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古今無双の傭兵が異世界へと行っちゃった話  作者: やまだ和興
世界の真実を知る
277/534

第276話―スキルについて学ぶ―

今回は、ほとんど解説話になります。説明文ばかりで読みづらいかとは思いますが、ご了承ください。

そして、初の試みもしてみたいと思いますので、最後まで、お読みくだされば幸いです。

 エンヤと闘って、一息つく俺達に、サネマサ達が寄ってくる。ツバキに偶像術はどうだったかと確かめているようだ。力が、ごっそりととられる感覚があって、まだまだ精進が必要だというツバキの自己評価に対し、サネマサとジゲン、それに牙の旅団は、初めてにしては上出来と褒めていた。

 エンヤの方も、自分の力を充分に生かせる偶像術で文句は無いとご満悦だった。久しぶりに、自ら刀を振るい、すっきりしたと語る。

 今後は、エンヤを顕現させても、ツバキ自身が上手く戦えるように、気功スキルなどの熟練度を上げなければならないという結論になる。


 そう言えば、タカナリはすっきりしたのだろうかと思い、花鳥風月をアヤメに返した。そして、アヤメが瞑想すると共に、刀精としてタカナリが現れたが、何やらぐったりとしている。


「ふう……流石に疲れてしまったな……」

「精霊の状態で疲れるってどういうことだよ?」

「何と言うか……冥界の波動が私に合わなかったようだな。

 ……危うく無に帰すところだった」


 頭を抱えるタカナリを見て、アヤメに人の刀で危ない真似するなと怒られた。

 どうやら、冥界の波動を纏わせて闘うというやり方は、無間以外の違う刀で行うということは難しいようだ。

 ただ、その為に無間を直す際に冥界石を使うと、コモンとトウヤは言った。新しい無間なら、俺の力は十分発揮できるということなので、今後も安心して今までと同じように戦っていくとしよう。


 その後、ツバキはジゲンと闘鬼神、それにリンネと一緒に鍛錬を始める。気功スキルの熟練度が、皆に比べて比較的に高いリアが、その指導を担っている。

 また、既にエンミの弓を受け継いでいるリアも、エンミや他の牙の旅団の者達に、偶像術の練習をしていた。


 サネマサは引き続き、ジェシカの偶像術の指導を行う。しかし、ジェシカは生来の優しい性格から、敵を倒すための力を思い描くということが難しいようだ。

 そこで、ナツメがEXスキルを使った攻めの極意について語り出す。

 二人のEXスキルは、神々の癒し。どんな傷でも、どんな病気でも、たちどころに治してしまうものだ。具体的には、スキルの力により、回復魔法や、様々な薬の効果を出現させ、対象に効果を及ぼすといったもの。

 そして、最近では、魔力を回復させることにも成功し、ジェシカはEXスキルの熟練度は高いと言える。

 そこで、ナツメは、このスキルの攻撃手段について、語り始める。


「私達のスキルは、いわば医師や薬師が持つ全ての能力を施すというもの。薬師が持つ能力というのは、治すものばかりというわけじゃないわ。例えば、毒なんかも使えるわね?

 それに、身体のツボを刺激し、相手の動きを封じたり、体内の魔力や気の動きを止めるということは医術を志す人にとっては、重要なこと。私達のスキルだと、それも出来るのよ」

「つまり、私のスキルで相手を攻撃するというのは、医術をもって傷付けるということになるのですか?」


 今まで人を治すということに重きを置いてきたジェシカは、やはり少々戸惑っているようだ。

 するとナツメはジェシカにクスっと笑い、口を開く。


「やっぱり、あなたは私と違って、優しいみたいね。でもね、皆を護りたかったら、皆を治すだけじゃ駄目なの。せっかく治しても、敵が居たら意味ない。大切な人を、何度も何度も傷つけることになっちゃうのよ?

 だから、私も、皆と戦う力を手に入れた。傷ついた皆を待つだけじゃなく、皆を傷つかせないためのね」


 ナツメのスキルの使い方が、意外とちゃんとしていて驚く。俺のことは何度も危ない目に遭わせていた割に、そういうことはきちんとしていたようだ。

 にしても、スキルの力で毒を生成か……。恐ろしい能力を持っていたものである。太古の昔に、俺も皆と居たなら、未知の毒を、俺に試していたのだろうか……。何となく悪寒を感じる。

 それは、サネマサも同じようで、少々、顔色を悪くしていた。よく見ると、そんなサネマサをジェシカがチラッと見ている。サネマサが視線に気づき、顔を向けると、ジェシカは、真顔で逸らしながら、ナツメの方を向いた。ナツメは、相変わらず、ジェシカに微笑んでいる。


「大切な人を護る為に……ですか。

 ……そうですね。いつもいつも、前に出て戦う人を治していると、大変ですもんね」

「そういうこと。私も、夫がそんな感じだったからね。いつもいつも、無茶しちゃって、あの頃は大変だったわ。あの人が傷つくくらいなら、私も前に出ようって思ったの」

「フフッ、大変ですね。ご主人と言い、ムソウさんと言い……」


 まったくよ、と言いながら、ナツメはこちらを見てくる。確かに苦労はかけていたし、世話にもなったなあと思いながら、俺はメッキにやられた傷痕をさする。

 ただ、ゴウキよりは怪我をすることも少なかったはずだし、先ほども言ったように、俺もナツメに苦労してきた。俺があいつに責められるのは、どうも納得がいかない。


 まあ、そんなことはともかく、ジェシカは、EXスキルで、相手を攻撃するという戦法について意欲的になり、同じような感覚で、偶像術を使うことにした。

 ジェシカも、偶像術を使うのは初めてらしく、最初に錫杖の刀精を出現させた。

 現れたそれは、儚げな表情をした女の姿をしている。青色の髪をなびかせた、女の周囲には、ジェシカの羽織についている治癒院の紋章のように、花が咲き乱れている。

 ジェシカの持つ錫杖は、神具「パナケイア」。回復魔法の効果と水魔法の効果を向上させたり、癒しの効果範囲を広げるという。また、手に持った者に若干の加護が与えられ、濃い瘴気の中でも活動でき、小さな傷なら自動で癒すというものらしい。

 この精霊は、エンヤ達と違って、俺が初めて見る性質の精霊で、ジェシカ本来の力を具現化させた姿である。ジェシカは一体、どんな力を具現化させるのだろうか。しばらく、ナツメと共に何か話している様子を眺めていると、思いが決まったようで、ジェシカは精霊を錫杖に戻した。

 そして、その力を、と思ったのだが、この狭い洞窟内で、それをやるのは難しいとのこと。ジェシカの偶像術は、個々を出てからのお楽しみという話になった。


 俺は、そんな皆の様子を、たま、エンヤ、ちっこいツバキ、ハルマサ、そして、アキラとレオパルドと共に眺めていた。

 レオパルドは相変わらずぐったりとしている。EXスキルの力を引き出すのは意外と辛いことのようだ。

 相変わらずアキラに体を按摩されては、手を開いたり、握ったりしながら、身体の調子を確かめている。


「うぅ~……ようやくちょっとは動いてきたな……まずは、一体ずつ取り込んで、その力を十分発揮させた後も動けるようになるくらいって、結構無茶だよな……」

「アハハ! 無理やり引き出そうとしたらそうなるんだよ。あいつらと一つになっても、一緒に闘ってるって感覚を忘れなかったら、こんなことにはならねえよ。

 そして、皆を取り込んだ時も皆と一緒に闘う感覚になれば、スキルは極めたも同然だ。頑張れよ!」

「簡単に言ってくれるなあ、先輩は……」


 アキラの言葉に、苦笑いしながら頭を掻く、レオパルド。サネマサ達が居て忘れがちになるが、レオパルド自体も、素の状態ではかなり強い部類だ。今の状態は、取り込んだトウガ達の力をレオパルドが力づくで引き出している状態なので、色々なところで不具合が起きるようだ。

 それでも十分な強さを発揮するが、戦うたびに、こうなってしまうのでは意味がない。更に、この状態で、二体以上の魔物を取り込み、その力を引き出すとなると、レオパルド自身の体も危ない。最悪、命の危機にさらされることもあるという。焦らず、じっくり、鍛えていこうと、アキラは笑っていた。

 そんなレオパルドの元に、少し休憩だと言って、サネマサがやってきた。隣にドカッと座って、レオパルドの姿を見ながら笑っている。


「面白い光景だな。女に按摩されて励まされるなんて、珍しいものが見れたな」

「このやろ……後で、覚えとけよ」

「そんなに、怒るなよ。お前はまだまだ強くなる可能性があって良いじゃねえか。俺に関しては、EXスキルの熟練度を上げて強くなるってことは出来ないらしいからな。今のままで強くならねえと……」


 サネマサ曰く、コイツのEXスキル極めしものは現存する全てのスキルを習得し、既に極めている状態なので、スキルという観点からは、もう、これ以上強くなれないと、エイシンから聞いたそうだ。

 サネマサはこれから、素の状態でもう少し鍛えておく、最低限、ジゲンくらいにはとやる気を見せていた。


「そう言えば、この世界のスキルって他に何があるんだ?」

「ん? なんだ、ムソウは全部知っているってわけじゃないのか?」

「ああ。特に調べようと思ったことが無いから、知らないな」

「まったく……鑑定スキルを使って、相手のスキル名を知っても、意味ないじゃねえか」


 サネマサは俺に呆れる。正直に言えば、そこまで興味が無かったというのが、本音だ。知ったところで、俺はそもそも鑑定スキルを頻繁に使わないから、意味が無いものと思っていたが、ここ最近、ジゲンによって、珍しいスキルだったり、その活用法などを聞いてから、少し興味が沸くようになっていた。

 この際に、この世界の人間がどのようなスキルを持つか、更にこの世界に来た時に読んだ本が、あまり当てにならないということが分かったので、他の十二星天がどのようなEXスキルを使うのか聞いてみることにした。


 まず、一般の人間でも、持てるスキルについて。これは、確認されているだけ……というか、サネマサが使えるものが全部なので、その数を参考にすると、○○種類あるという。


 それぞれ、グレンから聞いていたように、戦術的なものから、一般生活に向いているものまで幅広く存在しているが、熟練者になると、生活上で使うスキルを組み合わせた戦法をとってきたり、スキルとスキルを組み合わせて、違った戦い方をする者も居るという。


 戦術的なスキルには、剣術、気功、砲術、武術の他に、心眼、隠蔽、擬態、耐鬼、耐神、耐人、耐魔がある。

 よく聞く心眼というスキルは、相手の考えている事が、何となく分かるとのことらしい。それだと無敵じゃないのかという疑問も思い浮かぶが、相手が何をしてくるか分かっても、対処できなければ意味はないとサネマサ達は語る。これを使って戦うのはせいぜい初心者冒険者くらいで、上級の魔物ともなれば、相手が仕掛けてくる攻撃が分かった瞬間に、既に攻撃されて傷を負うという結果になるので、あまり意味はないとのこと。

 使うとすれば、商人が値段交渉する時などだということらしい。相手が値を吊り上げようとしているのか、安く買わせる気があるのかが分かるので、便利だという。

 そんな力を持っていながら、「伝説のカモ」となっているサネマサは置いておき、他にも聞いてみる。

 姿や気配を隠す隠蔽スキルとよく似た、擬態スキル。これは、精霊人の森での一件で、ワイアームがやっていたから分かりやすいが、周囲の自然物や、果ては他人に姿かたちを成りすますことが出来るという。主に、索敵や、斥候、不意打ちや罠などに使える。

 耐鬼、耐神、耐人、耐魔はその名の通り、各種族からの攻撃に対しての耐性力が上がるというもの。このうち、耐魔以外はリンネが持っている。これらのスキルの熟練度を上げれば、リンネもますます守りに長けた魔物になりそうだなと期待した。


 ●●●


 さて、戦術的なスキルの説明は以上だ。次は、それ以外のスキルについて説明されるが、こちらの方が種類も多く、幅が広いとのこと。知っているものは良いから、取りあえず、全部聞いてみて、知らないものだけの説明を求めた。

 いわゆる、生活スキルと呼ばれるものだが、これは、鑑定、採集、調合、調理、錬金、鍛冶、裁縫、眼力、嗅覚、味覚、聴力、器用、小食、舞空、泳法、持久、透視、不眠、魅惑というものがある。

 このうち、元から知っている、鑑定、採集、調合、調理と、何となくどんなものか想像できる、鍛冶、裁縫、眼力、嗅覚、味覚、聴力、器用、透視、不眠は省き、それ以外のスキルについて、説明を求めた。


 よく聞く、魅惑というスキルは、相手に対しての警戒心を失くさせるというものらしい。ああ、やっぱり……。リンネも持っているが、今までこの力を使っていたのかなと思っていると、アキラとエンヤに、それは違うだろうと言われた。アイツの可愛さと人懐っこさは生来のもので、スキルには関係しないだろうと、他の者達も頷く。特に、たまは何度も頷いている。仮に、リンネが魅惑のスキルを使った場合、人間だけでなく、魔物たちも寄ってくるかも知れないとのこと。

 警戒心を持たせないということは、こちらからは何もしないから、お好きにどうぞと言われているような状態になるので、おいそれとは使わないのが吉だそうだ。そういうことなら、良いかと、皆に納得し、リンネの可愛さを再確認できて良かった。


 錬金というスキルはミサキのスキルで見たことがあるが、これは調合と似ていて、異なる金属を混ぜて、合金を作る場合の成功率と質が上がるというもので、これと鍛冶スキルを持つことが、天宝館の職人の絶対条件となっているらしい。無論、コモンも持っている。

 更に、コモンは持久と不眠を持ち、持久は、いくら動いても疲れにくくなり、不眠は、少ない睡眠時間でも、体力を回復できるというものなので、ああいった無茶が出来ると、レオパルドとサネマサは頭を抱えている。これだけ、多くの人間を心配させるとは、アイツは本当に困った奴だなと頭を抱えた。

 ちなみに、小食というスキルもあり、これは人よりも少ない食事でも、生きていけるというもので、これは、コモンは持っていないらしい。持っていたら、断食しながら働くなあと、皆で頭を抱えていると、たまが、そうなっても私の料理は食べさせると言って、ニコッと笑い、皆で撫でてやった。

 ちなみにだが、たまは調理スキルを持っていないということが、ここで分かった。流石に驚いたが、味覚が良くなり、極めると、少し舐めるだけで、どの食材を使っているのかが分かることが出来るという、味覚スキルを持っていて、その力と、後は才能によって、あの料理の腕があるのだろうという話になり、サネマサは更にたまを褒めながら頭を撫でていた。


 さて、話を戻す。泳法は、その名の通り、泳ぎが上手くなり、極めると水の中でも呼吸が出来るという。ただ、これに関しては、以前ツバキが言っていたように、魔法や、身体能力向上でどうとでもなるので、このスキルを持っていなくても、ソウブの騎士になれるということらしい。

 一際、面白そうだと思ったのは、舞空スキル。なんと、空を飛ぶことができるらしい。最初は、人の腰くらいの高さに浮くという程度だが、極めると、神人化した俺や、魔法で空を飛ぶ者と同じく、鳥のように空を飛べるという。今となっては、俺も自由に飛べるから良いが、これは良いスキルだなと思っていた。

 しかし、サネマサとレオパルドによると、これも、一般人はあまり使わないという。何故なら、空にも魔物は居るから。というか、隠れるところが無い空の方が地上よりも危ないから、おいそれとは使わないとのこと。

 これには、なるほどと頷くしかない。天界の波動が無かったら、俺も、いちいち闘いながら、飛ぶしかないからな。


 さて、一通りの説明は終わったように思ったが、サネマサはこれ以外にも、使えるスキルがある。それは、人間では無く、魔物などが持っているスキルだ。

 具体的には、サキュバス種などが持っている魅惑スキル。幻術や幻視により相手を虜に出来る。

 もう一つは、ハクビやダイアンなど、魔人と呼ばれる者達が持つ、狂気スキル。これは、自らの血に流れている魔物の血を制御し、その力を行使するというものだが、サネマサはどうなのかと聞くと、特に何も起きないらしい。エンヤ達に聞いても、そもそも、その時代に魔人という種族が居なかったので、狂気スキル自体も無く、エイシンがどうなっていたか知らないという。

 しかし、元からサネマサの体に魔物の血が流れていない以上、この結果が当たり前かと納得し、話を終えた。


 次にサネマサ達が説明してくれたのは、十二星天の持つ、EXスキルについて。正直な所、他の者達の固有スキルを教えることは、禁じられているそうなのだが、俺には、今の十二星天の前任者やその仲間達であるエンヤ達が居るので、どうせバレると、二人は納得して教えてくれた。


 かつて、十二星天が壊蛇という大魔獣から人々を守り抜いた力……いささか興味があった。どんな力で、そういう戦法で闘ったのか確認してみる。


 “ギルド長”セインのEXスキルは創造主。これはセインが望む者なら何でも作り出せるというもの。万能な力のようだが、一応、制限もあり、この世界に存在する素材でしか作れないという。

 それから、複雑な機構で成り立っているものについては、その構造を知らなければならないが、そこはミサキのうみだすものと、コモンの知識によって、上手い具合に補完されたらしい。

 セインはこの力で様々な魔道具を生み出し、更には、以前ミサキにみせてもらった、飛行機なども、作る事が出来たという。

 更には、ミサキの世界で言うところの、近代兵器というものを作り、それによって、壊蛇を弱らせることに成功したという。

 具体的には、標的に向かって飛び続け、接触すると同時に大爆発を起こす、「ミサイル」というものや、火薬の爆発によっておこる衝撃で小さな弾を発射させる、「銃」というものを創り、セイン自身も、銃を獲物としているらしい。

 こちらの場合は、魔法を撃ちだすもののようだが、スキルによって、弾は無限に生み出すことが出来るという。


 “騎士団長”リーのEXスキルは軍師の導き。この能力は、戦場全体を俯瞰で見ることが出来る能力だという。

 更には、戦場に立つ者や、自らの味方だと判断した者達、一人一人と意識を共有し、更にはその状態を知ることが出来るという、集団戦においては、比類なき力を発揮するもので、戦況に応じて、迅速に作戦を伝えあったり、不測の事態が起きても、上手く対処できるように、リー自らが、一度に多くの人間に指示したり出来るという。

 ただ、それだけ一度に情報を共有するということになるので、脳にかなりの負担がかかることも事実で、強靭な精神力を必要とするとのことだが、一度使えば、丸一日、何もしないという状況下でゆっくり身を休ませねばならないらしく多用は出来ないらしい。

 もっとも、少人数であるならば、そんなことにはならないらしいが、リー自身が言うところの少人数が、5000程とのことなので、その辺りの心配はないという。


 そして、リーの力と合わせて、真価を発揮する者が“龍心王”レイナ・ドラゴニアという女で、そいつのスキルは、結びつけるもの。これは、集団を一つにするというスキルで、通常、回復魔法などは対象が一人なら、一人にしか効果を発揮しないが、レイナによって、例えば、俺と闘鬼神が結ばれると、ダイアンが俺の居ない所で大けがを負ったとしても、俺に回復魔法を施せば、ダイアンのみならず、他の者達にも回復魔法の効果が行き渡るというものだ。

 壊蛇襲来の折では、リーが負傷した仲間達を探知し、レイナによって結ばれた者達に対し、ジェシカが癒しの力を与え、王都の戦士や、民たちの死者数を大幅に下げたという。


 さて、壊蛇から王都や人界の各地を護った力の代表例として、“双星の守護者”ジーナとミーナという二人の少女の力も大いに役立ったという。

 彼女たちのスキルは少し特殊で、阻むものというが、これは、二人揃わないと発動しないらしい。

 俺が読んだ本には、大きな結界を張ることが出来るとあったが、少し違って、ツバキのように攻撃を弾くのではなく、どんな攻撃でもそのまま返すことが出来るという。

 いまいちピンとこないが、彼女たち二人が、意識した範囲に攻撃しようとしても、必ず自分の元に帰ったり、侵入しようとしても、絶対にその範囲内には入れなくなるということだ。

 そう言われても分からないなと、首を傾げていると、エンヤ達が教えてくれた。曰く、このスキルは二つの力を合わせたもので、どちらか一方が、入り口を司り、もう一方が、出口を司るという。

 入り口に入って来た攻撃だったり、人物だったり、あるいは魔物を、出口から出すことによって、攻撃を反射させたり、侵入を拒んだり出来るという。

 ちなみに、ジーナとミーナは双子だが、邪神大戦の時には、すごく仲の良い二人組の女が使っていたという。お互いの息が合わないと、発動しないらしいので、ジーナとミーナがいかに仲が良いのかと話を聞きながら理解できた。

 攻撃を受けて、跳ね返すのではなく、入り口と出口を通すだけなので、どんなものでも、防ぐことが出来る能力だという。


 さて、最後に残った、“冒険王”ジーンの能力だが、これも、本に書いてあった通り、その名は先見の明。少し先の未来が視えるというものである。

 ジーンはこれにより、壊蛇の侵攻先などを事前に察知することが出来、民衆の避難や、護りの強化などをしたという。

 ただ、見れる未来については、それがいつ起こるのかは分からないという。対処しようとしても、一日、二日ではどうにもならないこともあり、実際、クレナがそれだったらしく、王都が、護りを固める前に、壊蛇が襲来し、多くの民と共に、アヤメの親も死んでしまったという。

 それでも、サネマサを始めとして、周りの者達は、被害を思ったよりも少なくすることが出来たと、ジーンに感謝したが、ジーン自身は、


「未来が見えても、護れなければ意味はない。儂はこの結果を分かっていた。

 ……二度も、こんな結果を見るくらいなら、もう、この力は使わない」


 と、語り、壊蛇討伐後は、自分の能力を使わないようにしたという。

 何とも遣る瀬無い話だが、それだけ、ジーンという男も、誰よりも優しい人間なんだと、サネマサとレオパルドは笑っていた。


「……とまあ、こんなところだが、理解したか?」

「ああ。これだけのスキルを持っていながら、なんで、お前は馬鹿なのかという疑問が浮かんできた」

「……うるせえ」


 俺の一言に、サネマサがプイっとそっぽを向けた途端、その場は笑い声に包まれる。

 どれだけスキルを持っていても、その者が持つ、本来の性質までは変わらないということが分かった。

 そして、俺以外にもいろんなスキルを持っている奴らが居るんだなあと呟くと、レオパルドに、


「アンタが一番、よくわからねえ」


 と、言われて、アキラたちがそれに頷き、俺も苦い顔をして、うるせえと言った。

 再び、笑い声に包まれながら、しばらく皆と語り合っていた。


さて、今回は、この世界に存在するすべてのスキルについての話を掲載しましたが、読者さんの中から、こういうスキルもあったら良いのでは? という要望があれば、感想欄にお願いします。面白そうなら加えます。また、説明が分かりづらい個所などもよろしくお願いします。


作者的に、分かりづらいと思ったリー・カイハクとエレナ・ドラゴニアのスキル。

分かりやすく言えば、リーが戦場で戦う際は、ウォーシミュレーションゲームだったり、シミュレーションRPGのプレイヤーになるという感じです。

エレナの場合は、通常回復魔法が全体回復魔法になるといった感じですね。

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