第279話 エンヤの過去 ―出会い―
ここから、前中後編と分けて、エンヤと、とある一匹の魔物の物語をお送りしていきます。
その後、飯を食った後、俺とジゲン、それにアヤメは時間魔法の影響と手合わせにより、少し休憩ということで、再び稽古を始める牙の旅団や闘鬼神たちの様子を眺めながら談笑していた。
「叔父貴はあれだけ強くても、壊蛇を倒すまでには至らなかったんだな」
「うむ……壊蛇には、全属性耐性という能力があったからのう。加えて、あの外殻じゃ。いくら速く、鋭く刀を振っても、雷の効果は消え、攻撃自体もそこまで与えることは出来なかった……」
鬼人化した俺と全力でやり合うことが出来ても、壊蛇から街を護ることだけで精いっぱいだったジゲン。壊蛇の特殊な能力によって、ミサキの魔法もほとんど効かず、ジゲンの雷も意味を為さなかったという。
「じゃから、最終的に単純な力では、人界最強のサネマサと、炎ではなく、超高温という攻撃法を持っていたコモン君が、壊蛇のとどめを刺すという役を儂らの代表として担ったというわけじゃ」
「なるほどな……だが、その理屈なら、ムソウは壊蛇と闘っても大丈夫そうだな」
「ん? 何故だ?」
「お前は、魔法に関しては一切の適性が無い。ということは、適正属性も無い。攻撃全てが、無属性だからな。単純な力だけで振るわれるあの無間の一撃なら、壊蛇にも効果的だろう」
ああ、なるほど……アヤメのように、色んな属性を宿した斬波は、確かに状況に応じて闘いに変化をもたらすことが出来るが、壊蛇のような能力を持つ者に対しては、あまり効果を発揮できない。ただの斬波を放つだけという結果になる。
それならば、単純に力だけが大きな俺の斬波を放った方が良いということになるな。
俺には、属性的に有効な奴も居なければ、弱点となる奴も居ない。単純に他の者よりも圧倒的な力だけを持つ俺なら、壊蛇に対しても普段通りに闘えるということだ。
「だが、その理屈だと爺さんでもいけたんじゃないか? 雷の属性は無くとも、超高速で放たれる斬撃というものはすさまじい破壊力を持つだろう?」
「いや……確かにそうじゃが、雷成の状態になると、儂の攻撃全てに雷の属性が付与されるのじゃ。便利なのは便利じゃが、壊蛇には効かなかったのう。儂の振る刀は、自分で言うのも変じゃが、繊細なものじゃ。ムソウ殿や、サネマサに比べると小さなものになる。
巨大な体躯の壊蛇には無駄じゃった……」
いわば、小さな虫の牙によって、俺達が、指などに切り傷を負わせる程度くらいの傷しか与えることは出来なかったという。
魔龍くらいの大きさならまだしも、トウショウの里の山よりも大きな壊蛇には、ジゲンの戦い方では駄目だったようだ。
大きくて強大な技を使うことは出来るが、それも、巨大な雷を落とすというもの。先ほどから話している、全属性への耐性を持つ壊蛇には意味は無かったと項垂れるジゲン。
「じゃがまあ、アヤメの言うように、一撃が強大なムソウ殿なら、あるいは壊蛇にも効果的じゃろうな」
「案外、EXスキルの力で、一撃でバッサリといけるかもな」
「まあ……な……」
普段なら、おだてんな、と言いたいところだが、今回ばかりは、ジゲン達の話を聞いて、それも可能ではないかと思うようになっていた。
話だけ聞いていれば、壊蛇はただの馬鹿でかい蛇。空を飛ぶわけでもなく、巨大な牙はあるだろうが爪は無い。
そうなれば、先ほどのジゲンよりは幾分か戦いやすいのではないかと感じている。
巨大な体躯なら、切れ目も多かっただろう。そこを破界で狙って、ぶつ切りにするも良し、飛刃撃で体中に傷を負わせ、最後に巨大な刃の奔流を打ち出すも良し、斬り続けて、最後にバッサリととどめを刺す、無斬や無尽を使うも良し……。
一度、考え出すと、実際に現れたらどうやって倒していくかとどんどん思い浮かんでくる。例え、邪神族が復活し、その影響で、壊蛇が人界に再び現れても大丈夫なようにしておこう。
「ふむ……じゃがまあ、九頭龍を単騎で倒したムソウ殿なら、それも可能じゃろうな」
「ああ。最近になり、更には先ほどの爺さんとの闘いでも再確認できたが、俺もまだまだ衰えというものは知らんな。
今ある力で、護りたいものを護っていくさ」
「ッたく……お前と叔父貴に護られている奴らは幸せだな。たまもリンネも、長生きできそうだ……って、ん? 二人はどこだ?」
アヤメはキョロキョロと辺りを見回し、二人を探した。俺とジゲンもハッとして、二人を探す。いつもは常に一緒に居るからな。離れた所に行くと、俺達の方が不安になる。
闘鬼神や牙の旅団の稽古に巻き込まれていないよな、と心配していると、ジゲンの動きが止まった。
「む? あそこにおるようじゃの」
ジゲンが指した方向に顔を向ける。そこには、エンヤや、ハルマサ達といった刀精が集まり、その中にツバキも居る。そして、ツバキの側に、たまとリンネが横たわっているのが見えた。
何かあったのかと二人と共に近づき、声をかける。
「おい、何かあった――」
「しぃー……嬢ちゃんたちが寝てる」
ハルマサが、人差し指を口に当てて、ツバキを指さす。
そこでは、ツバキの膝を枕代わりに、たまとリンネがすやすやと眠っている光景が目に入った。
朝早くからここに来て、色々あったからな。疲れていたらしい。
俺達は二人を起こさないようにして、ツバキに近づいた。
「ふむ……すまぬのう、ツバキ殿」
「いえ……遊び疲れたのでしょうね」
「リンネもか……いつもなら、まだそこらで走り回っているだろうに……」
「リンネちゃんも、興奮しっぱなしでしたからね……」
まあ、そうだよな。俺もハルマサ達を見た時は、何となく心躍ったからな。……本人たちには絶対言わないが……。
「おい、ザンキ……」
すると、エンヤが俺達に近づき、肩を叩いてくる。
「あ? 何だよ?」
「お前、布団か何か持ってねえのか? 洞窟内は冷える。リンネとたまが風邪ひくだろうが」
「……は?」
エンヤの言葉に驚く。え、コイツ、何の心配してんだ? そんなことを気にするタマか? というか、俺がガキの頃は、ボロボロの毛皮を渡しながら、これなら大丈夫、とか言っていなかったか?
俺が唖然としていると、エンヤは更に俺の肩を掴んだ。
「何、ボケッとしてんだ!? 持ってねえのか、どっちなのか、はっきりしろ!」
「も、持っているわけねえだろ!」
「んじゃあ、その羽織、脱げ! それからジロウも、その羽織を脱いで、たまに被せろ!」
「む……ど、どうしたと言うのじゃ?」
「良いから早く脱げ!」
困惑する俺達の羽織を掴むエンヤ。俺達は訳が分からないと思いながらも、羽織を脱いだ。エンヤは、それを奪い取り、たまとリンネにそっと被せた。
「よし……これで、大丈夫だな……」
エンヤは優しく微笑み、二人の頭を撫でる。さながら、二人の親かのような慈愛に満ちた表情だ。
今日は色んなエンヤの姿が見られるなあと、感心しつつも、先ほどの行動の意味が分からなかった俺は、エンヤの肩を叩く。
「おい……どうしたんだよ……?」
「あ? 子供をこんなところで寝かせたら、風邪引くだろうが。常識だろ?」
……じゃあ、なんで、ガキの頃の俺を真冬の川に突き落としたのかという疑問が再び頭の中を駆け巡る。
しかし、幾分か気持ちよさそうになったリンネとたまの顔を見て、怒る気も失せ、エンヤの言葉に、取り合えず納得する。
「そうか……しかし、お前が子供に優しいところなんて、初めて見たな……」
普段は怖がられるだけだからな。俺以外の子供と関わるところに関しては本当に見たことが無い。俺はそう思っていたが、キョトンとした表情で、エイシンやタカナリ達が口を開いた。
「いや……お前はともかく、サヤちゃんには優しかっただろう」
「それに、私達の子供にもな。夜泣きした時などは大変だったな」
「ザンキさん、何を仰っているのですか? エンヤさんは優しい方ですよ?」
エイシンとタカナリはともかく、トウヤの言葉に耳を疑う。コイツが……優しい……?
何だ、この、俺の時との違いは……。一回死んで、今までの行動を改めたのか? この女が?
俺が更に困惑し、狼狽していると、ツバキはクスっと笑い、ハルマサ達はニヤッとする。
隣で、ジゲンとアヤメも、強くて怖いだけじゃない、ムソウとは違うなどと呟いているのが聞こえる。
いや、この女は、強くて恐ろしいんだけどなあと頭を掻いていると、エンヤのため息が聞こえる。
「俺が優しいかどうかはともかく、小せえ子供は大事にしねえと駄目だろ。
それに……コイツは特別なんだよ……」
エンヤは、再びリンネの頭を撫でた。くすぐったかったのか、身をよじらせるリンネ。被せている羽織が少し乱れると、エンヤはそれを直した。
先ほどまでと違い、エンヤに対して、今度は驚きではなく、疑問が浮かんだ。
なんで、ここまでエンヤは二人に、特にリンネに優しいのだろうか。俺のことについて、質問攻めされた時も、エンヤは鬱陶しいと怒鳴るどころか、リンネに対しては優しく接していた気がする。
俺とリンネのことを知っているからか? いや、それにしては……と、頭を抱えていると、ハルマサ達が前に出て、スヤスヤと眠るリンネの顔を覗き込んだ。
「なあ、エンヤ……この妖狐って、やっぱり?」
少し、戸惑っているような顔をして、アキラがエンヤに視線を移す。それと同様の表情になりながら、他の皆もエンヤに顔を向けた。
すると、エンヤは皆に頷いた
「ああ、そうだ……コイツは……リンネは……アイツの……」
エンヤの様子に、ちっこいツバキとハルマサ以外の皆が目を見開き、リンネの姿をまじまじと見つめた。
そして、アキラとナツメ、それにトウヤは泣きそうな顔になり、エイシンなどは俺に見せた、何かに謝るような顔になり、ちっこいツバキとハルマサは寂し気な表情をしながら、リンネの姿を見つめていた。
一体どうしたというのだろうかと思っている俺達の前で、皆はそれぞれ、リンネの姿を目に焼き付けるように、ジッと眺めていた。
◇◇◇
俺は、ここには居ない……居ようはずもない、もう一人の家族のことを思い出していた。
それは、人間では無い。一匹の魔物だ。
邪神大戦が終結し、しばらく経った頃、俺は王都近郊の森で、そいつと出会った。
いや、出会ったというより、見つけた。木の根元で傷だらけでうずくまっていたことをよく覚えている。
見たことも無い狐のような魔物……というか、子狐そのものだった。尾が二つ生えていることを除けばな……。
恐らく縄張り争いか何かでやられたのだろうと思い、近づいてみた。
すると、その魔物はぴくッと耳を動かし、目を覚ます。そして、俺を敵と思ったのか、唸り声を上げながら、俺を睨みつけていた。
「キュウウウゥゥゥ……!」
よろよろと立ち上がり、自身の周りに緑色の炎のようなものを展開させる。
俺は、ため息をつき、その魔物に更に近づいていった。
「ッたく……ボロボロの身で何してんだか……」
「キュウゥゥゥ……キュアッ!!!」
俺が近づいていくと、その魔物は辺りに展開させていた炎を、俺に向け放ってくる。
俺はスキルを発動し、その攻撃を無効化した。
「やめとけ……そんな攻撃じゃ、俺に傷一つ付けられねえよ」
「キュアッ!? キュウゥゥゥ……」
五体満足な俺を見て、信じられないとばかりに目を見開く魔物。そして、何をしても無駄だということを悟ったのか、炎を引っ込めながら、何もかも諦めたかのようにその場に崩れ落ちる。
「はあ……無茶しやがって……ただ、俺に向かってきたということに関してはアイツ以上だな。褒めてやる。
……これは褒美だ……」
俺は懐から、回復薬を取り出し、その魔物にかけてみた。すると、魔物についていた傷が輝き、全身を癒していく。
「キュウッ!?」
その瞬間、目を見開く魔物。体の調子を確かめた後、そこらを元気よく走り出した。
「キュウ~~~ッッッ!」
「お、元気になったようだな。もうあまり、無茶するんじゃねえぞ」
魔物が元気になったことを確認し、俺はその場を去ろうとした。すると……
「キュウ!? キュウッ!」
突然その魔物が、俺の肩に飛び乗ってくる。
「なあ!?」
「キュウ~♪ キュウ~♪」
その魔物は、嬉しそうな顔で俺に頬ずりしてきた。
「何だ? 礼のつもりか?」
「キュウッ!」
「そうか。ありがとよ。
……さて、気は済んだだろ? さっさと帰んな」
俺は、その魔物を地面に下ろし、再びその場を離れようとした。
……しかし、俺が歩きだすと、魔物は後ろからついてきていることに気付く。
立ち止まり振り返ると、魔物がしっぽを振りながら俺の顔を見て、ニコッと笑っていた。
「もしかして……ついてきたいのか?」
「キュウッ!」
俺の問いに、魔物は即答する。
少し面倒だな、と思った俺は、しばらく待った後、その場から駆け出した。
「キュウッ!? キュウッ!」
「来んじゃねえって!!!」
魔物は、俺を追い描けるように全力でついてくる。俺も追いつかれまいと全力でその場を離れていった。
苦労して魔物と闘い、邪神族をようやく封印することが出来たというのに、このまま王城まで来たら、皆に何て言われるか分からない。
俺は必死でその魔物を振りほどこうとする。
「キュウッ! キュウゥゥゥ…………」
全力で森の中を走って行き、森を抜けて一息つく。後ろを振り返ると、そこには何も居なかった。
「はあ、はあ、はあ……撒けたか……」
魔物の姿を確認できなかった俺は、その場で安心する。
そして、そのまま、王城へと帰った。城を歩いていると、今や、人界王となったカンナと、宰相のシンキ、それに、俺と共に相談役となったムウが歩いてくる。
「お、カンナ。魔物どもの残党狩りから帰って来たぜ」
「お疲れ様です、エンヤさん。魔物はどうでした?」
「ひとまずは、あそこに潜む、人族に有害な魔物は駆逐できたはずだ」
「なるほど……しかし、エンヤさんもよくやってくださいますね。他の方々に任せても良いのですよ?」
「いや良いって。俺は、お前の親父以上に闘いが好きなんだからな」
「いや……父上は、闘いが好きという人ではありませんよ」
カンナの、ザンキに対する印象に笑いそうになる。アイツ、カンナには良いように思われているようだな。“死神”の異名が付くくらい、ザンキも俺以上に闘いが好きだったと、何度も言って聞かせたが、信用してくれていないらしい。
闘鬼神を抜けて、カンナの前では、ちゃんとした父親だったんだなと思い、何となく嬉しくなる。
この世界には居ない、ザンキに思いを馳せていると、ふと、シンキとムウが、何か不思議そうな顔をしながら、俺に近づいてきた。
「それで……エンヤ」
「あ? 何だよ、ムウ」
「それは……何なんだ?」
ムウとシンキは俺の顔の横辺りを指さしながら、目を見開いている。何が? と思い、そちらに顔を向けると……
「キュウッ!」
「はあッ!?」
そこには、撒いたはずの、森の中に居た、あの小さな魔物が満足そうな顔で、俺の肩に乗っていた。
「おま……何してんだ!? こんなところで! というか、撒いたはずだよな!?」
「キュ~ウ!」
魔物は、首を思いっきり横に振り、俺の質問を否定。すぐさま、俺の頬に頬ずりしてくる。
「やめろって! というか、出ていけ!」
「キュッ!? キュウ~~~ッッッ!!!」
首根っこを掴み、魔物を外に投げようとする。だが、その魔物は俺の腕に尻尾を絡みつかせ、足を器用に使い、俺の手にしがみついた。
「チッ! この……放せ!」
「キュウ~~~ッッッ!!!」
腕を振っても、魔物は離れない。寧ろ、力を強めながら、俺から絶対離れないという意思表示をしてくる。
「エンヤさん。その子が可哀そうですよ」
「何言ってんだ、カンナ! そんなこと言う暇あったら、手伝ってくれって!」
「いえ、その子が強く掴んでいるのは、エンヤさんが、思いっきり腕を振っているからです。弱めてみればよろしいのでは?」
「……あ」
ザンキと違って、頭の良いことを言ってくるカンナ。そう言われたらそうかと思い、俺は腕の振りを辞めた。
すると、魔物はハッとして、俺から離れ、足元に降りる。そして、俺の顔を見上げながらニコッと笑った。
「キュウッ♪」
「いや、認めたわけじゃねえよ! さっさと出てけッ! 今すぐ! ここから! 行け!」
「キュッ!? キュウ~~~ッッッ!!!」
嬉しそうな顔をする魔物に、外を指さして怒鳴ると、表情を一変させて、首を横に振る魔物。そのまま、ヒシっと俺の足にしがみついてきた。
「キュウ~~~ッッッ!!!」
「ああもう! 本ッ当にめんどくせえなあッ! いい加減にしろッ!」
俺は、足を思いっきり振った。すると、その魔物は俺の足から離れていき、廊下の先へと吹っ飛んでいく。
「あ……!」
すると、カンナが飛び出し、壁に激突する手前で飛んでいく魔物を受け止めた。
「よっと……エンヤさん、これは流石に酷いですよ?」
やれやれといった感じにため息をつきながら、魔物を抱えたカンナが、俺の元まで戻ってくる。
すると、魔物はカンナの胸から飛び出し、俺の肩の上に再び乗ってきた。
そして、足で俺の肩にしがみつくようになる。
「あ~! もう、余計な事しやがって~~~! おい、ムウ! それにシンキ! お前らも手伝え! コイツを追っ払うぞ!」
カンナでは駄目だと思った俺は、シンキとムウに助けを求める。しかし、二人はキョトンとしながら、その場を動かなかった。
「いや……どういう状況なのか、教えてくれって……」
「その魔物の子は何なんだ? どこから拾ってきた?」
「拾った訳じゃ……チッ、分かったよ。実はな……」
俺は取りあえず、ここまでの経緯を皆に説明した。
話を終えると、ムウは、ふむ、と頷き、その魔物に手をかざす。
「なるほど……エンヤに助けられて、恩を感じたってところか……本当にただの魔物なのか?」
ムウはとシンキは、鑑定スキルを使っているのか、そのまま、まじまじと、魔物の姿を眺めていた。
「ほう……妖狐、か……初めて見る魔物だな。それに、面白い能力もあるようだ……」
「面白い能力?」
鑑定スキルを持っていない俺は、ムウに、この魔物の正体を確かめた。
ムウによると、その魔物は「妖狐」という種族で、魔法やスキルとは違った特殊な能力をいくつか宿しているとのこと。
まず、俺に向けて展開してきた、緑色の炎……それは「狐火」という技らしく、この魔物特有であり、基本的に使えるものだということらしい。
後は、幻術なんかも使えたり、「変化」といって、偽装スキルのように姿を変えたり出来るという。ただ、この能力には、少しだけ面白い特徴があり、変化した対象の力を可能な限りという制限はあるが、使えるという。
例えば、龍に変化すれば、アイツ等が口から吐くことが出来るブレス攻撃や、魔力量が一定値まで高まれば、龍言語魔法なども使えるということになるらしい。
意外と馬鹿にならないんだなと思っていると、今度はシンキが俺の方を見てきた。
「で、その妖狐がエンヤに助けられて、恩を感じ、ここまでついて来たってわけか……お前、どうする気なんだ?」
「あ? さっきからやってんだろ。このまま森に返すつもりだ」
一応は、魔物だからな。トウガ達のようにこちらの味方だと分かっているなら話は別だが、俺がコイツを連れていて恥ずかしいというよりも、皆に危害が及ぶ可能性もある。
現在、王城は、少しだけだが、バタバタとしている。カンナの嫁であるコウカが、懐妊した。後継ぎとなる王子がそろそろ生まれるということもあり、不穏な者は近づけさせないようにしている。
城の中にも、俺やムウが選別した者達しか入られないようになっており、また、コウカ達を危険にさらすわけにはいかないということで、今日のように近郊の魔物どもを追い払ったり殲滅したりしている。
そんな中で、得体の知れないこの魔物を城に入れるわけにはいかない。コイツは、俺の手でもう一度、森の奥へと連れて行き、置いていこうと考えていた時だった。
カンナが、俺の前に立ち、しょぼんと落ち込んでいる様子のその魔物を撫で始めた。
「私は別に構いませんよ。この子をここに置いても……」
「はあ!?」
カンナの言葉に、俺達は驚き、その魔物はスッと顔を上げて目を見開く。カンナは更にニコッと微笑み、魔物の頬を撫で始めた。
「お前、何言ってんだ!? 今がどんな時か、分かってんのか!?」
「もちろん、分かってます。というか、私が一番分かっています」
「いや……だったら、コイツがここに居たら、危険とか思うだろ!? 普通」
「その為に、私の側には常にシンキが、街の護りをタカナリ様や、ハルマサさん、ツバキさんが、街の外の安全確保をエンヤさんとゴウキさんが、コウカの側には常に、ナツメさん、アキラさん、師匠、そして、母上を付かせています。何も心配はありませんよ」
「だ、だが、コイツの力は未知数だ! 万が一があるかも知れねえだろ!?」
「それこそ、そんな魔物を外に出すわけにはいきません。民たちが怯えて暮らす要因が増えてしまいます。
……それに、どうやらこちらの魔物は、エンヤさんに懐いているようです。常にエンヤさんが共にいらっしゃるのでしたら大丈夫でしょう」
最後にカンナは、サヤのような笑顔でニコッと笑い、俺の顔を覗き込む。流石、親子……俺を困らせることに関しても、よく似ている。
言ってる場合じゃない。このままだと、この魔物がここに住むことを許され、更には俺に全てを押し付けられるかも知れない。確かにスキルのおかげでコイツの力も無効化出来る。コイツが何をしようとも、大丈夫だ。
それに、コイツから感じられる力、子供の割にはそこらの魔物よりは強い気がするが、俺達よりは低い。何も問題ないだろう。
だが、それは俺にとって、凄く面倒だ! なんで俺がコイツの面倒を見ないといけない! 俺はその為に、コイツを助けたわけじゃねえってのに。俺はなおもカンナに抗議を続ける。
「なら、アキラに任せろよ! なんで俺が……!」
「アキラさんは、コウカに付いていただかないといけませんから」
「ぐぬ……なら俺がアキラと交代でコウカに付いてやるよ!」
「いえ、外の魔物の相手は、やはりエンヤさんでないといけません。未だ、どんな魔物が居るのかわかりませんからね。トウガ君たちも人界各地に散っているので、アキラさんにも限界があるでしょう」
「じゃ、じゃあ――」
更に抗議しようとしたが、ここでシンキとムウに肩を叩かれる。
「エンヤ、諦めろ」
「お前の抵抗も、もう、無駄の様だぞ」
「あ? 何言って――」
二人は諦めた表情をしながら、俺の後方を指さす。
すると、そこには、ぱあっと目を見開き、俺の肩の上の魔物を見つめるサヤと、コウカ、アキラ、ナツメ、更に、ムウと共に、魔物や龍族、いわゆる人族以外の種族が使う魔法の研究をしている、女魔法戦士ルージュと、アキラと共に、人界各地に生息する魔物の生態を調べている、“全てを見通す男”の異名を持つ、レシアが立っていた。
サヤとコウカ、それにアキラは俺にずんずんと近寄り、肩の上の魔物を眺め、騒ぎ出す。
「うわあ~、可愛い! この子、可愛い! 何!? この子!」
「見てるだけで癒される……まだ、子供かな?」
「見たことない魔物だ! こんな可愛い奴が、人界にもまだ居るのか~!」
などと言いながら、魔物を撫で始める。魔物は嬉しそうな顔をして、皆に応える。
「シンラ、この子は?」
「この子は何なの!? なんで、頭領さんの肩に乗っているの?」
ワクワクした顔で、カンナに説明を求めるコウカとサヤ。俺が唖然としていると、カンナはクスっと笑って、口を開いた。
「この子はね……新たにエンヤさんの従魔として仲間になった、妖狐という魔物だよ」
「「まあ!」」
「あ!?」
カンナの勝手な言葉に、コウカとサヤは表情を輝かせ、魔物は喜び、カンナの手に頬ずりをしている。
俺は、カンナに詰め寄った。
「おい待て! 何勝手なこと言ってんだ! 俺は面倒見ないからな!」
魔物の首根っこを掴みながら、皆にそう言い放つと、サヤたちは、ぽかんと真顔になり、分かりやすいくらいに項垂れる。いや、そこまで変なことを言った訳じゃないんだが……。
そんな二人や、新たにこの場に現れた者達に、シンキ達はこれまでの経緯を説明する。最初は戸惑っていた皆だったが、状況を理解し、なるほどと頷いている。
レシアだけは、スキルで未来でも見たのか、全て知っていたという顔をしている。なら、助けてくれよと、思い、視線を投げかけるが、レシアはプイっと顔を逸らす。
サヤとコウカだけは項垂れたままだった。
だが、しばらくすると、ゆっくりと顔を上げて、魔物の子を見つめ、俺の顔に視線を移す。
「駄目なの……?」
そんな目で見るな、サヤ……。俺は視線を外しながらため息をつく。
「駄目だ。今がカンナやコウカにとってどれだけ大事か分かるだろ?」
「いえ、先ほどから申していますように、私は大丈夫です。シンキも居ますし……」
「ええ。私も……皆が居るからね……」
カンナ夫婦は顔を見合わせ、クスっと笑う。シンキなどは照れているのか、カンナを小突きながら嬉しそうな顔をしていた。いや、そういうのは他でやってくれ……。
「でもさ~……面倒ならなんで、助けたの? 弱っていた所を助けてもらったら、こうなることくらい、頭領さんなら、予想できると思うけど?」
「いや……放っておくわけにもいかねえだろ。まだ小さいんだし……」
その結果がこうなるとは思わなかったがな。こうなると分かっていたなら、放っておけば良かったと頭を掻く。
すると、サヤは目を丸くしながら、俺の顔を覗き込む。
「へえ……頭領さんにもそんなところがあるんだね~……」
「お前は俺を何だと思ってんだ……傷だらけのガキ助けるのは、何度もやってんだろ。というか、お前やザンキの時もそうだっただろうが……」
一つため息をつくと、サヤは目を見開きクスっと笑った。何か面白いことでも言ったかと思っていると、シンキが俺の背中を叩く。
「じゃあ、その時みてえに、コイツのことも面倒見れば良いじゃねえか。さっきの話だと、そんな状態でも、お前に攻撃仕掛けてきたんだろ? 皆が言うところのザンキって奴にそっくりじゃねえか?」
「それとこれとじゃ、話が違うだろ!」
「いや、一緒だね~。頭領さんにその気が無くても、こうなるのはまさしく運命ってやつだね~」
シンキの言葉に、賛同するように、サヤが口を開く。
「違うっつってんだろ! お前の時は、ザンキ目当てだったし、ザンキの時も、俺が何となく面白そうになるって思って拾っただけだ!」
「ほう……この魔物の子については、そう思わないのか? 見た所、まだまだ強くなりそうな気もするぞ?」
更に、ムウも興味深げに魔物を眺める。ルージュも頷き、ムウと共にこちらに視線を合わせてきた。
「ザンキって人が誰だか、私は知らないけど、確かにこの子からは、未知の力を感じるわね。陛下が仰るように、外に出すのは危険かも……。ここは誰かが、面倒を見た方が良いかもね~」
「じゃあ、お前が――」
「私は研究で忙しいから」
さらりと俺の言葉を受け流すルージュ。他の奴に視線を移すと、それぞれがそれぞれの理由を言っては、魔物の面倒は見れないと、頷き合っていた。
アキラに関しては、俺の肩に掴まり、俺の顔をジッと見てくる魔物を指さし、
「エンヤが適任……というか、その子はエンヤを選んでいる」
などと、言っている。俺の意見は無視か!
どうにかして、魔物を追い出そうと思い、どうしたものかと頭を抱えていると、再び、俺は背中をポンと叩かれた。
それは、レシアだった。レシアは、全てを諦めろ、という悟った目で俺の顔を見てくる。
「エンヤ……」
「何だよ……?」
レシアはそのまま、皆の方を指さす。指された方向を見ると、コウカが、カンナに何かコソコソと話している光景が目に入った。
「おい……何話してんだ?」
声をかけると、カンナはコウカに頷き、俺の方を向いてニコッと笑った。
「さて……先ほどから見てきた通り、その魔物の子供はエンヤさんを慕っております。ですが、エンヤさんは如何に言っても魔物は魔物。ここに居させるのは危険……という話ですね?」
「ああ。さっきから言っているだろう」
「ですが、その魔物からは、今の所そこまでの力は感じません。これから成長をしたとしても、少なくともエンヤさんには敵わないでしょう。貴女は私達の中で一番強い方ですから……」
何となく、嫌な予感がする。俺はカンナの口を閉じさせようと前に出た。
しかし、サヤとシンキがカンナの前に立ち、俺の行く手を遮る。ムウに関しては錫杖を構え、魔法を使う準備までしている。
「ぐっ……! お前ら……」
「駄目だよ~、頭領さん」
「最後まで話を聞けって」
「悪い話ではないかも知れないぞ?」
俺に楯突く割には、ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべている三人。思わず呆れて言葉も出なかった隙をつき、カンナは更に続ける。
「以上のことから、その魔物を野に放つのはやめ、王城にて管理することを決定します。なお、管理人はエンヤさん、お願いします」
そう言って、カンナは俺をまっすぐと見てきた。とうとう、俺にこの魔物を押し付けることが皆の中で決まったようだ。
俺は納得いかず、声を荒げて反抗する。
「ふざけんな! なんで、俺が――」
しかし、俺の言葉を遮るように、カンナは更に続けた。
「エンヤさん……これは、“王命”です!」
「んぐっ……!」
カンナの放った言葉に、俺は再び黙ってしまう。“王命”……その名の通り、人界王からの命令である。
邪神大戦を終えて、一つになった人界。そして、その中の頂点である、一人の人界王として、俺達はカンナを選んだ。
最初は、私なんて、と拒んでいたカンナだったが、幾つもの闘いと、護るべきコウカという存在、そして、平和になった人界を、更によりよくするために、今では大きく胸を張って、王に就いている。
ただ、俺達のように、カンナと同等、あるいは上の力を持つ者も、人界にはまだ居る。そこで、俺達はカンナにある特権を与えた。それが“王命”であり、何かしらで議論が発生しても、最終的な判断は王にゆだね、その決定を覆すことは、その他の者には許されないというものである。
カンナに力を手にさせる為に発令した、人界で最初の法律だが、これを破った者には、厳しい処罰を与えるという決まりになっている。その厳しさゆえに、今までカンナは、そこまでの“王命”を発令することは無かった。
無かったが……。
「“王命”……か。確か、これを破った者は、エンヤに斬られるんだよな?」
「はい。そして、魂でさえもこの世に残すべからずということで、トウガ君たちのご飯になります」
「そうだったな。確かこれを決めたのは……」
シンキの言葉に続くように、皆は俺に視線をぶつけてくる。
そうだ。この決まりを作ったのは、俺だ。邪神大戦の発端は、神界王ケアルの決定に意を唱えた者達が起こした反乱と聞いている。
ならば、王に楯突く奴らには相応の対応を取ってもらわなければならない。人界を、戦乱の渦に巻き込むわけにはいかないからな。
この禁を犯した者は、俺自らが叩き斬る。そして、魂でさえもこの世から消えてもらうことにしている。
そんな大それた決まりを、現在、人界王カンナは、俺に行使している。
俺は、死ぬわけにはいかない。せっかく、ザンキの家族に……俺の家族に再び会うことが出来たんだ。
最後まで一緒に居てやるってのが、俺が、アイツと勝手に約束したことだ。アイツの代わりに、今度こそ、皆を護り切るって誓ったんだ。
ここで死んで、魂でさえも、無に帰させるわけにはいかない……。
しばらく悩んだが、俺は恐らく人生で一番長い溜息をつき、顔を上げた。
「は……拝命……する……カンナ……」
相手に忠誠を誓うように、胸に手を置いて、頭を下げると、皆の表情……特にサヤやコウカ、アキラ、そして、俺の肩の上に立つ、魔物の子の顔がぱあっと輝く。
「キュウ~ッ!」
魔物は、嬉しさを爆発させるように、カンナの方に飛び出そうとした。
俺はすかさず、魔物の首根っこを掴む。
「それが、駄目だってんだ! 俺の言うことは聞け!」
「キュ!? キュウッ!」
すると、魔物は、パッと俺の顔を見て、コクコクと頷いた。
それを見た、カンナはクスっと笑い、他の皆は感心したように頷いている。
「わ~、偉いね~、この子。頭領さんの指示に、ちゃんと聞いてるよ~」
「ここに居ることを許されて、シンラにお礼でも言いたかったのかな? そういうところも、ちゃんとしてるんだね」
「分かってはいたが、知能は高いみたいだな。色々と教えたら、トウガ達よりも強くて、賢くなる可能性もあるな」
などと言いながら、魔物を撫でるサヤたち。一方、ムウ達などは、楽しそうな顔で俺に話しかけてくる。
「ふむ……万事丸く収まったようだな」
「何も収まってねえよ……」
「大切に育てろよ、エンヤ。カンナの補佐は、俺だけに任せて子育て頑張れよ」
「……うっせえ」
「それにしても、従魔にするなら名前を付けないとね。レシア、何かいい案はあるか?」
「ふ~む……そうだな……」
ルージュの言葉に、皆は、う~んと顎に手を置いて思案を始める。なんで俺に聞かねえんだよ。なんで、俺が面倒を見る羽目になった奴の名前を皆が決めているんだよ……。
思わずため息を吐く俺。すると、魔物の子は俺の頬をポンポンと叩き始める。
「キュウ?」
どうしたのか、と言わんばかりの表情で、俺の顔を覗き込む魔物。お前の所為で、悩んでんだと更に、頭を抱えた。
「狐だからさ~、コンちゃんとかは?」
「え~……安直だよ、サヤ。それならキュウちゃんがいいと思うなあ」
「それもどうだろう……? 私は、ダッキという名前を考えてみたんだけど……」
「……何か、邪悪な気がするぜ、シンラ。アキラ、お前は何か思いついたか?」
「やっぱ、トウガ達の妹分ってことで、トウコってのはどうだ?」
「あの子達みたいに血気盛んになりそうだから、それは無いわね」
などと、色々と話し合われては、コイツの名前候補が消えていく。もう、どうでも良いんじゃないかと、更に頭を抱える。
そして、なおも顔を覗き込んでいる魔物の姿を眺めた。尻尾を振りながら、ずっとこちらを見ている。皆はそんなコイツをジッと眺めながら、あーでもない、こーでもないと話し合っていた。
「愛されてんな……お前……」
何となく、もう、どうにでもなれと思いながら、魔物を撫でてみた。すると、魔物は嬉しそうな顔をする。
「キュウ~……」
その時俺は、ここには居ない、タカナリやエイシンが帰ってきたら何て言われるのだろうかとか、エイシン辺りには指さされて笑われそうだな、とか、これからどうすれば良いのだろうかとか、色々と考えていた。
こんな気持ちになるのは、あの日、アイツを拾った時以来だなと、どこか可笑しな気分にもなってくる。
すると、近くにいたムウが、あ、と言って、口を開いた。
「ふむ……愛されている、か……ならば、こういうのはどうだろうか……?」
ムウの言葉に、皆は話し合いを辞めて、ムウの顔を伺った。
ムウは、魔物を撫でながら、ゆっくりと口を開く。
「この魔物は、エンヤが少なからず持っている優しさ、慈しみという、愛に触れてここまで来た。それだけ、エンヤのことを愛している。
そして、私達は、この魔物を見ながら、この魔物から発せられるエンヤへの愛を感じ、ここまで真剣になって、魔物の名を考えている。
すなわち、この魔物は、エンヤの愛そのものだ……」
皆の中、特に女どもが、何かうっとりとしたような感じで、手を合わせながら顔を赤らめている。よくもまあ、コイツはここまでの恥ずかしい台詞を吐けるなあと、呆れを通り越し、感心していた。
「ゆえに、この魔物の名は、乃愛。愛を表す名としては、ぴったりだと思うんだが?」
魔物の名を口にするムウ。すると皆は目を見開き、うんうんと何度も頷いていた。
「あ、それ、良いと思う! ノアちゃんって、良い響きだと思うよ、ムウさん!」
「ノア……か。可愛らしくていい感じ」
「ムウさんは良い名前を付けますね。私達の子の名前もお願いしたいものです」
そこはお前らが頑張れと、シンキがカンナを小突き、その場は笑いに包まれた。俺の肩の上で、魔物も楽しそうにしながら、笑っている。
そして、各々、新たに決まった名前を口にしながら、魔物の子を撫でていた。
まあ、決まったんなら良いじゃねえかと思い、俺も、その魔物……ノアを撫でた。尻尾を振りながら、嬉しそうにするノアを見ながら、また、厄介なものを拾ったなあと思っていた。
それが、後に神獣となるノアと、俺達の出会いだった……。
乃愛の、「乃」という意味を調べると、「すなわち」と出ました。
つまり、乃愛という名前は、「すなわち、愛!」と、言うことになりますね。
当初、この魔物の名前を決めた時は次回でも描くように、皆の魂を未来に残すという存在と云うことで、ノアの箱舟から連想……というか、そのまま付けました。
愛云々は完全に後付けで、こじつけなので、そこまでの意味はありませんが、書いていくうちに、何となく、この名前以外ありえないなというキャラクターになりました。
最後まで、よろしくお願いします。




