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古今無双の傭兵が異世界へと行っちゃった話  作者: やまだ和興
災害級魔物を斬る
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第22話―“魔法帝”と出会う―

 俺の理解が及ぶまで、まだまだ時間がかかりそうだ、と判断した女は説明を続ける。


「まだ、分からない? 全部芝居だよ~。皆は仕掛け人。ああやって、人だかりを作っていれば、貴方がこっちに来ると思ってね。

 そしたら本当に来たから、私は、魔龍を呼ぶって言って、喚んだの。そして、皆には逃げてもらった。

 ……と言っても魔法で疑似的に作ったものだけどね~。どう!? 本物そっくりだったでしょ!」


 いや、本物が分からない。だが、一番わからないのは……


「あ、あの子供は?」

「もちろん、この子も仕掛け人だよ~! 演技上手いとおもわない!?」


 そう言って、後ろにいた子供を俺の前に来させる。さっきまでの泣きっ面はどこへ行ったのやら、ケロッと笑っている。

 ……なんだろう。無事なのはうれしいことだが、若干というか、かなり腹立つ。女はお駄賃だよ~と言って、子供に銀貨数枚を渡していた。子供はそれを受け取ると、女に礼を言って走り去っていった。……殴りてえ。初めて子供をぶっ飛ばしたいと感じた。


「……あの龍が暴走したら、とか誰か傷つけたら、とか思わなかったのか?」

「え? だから魔法って言ってるでしょ。消そうと思えば瞬時に消せるし、そんな心配はないよ。もちろん暴走もない。自我が無いんだからね。いわゆる使い魔ってやつ!」


 はああああ~。思わずため息が出る。その使い魔っていうのに、俺は本気で怒り、全力で戦ったわけだな。


「でも、あなたがアレを倒すとは思ってなかったよ~! かなり、強めに作ったのにね。

 ほんとは打つ術なし! って諦めたあなたのところに、私が立って、さっそうと倒すっていう筋書きだったんだけどね!」


 ……いや、腹立つ。どことなく、俺を下に見ている様子の女を睨み、無間に手をかける。


「ちょ、待って、怒らない、怒らない……。それに今回の一件で皆、あなたこと強いって分かったし、優しいっていうのも分かったはずだよ~」


 女は、俺を制しながら、周りの群衆を指した。皆、何か興奮するような目で俺を見ていた。


「すげえ、噂通りの強さだ……」

「今なら、あの人の噂はなんでも信じられるな」

「サネマサ様に勝ったっていうのもひょっとしたら……」

「しかも、子供を助けるために一人で挑むなんて、素敵」


 などと言っている。ね?という目で女は俺をのぞき込む。


 チッ……しょうがないか。ここで俺が怒ったら、また、悪評が立ちそうだな。怒るに怒られなくなった。

 だがまあ、誰も被害は出てないからな。しかし、俺は怪我し……てねえな。……俺の体どうなってるんだよ……。まあ、けが人も居なくて、マシロの住民の奴らにも一切の被害が出てねえなら、怒る理由もないか。……今回のことは水に流そう。


「……今回はいいが、次こんなことやったら、ただじゃ、置かない……」

「もうしないって。私もあなたがどんな人かわかったし」


 女はニッコリと笑っている。……そういえば、なんでこいつは俺のことをこんな手の込んだことをしてまで、知りたかったんだ?


「おい……お前、誰だ?」

「フフッ! 私はねえ~」


 女は頭にかぶっていた帽子をとった。肩まで伸びた髪をなびかせながら、女は自分の胸に手を置いて、得意げに笑顔を浮かべた。


「十二星天の一人、“魔法帝”ミサキ・サトウ、あなたと同じ迷い人よ」


 女の言葉を聞いて、俺は目を見開く。


 十二星天ミサキ・サトウ……たしか、サネマサと同じ世界から来たのだが、サネマサの時代から遥か先の未来から来たと言っていたな。

 なんでも、様々な素材をスキルによって産み出し、さらに強力な魔法の使い手だとギルドで読んだ本には書いてあったな。ああ、先ほどの龍を呼んだのはそれか。

 ある意味、会いたいと思っていた十二星天の一人だが、今は最悪の気分だ。たかだか、俺に会うなら、正面から来ればいいものをと思いながら、頭を抱える。


「……で? その“魔法帝”様がなんでこんなところに?」

「サネマサさんから聞いてね、面白い人だったらいいな~って思ったの」


 ああ、やっぱりあいつ、レインでいろんな奴に俺のこと話したみたいだな。これで、俺のことを王都に把握されたのは確定だな。

 まさか、こいつみたいに、何人かこっちに来て、俺に変な絡み方するんじゃないだろうなあ。……面倒ごとが増える気がするが、今は、こいつの問題だ。……さて、どうするか。


「はあ。……とりあえず、立ち話もアレだし、腹減ったし、どこかで何か食べるか?」

「あらら? ナンパ? その言い草は私たちの時代には合わないよ~、お・じ・さん♪」


 ミサキのその一言に、俺の苛つきは頂点となった。


「わけわかんねえこと言ってんなよ! 誰かさんの所為で腹が減っただけだ!」


 俺はミサキの頭を掴みながら、怒鳴り散らす


「痛たたたた!!! や、やめて~~~!!!」

「ったく! ほら行くぞ!」


 おお~いたたたた、と頭をさするミサキを連れて、ひとまず、荷物もあるので、泊まっていた宿屋へと向かった。途中、龍との戦いで壊れた家をミサキは魔法で直した。直すくらいなら、最初からこんなことしなければ良いのにと、更にため息をつく。


 そして、宿屋に着き、部屋から荷物を持ってきて、一階の飯屋で、ミサキと飯を食うことになった。ミサキは、宿のあちこちを見ながら、


「ムソウさん、出会い茶屋って知ってる?」


 などと、抜かしてきやがったので、頭に拳骨を食らわせた。どうやら、サネマサの世界の女は節操が無いようだ。


 その後、飯を食べながら、ミサキは俺に自分のことを教えてくれた。


 ミサキはサネマサと同じくニッポンというところに生まれ、じぇいけいというのをやっていたらしい。どんなものかと聞くと、いわゆる学生だという。

 で、ミサキがろーぶの下に着ているのはその学び舎に通うための制服で、下のヒラヒラは、すかあと、と呼ばれるもので、こちらの世界にはなかったので、作ったらしい。

 サネマサも言ってたがミサキは時々すごいものを生み出すが、基本的にニッポンにあったものを産み出すのが好きらしい。

 なんでも、ニッポンでもそういった勉強をしていて、将来は何らかの研究者になって、新しい作物を発見したり、誰でも好きなものを好きなだけたくさん食べれるような世界になるようにしたかったという。

 だが、当時のミサキを付け回していた奴(ミサキはそいつのことを、()()()()()という変態と呼んでいた)にいきなり後ろから刺されて、死んだという。


「……そして、気が付くと、目の前に閻魔様がいて、私を転生させてくれた。

リヨクってところで、海からも、山からも、資源が豊富にとれる地域の、ある夫婦の子供としてね。

 こっちの両親はそれぞれ、父さんは鍛冶職人、母さんは宝石職人をしていた。

いろんな所から採れる資源を使ったものに感動してね、気づいたら持っていたEXスキル、うみだすものでいろいろと産み出していたの。

……で、その過程で出会ったのが魔法なの」


 ミサキのスキルというのは新素材を0から生み出すのではなく、現存するものを組み合わせて、さらにそこに魔法を加えることで新しいものを生み出していくというものらしい。

 例えば、街の城壁などで使われる永久金属には多種多様な鉱石、魔物の鱗、それから、魔物の核と呼ばれるものを合わせ、そこに、土魔法を加えることによって出来たという。

 そして、そうやって新素材を作っていると、魔法も作る……というか、うみだすことが出来るのではないかと考え、魔法に使われる術式や、先ほど龍を召喚するときに描いていた「魔法陣」と呼ばれるものを少し改変し、違うものと組み合わせることで、多くの魔法を生み出すことが出来たという。

 その結果、龍言語魔法の解明と、時空間魔法の完成ができた。そして、王都から、“魔法帝”という称号を与えられ、崇められるようになったという。

 話だけ聞けば凄い奴に感じるし、志も立派に見えるが、実際は無邪気な……いや、どこか裏がありそうな女なんだよなあ。さっきみたいなこともあったし。


「……なるほど。あんたのことはわかった。で、俺に会いに来た、本当の理由は?」

「てへへっ! おじさんには敵わないね。私が来た主な理由は、さっきも言ったように、面白い人だったらいいなあ~って思ったから」

「はぐらかすなよ」

「はぐらかしてないよ! サネマサさんから聞いて、本当に面白そうだな~って思ったの。同じ迷い人だから、この世界のことよくわかってないみたいだし、それでもいろんな奴と仲良くできてた! って言ってて、気になったの。もしよかったら……」

「ん? どうした? よかったら……なんだよ」

「……ううん、何でもない」


 ミサキは若干落ち込んだようだ。色仕掛けとかはもう大丈夫だが、こういう、女の子がずーんと落ち込むのにはやっぱりこたえるものがあるんだよなあ。

 こいつの場合、さっきまでの態度から一変してだからな。多分これは、本気で落ち込んでいるのだろう。……まあ、俺にはどうでも良いか。仕返しだ、仕返し。


「……で? 俺は、お前からしたら、その面白い奴とやらだったか?」

「……まだわかんないよ~」


 ……だと思った。ということは、と考えると、嫌になって来るな……。

 ……ったく……しょうがねえな。


「はあ~……じゃあ、次に俺がこなす依頼について来いよ。それならある程度は納得できるだろ?」


 俺がそう言うと、ミサキの顔が明るくなる。


「いいの!?」

「ああ。それでお前が納得して俺から離れるんなら俺もそうして欲しいからな」

「ぶー! ほんとは私と旅したいんでしょ? ほら、私ピチピチだよ? “魔法帝”だよ? すごいんだよ?」

「……ああ、はいはい。そういうことにしておくよ……」

「やったあ~!じゃあ、よろしくね!ムソウさん!」


 ミサキは手を上げてわーいわーいとはしゃいでいる。お、おじさん呼びじゃなくなったな。ちょっとは信頼してくれたみたいだ。まあ、俺の方はまだ若干疑ってる部分があるけどな。

 疑っているというか、苛立つ部分が多い。依頼をやっている最中に、手元が狂って斬らないと良いがな……って、この考えは止めとくか。貴族に続いて、十二星天を斬ったとなると、いよいよやばいかも知れないからな。


 厄介な荷物を背負った気分だ。はあ、全く……サネマサも変な奴を寄越したもんだな……。


 普通の暮らしがしてえなあ。何も考えず、自分のやりたい依頼をやって、自由に依頼をこなして……。

 この三日間がそれだったな。何もない、何気ない日常だったが、今にして思えば、いい日々だった……。


 俺は窓から空を見上げる。青い空を雲が泳ぎ、鳥が羽ばたいている。ああなれたらなあと思い、目の前で小躍りしてる“魔法帝”を見て、ため息をついた。

 

 ◇◇◇

 

  “魔法帝”ミサキを連れて、ギルドに向かう。マシロの住民達はミサキを見ると手を振ったり、声を掛けたりしている。


「好かれてんだな、お前」

「うん!私はねー、他の人と違って、レインにずっと居る訳じゃないからね。時々、旅とかしてるんだー。この町にも何回か来てて、それで仲良くなったの」

 

 好かれているな、という言葉に、自分から頷く奴を俺は初めて見た気がする……。


 さて、話によれば、十二星天の奴らは、基本的にはレインに居るものが多いらしい。たしか、サネマサもレインに道場を開いているとか言ってたっけな。

 それぞれが強大な力を持ち、何かしら設立したため、その本部が置かれているレインに滞在する者が多いという。

 一方、ミサキは何かを産み出した、ということで、特に何かを設立したとかじゃないから、他の奴らに比べて、自由度は高いという。

 旅好きも高じて、冒険者としても登録しているみたいで、俺と同じような腕輪もしていた。


「これもねー、一応、魔道具で、私が生み出した素材からセイン君が作ったんだよー」


 なんでも、ギルドの腕輪は、十二星天の一人、ギルド(マスター)セインが直々に作ったらしい。今まで知らなかったが、強く念じると、着けている者の詳細情報、つまり、鑑定の宝珠でみたような情報が出てくるという。そして、その中には、そいつが倒した魔物の中で一番強いものと、採集した資源で一番価値が高いものが出るという。


 試しに念じてみると、俺の場合はヒュドラで、素材の方は、ナオリグサだった。

 確かに便利だが、必要かと聞くと、行ったことのない場所での身分確認、特に町に入るときには必要になってくるという。あと、依頼主が冒険者の力を確認するのにも有効だと言った。

 確かにな。これがあれば、前回のようなことがあっても大丈夫か。

 ちなみに、ミサキに見せてくれと頼むと、秘密がある女って素敵じゃない? と言って見せてくれなかった。……うん、腹立つ。


 そうやって、話しているうちに、ギルドへと着いた。一応、ミサキにはさっきの帽子を深めに被ってもらった。騒ぎになっても嫌だからな。


 さて、早速、依頼を確認してみる。


 ・・・


 オウガの討伐 報酬銀貨1000枚 さらに素材の売却金 (報酬は討伐数により変動)要戦闘向きスキル

 グレムリンの討伐 報酬銀貨300枚 要戦闘向きスキル

 ナオリグサの採集 報酬一本につき銀貨50枚 実がついていれば銀貨100枚 要採集スキル、鑑定スキル

 火炎鉱石の採集 報酬一個につき銀貨100枚 魔鉱塊ならば銀貨500枚 要採集スキル、鑑定スキル

 

 ・

 ・

 ・


 ・・・


 ざっと見た感じ、オウガの討伐が一番報酬が得られそうだな。他にもグレムリンとかダークスライムの討伐なんかもあるな。ロウガンが言っていた、精霊人の森からの魔物討伐ってのはこの事か。今日まで見なかったし、調査というのは終わったようだ。

 じゃあ、やるかと思い、オウガ討伐に手を伸ばしたが、一つ、気になるものが目に入った。


 ミニデーモンの討伐 報酬銀貨500枚 (報酬は討伐数により変動) 要戦闘向きスキル


 これって確か、ウィズが受けてた奴だよな。レイカと一緒に行ったが、苦戦したらしく、ハクビも行った依頼だ。まだ、残っているのか。しかも報酬も高くなってる。なんだ?


「なになに? おもしろそーなの見つけた?」


 ミサキは楽しそうに俺の顔を覗き込んでくるが、それを無視し、依頼書をマリーの所へ持っていく。


「なあ」

「あ、ムソウさんどうも。新しい依頼にとりかかりますか?」

「あ、いや。そのつもりなんだが、ちょっと聞きてえことがあるんだが」

「はい、なんでしょう?」


 俺はマリーに依頼書を渡した。


「その、ミニデーモンの討伐、俺が精霊人の村に行く前から、俺と一緒に試験を受けたウィズって奴がやってる奴だよなあ。苦戦したってことで後からハクビも行ったが、まだ達成出来てないのか?」


 俺が尋ねると、マリーは少々お待ちくださいと言って、奥の部屋へと向かった。すると、ロウガンが一緒に来た。


「よお、ムソウ。話は聞いた」

「おう、ロウガン。で、どうなんだ?」

「……正直なところ、よくわかってねえんだ」


 と、ロウガンは言う。


「最初……そうだな、お前とハクビがオオイナゴの殲滅から帰った日の朝方にウィズから救援要請の魔法が届いたんだ。

 ああ、苦戦してんなって思ったから、とりあえず、打撃系が強そうなハクビに救援に行ってもらった、というわけだ。

 しかし、あれから10日あまり、少し、時間が掛かりすぎている。というわけで、もし、出来たら3人の救助も兼ねてという意味での報酬上乗せだ」


 と言った。ハクビの話だったか。ミニデーモンは初級の魔物で、魔法が効きづらいこと以外は特に強いというものではないらしい。俺も後で詳細を図鑑で見たが、「魔法耐性の上がったグレムリンのようなもの」と、書いてあったから、そこまで心配していなかったが、妙だな。

 グレムリンと同じくらいの強さなら、そこまで苦戦するとは思えない。ましてやハクビがいるからな。オオイナゴとも充分戦えていたし、グレムリンと同程度のミニデーモンなら大丈夫だと思うが。

 そう思った瞬間、思い当たることがあり、ハッとした。……まさか。


「なあ、ハクビが狂人化したって説は?」

「う~ん。可能性はあるが、オオイナゴに比べるとそこまで厄介な相手ではないぞ」


 ロウガンはハクビの狂人化によって、帰りが遅くなっているわけではないと語った。

 だとすれば……う~ん、なんだろう。俺達は揃って頭をかかえた。


「……ねーねー、ちょっと」


 ふと、ミサキが横から、口を開く。


「なんだよ? 今は取り込み中だ。駄賃やるからどっか行ってろ」

「わーい! ……じゃなくて、確認したいことがあるんだけど」


 なんだ、コイツ。急に真剣な目になりやがって。こういう奴の扱いが一番困る……。


「ねえ、ロウガンさん。その救援魔法、色は?」

「誰だあんた。ムソウ、また、変なことに巻き込まれそうか?」


 ミサキを指しながら、ロウガンが、またか、という目を俺にぶつけてくる。


「今回は俺の所為じゃないぞ。コイツの方から俺に来たんだ。どうしようもないだろ」

「まったく」

「……どーでもいーから、そんなこと。答えてよ!」


 俺たちのやり取りを聞いて、ミサキは声を荒げた。


「あーはいはい、わかった。色はもちろん赤だ。緊急の救援要請の色だ、間違えねえよ」

「どんな魔法だった?」

「どんなって……鳥だよ。鳥の形した、魔法の塊だ。常識だろ」

「鳥の種類は?」

「種類? そんなのわかんねえよ……一体、なんなんだ、さっきから」

「……じゃあ、大きかった? 小さかった?」

「ああ? ……そういえば、いつものよりは大分、小さかった気がするな」


 やり取りを終えると、ミサキは腕を組み、考えごとを始めた。その顔は妙に真剣だ。ここまでくると、コイツのさっきまでの行動から考えたら明らかに不自然だった。


「……なあ、一体どうしたんだ?」


 俺がミサキに尋ねると、ミサキはこちらを向き、深刻そうな顔をする。


「……ムソウさん、やばいかもしんない」


 その瞬間、俺もロウガンもマリーも、ミサキの言葉に驚き、目を丸くする。


「やばいって何がだ?」


 ロウガンが突っかかる。ロウガンも、先ほどまでとは違い、ミサキに対して、真剣に話を聞く体勢になっていた。


「まず、救援魔法。確かに緊急の救援魔法は赤。これは正しいけど、問題は鳥の種類」

「さっきも言ってたな。種類ってなんなんだ?」

「救援魔法のような伝令魔法には2種類あるの。1つはギルドの、もう1つは騎士団のもの」

「なんで分ける必要があるんだ?」


 俺が聞くと、


「そこは、聞かないでね。私でも馬鹿馬鹿しいと思うくらい、くだらないから」


 と、呆れたような顔でミサキは言う。すると、ロウガンが、あ、と思い出したように口を開く。


「……いや、前に師匠から言われたことを思い出した。一緒にしようという話はあったんだが、“騎士団長(ナイトマスター)”と“ギルド長”がそれぞれ、自分の好きな鳥が良いって言って、分かれたんだ」

「そういうこと。二人の意地の張り合いというか、こだわりで、そうなりましたとさ。

 ……では、ロウガンさん。ギルドの伝令魔法の鳥の種類、分かる?」

「えーと……確か……そうだ! オオワシだ!獲物を狩る大いなる翼の意味も込めてそうしたんだった!」

「……そう。で……さっきの話だと、その救援魔法は?」

「……小さかった。オオワシじゃない」


 ロウガンがそこまで言って、俺とマリーもハッとする。


「……気づいた? ムソウさん。

 つまり、ウィズって人じゃない何者かが、ここに救援魔法を打って、次の人をおびき寄せたかもしれないと言うこと。しかも、騎士団の魔法を使ったということは、見たことがあるということ。つまり……」

「騎士団が遭遇し、なおかつ救援魔法を使うにまで至った相手……」


 マリーの言葉に、ミサキは頷く。しかし、一体何者だ? と、俺達が考えていると、再び、ミサキが口を開く。


「居るとすれば……ねえ、ムソウさん」

「……ん?」

「ミニデーモンってね、ちっちゃいデーモンなの。そんな、ミニデーモンが成長するとどうなると思う?」

「そりゃ……デーモンって奴になるんだろ?」

「そう。と、言うことは?」


 ミサキがロウガンとマリーに視線を移すと、マリーがハッとして、口を開く。


「……デーモンが、マシロに……?」


 ロウガンと、マリーの顔が青くなる。そして、何やら、ひそひそと話しだした。そんな馬鹿なとか、あり得ないとか、聞こえてくる。

 俺は何のことか分からなかったので、ミサキに聞いてみた。


「なあ、そのデーモンってのはどんな奴なんだ?」


 俺が聞くと、ミサキはデーモンについて語る。


 魔族というのはそもそも、鬼が作り出した存在である。その中で、一番最初に作り出されたのが、デーモン種なのだという。100年戦争の折りにも鬼族側の勢力として、神、人族に甚大な被害をもたらしたという。

 デーモンは高度の知能を身に付け、それによる精神攻撃や、人族の魔法を行使する。

 そして、以前、ロウガンがウィズに言っていたような、魔法攻撃耐性が高い。

 ギルド、騎士団による基準で言えば、超級魔物の上位種、つまり、災害級にも匹敵する強さということになる。ちなみにワイバーンは超級魔物の下位種らしい。


 ……おいおい、ウィズたちにどうにかできるのか?

 そんなことを思っていると、ロウガンはマリーに指示を出していく。


「マリー、直ちに調査、及び討伐隊を編成し、救援に向かわせろ!」

「はい! ……ですが、精霊人の森から住み処を奪われた魔物討伐で各冒険者達は出払っております。今からすぐにというのは……」

「いいから、やれ! 報酬は俺が後で払う! 無論、ワイツ卿にも、コウカンにも掛け合う!」


 ロウガンの怒号が飛ぶ。マリーは慌てて部屋を出ていく。その後、部屋の外が何やら、ざわざわと騒がしくなった。その中からは、冒険者達の自信なさげな声が聞こえてくる。

 災害級に匹敵する魔物というのは、やはり、それほどの存在らしいな……。


 などと思いながら、俺はその様子をずっとそばで見ていた。ただ、一つ言いたいことがある。

 ……ロウガン、直ちに行動にうつすのは良いが何か忘れてないか?

前話でスカートを見たことない人に、スカートを見たことない人が説明する、というのを書いてみたんですが・・・

・・・難しかったです。伝わってますか?アドバイスがある方はぜひ、お願いします

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