処を決めたなあと感じた。

 よく見ると、マルドにも妓楼や娼館のような建物もある。なかなかな賑わいだなあと思いつつ、俺は大通りを抜けて、少しばかり静かな通りに入った。

 その先にあるタクマの店は、既に片付けが終わっていて、家の中に灯が見える。何となく、ホッとした気持ちになり、家の戸を叩いた。


「帰ったぞ~」

「「は~い」」


 中から二つの返事が聞こえてきて、扉の鍵が開く音が聞こえる。それと同時に、扉が開き、中から小さな影が飛び出してきた。


「おかえりなさ~い!」

「おお、リンネ。ただいま」


 飛び出してきたリンネを抱き上げて頭を撫でる。少し髪が濡れているところから、既に風呂には入ったようだ。


「本日もお疲れ様です、ザンキ様」

「ああ。ただいま、ツバキ」


 リンネと同様に俺を迎えてくれたツバキも、髪を下ろしている。今日も仲良く二人で風呂に入ったのかと聞くと、リンネは嬉しそうな顔で頷いた。


 その後二人は、飯の用意をするからと台所へ行き、俺はツバキの部屋へと向かい、荷物を置いて居間へと向かった。そこでは、タクマが何かを見ながら茶をすすっている。


「よお、何見てんだ?」

「あ、お疲れ様です、ザンキさん。こちらは、お客様から届いた注文票です。店の在庫にあるものと無いものとを選別し、明日、配達に行くので」

「ふむ。無いものはどうするんだ?」

「可能ならば、ギルドや他の商人に当たって、あればまた後日という流れになります。ひとまず、店にあるものは明日にでも配り終えないといけませんね」


 見ると、注文票はそれなりの多さだ。まあ、全てマルドの、それも知った顔の人間なのどで、そこまで苦労はしないとのこと。

 ただ、邪魔しては悪いなと思い、少し静かになって俺は茶をすすっていた。

 すると、タクマは苦笑いして口を開く。


「そこまでしなくてもよろしいですよ。慣れていますので。ザンキさんは、今日はどのような依頼を?」


 向こうから話しかけてきて会話を申し込んできたんだから、別に良いかと思い、俺はタクマに応える。


「剣牛の討伐だ。意外と良い稼ぎにはなったな」

「ザンキさんの事ですから、群れの殲滅とかになったのですか?」

「まあ、そういうことだな」

「では、そのお金がカジノで消える前に、うちでしっかりと使ってくださいね」


 流石、商人だな。やはり、そういうのは徹底しているらしい。


「分かってる。クレナで待つ、皆への土産を用意しないといけないからな」

「ありがとうございます。ちなみに、明日もギルドに?」

「ああ。一応、明日の依頼もすでに受注したからな。明日は、ここの近くの山で、ゴブリンの討伐だ」

「そうですか。気を付けてくださいね。そして、ギルドに行くのでしたら、少し頼みたいことがあるのですが?」

「ああ、何だ?」

「こちらの商品を手に入れて来て欲しいのです」


 タクマは、何枚かの注文票を手渡してくる。どうやら、店の在庫には無い商品や素材のようだ。そこまで多くは無いが、特にビーズに関しては、色々と細かい条件が付いているものもあり、探すのは苦労しそうだった。

 しかし、何かと世話になっているし、断るのも悪い気がするので、俺はタクマの頼みを承諾した。


「分かった。ただ、無かったら無いってことになるが、良いか?」

「あ、その際はギルドに依頼として発注しておいてくだされば幸いです。後で、支払う報酬の分はお支払いしますので」

「了解だ。他にはあるか?」


 タクマは頷き、残った注文票を手に取って、店の在庫の一覧と見比べ始める。飯が出来るまでに終わるかと不安になりつつ、商品の羅列を指でなぞりながら、あれは無い、これはあると、別の紙に記入していく。

 何か手伝えることは無いかと思ったが、特になさそうだったので、窓の外をぼんやりと眺めなら茶をすするのを再開させた。

 おっと……そう言えば、グレンからも何か頼まれていたんだったな。すっかり忘れていた。タクマの頼みに取り組むついでに、グレンの頼みも明日のうちに済ませておこう。


 その後、タクマの作業が終わると同時に、台所の戸が開いた。


「は~い、お待たせ……って、あなた、まだ仕事してたの?」

「ああ、ようやく終わったよ」

「まったく。あまり無理しないでね」


 タクマを労いながらため息をつくメリア。

 あまり、こういった仲睦まじい夫婦の姿というのは、当分見ていなかっただけに、同じ空間に居る俺は邪魔者だったかと、頭を掻いた。


「おししょーさま、おまたせ~! ツバキおねえちゃんがすごいよ!」


 と、ここで言い方は悪いが空気を読まないリンネが飛びついてくる。

 何事かと思い、台所の方向に目を向けた。


「お待たせいたしました」

「……はあ!?」


 戸の奥から現れたツバキの姿を見て言葉を失う。

 ツバキの周りに料理の乗った皿が浮いている。大皿のものから小皿で分けられた他の料理まで人数分ある。


「何やってんだ? というか、どうなってんだ?」

「あ、こちらは、私のスキルです」


 クスっと笑みを浮かべながら手を前に出すツバキ。すると、周りに浮かんでいた料理が次々と机の上に置かれる。

 ツバキは、皿の大きさに合わせて作り出した障壁を、上方向に向けて、その上に皿を置いていたようだ。

 何とも器用な、というか、便利な使い方をするもんだなと思ったが、正直、微妙な気持ちにもなった。


「ちっこいツバキが、拗ねないか?」

「さあ……まあ、今は私の力ですので、私の自由に使いたいと思います。力の調整の練習にもなりますし……」


 ツバキによると、大きな一枚の障壁を張るよりも、複数の障壁を張って、それぞれに動かすというのは、力を入れる量は少なくとも、調整や動きを統制することは難しいらしい。

 偶にこうやって、日常でも使える機会を見出しては、練習がてら行っているという。


「EXスキルを日常生活で使うのか……まあ、俺も似たようなことをしているからな……」


 洗濯や掃除、更には、今日も使ったが、素材の回収などで、俺もEXスキルを使っている。

 さらに言えば、サネマサも使っているらしいし、コモンも、例えば料理などで使っているとアザミに聞いたことがあるだけに、ツバキの言い分に思わず納得してしまう。


「あ、ですが、他にも攻撃を防ぐ以外の使い方も出来ますよ」

「ほう……例えば?」

「障壁を刃の形にして飛ばすことで手裏剣やクナイのように使ったり、火炎鉱石など、手で触れられないものの周りを囲うようにスキルを使うとこのように出来ます」


 そう言いながらツバキは、机の上に置かれていた置物の周りを、球体状の障壁を展開させて、それを浮かばせた。

 なるほど。直接触らずにものを運ぶということも出来るというわけか。

 ツバキのスキルで生み出される障壁は盾、という概念を取っ払ったことで使える能力というわけだな。


「発想の転換ってわけか。大したものだな、それに自分で気付けるとは……」

「フフッ、実は、たまちゃんやアザミさんから、相談されたのが事の発端ですがね」


 なんでも、毎日屋敷に居る者達の分の料理を台所から運ぶという作業は、どうしても辛いらしく、また、重たいものなどは何人かで行わないといけないので、結構時間がかかるという。

 そこで、たまを筆頭に女中達は、トウショウの祠で目にしたツバキの鍛錬を見ながら、ひょっとしたら、そういうことも出来るのではないかとツバキに提案したらしい。

 それから、練習はしてみたのだが、最初のうちは、一つだけならまだしも、複数の小さな障壁を全て、地面と平行にするというのが難しく、また、力の調整を間違えると、皿が落ちたりしていたという。

 それが段々と上達してきて、今のような事が出来るようになったというわけだ。


 ならばと思い、次に編み出したのは、障壁を攻撃に使うという考え方で、ツバキのうみだす障壁は、固定されているわけでは無いし、形も自由に変えることが出来る。

 例えば槍の穂先のよう形の障壁……と、呼ぶべきなのか、そうではないのか、ここまで来ると分からなくなるようなものを生み出し、辺りに展開させ、それを飛ばすことにより、相手を貫けるのではないかとの事。

 何度か、ジゲンを相手に試したのだが、そこまで速く飛ばすことが出来ないので、威力は小さいが、ジゲン曰く、


「地味に辛い」


 とのことで、下級の魔物くらいならそれだけで、倒せるようになったという。

 防ぐことが可能な攻撃が強くなればなるほど、それほどの強度を持った「何か」を生み出すことが出来るとなると、ツバキのスキルの可能性は、無限に広がるなと感じた。


「もちろん、スキルの本分の、護るという力も伸ばしていますよ」

「そうか。それなら、ちっこいツバキも安心だ」


 胸を張るツバキに、もっと精進しとけと言うと、嬉しそうな顔で頷いた。


「ツバキの向上心は相変わらずね。武王會館に行きたいって言っていた時と変わらないわ」


 懐かし気な顔をして、微笑むメリア。EXスキルを使えることに関しては、メリアもタクマもあまり気にしていないようだ。

ただ、自分の娘が他の人間とは異なる力を持っていることに関しては、どちらも口外したくない様子。無闇に使うなという二人の言葉に、ツバキは頷いた、


「そういや、子供の時のツバキの話は聞いたことが無かったな。どんなだったんだ?」

「大したことはありませんよ」


 すました顔で、それ以上は語らないツバキ。そんな態度だと気になるよなあと思ったが、そこで、メリアがパンパンと手を叩く。


「はいはい! その話はまた後にして、取りあえず、ご飯にしましょう。リンネちゃんも、お腹空きましたよね?」

「うん! リンネ、おなかペコペコ~!」

「そうだな。面白い話は飯を食いながらだ。楽しみにしているからな?」

「ふう……しょうがないですね……」


 やれやれと言った感じに、微笑むツバキ。


 そして、俺達は席について、晩御飯を食べ始める。

 今日の献立は、取りあえず蛸尽くしだった。真ん中にドカンと置かれた大皿には一匹丸々と煮込まれた蛸が置かれている。小皿に分けられていたのは、足の照り焼きと、腹の中に米と野菜などの具材を詰め込み、煮込んだものが置かれている。


「何とも顎が疲れそうな献立だな……」


 並べられた料理を眺めて苦笑いすると、ツバキがクスっと笑った。


「大丈夫ですよ。こちらをご覧ください」


 そう言って、ツバキは箸を手にして、大皿の蛸の足をつまむ。すると、さほど力を入れていない箸の先端が、スルスルッと蛸の足に入っていき、いとも容易く切断することに成功した。


「お、すげえな。何が起こった?」

「こちら、ソフトクトパスという名称の蛸でして、普通の蛸よりも凄く身が柔らかいのです」


 どんな生態をしているのだろうか、はなはだ疑問が浮かぶ生物だな。蛸は全身が筋肉とアキラに聞いたことがある。暴れる魚も、一掴みで捕食すると聞いたが、コイツの場合、魚を掴んだ途端、足をブチブチと千切られそうだ。

 だから、海藻などが主な主食だとタクマが教えてくれた。なかなか面白いなあと思い、ツバキを真似して箸で一口大につまみ、口に運んでみた。


 美味い……。食感は蒸したジャガイモに近い。出汁が良くしみ込んでいるが、蛸本来の味や香りも強く感じることが出来る。

 続いて他の蛸料理も食べたが、どれも蛸とは思えないくらい、容易に噛み砕き、呑み込む事が出来た。

 夢中になり、蛸にがっついていると、ツバキは再びクスっと笑う。


「お喜び頂けたようで安心しました」

「あ? お前の料理はいつも美味いだろ。なあ? リンネ?」

「うん! おねえちゃんのごはん、おいし~!」


 口をもごもごとさせながら、ニコリと笑うリンネ。相変わらず口の周りを盛大に汚しているのを見て、ツバキは苦笑いしながら、それを拭き取る。


「美味しいと言ってくださるのは嬉しいですが、もう少し落ち着いて食べてくださいね?」

「えへへ……うん!」


 リンネは頷き、ゆっくりと食べ始める。ちゃんと言えば、きちんとした所作で食べるんだな。いつもツバキの横に居るからか、食器の扱いに関しては、俺以上だ。リンネに負けてたまるかと、俺も少し落ち着いて飯を口に運び始めた。


「しかし、本当に面白い蛸だな。それに、今まで見たことも無いし、なかなか珍しいんじゃねえか?」

「ええ。こんな感じで、体は弱いからね。外敵にはすぐに食べられるし、網にかかっても、引き揚げる間にバラバラになるし、釣ろうとしても、すぐに体は千切れるし」


 何とも、豆腐のような蛸だな。聞けば聞くほど面白い。メリアによると、一応、毒を持っているらしく、敵から身を護る際には、墨と共に吐き出すことで、難を逃れているという。


「でも、確かに珍しい食べ物であることには変わりないね。市場にあったのかい?」


 タクマが興味深げにすると、ツバキとメリアは頷いた。


「うん。今日は結構獲れたみたいだったよね、母さん」

「ええ。クルトさん家の、ハンナちゃんが獲ったんだって」

「ハンナちゃん? ……ああ、あの、漁師一家の。どおりで……」


 タクマは納得、といった顔で頷き、再び蛸を食い始めた。

 ツバキによると、この蛸を獲った者は、ハンナという女の漁師で、家業である漁師を継ぎ、更に冒険者としてもギルドに登録している人物だという。

 漁師ということで、船の扱いにも、海中での動きにも長けており、家の仕事の傍ら、海に出没する魔物の討伐や、船の護衛などをしているらしい。

 二足のわらじなんて、大変だなと思っていたが、メリア達曰く、結構そういう者も多いという。あまり無いが、依頼が途切れるということもあるので、冒険者としての仕事が出来ない時なども生活していけるように副業として、別の仕事を行ったり、反対に、本職の方であまり稼ぎが無い時などに、冒険者として収入を得たりすることもあるらしい。

 もっと言えば、商人と冒険者の両方をやっているという人間もモンクには多いという。魔物を倒しながら旅をして、商売をするというのは、確かに面白そうな生き方だなと感じた。


「にしても、大したものだな。そんなに難しいと言われているこの蛸の漁を一人でこなすなんてな。何か、コツでもあるのだろうか」

「あ、今日市場で聞いたところ、「海と一体化して、ソフトクトパスが油断した隙に急所を突いて眠らせた後に、異界の袋に入れる」と、ハンナちゃんが教えてくださいました」


 ツバキの言葉に、タクマとメリア、それにリンネは訳が分からないという感じに首を傾げていた。特に、海と一体化する、という意味が分からないらしい。

 当のツバキも、何のことでしょうか、と俺に向けて首を傾げる。

 俺は、何となく意味が理解できたので、なるほど、と頷いていた。


「それは、俺も経験あるな。俺の場合は海では無かったが……」

「え、どういうことなの? まったく分からないわ」

「要は、おいでおいでとして、自分は敵意も何も無いと相手を騙して、近くにおびき寄せた後に、捕まえるって感じだな」


 俺の説明に、皆は納得したのか、ああ、と頷く。

 ちなみに、俺の場合というのは、昔、ハルマサ達に出会う前に、大陸を歩き回っていた際、いつものように玄李の兵士共に襲われて、更に、その日は山賊どもにも襲われて、疲労と食欲が限界になり、その場に座り込んだ時だった。

 しばらく、そのまま動けないでいると、一匹の狸が、俺のすぐそばまで来た。鼻先を使って、俺の様子を確かめていたことをよく覚えている。

 普段は人間に対して警戒心むき出しなのになあと思いつつ、俺は、近づいてきたそいつを捕まえて、何とか腹を満たしたことがあった。

 あの時は、ある意味で俺は死んでいたのだろう。気配も何も、辺りには感じさせず、死人が土に還るように、俺もそこの自然と一体化したんだと思っている。

 流石に食事中なのでこの話はしないが、俺が物思いに更けていると、ツバキが興味深げに顔を覗き込んできた。


「あの……如何なさいました?」

「いや……ハンナって女も大したものだなと思ってな。さっきの口ぶりだと、友人か何かか?」

「ええ。幼馴染ですね……」


 懐かしさに更けるような顔をして、クスっと笑うツバキ。古い友人に会うことは嬉しいことだと、俺もこの前、体験したからな。それは良かったなと、言うと、ツバキは嬉しそうな顔をする。

 そんなツバキの顔をリンネが覗き込んだ。


「ツバキおねえちゃんも、たくさん、おともだちがいるのー?」

「え? ええ、もちろんですよ。今はここに居ない人も居ますが、皆、元気にそれぞれの人生を歩んでいると聞きました」

「おねえちゃんは、どんなあそびがすきだったのー?」

「リンネちゃんとたまちゃんと同じですよ。かくれんぼや、鬼ごっこをしたりしていました」


 へえ~と言って、楽しそうな顔になるリンネの頬を、メリアがつつく。


「ふふ。リンネちゃん、どんなのを想像しているのか分からないけど、この子たちの遊びには、私達は手を焼かされたのよ?」


 メリアの言葉に首を傾げる俺とリンネ。そして、ハッとして肩を落とすツバキ。


「母さん……その話は……」

「良いじゃねえか、ツバキ。聞かせてくれよ」


 何となく面白そうな話になりそうなので、ツバキを制し、昔のツバキのことを語り出すメリアとタクマの話に耳を傾けた。


 二人曰く、幼い頃のツバキは、どちらかと言えば、今のリンネのように活発で、元気いっぱいな女の子だったらしい。

自分にとって不思議なものを目にすると、あれはなに? とか これはなに? とか、メリアに聞いてくるような子だった。

 好奇心も旺盛で、タクマとメリアの目を盗んでは、店の手伝いを抜け出して、先ほどの話に出てきた、ハンナという漁師の娘や、マシロの騎士団に居た、リュウガンと共に、街のあちこちを「探検」していたという。


 ある時、何人かの友達と遊ぶことになったツバキは、その日、町全体を使ってかくれんぼをすることになった。鬼になっても、隠れる側になっても、街を探検しながら遊ぶことが出来ると、ツバキはノリノリだったという。

 そして、ツバキは隠れる側になり、意気揚々と、その場を飛び出した。一応は、親の言いつけを守り、路地裏などには行かないというリュウガンとハンナの言葉に頷き、その場を去っていく。

 しかし、鬼になった子供が、一人、また一人と、隠れている奴らを見つけていくが、ツバキだけは最後まで見つからず、最終的に皆で探すことになった。

 その後、日が暮れそうになっても、ツバキは皆の前には、姿を現さず、流石に心配になったリュウガンたちは、タクマとメリアに泣きながら事情を説明し、それぞれの親と協力して、マルド全体を捜索し始めたという。


「それで、ツバキったら、どこに隠れていたと思う? 港に置いてあった箱の中よ? 危うく魔物商に持っていかれるところだったのを、リュウガン君のお父さんに、助けられたの」

「それは……また、大変だったな……」

「もう……ザンキ様まで……」


 少しだけ恥ずかしそうな顔をして、プイっと顔を逸らすツバキ。

 今でこそ、笑い話で話せるが、当時としては本当に危なかったらしく、ツバキが居たのは、王都行きの船の倉庫内で、これから出航だという時に、倉庫番が荷物の確認をしていたところ、積まれている箱の隅の方から物音が聞こえてきた。

 不気味がった倉庫番が音の正体を確認しようと、箱の中から、外に出れずに怖がっていたツバキが泣きじゃくりながら飛び出してきたという。

 ツバキが隠れていたのは、魔物商の荷物で、それも魔物たちの餌が入っていた箱だった。

 生きた人間までも餌にするのかと、船の人間や、港に居た騎士団が、身に覚えのない魔物商を問い詰める。

 その口論を聞きつけたリュウガンの親が、何事かと港に来た所で、ツバキは発見された。


 話を聞いたメリアは、ツバキを叱りつつ、定刻に遅れた船の乗客全てと、特に魔物商に賠償金を払わされる羽目になったという。


「はあ~……あの時は大変だったわね。リュウガン君のお父さんに立て貰ったのは良いけど、全然借金も減らなかったし……」

「むう……騎士になって返したんだから良いでしょ? それに、私達は遊んでいただけじゃない……」

「いや、完全に遊びの範疇は越えているだろ……」


 メリアにムスッとするツバキに突っ込む。今とは想像も出来ない、ツバキの幼少の頃の話には、何とも驚かされる。

 親に心配をかけるだけではなく、賠償金まで払わせるとは、俺が見てきたどんな子供よりも性質が悪いな。まだ、というか、リンネとたまに比べると、ツバキもその頃はまだまだ子供だったんだなと実感した。


「はあ……いつもリンネちゃん達と、“規格外”な遊びをしているザンキ様にそう言われるとは、不覚ですね……」

「ツバキおねえちゃんも、リンネとおなじかんじだったんだね~」

「む……私とあなたを一緒にしないでください」


 顔を真っ赤にしていくツバキを、ニヤニヤと見ていたリンネの両頬をつまむ。リンネは笑いながらも涙目で、ツバキに謝罪している。

 やはり、子供扱いされるのは、恥ずかしいことなのだろうな。ただ、この光景は見ていて面白いものだったので、特に止めず、更にタクマ達の話を聞くことにした。


「だが、こないだ聞いた話だと、ツバキがここを出たのは、七歳くらいの時だったよな?」

「ですね。かくれんぼの騒動から、半年くらい経った後のことです。リュウガン君のご両親から、王都への旅行に誘われまして、話を聞いたツバキは、二つ返事で行きたいと言いましたので、私達は王都へ行きました」

「その時に見た、サネマサ様の武芸にリュウガン君と一緒に感動しちゃってね。私達も強くなりたいって、リュウガン君と半年くらい騒いでいて、仕方なく武王會館のことを教えたら、今度はそこに行きたいって、言い出してね……」


 ツバキは、めった事では我儘を言わない子供だったらしい。更に、言うとしたら、必ずタクマ達が折れると言って良いほど、自分の思いを曲げないという意思の強さが、この頃から備わっていたという。

 サネマサの武芸に感動しただけではなく、マルドに集まる色んな人間を見ながら、生きていくためには、強くならなければならない。強くなるためには、強くなる術を学ばなければならないと、タクマ達を説得し、リュウガンと共にここを出て、武王會館に入門したという。

ガキの頃から口は達者だったんだな。ツバキも、リュウガンも……。

 ここを離れる際、港に集まった友人たち、特にハンナが涙を流し始めた途端、リュウガンと共に大泣きし始めたツバキを、こちらも、涙を流しながら見送ったというのは、良い思い出だとメリアは語った。

 ひとしきり、リンネを弄っていたツバキは、自身を見つめるタクマとメリアの視線に気づき、ため息を一つついた


「その目は、何?」

「いいえ、別に。大きくなったなあって思ってただけよ」

「これからはどんな風になるのか楽しみだね」


 ニコニコとしている二人に、ツバキは微妙そうな顔をして、料理を食い始める。横顔をちらっと見ると、少しばかり、口角を上げているのを、俺は見逃さなかった。

 やはり、成長を見守ってくれる親が居るということは、嬉しいことなんだなあと、そばに置いてある斬鬼を眺めながら、そう思った。


 さて、ツバキの昔話が終わり、幾つか気になったことがあったので聞いてみた。

 それは、リュウガンの親の事である。ツバキが問題を起こした際に、船の乗客や魔物商に、タクマ達が払うはずだった賠償金を立て替えるほどの財力を持っているらしい。


「何者なんだ?」

「あ、言っていませんでしたね。え~と、リュウガン君のお父様は、ギランという方でして、あちらで博徒をしております」


 ツバキは、窓の外を指さす。この辺りとは違って、遠くの方はボヤっと輝いている。

 そして、一際輝きを放ち、特に目立つ大きな建物がある。マルド最大のカジノだ。


「あそこで博徒? 経営者か?」

「いえ、経営はマルド商会の別の方がやっておりまして、ギランさんは主に賭場で客の相手をしております」


 皆によると、リュウガンの父ギランは、この辺りでは名の知れた博徒の一人で、まだ、カジノが無かった時代から、世界中の賭場を転々としながら生計を立てていたという。

 そこに、マルド商会がカジノを経営するようになり、ギランもそこで働くようになったらしい。

 あのデカいカジノを任されているのか……。賠償金をポンと出すくらいの金は確かに持っていそうだな。


「なるほど……しかし、あのリュウガンの親が博徒というのは信じられないな……」


 マシロで出会ったリュウガンは、好青年だったからな。博徒の血を引いているとは思えない。どうなっているのだと首をひねっていると、タクマ達は笑った。


「まあ、先ほどから申し上げておりますように、ギランさんは、根はお優しい方ですからね。私達にも、何度も力を貸してくださいました」

「私達の親によると、元々はごろつきだったらしいけどね~。イカサマを繰り返しては、商人や貴族達から恨まれ、逃げ回っていたそうよ」


 なるほど。最終的にその腕を買われて、カジノを任されるようになったというわけか。ひょっとしたら、マルド商会が運営するカジノで働くことになったきっかけも、借金の支払いだったんじゃねえか? タクマ達を助けたりと、根は良い奴だということは分かるが、意外と、リュウガンも苦労していたのかも知れないなあと感じた。


「ちなみにですが……」


 そんなことを思っていると、ツバキがクスっと笑みを浮かべながら口を開く。


「ん? どうした、ツバキ」

「元々、ギランさんは世界中を旅しながら、そうやっていろんな方々の恨みを買い続けて生活をしていたのですが、ある時、突然、この街に戻ってきました。

 何故だかわかりますか?」

「さあ。見当もつかないな」

「とんでもない人間を怒らせてしまい、ほとんど逃げるように帰ってきたと伺いました」


 とんでもない奴か……誰を怒らせたのだろうか。王都の貴族とかかな? まさか、人界王とかじゃないよな、と考えを巡らせたが、思い当たる人間は居なかった。


「さっぱりわからねえな。誰を怒らせたんだ?」

「フフッ。それがですね、クレナに行った際に、妓楼で遊ぶためにそこでもイカサマを使った賭博を行っていたのですが、運の悪いことに、ギランさんの所業が、ジゲンさん……いえ、“刀鬼”ジロウ様に届かれ、イカサマを見破られたうえ、思いっきり殴られ、更にだまし取ったお金を全て取り上げられ、街を追い出されたそうですよ」


 ツバキの言葉に口の中のものを吹き出しそうになった。

詳しく聞いてみると、二十年以上前にクレナを訪れたギランだったが、当時、ジロウの噂は知っていたらしく、十二星天とも肩を並べるほどの男を、賭けで負かすことが出来れば、自分の名にも箔が付くと思い、トウショウの里を訪れた。

 だが、そこで妓楼という存在を知り、当時の四天女という存在を知って、どうしても妓楼で遊びたくなったギランは、花街の一角で、トウショウの里の住民をカモにした賭場を開く。無論、売り上げの一部は、貴族に上納することで、住民たちの苦情はもみ消していたらしい。

 それにより、ギランはそこそこ儲けたが、その為に騙された住民たちは、どうしたものかと、ジロウに相談した。

 話を聞いたジロウは怒り、単身、その賭場に乗り込む。

そして、多くのならず者たちが居る前で、ギランと賭場で一騎打ちを行った……のだが、サイコロの転がる音を聞いたジロウは、すぐさま、サイコロを斬った。

すると、小さな鉄球が埋め込まれていて、ある程度、目を操ることが出来るようになっていることに気付く。

 ジロウの怒りは頂点に達し、その場に居た者達をギラン諸共、全員殴り飛ばし、ギランの腕を掴み、刀を振り上げた。


「この野郎……腕、置いてこの街出てくか、有り金全部置いて、さっさとモンクに帰るか選べ……」


 と、ジロウに凄まれたギラン。様々な恨みを買いつつも、せっかく稼いだのに、その全ての金を失うか、商売道具である自身の腕を失い、二度とサイコロも壺も持てなくなるか、究極の二択を迫られ、ギランは有り金全てを差し出す方を選ぶ。

 金を受け取ったジロウは、そのままギランを肩に担ぎ、トウショウの里の門の外に放り投げた。


「二度と、この街に入んじゃねえ! 次来たら、問答無用で叩っ斬るからな!」

「ひ、ひい! す、すんませんでし――」

「さっさと、失せろ!」


 ギランの謝罪も聞かず、その周りに、雷を降らせるジロウ。ギランはその場から全力でモンクへと逃げ帰ったという。


「その後、ギランさんは深く反省されて、二度とイカサマなど姑息な真似はしなくなりました。

 そして、長年博徒をされていた経験と、世界を旅して得た人脈の広さが認められ、あのカジノで客の相手を任されているようです。

 それでも、お客さんとのいざこざというのは少なからず起こるのですが、“刀鬼”に比べれば、まだまだと言って、喧嘩の仲裁をされたり、変な客は追い返したりと、あのカジノの顔役になっていきました」

「……大したもんだな。あの爺さんを怒らすなんて……」

「あら、本気でお怒りになると、凄く恐ろしいというのは、ザンキ様も体験されたことでは?」

「まあな……」


 若い時のジゲンは恐ろしい男だと、何度も聞いていたが、アイツとの一戦を終えて、皆の言葉にも納得がいった。

 ああ、この一件があったから、ジゲンはクレナを発つ前、俺に博徒には気をつけろと言っていたのか。一番怖いのは、お前じゃねえかと、今なら突っ込んでやりたい。

 多くの人間に恨まれたギランだったが、その一件で、“刀鬼”を怒らせたにも関わらず、生きて帰ってきたということで、反対に皆から慕われていったらしく、ギランも、少々真面目になったという。

 今では、ジロウのことはさほど恐れては居ないらしく、むしろ尊敬する相手としてみているらしい。

 困った人間が居たら、助ける辺り、それは本当の事のようだなとツバキに頷いた。


「となれば、カジノに行くときはあそこに行こうか。そういう奴が相手となると、こちらも遊びやすいからな」

「そうですね。ただ、ザンキ様?」

「何だ?」

「ギランさんが面白がって何かしてきたとしても、暴れてはいけませんよ」

「分かってる。俺は、あの爺さんほど、怖くないからな」


 そうですか、と笑いながら頷くツバキと、カジノに行くことを楽しみにするリンネ。クレナに帰る前には一度は行ってみたいと思ったが、そんな奴が居るのなら、こちらも安心だ。

 ジゲンへの土産話のついでに、寄ってみるとしよう。


 さて、話にジゲンが出てきたということで、その後はタクマとメリアに、今のジゲンの話を聞かせてやった。ギランの話の中での印象とは正反対だということを教えると、二人は楽しそうにジゲンの話、そして、俺の屋敷での話を尋ねてくる。

 俺とツバキとリンネは、皆のことを二人に話しながら、今日も楽しく飯を食っていた。


 ◇◇◇


 さて、飯を食い終えた後は、風呂に入り、泊めてもらっているツバキの部屋へと向かった。寝具と机に箪笥しか置いていない殺風景な場所で、最初は薄っすらと埃がかかっていたが、今日は綺麗に掃除されたらしく、綺麗なものとなっていた。

 部屋に入ると、中央に置かれた卓の上で、リンネとツバキが何かの作業をしていた。


「よお、何やってんだ?」

「はっ! おししょーさま!」


 声をかけると、何故かリンネは慌て始め、俺の前に仁王立ちし、後ろでツバキが机の上に置いてあったものを片付け始めた。


「な、何だ? どうした?」

「なんでもない! あっちむいてて!」


 リンネは俺の背中を押しながら、後ろを向かせようとする。本当に訳が分からないと思いつつ、後ろを向いていると、ふう、というツバキの声が聞こえてくる。


「よし……終わりましたよ、リンネちゃん」

「は~い! いいよ、おししょーさま!」

「ったく……何なんだ、一体……?」


 頭を掻きながら、再び部屋の中に目を向けると、卓の上には何も残っておらず、ツバキとリンネはニコニコとした顔でこちらを見ていた。


「なんでもないもんねー!」

「ほう。ならば、教えてくれても良いんじゃねえか?」

「ううん! ないしょ~!」

「あ、内緒ってことは、何かを隠しているってことだよな。何だ?」


少し意地悪な気持ちになり、リンネに詰め寄ると少々慌てた様子になる。


「な、ないしょだもん!」

「ふむ……秘密を護ろうとするのは良いことだ。俺も、それでいつも助かってるからな」

「えへへ……ほめてもらえた……」

「……だが、俺は秘密を持つ人間に、その秘密を吐かせるということもやっていた……」


 こんな状況で、嬉しそうにするリンネに、じわじわと詰め寄る。少しだけ、ビクッと身を震わせたリンネはハッとして、俺の顔を見上げてきた。


「な、なにするの……?」

「秘密を話すまで……こうだ!」


 俺はリンネを寝かせた後、足の裏を思いっきりくすぐってやった。身をよじらせながら、大笑いするリンネ。


「あはははは! や、やめて~!」

「話すまで辞めねえぞ~」

「は、はなさないもんね~!」

「じゃあ、ずっと続けるとしよう」


 さらに力を入れて指を動かすと、リンネは涙目になりながら、じたばたとするが、俺は決してリンネを解放しない。


「ひ、ひぃ、や~め~て~!」

「は~な~せ~」

「は、はなしてほしいのは、おししょーさまだよ!」


 そっちじゃねえと思いながら、更にリンネをくすぐり続ける。

 しかし、なかなか秘密とやらを話さないな、コイツ。そこまでの事かと思い、ここまで来ると、何としても聞き出そうと思い、手を止めなかった。


「きゃははははは! も、もうやめて~!」

「ハハハッ! やめて欲しかったら秘密を……痛って!」


 何となく面白くなってきた俺だったが、突然、頭に何か衝撃が走り、手を止めた。

 リンネを話し、頭をさすりながら後ろを向くと、呆れたような顔のツバキが、俺に手を向けていた。その周りを、複数の小さな障壁が浮かんでいる。


「そろそろ、勘弁してください。もう、夜も遅いのですから」

「ちぇ……もう少しだったんだがな」


 ぐったりするリンネを膝に乗せて頭を掻く。どうやら、ツバキは障壁を俺に飛ばして来たようだ。

 リンネへのくすぐり拷問はもうお終いと言うと、ツバキはクスっと笑い、リンネの頭を撫でた。


「偉いですよ。よくぞ、秘密を守ってくださいましたね」

「む~……おかえし~!」


 リンネは、胡坐をかいている俺の足裏をくすぐったり、横腹辺りをくすぐり始めた。悪戯っ子のような顔を浮かべているが、俺が何も反応しないでやると、段々と真顔になっていく。


「俺にその手は効かねえぞ。どれだけ、今までくすぐられてきたと思っているんだ?」

「うぅ~……まいりましたあ~……」


 くすぐられ続け、くすぐり続け、疲れたのか、リンネはぐだっと俺に寄っかかってくる。俺とツバキは顔を見合わせて、笑いながらリンネの頭を撫でたり、頬をつついたりした。


「で、結局何をやってたんだ?」

「ですから、秘密です……そうですね……まあ、後三日ほどで判明しますので、それまでお待ちを」

「そうか、分かった。楽しみにしておこう」

「あっさりですね。リンネちゃん、お可哀そうに」

「む~……きょうはいっしょにねようね、おししょーさま」

「はいはい……」


 適当に頷いていると、リンネは顔を上げて、絶対だよ、と顔を覗き込む。分かってると言って、頭を撫でると、ニコッと笑った。


「さて、ザンキ様とリンネちゃんも仲直りしたということで、明日からはどうしましょうか?」

「まあ、今日と同じだ。明日も俺は朝から依頼に出るから、一日中自由にしていろよ。友人と会うも良し、リンネと遊ぶのも良しだ」


 ただし、行方不明にはなるなよと揶揄うと、少しだけ顔を赤らめて、クスっと笑うツバキ。


「もう、しませんって。それより、明後日はうちの店もお休みなので、私もリンネちゃんも自由ですが、何かしましょうか?」

「そういう日にこそ、家族孝行してやれよ」

「いえ、ですから、ザンキ様もご一緒にと思いまして……」


 ふむ、そういうことならと思い、何をしようかと考えてみたが、特に何も思い浮かばない。


 すると、リンネが海で遊びたいと言い出したので、取りあえず、海で何かをするという方向で決めて、眠りに入る準備を始める。


 いつもは寝具の上でツバキとリンネ、床で俺が寝ているのだが、今日はリンネが一緒に寝たいということで、リンネは小さな魔獣の姿になり、俺の布団の中に入った。


「キュウ……」

「リンネちゃんが羨ましいですね……」

「何か言ったか?」

「いえ……では、おやすみなさい、リンネちゃん、ザンキ様」

「ああ。おやすみ……二人とも……」

「キュ~ウ~……」


 欠伸交じりに聞こえてきたリンネの声を聞くとともに、ツバキは部屋の灯を消した。

 その瞬間、一気に睡魔に襲われて、俺はゆっくりと眠りについた。


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